ニセ関西弁の利用と意識について

ニセ関西弁の利用と意識について
学部 2 年 ○○コース Y
(1)はじめに
私は「ニセ関西弁」について調べようと思った。現在、「方言」が様々な場面で登場している中、
「エ
セ関西弁」という言葉がインターネット上で誕生した。これは「関西弁」を話さない人が使う関西弁と
されている。テレビ番組のドラマやアニメなどで登場し、使う人によっては非常に違和感がすると言わ
れており、一部の関西人からはよく思われていない。そこで、一人の「関西人」として使う側・使われ
る側の互いがどのように思っているかについて知りたいと思ったためである。
(2)本論
本授業を受講している学部生・大学院性らと自身の同郷の友人らにそれぞれ別のアンケートを実施
し、調査を行った。大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山を「関西」の定義とし、それ以外の県を
「非関西」に分け、それぞれの地域での意識を集計した。
「関西」の有効回答数は 11、
「非関西」の有効回答数は 41 となった。
まず、質問 1 で「ニセ関西弁」という言葉がどれだけ浸透しているのかを調べた(図 A-1,2)
「関
西」・
「非関西」共に「知っている」の割合が高く、浸透しているといえる。次の質問 2 では「ニセ関西
弁」の使用についての質問で、
「非関西」では「使ったことがある」人が多い。つまり、使う言葉を関
西弁であると意識して使っていることがわかる。
(図 B-1)逆に関西では「ニセ関西弁」を使われたこと
があるかどうかを尋ね、こちらはわずかに「使われたことがある」人が多い。(図 B-2)
「非関西」の質問 3 では「ニセ関西弁」の使用について尋ねた。親類や友人のような近くて親しい人
に使い傾向が高く、フランクな言葉として使われている。(図 C-1)使う目的は「なんとなく」が一番多
く、俗に言う「ノリ」で使用している可能性が読み取れる。また、その他として「関西弁が移った」や
「関西出身の人と話すとつられて言ってしまう」のように関西弁が「移る」ことで話す人がおり、関西
弁は他の言葉に対して強い影響力のようなものが存在する可能性がある。さらに石川県や福井県のよう
な「関西」と近い県では、話す言葉自体が「関西弁」であることもあるようだ。
(図 C-3、表Ⅰ)しか
し、関西人に対して「ニセ関西弁」を使うことに関しては関西人と交流する機会が少ないためか、
「使
ったことがある」
・
「使ったことがない」も大差はなかった。
(図 C-2)さらに質問 4 では「ニセ関西
弁」についてどのように思っているのかを尋ねたところ、「イントネーションが違う」ように聞こえて
よく思わない人もいるが「誰がどのような言葉を使うかは自由である」という意見のように「別に何と
も思わない」人がほとんどを占めた。(表Ⅰ)
一方「関西」における質問 3 にて「ニセ関西弁」自体をどのように思っているのかを質問した。イン
トネーションやアクセントの違いから不快感を持つ人がいるが、会話の話題になったり、
「関西」と好
意的になろうとしたりする努力とみていい感情を持つ人もいることがわかった。
(図 D、表Ⅱ)質問 4
では「ニセ関西弁」を使う人に対してどのような感情を抱くのかを尋ねたが、「ニセ関西弁」を使うこ
とと人の好き嫌いは別としているという意見や、
「関西弁」に憧れて使用しているのではないかという
意見があり、中庸な回答が多かった。(図 E、表Ⅱ)また逆に「非関西」で関西人に「ニセ関西弁」嫌
いな人がいることを知っているかどうかと尋ねたところ、「知っている」が多く、好き嫌いも浸透して
いることがわかる。
(図 F)
「関西」で使われたことがある「ニセ関西弁」について具体例を訊いたところ、
「してまんねん」や
「するやん」のような文末助詞が挙げられており、つまりその点を変えれば「関西弁」になると使う側
は考えている。最後の質問として、福井や四国各県のような「関西弁」と似ている別の方言についてど
うのように感じているのか質問したところ、
「別に何とも思わない」が多く別の「方言」として受け入
れていることが推測できる。
(図 G)
(3)まとめ
以上の結果から、使う方は使ってみたいから・なんとなくのような気軽に使う砕けた言葉として使っ
ており、「ニセ関西弁」は会話を面白くするための言葉として使っているといえる。一方使われる方も
多少の嫌悪感は持つが、大げさに否定することはない。関西を好きになろうとして頑張って使おうとし
ているという肯定的な考え方を持つ人もおり、それなりに受容的であるといえるかもしれない。
「ニセ関西弁」と
いう言葉を
「ニセ関西弁」と
いう言葉を
4
11
7
30
知っていた
知っていた
知らなかった
知らなかった
図 A-2(「関西」質問 1)
図 A-1(
「非関西」質問1)
「ニセ関西弁」を
17
「ニセ関西弁」を
5
6
24
使われたことがある
使ったことがある
使ったことがない
使われたことがない
図 B-1(
「非関西」質問 2)
図 B-2(「関西」質問 2)
誰に対して
6
関西人に対して
3
17
6
11
13
24
使ったことがある
親類
友人
先輩
後輩
使ったことがない
その他
図 C-1(
「非関西」質問 3-a)
図 C-2(「非関西」質問 3-b)
なぜ「ニセ関西弁」を使おうと思ったか
8
12
1
4
2
なんとなく
関西弁が好きだから
場を盛り上げるため
関西弁を使ってみたかったから
その他
図 C-3(
「非関西」質問 3-c)
「ニセ関西弁」について
どのように思っているか
1
1
「ニセ関西弁」に
ついてどう思って
いるか
1
2 5
34
8
好き
別に何とも思わない
嫌い
図 D(
「関西」質問 3)
その他
好き
別に何とも思わない
嫌い
図 E(
「非関西」質問 4)
関西人の中に「ニセ関西
弁」が嫌いな人がいると
いうことを知っていたか
関西弁と似た方言
についてどう思っ
ているか
10
0
2
31
9
知っていた
知らなかった
図 F(
「非関西」質問 5)
好き
別に何とも思わない
嫌い
図 G(「関西」質問 6)
表Ⅰ
非関西
質問 3-c
・滋賀や京都に近いところに住んでいたため自然と関西弁を話している。
・自分の方言だから。
・周りのが移った。
・2ch の影響
・うつった。
・方言が移っていた。無意識。
・関西弁がつっこむときのセオリーだから
・関西出身の人と会話しているとついつられて言ってしまう。
質問 4
・誰がどんな言葉を使おうと自由だから。
・イントネーションが嫌い
・自分は使用しないし、ニセ含む関西弁を使用している人間の出身県も気にしないから。
・関西人からするとイントネーションが違うらしく、聞いていると恥ずかしいとは思う。
・関西弁の練習を熱心に行っています。
・方言の中でも、一種のイメージがあります。
・関西人ではないのでイラッとこないし、かといって面倒くさいこともある。
・関西人にとって気にいるか気に入らないかというだけの話がする。
・フランクな感じがする。
・話しやすいから。
・あまり意識していなかったため。
表Ⅱ
関西
質問 3
・個人の自由であり、関西弁を話す人を貶めること以外であれば何の問題もない。
・別に関西弁にこだわりがない。
・何も影響がないから。
・イントネーションが違うので少し不快に感じるから
・バカにされている感じがする。
・わざとらしいイントネーションで腹が立つ。
・面白いし、話のネタになる。
・頑張って関西のことを好きになろう、関西人と仲良くしたいという気持ちが伝わる。
・発音の違いが気になる。
質問 5
・なんでやねん
・するやん(するで)
・せやかて
・~はん
・おまんがな
・~してまんねん