電磁環境を考慮した 畑一ーD システムの研究

電磁環境 を考慮 した RF‐IDシ ステ ムの研 究
岡野 好 伸 *
Ⅲ
東京都市大学 知 識 工学部 情 報ネ ッ トワー クエ学科
1
28‐
8 557 東 京都世 田谷 区玉堤 1‐
〒158‐
m航1:y‐
acjp
E‐
okano@tcu・
Development ofthin microwave absorber for RF,ID、
vhich considers electtomagnetic environment
Yoshinobu Okano率
な任
ology Dcpartmcnt
bkyo Ciけ UniVCrsi中号Facuity OfEnginecing,Inforrllation Ncnvork Tcch■
KL Tokj/o158‐
8557,Japan
1,Tamttummi Sctagaya‐
卜28‐
mali:y―
E‐
okano@tCu acjp
あ らま し
lD(無 線認証)
U H F 帯 の 電波 ( 9 5 2 ∼9 5 4 M H z ) を 使 う R F ‐
ー
ー
コ
ドと異 な り,
J t t l t F使
に われ て きたバ
は, これ まで物 i 『
飛 躍 的 に読み 取 り距離 が 伸長 され , ま た物 品情報 の 更新等 の
新 た な情 報 書 き込 み が で き るた め , 物 流 管 理 , 生 産 管理 へ の
応 用 が大 い に期 待 され て きた _ し か し, 実 際 の物 流 ・生 産現
場 は想 定 外事項 の連 鎖 で あ り, そ こでの電磁環 境 を省 み ない
ソフ トウ ェア の 導 入 は , 折 角 の U H F ‐R F l D シ ステ ム がそ の潜
在性 を過小評 価 され る原 因 とな つて いた ,
あ る こ とが望 ま
電磁波 吸収 体 は ,構 造 が平板 状 で か つ 薄 /tHjで
れ る。また ,医 療 や 物流 ・生 産現場 で は,防 災 上人 間 の 層視
に よる安 全確 保 が必 須 とな るた め ,電 磁 波 吸収 体 に よる光 の
遮 蔽 は最 小 限度 に抑 え られ な けれ ばな らな い。
この よ うな要件 に対応 し得 る電磁 波 吸 収 体技 術 と して は え/
4型 電磁 波 吸収体 [11∼[3]があ る。この手 法 は 音響振 動 工 学 で
は 早 くか ら吸 音 材 と して 利 用 され て きた [4]∼ [6]、この え/
4型 電磁 波吸収 体 の抵 抗膜 及 び反射板 を導 電率 の 異 な る ITO
ス ズ)薄膜 で構 成 すれ ば透視性 の あ る電磁 波 吸
(イ ンジ ウム‐
そ こで 本研 究 で は, 物 流現場 で利 用 しや す い 実体 的 な不要
電 波 の 反 射 除 去 ・遮 断技 術 を確 立 す る こ とで電 波伝 播環境 白
た だ し,そ の厚 み は 目標 吸収 周波 数 に
収板 は構 成 可能 で あ る。
“ "の
要 と し,950MHzで
約 1/4の 厚 み を芝、
対応 した波 長 九
体 を改 善 ・整備 す るた め に開発 され た薄 型 電波 吸収 体 につ い
は約 80mm程
て報 告 す る
本 報告 で は平板 構 造 で あ る え/4型 電磁 波 吸 収 体 の メ リッ
トに若 日,さ らに内部 にプ ラ ズマ デ ィス プ レイ等 に用 い られ
1. は じめ に
て い る高 透 明性 電磁 波 遮 蔽 金 属 メ ッ シ ュ を挿 入 す る簡 単 な
I D ( 無 線認 証)
( 3 0 0 M H z 以 上 ) を用 い た R F ‐
技術 は , イ ラク戦争 にお け る兵靖 活 動 へ の 適 用や , 米 国大手
量 販 店 での盗難 防 止 ・在 康 管理 へ の効 率 化成 功 を受 けて非 常
構造 で透視 性 と大幅 な薄型化 の 両 立 を図 つた ,UHF‐ ID対 応
薄 型 電 磁 波 吸 収 板 を提 案 す る と共 に そ の 有 用性 に つ い て 検
討 した結 果 につ いて述 べ る
に注 日され るに至 つて い る. 従 来, 物 品情 報 を管理 す る方法
と して用 い られ て きた バ ー コー ドに対 し, R F ‐l D シ ス テ ム に
2.薄
対応 した タ グを用 い れ ば , 情 報読 み込 み は勿論 , そ の場 で情
2-1基 本権 造
近年 , U H F 帯
報 添加 や 変 更 まで可能 なた め , 工 場や店 舗 , 医 療機 関 な どで
の 物 品 管 理 の 効 率 化 や 精 度 向 にが 可能 とな る. 特に パ ッシブ
型 で U H F 帯 の 電磁 波 ( 日本 にお いて は 9 5 2 M H z ∼ 9 5 4 M H z が
使 用 可能 ) を 利 用す る U H F - l D は , 電 波飛 距離 が 1 0 m を 越 え
る もの もあ り物 流管理 の 大幅 な効率 化 , 高 速化 が 期待 され る
技術 で あ る。 しか し, R F ‐I D タ グが使 用 され る工場 や 倉庫 内
で は イト器 等 に よ る 散 乱 電 磁 波 が 想 定 して い な い 場 所 の
度 とな る
型 電 磁 波 吸 収 壁 の構 成 法
え/4型 電磁 波 吸収 体 の原 理 に よれ ば,吸 収 体 の厚 み を無理
に え/4未 満 とす る と,吸 収 素材 背 面 か ら反射 板 を見込む伝 送
路 イ ン ピー ダ ンス は開放 か ら短絡 に近 い 状 態 に変 移 し,不 十
分 な誘 導 性 リア ク タ ンス を示 す し た が つて 薄 型 化 す るに
は,何 らか の構 造 体 を反射 板 に装荷 し,吸 収 素材背 面 か ら反
射板 を見込 む伝 送 路 イ ン ピー ダ ンス に誘 導性 リア ク タ ンス
U H F ‐I D タ グの 情報 を読 み込 み , 或 いは誤 って 書 き換 えて し
成分 を補 先 し,開 放 状 態 に近 づ け る必 要 が あ る。 しか し,磁
性 体 の 焼結 材や ゴム フェ ライ ト等 を使 用す る場 合 ,こ れ らの
ま う懸念 が あ る. また , 携帯電話機 に近 い 周 波数 の 電磁 波 を利
材 料 は軽 量化 や透 明化 の 阻害 要因 とな る。そ こで ,本 報 告 で
用す るた め , 医 療機 関 で は利 用範 囲 に制約 を受 けて しま う_
この よ うな問題 に対 し E M C の 立 場 か らの対策 法 と して は不
要 電磁 波 を吸収 ・遮 断 して , 空 間 の 電磁環 境 を改幸す る方法
は図 1に 示す よ うに,反 射板 の 近傍 に金 属板 を挿 入 し,反 射
7].金 属素 子
板 上 にパ ッチ素子配 pllを構 築 す る こ とを試み た に
が あ り, 電 磁 波 吸収 材料 に 関す る研 究 が盛 ん に行 われ てい る
で に報 告 され てい る[81,し か し,パ ツチ素 子は極 めて構 造 が
[1][2].
た だ し物 流 や 生産 の 現場 は狭 小 で あ る と共 に, 刻 々 と レイ
単純 で周 波数設 計 しやす い 点 で優 れ て い る ま た ,周 知 の よ
うに励 振 周 波 数 に よ つ て強 い誘 導性 あ る い は容 量性 リア ク
ア ウ ト変 更 が必 要 とな るた め , 現 場 で使 用 され る U H F ‐I D 用
タ ンス成 分 を発現す る素子 と して期待 で き る。また ,挿 入金
を挿 入す る こ とで誘 導性 リア クタ ンス を補 完す る 手法 は ,す
属 板 を下 方 形 ま た は P ] 形 とす れ ば偏 波 面 の 傾 斜 した散 乱電
磁 波 や 円偏 波 に対 して も電 磁 波 吸 収 特 性 を発 揮 す る こ とが
期待 で き る。 さ らに, 抵 抗皮 膜 を l T O 薄 膜 , そ の他 は安 定 で
廉 価 な プ ラ ズ マ デ ィ ス プ レイ 等 に用 い られ て い る高透 明性
電 磁 波 速 蔽 金 属 メ ッ シ ュ で構 成 す る こ とに よ り薄 型 化 の 効
r 能 とな る
果 を維 持 した ま ま透 明化 も 「
大 きな誘 導性 リア クタ ンス を示す 。そ こで , 吸 収材 の 等価 イ
ン ピー ダ ンス Z ぉを 自由空 間イ ン ピー ダ ンス Z O ( ‐1 2 0 π) に等
しくな る よ う設 定す れ ば吸 収 材 と反 射 板 で構 成 され た電 磁
波 吸 収 体 全 体 は 自由空 間 と整 合 し入 射 電 磁 波 を効 率 的 に吸
収 す る こ とにな る. 人 射 波 の 周波数 が U H F ‐I D の 中心周 波数
9 5 3 M H z の 場合 , d は 約 7 8 m m 必 要 にな る.
反射板
王国
パッチ素子
串
名n 十
実際の構造
等価回路
(a)パ ッチ素子非装荷モデル
射電磁波
鞭
t
(a)全景 図
実際の構造
等価回路
ッチ素子装荷モデル
(b)パ
図 2.ノ ミッチ素子 の 等価 回路
一方
,伊 20mmに 設 定 した状態 で 953MHzの 電磁 波 が入射
41Z。程 度 とな り電磁 波 吸収 体全 体 は 自由空
した場 合 ,Z市可0・
間 と整 合 しな くな り,入 射 電磁 波 は 十分 に吸収 され な い し
か し,反 射板 前 面 に ,図 2(b)に示す よ うな パ ッチ素子 を配 置
し,そ の 等価 イ ン ピー ダ ンス Z卸 が適 度 な誘 導性 リア ク タン
ス を発 現すれ ば,953MHzの
( b ) 側面図
図 1 . 薄 型電波吸収壁 の基本構造
入射波 に対 して も Zhは 大 きな
誘 導性 リア クタ ンス を示す こ とにな り,吸 収材 とパ ッチ素子
か らな る構 造 全体 は 自由空間 と整 合 可能 とな る.
2‐
3挿 入金属 板 の設計
図 2(b)に示す よ うに,反 射板 前 面 に パ ッチ素 子 を設 置 した
2‐
2 挿 入金属板 の効果
場合 ,周 波数 953hlHzの 平 面波 入射 に対 す る Z円の推 移 を時
図 2 の に示す よ うに, 反 射板 か ら距離 d の 位置 に吸収材 を
配置す る場合 , 吸 収材背面か ら反射板 を見込むイ ンピー ダ ン
ス Z 市は途 中に損失 が無い とす る と( 1 ) 式
で表 され る。ただ し,
FDTD法
入射波 の波長 を えとす る.
第
0
こ こに ,
Z O : 伝 送 路 特性 イ ン ピー ダ ンス( = 1 2 0 π)
Z L : 伝 送 路終 端イ ン ピー ダ ンス
ー
反 射板 が 完 全 導体 で あれ ば終端 イ ン ピ ダ ンス は Z L = 0 と な
るた め , d が 入射 波 の え/ 4 よ り僅 か に短 い場 合 , Z h は 非 常 に
間 領 域 に お け る逐 次 差 分 に よ る電 磁 界 数 値 解 析 法 で あ る
[9]によ り解 析 した結 果 を図 3に 示す 図 3で は反
と
射 板 前面 パ ッチ素 子 の 間隔 tを 10mmに 設 定 して あ る_ま
た ,Peは 正方形 パ ッチ素子 の 1辺 の 長 さで あ る。この 図 にお
い て Pc=0は パ ッチ素 子が存在 しない こ とを意 味 し,こ の と
ー
き Z斡は終端 が短 絡 され た長 さ 10mmの 線 路 の イ ン ピ ダ ン
ー
ス と等価 とな る.な お ,図 3の イ ン ピ ダ ンス は全 て 自由空
間イ ン ピー ダ ンス ZO(=120π)で正 規 化 され てい る。 この 図 か
ら,Z∞ は抵 抗 分 が リア クタ ンス分 に比 べ て小 さくほ ぼ純 リ
ア ク タ ン ス素 子 と して 機 能 す る こ とが 明 らか で ,Pc=90mm
付近 で は周 波数 953NIHzの 入射 波 に対 し Z四が高 い誘 導性 リ
ア クタ ンス を発現 す る こ とが確 認 で き る な お ,Z的 の周 波
数 に対 す る推 移 は パ ッチ素 子 の 配 ダJ間隔 に よつ て 影 響 を受
5
0
け る.
4
0
3
0
0.2「
0
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2
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Nヽ N︶oま
0 . 1 5
0,05
│
│
│
│
0
100
20
40
60
80
Pe[mm]
Pcrmm]
o 正 規化抵抗 R c ( 4 q / Z O }
'
ッチ素子 サ イ ズ Pc'を パ ラメー タ とす る イZれ/Z。
図 4.パ
の 変動(■10mm)
一
一
︱ ︱
︱
︱
︱十
1 0
+
一
8
P.[mm]
規化リアクタンス lm(47Ztl)
(b)正
3000
2500
2tX10
1500
1000
5KXl
20
続 く図 4 に は, パ ッチ 素子 が 装荷 され た位 置 か ら 1 0 m m 離
れ た 吸 収 材 板 背 面位 置 か らパ ッチ側 を見 込 む イ ン ピー ダ ン
ス ZinZ。
の P c に 対す る推 移 を示す 本 来 9 5 3 N I H z の入射 波 に
40
60
一
一
の 変動 ( + 1 硫 l m )
‐10Tnm
―た一庁1 5 1 1 B m
__ _│二
二
図3 パ
`Z制 '
て
/Z。
ッチ素 子サ イ ズ P c ' を パ ラメー タ とす る
―――
―一―
一―
―
―
――
―
│ Ⅲ
80
100
Pc[nlFnl
図 5,パ
ッチ 素 子 の 寸 法 と共 振 周 波 数 の 関係
しか し, パ
対 し d = 2 伽 m で は Z ホ/ Z 。
封0 . 4 1 程度 の はず で あ る。
20mm程
5
0
程
とな
り,
度
悼
ッチ素子 の 挿入 に よ つて Z t t Z 。
封
度 で も9 5 3 N I H z の入射 波 に対 して え/ 4 型電磁 波 吸収 体 に近似
した状 態 が実 現 され てい る つ ま りえ/ 4 型電磁 波 吸収 体 の 薄
孔=瑞
わ
m珂
0
型イ
ヒが 可能 で あ る と考 え られ る.
Z 斡が大 きな ジア ク タ ンス を発 現す る共振 周波数 の P c や t
に対す る依 存性 を図 5 に 示す _ 共 振 周波数 は P c に 逆比例 す
る形 で推 移 してお り, こ の 点 で パ ッチ ア ンテナ と同様 の傾 向
ここに ,
f:所 望 吸収 周波数 [MHz〕, k:補 正係 数 (=920m)
t:パ ッチ厚 み [mm]
を示 して い る し か し, パ ッチ素子 と反 射板 の 問 に 自由空間
を想 定 して い るに もかか わ らず , P c は 共振 周波数 に対応 す る
波長 の 1 / 2 より5 ∼7 % ほ ど小 さい値 を示 す傾 向が あ る。また ,
t が 大 き くな るほ ど共振周 波 数 は低 域 に シフ トす る傾 向 を示
してい る. た だ し, t の 増加 は電磁 波 吸収壁 全 体 の厚 み を増
大 させ る こ とか ら, パ ッチ素子 の主 要 な制御 パ ラメ ー タは P c
で あ る とい え る
図 5 の 結果 を基 に パ ッチ素子 の設 計式 をま とめ る と概 ね次
の( 2 ) 式の よ うにな る.
図 6に は , Pc 90mmの
パ ッチ素子 を反 射板 へ 装荷 した場
入 射 波 に 対 す る反 射 板 近 傍 の 電 界 分 布 を
FDTD法 で解 析 した結 果 を示 す 図 6oで は 6(b)に比 べ て ,
挿 入 パ ッチ の 端 部 に赤 色 で示 され る よ うな電 界集 中領 域 が
合 ,953WMzの
反射 板 近傍 に生 じて い る.こ の 電 界分布 か ら,吸 収板 を え/4
よ り反 射 板 に近 づ け て も十 分 な吸 収 特 性 が得 られ る こ とが
tJ電磁 波吸収 体 の薄 型化 が可能 と考 え られ る.
判 明 し, えた ■
1 0 に 示 す パ ッチ素子及 び反射板 の構 成 には雨抵抗 0 . 2 9 /
□の微 細 アル ミニ ウム メ ッシ ュ を用 いてい る。可視 光領 域 の
透過 率 は約 8 0 % , E M I シ ー ル ド性 能 は 1 ∼1 0 0 0 M H z で 5 0 d B
が 確 保 可能 で 金 属 箔 を出 い た場 合 と遜 色 な い 導 電性 を有 し
てい る
(a)パッチ素子が挿入されている場合のZ方 向電界分布
1■
gh
反射板
自由空間
抵抗膜
〒
i 靭鋼■■L o w
( b ) パッチ素子 が挿入されていない場合のZ 方 向電界分布
o F D T D 法 による数値解析モデル ( 1 周期分 )
透明性電磁波遮蔽メッシュ
図 6.パ
3.電
ッチ素子 の 有無 に よる E z 分 布 の 変容 ( 岸9 5 3 M H z )
アクリ,レ
ボルト
アクリル板
磁 波 吸収壁 の特性 評 価
3‐
1パ ッチ素 子 装荷 に よ る吸収 特 性
rTO薄 膜
図 7ω には,電 磁 波 吸収板 を配置 した場合 の FDTD解 析 モ
デ ル を,図 7(b)には実 際 に試 作 した吸収板 の パ ッチ 1同 期 分
の 形状 を示す 。実験 で使 用す る吸収板 には透 明性 の 高 い 面抵
抗 370Ω/□ の抵 抗 皮膜 が 貼 り付 け られ て い る。従来 は この
透 明抵抗 薄膜 に,展 望 カ メ ラの結 露防 lL用と して使 用 され て
い た ITO蒲 膜 (酸化 イ ン ジュー ムす ず薄膜 )が 使用 され てい
た。 しか し,イ ン ジュー ム は近年 大 きな話題 とな ってい る希
土類 に属す るた め ,電 磁 環境 改 善 の た めに大量 に使 用 す る こ
とは得 策 で な い そ こで ,本 研 究 で は図 8に 示す よ うな微 細
な アル ミニ ウム メ ッシ ュ を PETフ ィル ム 上 に メ ッキ処理 の
捕 =2 mmm
( b ) 試作 した透 明薄 型 電磁 波 吸 収 板 ( 1 周期 分 )
図 7 . 試 作電磁 波吸収壁 の構 造
形 で構 成 した抵 抗 薄膜 を使 用 した.こ の 薄膜 は微 細 なアル ミ
ニ ウム メ ッシュ を透 明 PETフ ィル ム 上に構 成 してい る の で ,
高 い透 明性 を有 し,か つ メ ッキ処弾 層 の厚 み に よつて 面抵抗
を制御 可能 で あ る。反射板 や パ ッチ素子 には メ ッキ層 を厚 く
し,両 抵 抗 0.2Ω/□ と したア ル ミニ ウム メ ッシュが 使用 さ
れ て い る さ らに これ らを厚 さ 2mmの 透 明 ア ク ソル で支持
し,同 じくア ク リル 樹脂 のボル トで間隔 を保 っ て い る
図 9(al,(b)に は実験 用電磁 波 吸収壁 の試 作 を念頭 にお い
て,反 射 板 へ の 誘導性 リア クタ ンス装 荷 にお け るパ ラメー タ
とな る Peと tを 変 化 させ た場 合 の 吸収 特性 の解 析 結 果 を示
る い は tに よつて吸収周 波数
す .予 測 され た とお り, Pcあ
は変 化 す る、ただ し,先 に述 べ た よ うに電磁 波 吸収板 の総厚
み を一 定 と した ま ま吸収周 波 数 が制 御 で きる点 で Pcが 特 に
図 8 . P E T フ ィル ム上 に メ ッキ に よ り構成 され た微 細 アル ミ
ニ ウム メ ッ シュ
有用 な設 計 パ ラメー タ と言 え る
定 は電波 無
図 1 1 は , 電 磁波 吸収 量 の測 定構 成 で あ る, 損 」
ガイ ド
響 室 内部 で行 つてい る. 具 体的 には, ダ ブル リジ ッ ト‐
2電 磁 波 吸 収 特性 の実 調
3‐
ホ ー ンア ンテナ 2 基 とネ ッ トワー クアナ ライザ に よ る時 間領
図 9の 結 果 を受 けて,一 例 と して d,tを 図 7(b)に 示す値
に設 定 し,さ らに Pcづ Omm,パ
ッチ素子 間隙 航 を 10 mmと
して試 作 した 電 磁 波 吸 収 板 (900mm X 1800mm× 20mm)を 図
域 での反 射電 力法 [ 1 1 を用 いて い る, 電 磁 波 吸収 量 は被 測 定対
金 属板 か らの 反 射 レベ ル を
象 と同寸 法 ( 9 0 0 m m X 1 8 0 0 m m ) の
基 準値 と して評 価 して い る.
Nenvork analyzer
0一0商0く
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―
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――
―
――
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――
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Frcqtlcncy[GHzl
・
(alパッチ素 子 サ イズ Pc'に対 する吸収特性 推移 G卒 10 mm.).
魯 oのつく
︼
御登 ●o一
市
図 1 1 電 磁 波 吸収 評価 の構 成
試 作 した電磁 波 吸 収 板 の 正 面 入 射 時 にお け る吸 収 量評 価
結 果 は図 1 2 に 示 す とお りで あ る。数値 解析 結 果 も比較 の た
め示 して あ る 試 作吸収板 の 製 作精度 に よる問題 で吸収 特性
‐m・車中
800
900
1000
1100
Frcqucncy[GHzl
(b)パッチ 素 子 厚 み
図 9.`Pc'あ
`t'に
対 す る吸 収 特 性 推 移 (Pc=90 mm),
るい は
に実験 と解 析 で多少格 差 が認 め られ る. し か し, 吸 収特性 が
工
〔
,コ
・
■‐oこ
こ_‐
tl I_r旺
`
t'に 対 す る電 磁 波 吸 収 特 性 変 動
1200
良好 とな る周 波 数 及 び吸 収 量 の 絶 対 値 にお い て 実験 値 と解
一 致 を得 た 。なお
, 室 内通信 品質 の 改善 は
析 値 は概 ね 良好 な
壁 面 の 吸収 量 が 5 d B 以上 で , ‐
分 効果 が あ り, 1 0 d B 以 上 で 効
あ る こ とか ら本 高透 明性 電
果 は飽 和す る とい つた 報 告 [ 1 0 ] が
U
H
F
‐
I
D
に
お
磁 波 吸収 板 は
け る電磁 環 境整備 の ツー ル と して
有用 で あ る と同時 に , 医 療 現場 等 で の携 帯通信 端 末 に対す る
安 全対 策 と して も有効 で あ る と考 え られ る。
│
0
0
3 2 1
0
3oの
0く
的ユ Eやや
[
0
│
L
十
_=_____‐
1
1
1
_____ と
_____1
itXXl
Frcqucncy取 比 ]
図 1 2 . 試 作透 明薄型 電磁 波吸収板 の 吸収 量測 定結 果
4 。 ま とめ
本 報告 で は近年 注 目を集 めて い る, U H F 帯 ( 9 5 2 ∼9 5 4 M I I z )
を用 い た パ ッシブ型 R F ‐l D ( 無 線 認 証) 技 術 にお い て, 通 信
図 10.試 作透 明薄理 電磁 波 吸収 板
可能 距 離 が長 い が 故 に 生 じる誤 認 証 等 の 電 磁 環 境 問題 を考
慮 し, 不 要電磁 波 を吸収 ・遮 断 して, 空 間 の電磁 環境 を改善
一
す る技 術 を電磁 環境 考慮 型 RF‐IDシ ステ ムの 部 と考 え,こ
の た め に開発 され た透 明薄 型 電 渡 吸 収 板 に つ い て特 に報 告
した 。具体 的 には ,物 流や 生産 等 の狭 小 な現場環境 に適合 で
きる よ う,え /4型 電磁 波 吸収 壁 を さ らに薄 型化 す るた め ,反
射 板 上 に金 属 パ ッチ を装 荷 す る こ とで パ ッチ ア レー を構 成
し反 射 板 に誘 導性 リア クタ ンス を付 与す るこ とを試 み た ,こ
れ に よ り,パ ンチ素 子が 共振 状 態 とな る少 し手 前 の 周 波数 で
は抵 抗 膜 を え/4よ り反 射 板 に近接 させ て も十 分 な吸 収 特性
が発 現 し,え /4 4tl電
F能で あ る こ とを
磁 波 吸収板 の 薄型 化 が 高
示 した 。また,実 際 に電波 吸収 板 を構 成 す る際 に抵 抗膜 には,
従 来透 明抵 抗 膜 と して よ く使 われ て きた ITO薄 膜 に代 えて ,
資 源 の 安 定 確 保 の 観 点 か ら微 細 ア ル ミニ ウ ム メ ッ シ ュ を
PETフ
ィル ム Lに メ ッキ処 理 の 形 で 構 成 した抵 抗 薄膜 を使
用 した。 この 技術 で は ,メ ッキ層 の厚 み に よ り面抵抗 370Ω
2/□ の 導 電膜 ま
/□ の抵 抗皮 膜 相 当 の 薄膜 か ら面抵 抗 0.2ζ
で を構成 可能 で あ る こ れ に よ り,希 上類 を用 い ず フ ォ トエ
ッチ ン グ技術 だ けで抵 抗 皮 膜層 ,パ ッチ素子配 列層 お よび 反
射板 を全 て PET上 に構 成 され た微 細 アル ミユ ウム メ ッシュ
で実現 す る こ とに成 功 し透 視 性 と薄型化 の 両立 を図 つた ま
た ,本 報 告 で示 した手法 は ,反 射板 にに配 列 され る金 属 パ ッ
チ の 寸法 を変 え る こ とで,吸 収 壁 白体 の総厚 み を増 大 させ る
こ とな く吸 収 可能 周 波 数 帯 を変 更 可能 で あ る こ とを確 認 し
た。 この 手 法 は金 属 パ ッチ の ヽ
1法 ・形状 を変 更す るだ けで,
電 磁 波 吸 収 材 料 の 再調 整 な ど無 しに吸 収 周 波 数 調 整 が 可能
で あ る こ とを意 味 し,今 後様 々 な分野 に透 明薄型電磁 波 吸収
板 を適 応 可能 とす る もの で あ るャ
参考文献
工 業新 聞社 ,2001.
[1]橋本修 ,“電 波 吸収 体 の はな し,"日 干」
[2]橋本 修 , 角 和 俊 ,横 川 英 広 ,伊 藤 晶 彦 ,“ え/4型 電 波 吸
収 体 の 薄 型 化 に関す る基礎 検 討 ,"信 学 技 報 ,EMCJ,Mり
2001.
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