「高齢者が元気に取り組める防災体操づくり」

地域貢献型学生プロジェクト推進事業
「高齢者が元気に取り組める防災体操づくり」
学生団体名:よりそいの花プロジェクト・北陸学院大学
深谷和夏・森山里・中島佳惠・乙川友理・高陽希、他3名
1. 概 要
本プロジェクトは防災教育に取り組む能都町小木中学校2年生と東日本大震災被災
地支援活動等に積極的に取り組む北陸学院大学よりそいの花プロジェクトメンバーが
交 流 ・ 連 携 し 、「 災 害 に よ る 犠 牲 者 を 一 人 も 出 さ な い 」 と い う ス ロ ー ガ ン の も と 、 地 域
防災意識の涵養を目的とした津波防災体操の開発を主たる目的とするものである。
2. 具 体 的 内 容
2.1 活 動 の 骨 子
本プロジェクトの最終ゴールはオリジナルの津波防災体操を開発することにある。中
学生と大学生との合同によるプログラム開発はチャレンジグな試みであり、当初は両者
の緊張をほぐし、親密な関係を作ることに十分な時間をかけた。キャンパスが金沢にあ
る 北 陸 学 院 大 学 と 能 登 町 に あ る 小 木 中 学 校 と の 距 離 は 片 道 約 110 キ ロ 。移 動 時 間 だ け で
片道2時間半を要するため、日程を調整は決して容易でなかったが、本番となる防災訓
練までに3度の合同活動(内1回は1泊2日の合宿)の機会を持つことができた。
プログラム開発は中学生が作った防災体操を土台として位置付け、これにアレンジを
加えていく方法で進めた。特に歌詞については中学生考案のオリジナル歌詞を全面的に
採用した。交流の際、歌詞の中で特に強調すべき点についてじっくりと話し合うことに
した。中学生が歌詞を考えたきっかけの一つに東日本大震災がある。甚大な津波被害を
もたらした東日本大震災は小木中学校の生徒にとっても他人事ではなかった。石川県発
表 の 津 波 浸 水 想 定 に よ れ ば 、 能 登 町 小 木 で は 最 大 津 波 高 6.5 メ ー ト ル 、 第 一 波 到 達 時 間
14 分 と あ る 。 同 地 区 で は 海 岸 に 近 い エ リ ア に 多 く の 高 齢 住 民 が 居 住 し て い る こ と か ら 、
万が一災害が発生したとき、適切に避難行動できるのかという不安を中学生自身が抱い
ている。そのため歌詞には「一人も犠牲者を出したくない」という強いメッセージが込
められている。歌詞の中でも特に強く伝えたい部分を議論し、それらを踊りで強調する
アレンジを考案する際、中心的な役割を担ったのがダンス部に所属する大学生である。
こうして踊りのアレンジ、フォーメーションを調整しオリジナル津波防災体操は完成し
た。また一連の防災体操は健康体操として普及することも狙いにしている。避難行動を
するためには体力を維持し健康であることが重要となるからだ。そのため体操には高齢
者が気軽に取り組めるような工夫や健康維持のための配慮が全体を通して組み込まれて
い る 。将 来 的 に は 能 登 町 の 誰 も が こ の 踊 り を 踊 る こ と が で き 、そ れ が 地 域 防 災 力 の 向 上 、
減災コミュニティづくりの一助になってもらいたいというのが、中学生および大学生の
切なる思いである。
2.2 活 動 日 時
本プロジェクトでは以下の通り、計4回の活動を実施した。
第 1 回 : 8 月 31 日 1200~ 1330
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第 2 回 : 9 月 16 日 1230~ 17 日 1300
第 3 回 : 11 月 1 日 ( 土 ) 1400~ 1700
第 4 回 : 11 月 24 日 ( 月 ・ 祝 )
9: 00~ 13: 00
2.3 学 生 及 び 住 民 の 参 加 者 数
第 1 回 : 参 加 者 29 名 ( 中 学 生 23 名 、 大 学 生 3 名 、 教 員 3 名 )
第 2 回 : 参 加 者 30 名 ( 中 学 生 23 名 、 大 学 生 6 名 、 教 員 3 名 )
第 3 回 : 参 加 者 32 名 ( 中 学 生 23 名 、 大 学 生 7 名 、 教 員 2 名 )
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第4回:小木地区防災訓練会場での完成版津波防災体操の披露
中 学 生 23 名 、 大 学 生 7 名 、 小 学 生 及 び 地 域 住 民 約 400 名
2.4 地 域 か ら の 支 援
本プロジェクトの推進に当たっては能登町立小木中学校をはじめ、能登町社会福祉協
議会からのサポートを得ることができた。
3. 成 果
ここではプロジェクト成果について3つの点から述べたい。
① オリジナル津波防災体操の完成・披露
11 月 24 日 の 地 域 防 災 訓 練 の 会 場 と な っ た 小 学 校 体 育 館 に お い て 住 民 を 前 に 津 波 防
災 体 操 を 披 露 す る こ と が で き た 。 当 日 は 約 400 人 の 地 域 住 民 が 参 加 し て お り 、 あ ら た
め て 地 域 の 防 災 意 識 の 高 さ を 知 る こ と に な っ た が 、 集 ま っ た 約 400 人 の 住 民 が 津 波 防
災体操を一緒に踊ってくれたことは中学生および大学生にとっては忘れられない時間
となった。
② DVD の 製 作 と 配 布
防 災 訓 練 当 日 の 体 操 の 様 子 を 録 画 ・ 編 集 し 、 DVD を 制 作 し た 。 DVD 制 作 は 能 登 町
社 会 福 祉 協 議 会 か ら の サ ポ ー ト に よ り 可 能 と な っ た 。 DVD に つ い て は 能 登 町 内 福
祉 施 設 等 に 配 布 し 、健 康 体 操 と し て 取 り 組 ん で も ら う と と も に 、町 内 各 所 に 配 布 し
活用してもらう。
③ メディアによる注目
メ デ ィ ア に よ る ま た 一 連 の 活 動 に つ い て は 途 中 経 過 、防 災 訓 練 時 の 様 子 を 含 め 北 國 新
聞、北陸中日新聞、北陸放送など各種メディアに取り上げていただいた。
4. 来 年 度 の 地 域 活 動 計 画
能 登 町 で の 取 り 組 み で あ っ た こ と か ら 、限 ら れ た 予 算 の ほ と ん ど が 往 復 の 移 動 に 係 る
経 費 に 充 当 し た こ と か ら 、こ れ 以 外 の 部 分 の 資 料 作 成 等 で 必 要 な 経 費 の 捻 出 に 苦 労 し た 。
奥能登など移動にコストと時間がかかる地域のニーズや課題解決に取り組む活動を積
極 的 に 発 掘 、発 展 さ せ て い こ う と す る 場 合 、経 費 負 担 の あ り 方 な ど 乗 り 越 え な け れ ば な
らない課題はある。
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次 年 度 に つ い て は 改 め て 費 等 を 製 作 し た DVD を 手 掛 か り に 、津 波 防 災 体 操 の 地 域 内
で の 普 及 に 取 り 組 む と と も に 、体 操 を き っ か け と し た 地 域 防 災 の 向 上 に 努 め る こ と が で
きればと考えている。
5. 学 生 の 感 想
以下に参加した大学生のコメントの一部を紹介する。
■深谷和夏(幼児児童教育学科4年)
小 木 地 区 で の 防 災 訓 練 で は 、地 域 の 方 全 員 が 一 緒 に 体 操 を し て く れ た こ と が と て も 嬉
し く 、こ れ が 日 常 の 体 操 と し て 浸 透・普 及 し て 欲 し い と 思 い ま し た 。防 災 体 操 は 中 学 生
が 考 え て く れ た 歌 と 踊 り に 大 学 生 が ア レ ン ジ を 加 え ま し た 。中 学 生 か ら 私 た ち も 知 ら な
い 知 識 を 教 え て も ら い 、日 頃 か ら 防 災 へ の 関 心 が 高 い こ と を 実 感 し ま し た 。防 災 体 操 の
取 り 組 み の 中 で 自 分 の 意 見 を 話 し た り 、聞 い た り す る こ と は と て も い い 刺 激 に な っ た と
思 い ま す 。次 の ス テ ッ プ は こ の 体 操 を さ ら に 広 め て 行 く こ と だ と 思 い ま す 。地 域 の 高 齢
者 施 設 や 保 育 施 設 で 行 い 、多 く の 人 に 防 災 の 知 識 と 身 体 の ほ ぐ れ を 感 じ ら れ る 防 災 体 操
を知ってもらいたいと思います。
■乙川由理(幼児児童教育学科3年)
中学生が防災に対する意識や知識が豊富なことに驚き、自分の住んでいる地域での防
災について考えているところがすばらしいと感じた。防災体操の歌詞には、一文一文に
知識や気持ちが込められている。それが活かされるように、また、体操が幅広い年代に
伝わって欲しいという思いで体操を作った。防災訓練時に中学生と披露した時はとても
達成感があった。子どもからお年寄りのかたまで、地域の皆さんが体操する姿を見て、
感動した。
■中島佳恵(幼児児童教育学科2年)
小木中学校との交流の時間を大切にしたことで、互いの関係が深まり、動きもより良
い も の に な っ た の で は な い か と 思 い ま す 。防 災 体 操 の 歌 に は 、
「津波で一人も犠牲者を出
したくない」というメッセージが込められています。そんなすばらしい防災体操を小木
の地域だけでなく、他の地域の方々にも知ってもらいたい。いつ地震が起こるか、予測
がつきません。そんな時にこの防災体操の歌を思い出し、多くの方々に役立ててもらえ
たら嬉しいです。
6. 地 域 か ら の 評 価
中学生が大学生とともに取り組みオリジナル防災教育プログラムを開発したことについ
ては、防災訓練に参加した地元住民を中心に高い評価を得ている。特に能登町社会福祉協
議 会 か ら は 、DVD を 活 用 し 健 康 体 操 を 兼 ね た 防 災 の 学 び の 機 会 が 作 れ る の で は な い か と い
った積極的なコメントをいただいている。
学校関係者からも高い評価を得ている。地元中学生が大学生と交流する機会はほとんど
ない。プログラム作りの過程では休憩中に大学生と和気あいあいと会話する光景がたびた
び見受けられた。大学生との交流は、中学生の学習意欲等によい刺激になっているとの声
を頂いた。
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