『自傷行動の理解と治療 自閉症、知的障害児(者)のために 』 U・H・ローマン/H・ハルトマン 著 三原博光 訳 「 (この本の)目的は、自傷行為の新しい治療法方を追求することにある」と、序章で筆 者が述べているとおり、この本には自傷行動の治療についてよく書かれてある。ちなみに、 ここで取り上げられているのは、ドイツでの事例である。 内容をさらっと紹介する。大きく分けて10の章で構成されており、まず1章では自傷 行動についての定義について書いてあり、自傷行為とはどのような行動を指すのか。また、 自傷行為のレベルについて取り上げている。2章では、自傷行為とその元になる障害につ いての因果関係やタイプの違いについて述べられている。3章では、自傷行動の治療理論 の概略について書いてある。4章では、どのようなときに、自傷行動が出現するのか、そ の調べ方や事例が取り上げられている。5章では、行動観察について記録の書き方が説明 されており、事例も載せられている。6章になり、一時的に、治療法ではなく、治療にお ける論理的問題(6章ではないが。罰としての電気ショックしついてなど)について取り 上げている。これについては、6章以外の章でも、しばしば書かれている。7章になり、 14の治療ポイントがまとめられている。そこには、治療の目標や期間から環境・防護焦 眉・指示の与え方などが含まれている。8章では、具体的な治療法方法として、音楽体験 療法や身体療法など8の療法が紹介されている。9章になると、ぺトラ(20歳女性)の 事例が載せられており、その治療と結果が載せられている。10章では、施設スタッフか ら出された疑問点が「質問」 「回答」の形式で書かれている。 冒頭でも書いたが、ここで取り上げられているのは。ドイツでの実際の事例である。自 傷行動について、心を病んでいるときに起こすリストカットなどが取り上げられる時があ るが、ここでは、自閉症や知的障害児(者)が頭を殴ったり、目を突いたりする行動の治 療方法が載せられている。 図や表、囲み枠が使われており、理解しやすいのでお勧めな一冊。 (久保井)
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