上申書

平成27年3月4日
神戸地検特別刑事部
検察官殿
上申書
1、
私は、平成27年3月3日に、神戸地検特別刑事部に出向き、平成26年8月
20日に私が告訴状を提出した件について、カワニシ検察官から事情や理由を
聞かれました。その上で、調書が作成され、作成された調書の内容に間違いが
ないので、署名いたしまして、帰路につきました。
調書作成を含め、約2時間にわたる面談の中で、同席させていただいた息子が、
帰宅途中、こんなことを言いました。
「検察官は、平成10年8月31日付けの渡邊タツエの供述調書の署名が、韜
晦文字の可能性があることを知ってるの?」
私は息子の言葉で、ハッとし、韜晦文字について、私が熟知しているだけで、
もしかして、検察官は、ご存知ないのではないかと思いはじめました。念のた
めに、国家賠償訴訟の過程で調べた渡邊タツエ文字に関する鑑定書をお送りい
たします。因みに、韜晦文字については、平成16年4月13日に、関西テレ
ビと毎日放送が、夕方のニュース番組で報じました。2局が、ほぼ、同時刻に
報じたため、私は、関西テレビのニュースを視聴し、毎日放送のニュースを録
画しました。現在までに、その録画を DVD にして、保存していましたので、参
考のためにご覧ください。
2、
3月3日には、2度目の不起訴処分の理由について、詳しく教えていただきま
した。2度目の不起訴処分当時は、国家賠償訴訟は提起しておらず、竹内司検
事が、平成10年8月31日付けの渡邊タツエが署名したとされる偽造の供述
1
調書をご覧になって、娘の離婚が自殺の原因と推察されたことは理解できまし
た。国家賠償訴訟は、2度目の不起訴処分から4カ月後の平成14年7月8日
に提起しました。第1回口頭弁論は、翌月から始まり、文書提出命令で、捜査
資料の開示を求めました。その過程で、被告側が、渡邊タツエが事件当日に、
父が娘の離婚問題で悩んでいたことを証明する偽造の供述調書を出してきたの
です。
3、
国家賠償訴訟では、渡邊タツエ文字が韜晦文字の可能性という裁判所の認定が
もとで、文書提出命令で却下された、事件直後の捜査資料が開示される流れに
なりました。
開示された捜査資料は数々あるのですが、その中に、平成10年10月19日
付け「捜査復命書」という資料がありました。平成16年1月16日付け「証
拠説明書」に説明されている通り、父の職場での身辺整理状況について、生田
警察の小野盛人巡査部長が捜査し、身辺整理されていたので、覚悟の自殺とい
う認識で、殺人事件として継続捜査を実施しなかったことが違法ではないこと
を証明しているのです。
この捜査復命書の作成経緯は、推察ですが、私の手記「父、渡辺省三 阪神ス
カウトは自殺ではありません!」が、平成10年10月15日発売の「週刊文
春」に掲載されたからだと思います。生田警察は、この掲載を受けてのマスコ
ミ対応として、自殺としての確たる証拠を裏付けたかったのでしょう。復命事
項は、生田警察の小野盛人巡査部長が、自殺した渡辺省三の身辺整理状況につ
いて捜査したもので、それには、つぎのように復命しています。
「渡辺省三の自殺後の平成10年8月31日、同社総務課長
植田徹、同僚の
山本美鈴が、渡辺省三使用の机大引き出しを調べたところ、日頃の整理状況は
定かでないが、当日は整然と整理されており、
ア、 会社所有の現金(スカウト活動費)50万円が、郵便局の封筒に入れて、
置かれており、
イ、 自己の現金35万円が、住友銀行の封筒に入れて置かれていた。
*会社所有の現金スカウト活動費は、毎年4月1日から3月31日分で、
返済時期でない。
(中略)捜査結果は以上のとおりであり、渡辺省三は、自殺前、身辺整理を
していたと認められた」
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生田警察の方では、このような資料が作成されましたが、それから約2年後に、
私は、父が所持していた手帳の記載から、父は、死亡当時、スカウト活動費を、
借り出していないことを知ったというわけです。
4、
平成27年3月3日、私の調書を作成する中で、検察官から、父が亡くなる2
日前(平成10年8月29日)に、滋賀県皇子山球場へ二岡選手の視察に行っ
たことの裏付けについて、問われました。私は、名誉毀損事件の捜査の過程で、
当時、スカウト編成部長の横溝桂氏が、父と一緒に二岡選手の視察に行ったと
述べておられると答えました。それは、間違いなくその通りなのですが、皇子
山球場への視察に絡み、交通費(スカウト活動費)が発生している点がポイン
トかと思います。
父が亡くなって5日後の平成10年9月5日、当時チーフスカウトの末永正昭
氏は、以下の4点を父の自宅に届けました。
① 父の机の中にあった郵便局の封筒に入ったスカウト活動費50万円
② 父の机の中にあった住友銀行の封筒に入った35万円
③ ダンボール箱(父の机の中にあった国語辞書、筆記用具、スカウト活動
の日程などの資料が入った青色ファイルなどが入っていた)
④ 甲子園―皇子山球場間の交通費、日当、入場券 計6360円
この時、末永氏と直接対応したのは母で、私は、そばで、末永氏の説明を間接
的に聞いていました。私は、この時の末永氏の説明がおかしいと思ったのです。
〈末永氏は、父がスカウト活動費を精算していたから自殺と言っているけど、
8月29日の交通費を持って来るということは、父は、精算していなかったと
いうことではないのか〉
〈末永氏は、横溝氏に皇子山球場への交通費などの概要を聞き、球団総務に、
6360円を請求したのか〉
〈球団総務は、6360円を渡辺省三の遺族に渡した時点で、経理上、収拾が
ついているのではないのか。それとも、6360円は、末永氏のポケットマネ
ーなのか〉
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〈「父の机の中にあった郵便局の封筒に入ったスカウト活動費50万円」と言っ
て、遺族に見せるだけ見せて、会社の経理に渡すと言って、9月5日に、末永
氏が、持って帰ってしまった50万円は、どこに消えたのか〉
以上のようなことを考えるようになりました。
例え話ですが、A さんの主張、B さんの主張といった、人によって主張が違う
場合はよくあります。本件の場合、一人の人物に、主張 A(返金しなければな
らない50万円の存在を主張)、主張 B(6360円、自腹で払っているから、
球団に請求してあげましたよと主張)という2つの主張が存在するということ
です。この時の末永氏の思惑が、理解できません。
5、
9月8日からの熊本出張の件ですが、3月3日、帰宅してあらためて父が亡く
なった日の翌日のデイリ―スポーツ紙を見たところ、次のような記載がありま
した。
「8月29日には、滋賀県へ京滋リーグの視察に出かけたばかりで、夏の高校
野球開催中には、他球団の同じ九州担当スカウトに、
「近いうちに吉本(九州学
院)を見に行こう」と話すなど、仕事に意欲を見せていた。そんな矢先の自殺
だけに、不可解と言わざるを得ない」
この記載から鑑みると、9月8日からの熊本出張は、吉本亮選手(九州学院)
の視察も兼ねていたのでしょう。
「第2次 平成10年ドラフト候補者調査リス
ト」では、吉本亮選手の評価は、B の A となっています。父が吉本亮選手を有
能と見込んで、獲得に意欲を見せていたのかもしれません。
吉本亮選手は、この年のドラフト会議で、福岡ダイエーホークス(当時)に1
位指名され入団したようです。
6、
振り返って考えてみますと、要するに、当初から阪神球団関係者らの出鱈目な
説明で、遺族も捜査機関も翻弄させられているように思えます。原点に立ち返
り、厳正な捜査の上、父の死の真相解明、よろしくお願いいたします。
以上
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