国際的課税逃れを「第三国」が仲裁

2015年
7月 29日
No.402
ヤマダ総合公認会計士事務所
〒124-0012
東京都葛飾区立石1−12−11
TEL 3694­6091
FAX 3691­6680
国際的課税逃れを「第三国」が仲裁
国際的租税回避への包囲網が狭まってきました。さきごろドイツ南部のエルマウで開かれた先
進7ヵ国首脳会談(G7サミット)では、「公正かつ現代的な国際課税システムの達成」に向け
た取組みを盛り込んだ首脳宣言が採択されました。これは、多国籍企業による租税回避を防止す
るための手段としてOECDが示す「税源浸食・利益移転(BEPS)」行動計画の効果的な実
施に強く働きかけるものです。
BEPS行動計画では、多国籍企業による租税回避を防止するための手段として、電子商取引
課税、租税条約濫用の防止、恒久的施設認定の人為的回避の防止、移転価格税制、相互協議の効
果的実施など15項目の方策が盛り込まれています。PE(恒久的施設)を伴わない電子商取引
への課税強化や、無形資産の譲渡に伴う低税率国への所得移転、二国間の課税権をめぐる紛争な
どに対応した新たな国際課税のルール策定を目指すもので、各項目ごとに策定の期限が設けられ
ているのが特徴です。
このうち相互協議の効果的実施については、今年9月に策定期限が置かれています。二国間の
課税権をめぐる紛争は租税条約に基づく「相互協議」によって解決するのが一般的ですが、両国
が一歩も引かずに協議が長期化することが多く、課税逃れを許す温床にもなっています。そこで
BEPS行動計画では、多国籍企業の課税逃れを巡る2国間の紛争に対し、利害がない第三国が
仲裁する制度づくりを目指す方針が明記されています。
今回、G7の首脳宣言にBEPS行動計画への猛プッシュが盛り込まれたことで、早期解決に
期待が高まっています。