鳥人間 P r o . 会報 天文 P r o . ロケット P r o . ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● --幹事長挨拶-- WASA 幹事長 先進理工学部 応用化学科 3 年 並木克也 OB・OG の皆様、平素からお世話になっている大学関係・他団体の皆様、こんにちは。早稲田大学宇 宙航空研究会(WASA)幹事長の並木克也と申します。このたびは第一回会報をお読みいただきありが とうございます。 「大学のカリキュラムにとらわれず、やりたいことをやる」という理念のもと、1965 年に結成された WASA は、今年で創立 50 周年という大きな節目を迎えます。本会報は、私達の活動を OB・OG の皆様 や日頃からお世話になっている皆様へ報告し、活動の意義について広く理解していただくことを目的と して発行することになりました。本会報を皮切りに、今後もこのような報告を定期的に行えるようにし ていきたいと考えております。 2013 年 8 月末に連続して起きたボール盤の事故、その対応における連絡系統や事後対応が不適切であ ったことから、当時会長をなさっていた太田有教授から 3 ヶ月の活動停止を命じられました。その後、 安全関連、組織の連絡系統、運営方法の見直しが行われましたが、事故や事故が発生したときの不適切 な連絡系統による対応を再発防止するための対策が難航したため、活動を再開できたのは 2014 年 2 月 10 日と約 5 ヶ月半もの時間を費やしてしまいました。この件の詳細についてはホームページの「活動停 止から活動再開に至るまでの報告書」をご覧いただければ幸いです。 現在は安全管理の一部として一年に一度、全プロジェクト合同での事故・ヒヤリハットと大学やプロ ジェクトごとに加入している保険の読み合わせの総会を行っております。また新入生に対しては入会時 にこれらの読み合わせに加えて、安全に活動をすることの重要性についての説明会も必ず行うようにし ています。 WASA のようにロケット・鳥人間・天文と様々な分野を幅広く行っているサークルは他の大学を探し てもほとんどありません。50 年もの長い間、このような素晴らしいサークルが続いてきたのは OB・OG の皆様、支援してくださっている皆様の助けがあったからだと思います。現在は大学内に作業場をいた だけておらず、 例えば鳥人間プロジェクトでは毎月 14 万円の家賃を払い借家をして作業をしているなど、 様々な困難もありますがなんとか活動をしております。至らぬところも多いかと思いますが、サークル 全体を盛り上げるよう全力を尽くしていきますので、皆様からのますますのご支援を、どうぞよろしく お願いいたします。 1 ............................................................... ............................................................... ............................................................... ............................................................... ............................................................... ............................................................... ............................................................... ............................................................. 2 ロケットプロジェクトは、WASA 創立当初の 活動から続く、宇宙に関する工学全般を研究、 実践するプロジェクトです。 現在、早稲田大学 27 名、日本女子大学 15 名、 他 1 名によって構成されており、種子島ロケッ トコンテスト優勝等、活動の多くの部分を女性 で構成されたチームが支えてくれています。 ロケットプロジェクトで 主な機構としてパラシュー は、ロケットの他に超小型模 ト、 タ イ ヤ、 電 装 部、 駆 動 擬人工衛星、通称 CanSat(缶 部を積んでいます。 +サテライト)も製作してい GPS、加速度、超音波の各 ます。 センサーを使い、機体を制 現在、能代宇宙イベントの 御しゴールへ向かって走り カンサット競技に出場するた ます。 め、気球から落とした後着地 してゴールへ走るランバック 方式の機体を製作しました。 種子島ロケットコンテスト 能代宇宙イベント 2015 年 3 月、ぐずついた天気が続く モデルロケット打ち上げ ロケットプロジェクトでは、8 月に秋田県能 代市で開催される「能代宇宙イベント」におい て、モデルロケットエンジンという市販の固体 燃料ロケットエンジンを使用して、模型ロケッ トを製作しています。それぞれのロケットに、 打ち上げ目的である「ミッション」を設定し、 そのミッションが成功するように個々のロケッ トを設計していきます。モデルロケットエンジ ンは、その推力総量 (Ns) によって、A → J 型の 順で大きくなるよう分類されています。 いなほモデルロケット F 型 到達高度約 160m 製作 3年他 自作大型モデルロケットの規格化 を目的として、一定の性能を持つ機 体を誰でも自作できるよう、作り易 さと性能の安定性を重視した設計 になっています。機体の横・下方向 の空中撮影をミッションとしてい ます。 空気採集ロケット C 型 到達高度約 110m 製作 1 年 「モデルロケットの基本構造を知る こと」 、 「上空の空気を採取するこ と」をミッションとしたロケットで す。採取の方法は機体の先端と側面 に穴を開けて、上昇中は機体中を空 気が通るようにし、最高点到達と同 時に詮が穴を塞ぐ仕組みです。 3 種子島で、小雨の降る中、いかに発射 スヌーピー脱出ロケット 地点の近くにパラシュートで軟着陸を F 型 到達高度約 100m 出来るか競う、「滞空定点回収部門」に 製作 3 年女子・2 年女子 出場しました。 「簡単に作れる !」、「見た目かわい Flower Skyrocket い !!」がコンセプトのロケットです。 種子島の空に花を咲かせよう!をコン ミッションであるスヌーピーのぬ セプトに、種子島に咲くハマボウとい いぐるみ空中放出は、過去2回失敗 FlowerSkyrocket う花をイメージした外装のC型モデル しましたが、今回こそはスヌーピー ロケットを製作しました。この機体は、 出場部門にて優勝をしました。 を無事脱出させられるよう、設計・ チームきえ 製作をしています。 メンバーの誕生日が打ち上げ日に近い お菓子ロケット ため、誕生日をモデルロケットの打ち 上げで祝おうと、蝋燭型のモデルロケッ F 型 到達高度約 100m トを製作しました。パラシュートはイ 製作 2 年女子 チゴのショートケーキをイメージして ペイロードとしてラッピングした 作りました。 お菓子(ドーナツ)を積み、空中 放出後、装飾したパラシュートで チームきえロケット 安全に着地させるミッションです。 空中放出の為の開放機構は、金属を 使わず、開口部を大きくなるよう設 計しています。 エッグリフトロケット C 型 到達高度約 80m 製作 1 年 機体に搭載した生鶏卵を割らずに 回収する「エッグリフト」競技用ロ ケットです。市販キットを用いてエ ンジン周辺部を製作し、卵搭載部 の緩衝構造と回収用パラシュート などを自ら設計・製作してミッショ ン成功を目指します。 北海道大学永田研究室が開発した miniCAMUI ハイブリッドエンジン使用 いなほロケット計画 「miniCAMUI」ハイブリッドエンジンを使用 し、2016 年 3 月に北海道にてハイパワーロ ケットの打ち上げを計画中です。 今後の CanSat ミッションや、自作液体エ ンジンを使用したロケットの打ち上げを見据 え、大型のロケットを打ち上げる為の運用技 術の取得を目指します。 左の図は北海道大学より提供された miniCAMUI エンジンの図、右の図は同大学よ り提供されたシステム概念図です。 4 昨年の目白祭および理工展では、例年通り自作のピンホール式 プラネタリウムの上映を中心とした企画を出展しましたが、例年 よりも展示の数を増やすことができました。 Astronomy project 各班の展示としては、HMD(ヘッドマウントディスプレイ) による没入型プラネタリウムの試作品の展示や、相対論班による ポスター展示を行いました。 また、反射式大口径のドブソニアン望遠鏡を作成し、来場者に も実際に覗いていただきました。1 年生企画としては星座を立体 的に見られる模型、星座を描いたステンドグラス、星の神話につ いてのポスターの展示の 3 つの企画を行いました。 ▲ 2014 年度、伊豆大島にて。残念な がら夜は雲が多く、切れ間から覗く星 を楽しみました。 企画は大変好評で、理工展では来場者アンケートの結果、展示 部門で第 3 位に選ばれました。 2014 年度理工展以降、天文プロジェクトでは班活動で専門的 な活動の充実化を図っています。2014 年度冬にいくつかの班を 新設し、現在、プロジェクト内で活動する班は機材班、星図班、 回路班、レンズ式プラネタリウム班、HMD 班、天文勉強班、相 ▲ 例年展示しているピンホール式プ 対論班の 7 班です。 ラネタリウム。一つ一つの星をアクリ レンズ式プラネタリウム班は昨年度の 2 月にできたばかりの ル半球上の孔で再現しています。 班です。プラネタリウムは 2 年で完成する計画で進めています。 現在はプラネタリウムを作るための道具を作っている段階で、レ ンズユニットの試作機をこれから作っていく予定です。レンズ式 プラネタリウムは投影ドーム直径 8m、本体の投影機は天の川が 再現できるように 8~9 等星までを投影し、全長 80cm 程度のも のを製作する計画です。完成すれば、レンズを使用する分従来の ピンホール式よりも集光力が高く、美しい星像となります。しか 私たち天文プロジェクトは、毎年、新歓期・夏・冬の 3 回合宿を行っています。合宿のス ケジュールはさほど決まっておらず、昼はのんびりと、夜はまったりと過ごしています。新 歓合宿は主に新入生との交流も目的の一つになっています。冬合宿では、1 年生によるプレ ゼン大会が行われています。この冬合宿をもって 3 年生たちは引退となり、感謝の意を込め て最終日には追い出しコンパが開かれます。 また、合宿のほかに有志の人たちによって 1~2 ヶ月に 1 回程度の頻度で観測会が企画さ れています。興味がある人は、観測会を機会にカメラや機材の知識をより深めることもでき ます。 昨年度の夏休みには伊豆大島で離島観測会も行いました。島に着いてから温泉に入ったり 海やプールで遊んだりして、昼は楽しく過ごしました。あいにく天気には恵まれませんでし たが、雲の切れ間から夏の大三角や天の川を観測することができました。 5 し、新しい班なので道具や機材がなく、その用意にお金がかかる ▲ レンズ式プラネの恒星原板作成で ことや、半導体なども作れるようなクリーンルームが必要などの 用いる直動アクチュエータ。数 μm レ 課題がいくつかあります。このように完成までには課題もありま ベルの微細な加工が求められます。 すが、2015 年度 12 月までに設計や試作機での調整を終えて来年 度には完成にこぎつけるため、奮闘中です。 HMD 班は 2014 年度の夏から活動を開始した新しい班です。 HMD の視界で星空を再現するためにプログラミング等の活動を しています。活動開始から目白祭にかけての期間では基礎となる 位置天文学についての勉強をし、理工展には HMD を用いたプラ ネタリウムを展示しました。理工展で展示したものは恒星のみを 表示するものでしたが、これからの活動として惑星なども追加し ▲ HMD プラネのエディタ画面。星 ていき、最終的には宇宙空間に自分が存在しているかのような感 表をもとに 3 次元で配置された星を 覚が味わえる装置に改良していこうと考えています。 HMD で見ることができます。 6 鳥人間プロジェクト 試験飛行写真 機体製作・試験飛行を行い、 31 代 ( 3 年生 ) 夏に行われる鳥人間コンテス 32 代 ( 主に 2 年生 ) …18 人 トで優勝を目指しています。 33 代 ( 1 年生 ) …17 人 …24 人 2015 年度機体 : Thermopylae(サーモピレー) ↓↓↓ 今年度機体の各部品の特徴 ↓↓↓ 駆動・フレーム 今年度のかんざし(径の違うパイプ同士を接合する為の部品)は、桐を用いて自作することによって軽量化 ( 機速向 上 ) を図りました。桐は木材の中でも比較的強度があり、水分による膨張も小さいためです。例年の、外部発注した ガラスクロス製のものと比べ、約 3kg の軽量化に成功しました。 フェアリング 大きな発泡のブロックから削りだして作っています。スタイロフォームをバルサ材で挟んだ、軽量でかつ十分な強度 を持つ骨組みにするようにしました。窓は 0.2 ミリ厚のポリカーボネート製で作りました。例年との違いは、パイロッ 鳥 pro.の近況 ~作業場~ トが動きやすくなるように、パイロットのスペースを広めに作ったところです。 翼 鳥人間プロジェクトは、2014 年 11 月、慣れ親しんだ理工キャンパスの作業場が取り壊されることになり、 今年度から UFO ( 瞬間接着剤 ) とアクリルマスターを導入しました。UFO は粘性が低く、浸透しやすいのが特徴 2015 年 2 月 6 日、早稲田キャンパス近くの新たな作業場へ引っ越しました。新作業場が見つかるまで、合 です。そのため桁とリブのすき間に浸透し、しっかりと接着できます。また、接着材の使用量も減らせ、軽量化に繋が わせて約 2 か月もの間、WASA の OB さん宅ガレージで作業させていただいた時期もありました。多くの りました。マスターは今までシナベニヤ、ゴールデンボードを使っていましたが、一部をアクリルにし、レーザー加工 方々の支援を受けて、2015 年度機体 Thermopylae は新作業場から琵琶湖へと向かいます! することでリブの精度を高めることができました。 電装 今年度の特徴は、従来のプログラムに加え、外部で容易に操舵角を確認できるモードなど 3 つのモードを追加したこ とにあり、製作段階から実際の飛行に至るまでの作業効率性を高めました。さらに計測系については、新たに GPS や 姿勢角計を取り入れた上で、より高い信頼性をもつ計測系に仕上げました。 プロペラ 今年度は作り方の改革を行いました。昨年度のスタイロ充填方式を受け継ぎつつ各作業工程を一から見直して精度の 向上を図りました。その結果として近年にない精度と大幅な軽量化に成功しました。そして今年度はものづくり工房に あるレーザー加工機をふんだんに用いてリブマスターを作りました。塗装に関しては、今までは用いていなかった自動 車用のウレタン塗料を用いることで、表面がより美しくなりました。 第 38 回鳥人間コンテスト 2015 7/25 (土) 26 (日) 琵琶湖にて開催 9/2 (水) よる 7 時~放送 読売テレビ・日本テレビ系全国ネット 8 7 早稲田大学宇宙航空研究会 創立 50 周年記念報告会 拝啓 時下、ますますご清栄の事とお慶び申し上げます。 さて、我らが早稲田大学宇宙航空研究会は、1965 年に発足し、本年をもって創立 50 周年 を迎えることとなりました。OB・OG、また平素からご支援をいただいている皆様方のお力 添えにより、本会はその活動範囲を拡げることが出来ましたこと、感謝申し上げます。 つきましては、50 周年を記念し、現在の本会の活動の紹介と懇親会を、下記の様に催した く存じます。 報告会では、ロケットプロジェクト、天文プロジェクト、鳥人間プロジェクトの各プロジェ クトより 40 分程、活動報告、活動計画、会計報告を差し上げた後、来賓の皆様方より数名、 ご講演をいただく予定です。 50 周年の記念品や立食形式の懇親会も企画しております。50 周年記念報告会についての お知らせは、WASA のホームページなどを用いて逐次発信させていただきますので、そちら をご覧ください。 皆様ご多忙とは存じますが、是非足をお運びいただきたく存じます。 9 記 日時: 2015 年 10 月 10 日 報告会 13 時より 17 時 30 分まで 懇親会 18 時より 20 時まで 場所: 早稲田大学 西早稲田キャンパス(旧大久保キャンパス) 報告会 57 号館2階 懇親会 63 号館1階 ロームスクエア ( 旧馬車道 ) WASA インフォメーションメールアドレス WASA 公式ホームページ 201 教室 [email protected] http://wasa.geo.jp 以上 敬具 OB・OG の皆様への支援のお願い これまで、私達早稲田大学宇宙航空研究会の活動の意義は沢山の方々にご賛同いただき、 OB・OG の皆様方のご助力を始め、機友会よりいただく補助金等、多大なるご支援を頂い てまいりました。 次号より、本誌面を用いまして、本会の年度会計報告の掲載し、またご支援いただいた 方々の御芳名を記載申し上げることで、お礼の形とさせていただきたく存じます。 2014 年度会計報告 収入 支出 鳥人間 会費&入会金 天文 会費&入会金 ロケット会費&入会金 電装 会費&入会金 早稲田大学 補助金 機友会 補助金 日本女子大学補助金 目白祭収入 利息 前年度繰越金 ¥740,000 ¥530,000 ¥335,000 ¥10,000 ¥263,864 ¥150,000 ¥25,000 ¥14,648 ¥179 ¥958,872 総計 ¥3,027,563 鳥人間 活動費 天文 活動費 ロケット活動費 電装 活動費 CNC 改造費 ( 掃除機代含む ) WASAPC 代※ 全体合宿費 工房スペース棚代 SolidWorks 学生ライセンス 印刷代&電球代 事務経費等 手数料 繰越金 総計 ¥960,000 ¥630,000 ¥560,000 ¥20,000 ¥148,202 ¥122,279 ¥87,492 ¥14,687 ¥10,908 ¥7,000 ¥16,000 ¥2,700 ¥448,295 ¥3,027,563 ※ WASAPC はものづくり工房で使用している共用 PC です また、本会では、今後とも皆様にご支援をお願いしております。 現在本会は、これまで使用していた理工学部キャンパス内の作業場を、大学の施設整理 によって昨年秋より廃止となった影響で、特に鳥人間プロジェクトに於いてプロジェクト 内での会計支出が約 650 万円と激増しています。現在は 1 人当り月額 1 万円の徴収で対 応しています。 また、ロケットプロジェクトは、北海道大学と提携した miniCAMUI ハイブリッドエン ジン搭載型の大型ロケット打ち上げに 60 万円、天文プロジェクトは、専用工作設備の自 作も含めたレンズ式プラネタリウム製作に 70 万円の支出を予定しています。 これまで以上に予算・技術両面でのご支援が必要です。恐縮ではありますが、今後も更 なるご支援をお願い致します。具体的な方法については、本誌記載の 50 周年記念報告会 にてご説明申し上げます。 何卒ご助力賜りますようよろしくお願い申し上げます。 10 WASA 会報 Vol.1 発行日: 2015 年 9 月 1 日 発行者: 早稲田大学宇宙航空研究会
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