599 - 日本ロケット協会

A PUBLICATION OF JAPANESE ROCKET SOCIETY
2015-7
599
MAINICHI ACADEMIC FORUM Inc., 1−1−1 Hitotsubashi, Chiyoda-ku, Tokyo 100−0003, Japan ©2015, Japanese Rocket Society
ロケットニュースの発行遅延分は一部合併号として発行い
たします。昨年度から検討を続けて参りました会員の皆様へ
のIDとパスワードの配布および電子媒体の情報閲覧サービス
の拡充に関しては、会員種別を下記の通り変更(合わせて会
則改正)すると共に、インターネット機能の拡充を図ります。
【日本ロケット協会の新会員制度】
日本ロケット協会2015年度年次総会開催報告
2015年度の日本ロケット協会の総会が 7 月 2 日(木)に東京
大学本郷キャンパスの山上会館で開催されました。特別講
演の部では、高橋有希氏(元SpaceX社員、現在Polar Field
Services: Science Technician at Summit Station)から「SpaceX
における勤務経験」と題してご講演いただきました。SpaceX
に対する関心の高さもあり、総会には例年以上の参加者数と
なりました。
2014年度事業報告につきましては下記 8 件について担当理
事より報告いたしました。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
⑴ 正会員
年会費4, 000円
(従来の紙媒体の配布サービスおよびWEB情報閲覧可能)
⑵ インターネット会員
年会費3, 500円(WEB情報閲覧のみ)
⑶ インターネット学生会員 年会費1, 000円(WEB情報閲覧のみ)
※会員種別の変更については毎日学術フォーラムまでお問い合わ
せください。
今年度、ID配布の準備を進め、整備が整い次第会員の皆
様宛に情報閲覧用のIDとパスワードが配布される見込みです。
役員体制については、山崎直子氏を新理事に迎え、新たな
委員会活動として了承された男女共同参画委員会(Sorajo)
を運営いたします。引き続き日本ロケット協会としての活動
を活性化して参ります。
【2015年度JRS役員体制】
ロケットニュース発行
ロケットニュース記事拡充(ロケット口伝鈔)
JSTS、モノグラフ発行
ホームページの整備、拡充
会員への個別ID配布整備検討
第14回ISCOPS西安開催
第 6 回宇宙旅行シンポジウム開催準備
第65回IAF(Toronto, Canada)への代表者派遣
会長
副会長
副会長
会計担当理事
会計担当理事
企画担当理事
企画担当理事
編集担当理事
編集担当理事
庶務担当理事
庶務担当理事
庶務担当理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
理事
会計監事
会計監事
ロケットニュースは定期発行を継続していること、未発行
分については鋭意キャッチアップを図り発行を進めていま
す。ロケット口伝鈔は、これまで22回分( 6 名の方々の特集)
の発行を完了しており、企画を継続しております。今後もでき
る限り、旧ISAS、旧NASDA、産業界、大学関係のOBの方々
のインタビュー記事の掲載を目指して進める予定です。
JSTSは、Vol.28, No.1まで発行が完了しています。引き続
き発行遅れ分はキャッチアップいたします。Vo.28, No.2以
降については発行準備状況に応じて、発行番号を入れ替えて
出版する予定です。モノグラフのバックナンバーの販売を強
化し、今後は宇宙関係のシンポジウムや講演会などの会場に
持ち込むことも計画しています。
JRSのホームページは昨年度に続いてコンテンツの充実を
図っています。ロケットニュースのバックナンバーや講演集
などほぼすべてアーカイブ化が完了しました。
以上、これらの活動に関する2014年度会計報告、監査結果
報告を行い了承されました。
次に下記 9 件の2015年度事業計画案について審議がなさ
れ、了承されました。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
ロケットニュース発行(12号分+遅延分)
ロケットニュース企画:口伝鈔の継続
J STS発行( 1 号分+遅延分 6 号分)およびモノグラフ企画立案
第15回 ISCOPS開催準備
ホームページ整備拡充
会員サービスの向上(インターネット会員制の導入)会則の
改正案の審議
7. 第 6 回宇宙旅行シンポジウム(12月開催予定)
8. 第
66回IAF(Jerusalem, Israel 12-16/Oct.)への代表者派遣
9. 男女共同参画委員会(Sorajo)の設置について
淺田 正一郎
森田 泰弘
木内 重基
田村 泰宏
野副 克彦
野中 聡
姫野 武洋
吉田 誠 嶋田 徹
有田 誠
笠原 次郎
羽生 宏人
小笠原 宏
駒 徹郎
志佐 陽
霜村 創一
高山 久信
永峯 義隆
永田 晴紀
水谷 雅人
山崎 直子
栗田 昌弘
野田 慶一郎
三菱重工業㈱
宇宙航空研究開発機構
㈱IHIエアロスペース
㈱IHIエアロスペース
カーリットホールディングス㈱
宇宙航空研究開発機構
東京大学
宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構
名古屋大学
宇宙航空研究開発機構
三菱重工業㈱
川崎重工業㈱
㈱IHI
日油㈱
三菱プレシジョン㈱
富士重工業㈱
北海道大学
三菱電機㈱
宇宙飛行士(新)
日本電気㈱
宇宙航空研究開発機構
(文責 羽生 宏人)
CONTENTS
○ Annual Meeting Report……………………………… 1
○ Inauguration Address … …………………………… 2
○ H3 Rocket……………………………………………… 3
○ Running Feature Article … ………………………… 3
○ Arianespace en mouvement ………………………… 4
○ 30th ISTS ……………………………………………… 5
○ Domestic News………………………………………… 5
◯ Overseas News………………………………………… 6
1
国に本部、欧州等に支部)関係者とも連携に向けた意見交換
を行ってきています。
そして、「宙女」ボードがいよいよ結成され、事務局には
大変心強い方々が集まりました。宇宙メーカーの大塚聡子さ
んと松長史子さん、JAXAの内冨素子さん、宇宙ビジネスコ
ンサルタント大貫美鈴さん。もちろん、宙男の方々も含めて、
アドバーザー、サポーターも増えてきており、多くの方々と
一緒に取り組んでいけたらと思います。
具体的には、男性も女性も共に働きやすいように、仕事環
境の整備を目指し、男女共同参画について学ぶ講演会、勉強
会、女性の視点での宇宙開発利用を考えるワークショップ、
交流会等を企画していきます。キックオフとして、10/3(土)
に、三菱みなとみらい技術館でイベントを行う予定です。歴
代の方々のご尽力を受け継ぎ、男女共に新しい発想や風を吹
かせることで、宇宙航空分野全体がより盛り上がっていくよ
うにしていけたら、と微力ながら思っております。是非、会
員の皆様からも屈託のないご意見を頂戴できれば幸いです。
(お問い合わせ、ご意見は、[email protected]まで。)
理事就任のご挨拶 山崎 直子
本年度の総会にて、日本ロケット協会の理事に就任いたし
ました。また、航空宇宙業界内の男女共同参画を推進する
『宙女』(そらじょ:Sorajo)ボードを設置することが承認さ
れ、その委員長にも就任いたしましたので、ご報告申し上げ
ます。従来、日本ロケット協会の皆様には、研究開発、教育、
宇宙政策などの場において、多々お世話になってきましたの
で、この場をお借りして御礼申し上げると共に、身を引き締
めて臨んでいきたいと思いますのでご指導どうぞお願い致し
ます。
1.宙女ボードについて
日本ロケット協会の皆様、JAXAをはじめとする業界内団
体、企業、大学、オピニオンリーダー等の協力を得て発足し
たものですが、これは何ぞやと思われる方も多いと思います
ので、少し説明させて下さい。
星を楽しむ宙(そら)ガール(株式会社ビクセンの登録商標)
が広がり、宇宙イベントに参加する女性も増えてきましたが、
まだまだ、航空宇宙業界で働く女性の割合は低い状態です。
例えばJAXAの場合、女性研究者の在職比率は10. 5%(採
用比率は14. 8%)。ちなみに常勤職員に占める女性の割合は
15.8%、女性管理職の割合は5. 7%です(2015年 3 月末時点)。
JAXA宇宙飛行士への応募者数も女性は10%前後です。
そんな中、2013年の10月にJAXAに男女共同参画推進室が
設置され、2014年 9 月11日に、政府が主催するシャイン・ウ
ィークスの公式サイドイベントして、「女性が拓く宇宙航空
の夢と未来」シンポジウムが開催されました。私もプレゼン
をしたのですが、当日は103名の参加者が集まり、所属組織
の垣根を越えた情報共有や意見交換が行われました。淺田正
一郎会長も参加協力して下さり、業界の男女共同参画推進の
幹事的な委員会を日本ロケット協会が立ち上げることを提案
してくださいました。
この活動に引き続き、2014年12月 3 日にはAPRSAF(アジ
ア・太平洋地域宇宙機関会議 : Asia-Pacific Regional Space
Agency Forum)のサイドイベントとして「日本で・アジア
でつながろう:宇宙航空分野の女性活躍推進にむけて」とい
うシンポジウムが開催され、アジア太平洋地域のネットワー
クの提言にもなりました。Women In Aerospace(WIA)
(米
2. 有人宇宙開発について
ISSは2020年まで運用することが参加15カ国で合意されて
いますが、現在、米国の方針を受けて、2024年まで延長する
かどうかを日本でも議論しています。その中では、HTVに
太陽電池パネルをつけるなどした改良型HTV-Xの構想も検
討されています。ISS本体、およびHTV共に、宇宙技術実証
の場としても更に活用されていくことが望まれます。
日本では、スペースシャトルでの数々の実験、ISSの日本
実験棟「きぼう」及びHTVの開発運用を通じて、国際協力
の中で有人宇宙技術を培ってきました。その間、有人宇宙機
ならではの信頼性及び安全管理技術、宇宙飛行士の訓練や健
康管理、宇宙滞在技術、システム運用などの技術を獲得して
きました。今後は、それらを発展させるとともに、今まで議
論されてこなかった有人の輸送技術についても、真剣に考え
ていく必要があるでしょう。
有人輸送についても様々な動きがあります。米ロに続き、
2003年に中国が有人宇宙飛行を実現させ、2014年に火星周回
軌道に探査機を投入したインドも有人宇宙船を開発中です。
そして、イランでも猿を宇宙飛行させたという報道がありま
す。そして、民間による宇宙旅行事業も始まろうとしており、
米国ではFAAが10ヶ所の商業打上げスペースポートを認可し
ました(2015年 6 月時点)。公開情報によれば、オランダ領
キュラソー、アブダビ、シンガポール、スウェーデン等でも
スペースポート建設を検討しています。また、これまで有人
宇宙飛行に積極的ではなかった英国でも、2014年 7 月に英国
民間航空局(CAA)が報告書を公表し、2018年の商業サブ
オービタル宇宙飛行の開始を達成可能な目標として挙げました。
サブオービタル及び地球低軌道への有人宇宙輸送技術が、
社会的なインフラとなっていく可能性がある中、日本として
も、今後の道筋を考えていくことは大切だと考えます。いず
れは日本からも宇宙に飛行できるようになりたい、というの
が個人的な夢でありますが、まずは客観的に、有人輸送は諸
外国に頼り続けることがいいのか、自国でも開発や運用技術
を培っていくことがいいのか、そのために技術蓄積をどう図
っていくのがいいのか、目をしっかり向けて検討していけれ
ばと思います。
以上、ご挨拶が長くなりましたが、引き続きどうぞご指導
よろしくお願い申し上げます。
JAXAが昨年 9 月11日に開いた「女性が拓く宇宙航空の夢と
未来」シンポジウムの記念写真=三菱みなとみらい技術館
(神奈川県横浜市)
2
新型基幹ロケットの概要
新型基幹ロケットの開発状況
2015年 7 月 2 日、宇宙開発利用部会(文部科学省 科学技術・
学術審議会)において、宇宙航空研究開発機構(JAXA)よ
り、「新型基幹ロケットの開発状況」についての報告がなさ
れました。
これまでの経緯と進捗
4 月 9 日、文部科学省宇宙開発利用部会にて新型基幹ロケッ
トの開発状況(システム定義審査結果)について報告がなさ
れ、開発管理に係る審議の視点に基づき聴取、了承されました。
4 月23日、宇宙政策委員会宇宙産業・科学技術基盤部会に
て、システム仕様やミッション要求等の一部改訂を含む進捗
状況が適切である旨が確認され、基本設計フェーズへ移行す
ることが了承されました。また、今後の開発計画についても
妥当であることが確認され、開発を着実に推進していくこと
とされました。
6 月 5 日、JAXAにおける基本設計中間確認会にて、第 2
段エンジンの基数を含むシステム構成、及びこれを反映した
検証計画とプロジェクト計画の妥当性について確認がなさ
れ、新型基幹ロケットの機体形態として「第 2 段エンジン 1
基の形態が妥当」と判断されました。また、結果は理事会議
( 6 月23日)にて報告され、了承されました。
射場整備構想
イプシロンロケットと同様に射場整備の短縮化を目指し、
複雑な液体ロケットに対し自動点検機能を積極的に取り込む
とのことです。H-ⅡAとH-ⅡBロケットの運用経験を生かし、
液体ロケット技術を発展する形です。
新型基幹ロケットの機体名称
大型液酸/液水ロケットの系譜であること、国際競争力の
要素である信頼度の確保のため“H”を継承し、H-ⅡAがHⅡの改良型であるのに対し、コンセプトを根本から見直した
ロケットであることから、「H 3 ロケット」と名称が決めら
れました。
新型基幹ロケットの概要
今後の予定
今年度は基本設計が実施中で、ロケットシステム仕様、地
上施設設備システム仕様および打上安全監理システム仕様に
基づくサブシステム、コンポーネントの設計および、要素試
験等の実施が予定されています。2016年度は、詳細設計とし
て、技術試験用供試体の製造に向けたサブシステム、コンポ
ーネント等を含む具体的な設計による図面の作成、地上設備
の製造に向けた設計、要素試験の実施、技術試験用供試体の
製造ならびに一部の技術試験の実施、燃焼試験設備の工事が
計画されています。
また、試験機 1 号機の打上げは2020年度に予定されており、
開発完了は、2021年度の試験機 2 号機の打上げ後に計画され
ています。
斎藤先生に提案なさったんですか。
秋葉:しません。提案してもやらせてくれる訳ではないです
から。世の中にこういうことができますよと示しただけ。当
時は科学ミッションを推進するために宇宙科学研究所が仕事
をする、という位置づけでした。まず科学計画を明らかにし
ないといけなかった。
林:ロケットありきでなくて、科学ミッションを達成するた
めのロケットだと?
秋葉:そう。当時の液体ロケットはアメリカからの技術導入
の時代で、宇宙開発事業団が全て自力で作ったロケットでは
なかった。だから科学ミッションは固体ロケットでやってい
いと。H-Ⅱができたら、固体ロケットをやめましょうという
話があって、それはそれで一応筋が通っていた。
有田:その意味ではM-3SⅡ型ロケットによる科学ミッシ
ョンの実績が大きかったですね。でもその実績を出す前、
ABSOLUTEを検討した1970年代から惑星探査を想定してお
られたのですか?
秋葉:もちろん主流は惑星探査です。まず M-3SⅡ型で日本
のロケットが初めてハレー彗星探査機(「さきがけ」「すいせ
い」)や、月スイングバイ実験や月周回衛星を投入した「ひ
てん」などを上げた。かなりの実績をあげたから、本格的な
惑星探査やスペースVLBIのような魅力的な科学ミッション
を実現できるM-Vの開発を認めてやろうという流れができ
たのです。何と言っても、固体ロケットだけで、人工惑星を
打ち上げたのは、後にも先にも日本だけですからね。苦し紛
れと言ってもいいかも知れませんけど(笑)。
林:日本の固体ロケットの技術がスゴイと言うことですね?
連載特集記事
ロケット口伝鈔(24)秋葉鐐二郎先生(第 3 回)
●日本の固体ロケットは芸術作品
有田:先生は1977年に「ABSOLUTE(Advanced Booster by
Solid Utilizing Technology of Extremity)ロケット」を提
唱されましたね(総重量100トン、直径 3 m、全長18.5mの 3
段式)。のちのM-Vの原型となったロケットだと聞きます。
秋葉:ロケットは次々に大型化したいという要求が出るもの
でしてね。当時の宇宙開発委員会委員だった斎藤成文先生に
「大型化させろというが、固体ロケットでどのくらいのもの
ができるのか、ちゃんとしたことが分からないと誰も耳を貸
さないよ」と言われて。当時から固体ロケットか液体ロケッ
トか、固体をやめさせろという話も多かった。それが検討を
始めたきっかけでした。
有田:固体屋の矜持を示すような?
秋葉:そんな意気込みはないけれど、僕自身も知りたいとこ
ろでした。当時の技術で固体ロケットがどこまで性能向上で
きるか検討したのです。かつて糸川先生もM計画初期にLD
(ラージダイヤ)計画と言う研究班をお作りになりましたが、
それとは目的が違います。
有田:固体ロケット技術の最高水準を極めようと関連分野全
てを結集なさったそうですね。直径は 3 mとなっています。
僕らは未だに直径2. 5mまでしかいってませんが(笑)。
林:総合的に研究開発を進めようという壮大な構想ですね。
3
秋葉:そうなんです。そういう意味では芸術作品を作った。
●多様性が「人工惑星」実現の快挙を生んだ
有田:今から見るとM-3SⅡ型は小ぶりに見えます。その小
ぶりなロケットで日本初の人工惑星であるハレー彗星探査機
を1985年に打ち上げたんですよね。
秋葉:僕が現役最後で、一番油がのっていた頃でした。その
辺で油切れでしたけどね(笑)。
有田:当時の宇宙研にとってハレー彗星探査機、つまり「人
工惑星」を打ち上げることは相当チャレンジングではなかっ
たですか? 通信ひとつとっても超遠距離間の通信や、惑星
間空間の軌道決定など新技術が多かったと思いますが。
秋葉:宇宙研全体が必死になってやってましたね。事務方も
「少々足が出ても構わない」と言ってくれてね。糸川先生が
教えて下さったのは、多様性を取り入れる開発体制。ロケッ
トは昔ながらの機械工学だけではなくて、糸川先生ご自身も
エレクトロニクスに造詣が深かったけれど、東大第二工学部
の流れをくむ色々な分野の専門家を取り込んだ。惑星探査は
電気屋さんがいたからこそ通信ができた。また軌道決定には
NASAとのつながりなどから、新分野開拓に必要な人材を確
保できました。
森田:僕は当時、秋葉研究室のドクターコースの学生で、「さ
きがけ」の打上げに痺れて、今日まで来たんです。
林:打上げをどのようにご覧になったんですか?
森田:これからいよいよ惑星探査の時代が日本で始まるんだ
と。小惑星探査機「はやぶさ」につながる原点ですね。
林:森田先生は、M-3SⅡの打上げに関わっていらしたので
すか?
森田:修論のテーマがM-3SⅡ型の誘導制御でした。学生に
開発の一部をやらせるなんてすごい研究所ですよね。今だっ
たらロケットのデータを学生に見せていいのかと問題になる
でしょうね。当時は研究所全体が大きな目標に向かっていて、
学生も巻き込まれました。
●文化が変わった
有田:秋葉先生が宇宙科学研究所の所長になられる1992年の
直前にM-Vロケットの開発が始まりました。
「固体ロケットの
直径は1.4メートルまで」という制約を超えたことについては?
秋葉:突破するのはいいことだし、日本が物事を理屈で考え
る時代に入ったのはとても嬉しかった。ただし、宇宙研では
技術屋がサイエンス側に引きずられている。サイエンス側は
欲張りだから(笑)大きければいいと。
僕はM-Vは100トン以上にしてはいけないと言ったんです。
その理由の一つは、80年代半ばから将来的なスぺースプレー
ンを考えていました。飛行機から打ち上げるロケットが100
トンを超えるのは無理がある。また打上げ費用も高すぎると
も言った。だけど当時はバブル時代であまり頓着せずに文部
省もやらせてくれた。それが最後に(打上げ費が高いと)仇
になりましたね。僕の提案通りにしなかったからそうなった
とは言わないけれど、あのころは設計会議に出ても文化が変
わったと痛感しましたね。
林:あの頃とは?
秋葉:1990年代です。家庭での教育が変わったんだろうね。
競争社会に育った人たち。「失敗はいけません」と失敗した
時の言い訳まで考えるようになった。会議でも分かりきった
話までやたら計算をさせる。たとえばM-Vの一段目と二段目
の切断がうまくいくかどうかについて、流体や運動学的な計
算を半年以上続けるわけですよ。実験をやって見せても、計
算しないと納得出来ないと見向きもされなかった。博士論文
を書く訳でもないのに。
森田:謎がとけました。駒場時代はおおらかな雰囲気があっ
たのに、相模原に来てから緻密な解析が増えました。人によ
るところもありますが(笑)。
秋葉:俺の出る幕じゃないなと。「木を見て森を見ず」の人
が多くなりましたね。
林:やりにくくなりましたか?
秋葉:多様性を認めない訳ですよ。先ほども言ったように、
色々な人間がいて初めて物事がしっかりできる。ところが点
数制でのしあがってきて、100mの徒競走のように一つの基
準で比べる。あいつがこっち走ったら、別の方向へ走るとい
う人がいない。
林:ミッションにも影響していますか?
秋葉:していますね。非常に硬直化していると思います。
(続く)
にある。
さて、アリアンスペースはアリアン5 、ソユーズ、そして
ヴェガを補完的に運用し「あらゆる大きさの衛星を、どんな
軌道にでも、希望する時期に打上げる」ことを可能にした。
シンフォニー事件に端を発した欧州宇宙輸送の挑戦はここに
一つの完成を見たと言っても良い。しかし問題点が無い訳で
はない。三つのロケットの年間打上げ数は、2012年に10機、
2013年に 7 機、2014年に11機、そして本年は 8 月15日現在す
でに 6 機を打上げている。つまりアリアンスペースは年間ほ
ぼ10機、言い換えると概ね一ヶ月に一機のペースで打上げを
行っていることになるが、複数の打上げ機を高い頻度で打上
げるオペレーションは複雑でコスト効率も悪い。またすでに
述べたように、本来欧州の政府ミッションの確実な打上げを
目的に開発されたはずのアリアンがもっぱら商業打上げに使
われ、ソユーズが欧州の政府衛星打上げを主に担うという不
自然な構図となってしまった。またアリアン 5 は、最近の電
気推進を使った衛星やコンステレーション型の衛星群の展開
には必ずしも最適化されていない。こうした背景のもとアリ
アン 6 が開発されている。アリアン 6 のミッションは今後も
欧州の宇宙への独自アクセスを保証し、そのアクセスを適正
な価格で政府ユーザーと商業ユーザーに提供し、衛星技術の
進歩と発展にともなって変化するユーザー要求やデブリ低減
に代表される環境保全要求に対応できる打上げサービスを提
供することである。
つまりアリアン 6 は次世代を担う欧州による欧州のための
Arianespace en mouvement その 12
高松 聖司(アリアンスペース)
欧州の基幹ロケットの定義は欧州宇宙機関(ESA)のプロ
ジェクトとして開発されたロケットであり、アリアンスペー
スは欧州の基幹ロケットの運用と打上げサービス販売の責任
を負っている。アリアンスペースは現在、大型のアリアン
5 、中型のソユーズ、そして小型のヴェガからなる打上げ機
フリートを運用している。ソユーズはロシアのロケットでは
ないか、と言う人もいるかもしれないが、ギアナ宇宙センタ
ーから打上げられるソユーズは、ESAのプロジェクトとし
て建設されたたソユーズ射場を使うため欧州の基幹ロケット
とみなされる。(もっともソユーズ本体も飛行安全関連のサ
ブシステムは欧州の安全基準を満たすよう改修され、フェア
リングも商業打上げに適するように新製されている)余談に
なるが1995年にドイツのEADS(現在のエアバス・ディフェ
ンス&スペース)が51%を出資してロシアのクルニチェフと
合弁会社ユーロコットを設立し、ロシア製の小型ロケット、
ロコットを使った打上げサービスを提供しているが、これは
ESAのプログラムではないため欧州の基幹ロケットとはみ
なされずアリアンスペースの管轄下にはない。このため商業
打上げ市場ではアリアンスペースとユーロコットは競合関係
4
欧州はどんな技術で価格半減を達成しスペースXに対抗する
のか」という観点からの質問ばかりが繰り返されるので辟易
とした。その質問からは、革新的で創造性のあるスペースX
が市場を席巻し、あわてて対抗している欧州と日本のロケッ
ト開発、という構図でしか輸送系の現状を捉えないメディア
の画一化した態度が窺える。繰り返して言うがアリアン 6 は
スペースXに対抗するために開発されるロケットではない。
欧州が必要とするから開発されるのである。
ところでアリアン 6 の最初の検討は、アリアン 5 さえ飛ん
でいない1980年代にスタートし、当時どの国もそうであった
ように再使用可能な輸送系を目指して検討がすすんでいた。
しかしエルメス往還機の開発が中止され、2003年に開始され
たFuture Launchers Preparatory Programme(FLPP)にお
ける要素技術研究の結果、再使用宇宙輸送系は技術的飛躍が
大きくすぐに実用化することが現実的でないことが分かった
ため、アリアン 6 はより現実的な路線として従来どおりの使
い捨てロケットとして開発される事となった経緯がある。
ロケットとして必要なものであり、日本のメディアが好んで
報道するように低価格で市場に参入してきたスペースXに対
抗するために開発せざるを得なかったロケットでは無い。ス
ペースXの影響がまったく無いとまでは言わないが、競争は
常に存在するし価格半額という(分かりやすい)キャッチフ
レーズは1990年代にプロトンや中国の長征が商業打上げ市場
に参入してきたときにもメディアが繰り返し使った言葉で別
に新しくはない。アリアンスペースは価格半額といわれてき
た競争相手ともう20年以上も戦い続けてきたのである。ス
ペースXの出現は商業打上げの競争力を考える上でのひとつ
の要素にすぎず、それがアリアン 6 を形作るものでないこと
はもっと認識されてよい。アリアンスペースでは毎年春に
CEOが来日して東京で記者会見を行うが、今年の会見での
質問はアリアン 6 のスペースXに対する価格競争力とそれを
実現するための中心的な技術が何か、という点に集中した。
アリアン 6 の本質を説明しようとしても「日本は自動車技術
の活用と 3 Dプリンタ技術を使ってH 3 の価格を半減するが、
えました。また、日本企業からは、IHI Aerospace社の野口
氏による空中発射方式の打ち上げシステムの開発についての
発表がありました。大型の輸送航空機から固体推進薬ロケッ
トを懸架したパラシュートを投下し、その後空中発射すると
いうものです。射場の制約を受けないため、低コスト化が可
能になるとのことでした。現在は投下試験を行っている段階
のようです。また、Airbus社のWalter氏からは小型衛星打
ち上げビジネスに関する世界的動向の分析について発表があ
りました。また、嶋田教授からは、ロケットの安全化をキー
ワードとした宇宙輸送の促進と、その具体例としてのハイブ
リッドロケット研究に関する発表がありました。
全体を通して、低コスト衛星打ち上げというミッションの
ためには大胆に発想を切り替える必要があるという問題意識
と、そのために多様性豊かなシステム開発が世界各国で行わ
れているという現状が感じられるプログラムになっていたと
思います。
7 月 7 日か ら 8 日にかけては化学推進のTechnical Session
の中にハイブリッドロケットに関するセッションが 3 つあり、
筆者は主にそれらを聴講しました。海外からは、韓国、イン
ド、台湾の発表者がいらしていました。発表内容としては、
再着火用イグナイタやO/F制御装置、ユニークな構造を有す
るハイブリッドロケットシステムの開発など、ハイブリッド
ロケットの新機構のR&Dに関するものが比較的多かったよ
うに思います。また、筆者自身もハイブリッドロケットにお
けるO/F controlled Throttlingの実現手法について発表しま
した。筆者にとって二度目の英語発表となりましたが、今回
は質疑応答に関して自信をつけることが出来ました。
なお、7 月 8 日の帰途では三宮駅前にて研究室のメンバー
数人で神戸牛ステーキを堪能しました。ガーリックの香りを
移したバターを使って目の前の鉄板で調理された分厚いステ
ーキはとても柔らかく、良い思い出になりました。
30th ISTS 参加報告
臼杵 智章
(東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 修士2年)
2015年 7 月 6 日 か ら10日 に か け て、 兵 庫 県 神 戸 市 の ポ
ートアイランドにある神戸国際展示場においてThe 30th
International Symposium on Space Technology and Science
(30th ISTS)が開催されました。梅雨の時期の開催という
こともあり小雨が続く空模様でしたが、そのおかげで涼しく
過ごしやすい気候でした。ポートライナーから見える港の立
体的な風景は迫力があり、神戸らしい海の景観を楽しめる素
晴らしいロケーションでした。
シ ン ポ ジ ウ ム はSpecial Program, Organized Sessions,
Panel Discussions、そして19のTechnical Sessionsから成っ
ていました。初日の 7 月 6 日、筆者はレジストレーションを
済ませた後、Special ProgramのWorld Space HighlightⅡ:
Easy Access to Spaceを聴講しました。
本プログラムの前半は嶋田教授がコーディネーターを務め
る打ち上げ機の部、後半は中須賀教授がコーディネーターを
務める人工衛星の部となっていました。打ち上げ機の部では、
超小型衛星打ち上げをターゲットとした小型ロケットによる
スペースレースが冷戦以来の熱量をもって繰り広げられてい
るという様相を伝える発表が多くありました。ノルウェーの
Nammo Raufoss ASのDr. Verberneは、H2O2を 酸 化 剤 と し
たハイブリッドロケットによるロケットシステムの開発につ
いて発表されました。開発されたハイブリッドロケットエン
ジンの地上試験映像が流され、その安全性について強調され
ました。エンジンはシンプルかつコンパクトに作られており、
またその燃焼時間の長さや火炎の様子から完成度の高さが伺
組み込んで2017年度に日本の小型ロケット「イプシロン」で
打ち上げる計画。JAXAは16日、産学官のメンバーからなる
調整委員会を発足、具体的な開発テーマは年内に正式決定し
ます。衛星を大幅に軽くする高効率の太陽電池などが候補に。
新技術を実証するためにまず小型衛星を作り、性能を確かめ
たうえで中型や大型衛星にも応用する考えです。日本は人工
衛星の基幹部品を海外製に依存しており、新たな開発体制で
国産化を目指し、イプシロンロケットの打ち上げ機会増やし
て信頼性を高めるほか、海外衛星を受注する狙いもあります。
(7/17 日本経済新聞)
国内ニュース
JAXAが無人探査機「SLIM(スリム)」を、日本で初めて月
へ着陸させる計画を進めています。4 年後に「イプシロン」ロ
ケットに載せ、鹿児島県から打ち上げる予定。
(7/7 河北新報)
JAXAは17日までに、東京大などと産学官で国際競争力の
ある衛星技術の開発に乗り出しました。高効率の太陽電池や
宇宙の放射線に強い電子デバイスなどを開発し、実証衛星に
5
JAXAは21日、探査機「はやぶさ 2 」が向かっている小惑
星「1999 JU 3 」の名前を公募すると発表しました。募集は22
日から 8 月31日までで、国際的な慣例に基づき神話に由来す
る言葉が望ましいとしています。JAXAの専用ホームページや
はがきで受け付け、9 月に有識者の組織で選定、この小惑星
を発見した米国のチームを通じて国際天文学連合に命名を提
案します。名前はアルファベット16文字以内で日本の神話で
も良く、神話と関係しない場合は特別な理由が必要。初代は
やぶさが到着したイトカワは、日本のロケット開発の父と呼
ばれる糸川英夫博士にちなみ命名されました。小惑星は直径
約900mのほぼ球形と判明しています。問い合わせはJAXA
名称案募集係、電話090−5511−1717。(7/22 産経新聞)
ドのみを打ち上げるのは今回が初めてになります。これま
では外国ペイロードにはコアだけのPSLVが用いられてきま
した。これで、45の海外衛星を打ち上げたことになります。
1994年から2015年までの間の29回の打ち上げ成功で、PSLV
は合計77の衛星を打ち上げました。それらの総質量は32.04
トンになり、そのうち約14%が外国の衛星45機になります。
(7/10, ISRO)
7 月15日15時36分(GMT、 以 下 同 )、 米United Launch
Alliance(ULA)社は、アトラス 5 ロケットによる米空軍の
航行測位衛星「GPS IIF」10号機の打上げに成功しました。
打ち上げはケープ・カナベラル空軍基地の41番射場から行わ
れました。この打ち上げは、ULAの2015年 6 回目の打ち上
げとなり、2006年12月に同社が設立されてから、97回連続の
打ち上げ成功となりました。(7/15, ULA)
【バイコヌール(カザフスタン)共同】油井亀美也さん(45)
を載せたソユーズロケットは23日未明、エンジンから吹き出
す火で周囲を明るく照らすと、ごう音とともにあっという間
に星空に吸い込まれました。打ち上げ成功に、油井さんは船
内から笑顔で親指を立てるポーズを見せました。約 6 時間後
に国際宇宙ステーションに到着した油井さんは、ステーショ
ンの乗組員と抱き合って対面。「少しずつ亀みたいに一歩一
歩仕事ができるよう頑張ります」と抱負を語りました。父誧
司さん(78)は、発射台から約 1 kmの場所で、4 年前に亡く
なった油井さんの母八重子さん=当時(74)の遺影を持って
見送り「本当に宇宙に行ってしまった。スーパーマンになっ
ちゃったんだ」と話しました。4 月末、ロシアは無人貨物機
の打ち上げに失敗し、油井さんの出発は 2 か月延期となって
いただけにJAXAもほっとした様子。三宅正純国際宇宙ステ
ーションプログラムマネージャーは「今回ほど緊張した打ち
上げもなかった。これから彼の活躍の場が開ける」と口元を
ほころばせました。ステーションに到着した油井さんは、カ
ザフスタン・バイコヌール基地の近くの会場でドッキングの
様子を見守った家族と交信、妻恭子さん(46)は「確実にミ
ッションをこなして、次のクルーの人たちにバトンタッチで
きるよう頑張ってください。亀のように首を長くして待って
ます」と語り掛け、油井さんは「待っててね。怒られない様
にしっかりやるよ」と笑いながら答えました。(7/24 秋田
魁新聞)
7 月15日、仏アリアンスペース社は、アリアン 5 ロケット
による、ブラジルのスターワン(Star One)社の静止通信
衛星「スターワンC 4 」及び、欧州気象衛星機構(ユーメト
サット)の第 2 世代静止気象衛星の 4 号機「MSG-4(Meteosat
Second Generation-4)」の同時打上げに成功しました。打上
げから約28分後にStar One C4が、続いて約40分後にMSG-4
がロケット上段から分離され、所定の静止トランスファ軌
道へ投入されました。この打ち上げで、アリアン 5 の連続成
功は66回となりました。また、2015年の打ち上げスケジュ
ールである12回の打ち上げのうち 6 回目の打ち上げでした。
(7/15, Arianespace)
7 月24日(GMT、以下同)、米United Launch Alliance(ULA)
社は、デルタ 4 ロケットによる米空軍の軍事用広帯域全球通
信衛星「WGS(Wideband Global SATCOM)」7 号機の打上
げに成功しました。同衛星は、打上げから約42分後に同ロ
ケットから分離され、所定軌道に投入されました。打ち上
げはケープカナベラル空軍基地の37番射場から行われまし
た。この打ち上げは、ULAの2015年 7 回目の打ち上げとな
り、2006年12月の同社設立以来、98回連続成功となりました。
(7/24, ULA)
《編集室より》
より良い紙面作りのため、会員の皆様の建設的なご意見や
投稿希望の原稿等をお待ちしておりますので、今後ともよろ
しくお願いします。また、日本ロケット協会では、下記公式
ホームページ及び、Facebookにおいてニュースのリンク先
等の情報を更新しております。
公式ホームページのURL http://www.jrocket.org/
FacebookのURL
https://www.facebook.com/JpnRocketSociety
ロケットニュースと合わせてご覧頂ければ幸いです。
▶ロケットニュース編集担当理事 嶋田 徹
〒252-5210 神奈川県相模原市中央区由野台 3−1−1
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所
e-mail:[email protected]
海外ニュース
7 月 3 日、ロシアは、ソユーズUロケットによるプログレ
ス補給船M-28Mの打上げに成功しました。同ロケットはカ
ザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、同補
給船を打上げから約 9 分後に第 3 段から分離し所定の軌道に
投入しました。同補給船には、6100ポンド(約2700kg)を
超える食料・燃料・補給物資等が搭載されていました。(7/3,
blogs.nasa.gov)
7 月10日、インド宇宙研究機関(ISRO)は、極軌道衛星
打 上 げ 用 ロ ケ ッ ト「PSLV-C28」 に よ る、 英DMCii社 の 小
型地球観測衛星「DMC- 3 」シリーズ 3 機、英サリー大学サ
リー宇宙センター等のキューブサット「DeorbitSail」、及
び英サリー・サテライト・テクノロジー社の小型技術実
証衛星「CBNT- 1 」の合計 5 機の同時打上げに成功しまし
た。同ロケットの全備重量は320トンで、打上げから約18分
後にDMC- 3シリーズの 3 機がほぼ所定の高度647kmの太陽
同期軌道(SSO)に投入され、続いてDeorbitSail( 7 kg)、
CBNT-1(91kg)の順に軌道投入が行われました。この打
ち上げはPSLVの連続29回目の成功となりました。今回の
PSLVは最重量級のXL型で、第 1 段に 6 基のストラップオン
ブースターを用いています。XL型のPSLVで外国のペイロー
No. 599
ロケットニュース
発 行 ©2015
日本 ロケット協会
編集人 嶋 田 徹
発 売 三 景 書 店
印 刷 愛 甲 社
6
平成27年 7 月31日発行
(定価 300円) 〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋 1-1-1
パレスサイドビル2F
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