身近な『自分にできること』を意識する4年生 ~自己評価と他者評価を生かす活動~ 柏崎市立日吉小学校 1 4年1組担任 島田 幸 テーマ設定の理由 (1)3年生までの児童の活動 3年生までの学習の中で、子どもたちは地域の施設・自然・文化などを調べ、郷土を愛する心 を育んできている。H19年度の4年生では、自分たちの生活を支えてくれる身近な施設の見学 や、福祉体験活動を通して、地域の一員として身近なところからできること、参加していけるこ とに気付かせていきたい。 (2)身近な『自分にできること』を意識させる活動構成 ① 地域のごみ処理施設の見学を通して、自分たちの生活を支えてくれている人々に気付き、 身近なところからできるリサイクルを行う。 ⇒ ② 第一単元。前期の活動内容。 学校や地域の「バリアフリー」を考える活動の中で、中越沖地震後の生活体験や、社会福 祉協議会の方々との交流を経て、身近なところでできるボランティア活動を行う。 ⇒ ③ 第二単元。後期の活動内容その①。 2分の1成人式を企画していく活動の中で、生まれてからこれまでの自分を振り返り、① ②の活動で得たことも生かしながらこれからの自分の生き方を考える。 ⇒ 第三単元。後期の活動内容その②で、年間のまとめ。 (3)活動の評価について ◇ 自校の評価基準をもとに、児童の実態から「つけさせたい力」の中心となるものを考慮し、 単元構成をする。学年の評価の観点・方法について設定し、評価を行う。 ◇ 今年度は、カードによる自己評価と他者評価を中心に、振り返り力をつけさせていく活動を 行う。うまくいったこと、うまくいかなかったことを、自分と他者の目で判断することで、次 の活動やこれからの自分に生かしていく活動につなげていけるものと考える。 2 内容(例) 第一単元名 ○ ごみを減らしてリサイクル(30h) ごみのリサイクルについて調べ、家庭でのごみ実態・リサイクル製品・クリーンセンター見学・ ビデオ視聴などの活動を通して、環境面でリサイクルが果たす大きな役割に興味・関心を持ち、自 分のテーマを設定することができる。(課題設定、興味・関心) ○ 自分のテーマについて、図書資料やインターネット、取材などの活動を通して、必要な情報を収 集することができる。(課題追求・情報収集) ○ 「リサイクル」について集めた情報を、友達と協力してまとめ、自分なりの方法で発表すること ができる。(コミュニケーション・表現・伝え合う) ○ 活動を綴ったファイルやワークシートを整理し振り返る活動を通して、自分の成長を自覚し、地 域・社会に役立つことを実行することができる。(活動の振り返り・自己の振り返り) 《活動計画》 活動時期 4月 主な活動内容(時数) 課題設定(4時間) ○身近な暮らしの中で「リサイクル」に関すること で知っていること・気づいたことを挙げる。(1) ○自分の家のごみ出しについて実態を調べる。 (1) ○自分の家のごみ分別について調べる。家の人から、 5月 分別について知っていることを聞く。(1) ○「リサイクル」についてイメージマップを書き、 暮らしの中の「リサイクル」について、調べてい きたいことを決める。(1) 課題追求・情報収集(10) 評価及び備考等 ・家庭から出るごみの種類や分別の実態を把握す るとともに、 「リサイクル」という言葉の意味を とらえ、家庭の実情と結びつけ、 「リサイクル」 に興味をもつ。 ・ 「リサイクル」について自分の抱いている興味や 関心を、イメージマップによって明確にさせ、 どんなリサイクルについて追求を進めていきた いか、考える。 評 ワークシートに自分なりの課題設定がされて いる。 ○設定した課題ごとにグループを組み、活動計画書 をまとめる。情報収集の方法について、全体で確 認をする。(2) ○図書資料・インターネット・お家の方やクリーン センターの方からインタビュー・ビデオ資料『あ 6月 ・活動計画書には、グループ名・メンバー名・役 割分担・調べたいこと・調べる方法・発表方法 などを明記し、活動の流れが確認しやすいよう にする。 (机間巡視で支援) きらとカン太のリサイクル大作戦』 『ごみ問題と取 ・資料を積極的に紹介し、情報を蓄積させる。 り組もう!ぼくらのインターネット大冒険』を視 評 多様な方法で必要な情報を集めている。 聴・環境学習指導資料『ごみをへらそう』 『紙のリ サイクル』 『ペットボトルとビンのリサイクル』等 から必要な情報を得る。 (8) コミュニケーション・表現する・伝え合う(8) 7月 ○集めた情報についてグループで企画会議を行い、 テーマに沿って分類・精選・整理する。(2) ○工夫してまとめ作業を行い、協力して発表練習を する。(5) ○まとめたことを、グループごとに発表する。発表 9月 ・収集した情報について、新聞・ポスター・紙芝 居などのまとめ方を提示し、グループでの発表 がより伝わりやすい方法を考え、まとめさせる。 ・発表を聞く側は、どこが分かりやすく伝わった かを具体的にメモする。 評 自分たちなりにまとめている。 を聞くグループは「感想カード」に伝わったこと 伝わりやすく発表している。 (感想カードの内 をメモしながら聞く。(1) 容も加味する) 活動の振り返り・自己の振り返り(8) ○「感想カード」をもとに、グループでの活動を振 り返る。良かった点はより向上を、反省点は改善 策を考える。 (2) ○自分たちの活動を通して、 「自分はこれからどうし ていくか」 「自分にどんなことができるか」を考え、 実行に移す。 (学校や家庭へ、リサイクルを呼びか ける・ポスターを作る・分別ごみ箱を設置など) (6) ・これまでの活動から自分個人にできることを考 え、学校や家庭、地域に発信していこうとする。 評 感想カードの記述をもとに、活動を振り返る ことができた。 自分にできることを具体的に考え、実行しよ うとしている。 《実際の活動記録》 活動時期 4 活動内容・他教科との関連 備 考(指導者・訪問先・連絡先等) (1)「リサイクル」って何?(4) ・自分の家のゴミだしについて調べた。 ・「分別」→「リサイクル」について、知 っていることを出し合った。 5 ・リサイクルについて調べてみたいこと をイメージマップで絞っていき、テー 前 マを設定した。 (2)調べたい「リサイクル」について、 情報を集めよう(10) 期 ・設定したテーマごとにグループを組み、 活動計画書を作成した。 ・情報の集め方について全体で確認をし た。 ・図書資料・インターネット・お家の方 6 やクリーンセンターの見学やインタビ ュー(社会) ・ビデオ資料『あきらとカ ン太のリサイクル大作戦』 『ごみ問題と 1-(2) 柏崎クリーンセンター見学 (柏崎市橋場) 取り組もう!ぼくらのインターネット 大冒険』を視聴・環境学習指導資料『ご TEL 0257-23-5177 みをへらそう』『紙のリサイクル』『ペ 担当 板羽(いたば)さん ットボトルとビンのリサイクル』等か ら必要な情報を得た。 (クリーン推進課:0257-21-2265) ・砂浜作品活動(図工)にて、番神海岸 7 を清掃し、作品作りで出たごみや、海 岸周りのごみを持ち帰り、分別した。 (クリーンセンターに持ち込み、処分し てもらった。 ) (3)情報をまとめ、発表会をしよう (8) ・集めた情報をまとめ、発表する方法に ついて、グループで企画会議をした。 ・テーマに沿って情報を分類・精選・整理 した。 ・工夫してまとめ作業(ポスター・新聞・ 紙芝居・クイズなど)を行い、協力し て発表練習をした。 ・発表会を開き、まとめたことを、グル 1-(2)砂浜造形活動 番神海岸 柏崎市番神 ※ スクールバスにて移動・3年生と合同 9 ープごとに発表した。 ・発表を聞くグループは「感想カード」 ※ 個人が特定できるような写真は未 掲載。 に伝わ ったことを メモしなが ら聞い た。 (4)活動の振り返りをして、自分にでき ることを考えよう(8) ・ 「感想カード」をもとに、グループでの 活動の振り返りをした。良かった点は より向上を、反省点は改善策を考える。 ・自分たちの活動を通して、 「自分はこれ からどうしていくか」 「自分にどんなこ とができるか」を考え、実行した。 (学校や地域、家庭へ、リサイクルの大 切さを発信・分別用ごみ箱を各クラス に配布・自分の家のごみ出し実態から、 計画を立ててリサイクルを進め、日記 で報告 等) (前期合計30時間) 3.活動を終えて ◇ 図工の学習で、番神海岸にて砂浜の漂流物を用いての造形活動を行った。活動後に出てきたごみ (ペットボトル、じょうろ、ホースなどのプラスチックごみが中心)を、種類別に分け、分別の意 識を持たせた。活動後の感想カードには、 「ペットボトルとホースは、違う種類のごみだと知った。」 「リサイクルできるごみには、マークがついていることがある。」と書いてある児童が多かった。 (ご みは、クリーンセンター見学に持参し、処理してもらった。) ◇ 社会科の単元入れ替えを行い、クリーンセンターの見学を6月に行った。社会の学習と併せて、 自分達の出すごみが、どのように処理されているのかが分かるとともに、「ごみの減量を進めてい かないと・・・!」(ワークシートの記述から)という思いを、児童に持たせることができた。 ◇ 学習したことを発表する時間には、ポスターや劇など工夫した方法で、自分達の学習した内容を 伝えようと努力する姿が見られた。発表を見る側には他者評価として「感想カード」を持たせ、各 グループごとの発表について、「工夫」「分かったこと」「感想」「アドバイス」の項目で書かせた。 「声の大きさ」や「発表時の役割」など、発表のテクニックに関するアドバイスが主だったが、 各グループの発表から「ごみの種類ごとの捨て方」「リサイクルに生かすための生活」など、普段 の自分の生活に生かしていける感想・意見も多数書かれていた。しかし、活動としての弱かった部 分を明確にし、次の活動へ強く意識付けるところまでは至らなかった。 ◇ 学習前、4年生に聞いたところ、「自分の家のごみをすてたことがある」「分別して捨てている」 「ごみ収集の日を知っている」児童が、一人もいないことがわかった。行っていても、意識してい ない児童もいると考えられる。発表の振り返り後、 「学校に分別ごみ捨てを呼びかけよう」 「自宅で できるリサイクル」など、各グループ・各児童がそれぞれ目的意識を持ち、自己の生活に生かして いけるようになった。ここでの活動で得たことを、また次の「福祉」単元につなげていく。
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