No,90 - 栄小学校

№90
平成27年4月30日
【発行】
豊橋市立栄小学校 校長室
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心を運ぶ
葉脈を透かして見上げた日ざしがまぶしい
やさしい一枚一枚の葉
一本一本の木
それが いつの間にか豊かに
たくましく
深くなっていきます
木々の間から見上げた
空の明るさに息をのんだとき
光が一瞬南に走っていきました
S男が、友達とトラブルを起こし、暴れ回っ
た。昨年度の担任から、S男の母親のことをよ
く聞いていた。何度、連絡しても、
「家では、とても優しくおとなしいこの子が、
そんなことするはずがない。何か他に原因があ
るのではないですか。」
年度初めの恒例行事とはいえ、四日間にわたる家庭
訪問ありがとうございました。SKE46№87 でお願いし
と、我が子は悪くない、理由は他にある、の一
点張りだという。電話で母親に事情を説明しよ
た「良好な信頼関係の第一歩」とすることができたで
うとする私に学年主任がこう言った。
しょうか。
「かっとなって友達に暴力をふるう子どもの
ある先生の家庭訪問の復命書に、以下のような記述
がありました。
様を聞くことは、親にとっては耐えがたいこと
であるし、我が子を信じたいという気持ちも痛
どの子も順調なスタートが切れていること
いほどわかる。こういうときは、電話や学校へ
がわかり、ほっとした。学級通信が親御さんを
の呼び出しではなく、あなた自身が家庭へ出向
安心させていることを知り、うれしかった。が
いた方がいいよ。相手の気持ちを考え、あなた
んばって書こうと思う。
の〝心〟を運びなさい。
少し心配している家庭のお母さんとも話を
することができたのがよかった。話してみれば
話の通じる方で安心した。
その日の夕方、暗い気持ちでS男の家を訪れ
た。トラブルのあらましを伝えると、案の定、
母親の言動は昨年の担任から聞いたとおりで
電話やメールは確かに便利なツールです。でも、相
あった。しかし、最後に、「今日は、先生と直
手の表情や仕草を見ることができないため、真意が伝
接会って話ができてよかったです。ご迷惑をお
わりにくいというディメリットもあります。単なる連
かけしますが、これからもよろしくお願いしま
絡事項ならともかく、トラブルが発生していたり相談
す」と、頭を下げる母親の姿を見て、これから
事であったりして、少なからず感情が入り込んだ内容
の対応に少しばかりの光明が見えたような気
であればあるほど、直接お会いして話をすべきだと思
がした。
います。昔から言いますよね。「話せばわかる」って。
慌ただしく過ぎ去っていく日常にあって、ほんの少
学年主任の「心を運ぶ」という言葉の意味が
わかったような気がした。
しの手間や面倒を惜しまず行動する。そのほんの少し
の手間や面倒の積み重ねが、お互いを理解することに
つながり、
「あの先生に任せておけば大丈夫」という信
頼につながっていくのだと思います。そんな FAMILY
SAKAE の職員であってほしいと願っています。
「教育羅針盤」第一集より