コマツ、4~9月期売上は前年同期比 5.3%減の 8924 億円

◇コマツ、4~9月期売上は前年同期比 5.3%減の 8,924 億円
-北米伸びるが、鉱山機械と新興国需要が大幅に減少-
コマツが発表した 2016 年3月期第2四半期
コマツの連結業績推移(単位:億円)
(2015 年4~9月)の連結売上高は 8,924 億円
(前年同期比 5.3%減)となった。建設機械・車
両部門は、北米で一般建設機械の需要を着実に
25,000
3,500
3,000
20,000
2,500
取り込んだものの、鉱山機械の需要低迷に伴う
15,000
2,000
販売減少や中国をはじめとする新興国の需要が
10,000
1,500
大幅に減少、売上げは前年同期を下回った。産
5,000
業機械他部門は半導体業界の好調な設備稼働に
0
ものの、全体として売上げは前年同期を下回っ
500
0
07
08
09
10
11
12
13
15 14
予
想
支えられギガフォトン ㈱の売上げが伸長した
1,000
売上高
た。
営業利益
利益は、為替が円安に推移する中、建設・鉱山機械の需要変動に対応するため継続的に行っ
ているグローバルでの構造改革を含む固定費の削減、および販売価格の改善に取り組んだもの
の、建設機械・車両部門の販売量減少による影響により、営業利益は 990 億円(21.2%減)と
なった。売上高営業利益率は前年同期を 2.2 ポイント下回る 11.1%、税引前四半期純利益は 978
億円(20.8%減)、株主に帰属する四半期純利益は 650 億円(16.5%減)となった。2016 年3
月期連結業績予想は4月 27 日公表値を据え置いた。
■建設機械・車両部門は前年比 5.9%減
建設機械・車両部門の売上高は 7,941 億円(前年同期比 5.9%減)、セグメント利益は 924
億円(20.9%減)。2月に日本で開始した建設現場の課題解決のためのソリューション事業「ス
マートコンストラクション」は、9月よりサービス運用を始めたクラウドプラットフォーム
「KomConnect」と、ICT 建機に新たに搭載した「ステレオカメラ」により、施工現場の全エリ
アを3次元データで掌握することを実現した。あらゆるモノが ICT でつながる建設現場の「IoT
(Internet of Things)」の実現により、顧客の施工全体の安全と生産性向上に貢献し、国内にお
ける ICT 建機の導入現場数は 1,000 を超えた。
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日本、北米、欧州で昨年から順次適用が
■建設機械・車両部門の地域別売上高(外部顧客向け)
(単位:百万円)
始まっている新排出ガス規制に対応した商
品については計 26 機種を開発し、販売拡
大に努めた。
建設・鉱山機械の新車需要が落ち込む中、
2015年4-9月
2014年4-9月
148,593
151,709
97.9
北 米
173,598
135,740
127.9
中南米
109,055
129,218
84.4
282,653
264,958
106.7
日本
米州 計
前年同期比
アフターマーケットの需要を着実に取り込
欧 州
71,426
74,410
96.0
んだ結果、部品売上高は伸びた。アフター
CIS
23,338
27,942
83.5
欧州・CIS
94,764
102,352
92.6
中国
34,654
62,383
55.6
マーケットの更なる体制強化を図るため、
小山工場(栃木県)敷地内に7月に竣工し
アジア
99,788
103,957
96.0
た小山テクニカルセンタで部品販生オペレ
オセアニア
56,968
72,595
78.5
アジア*・オセアニア
156,756
176,552
88.8
中近東
31,322
30,588
102.4
アフリカ
44,108
54,348
81.2
中近東・アフリカ
75,430
84,936
88.8
792,850
842,890
94.1
ーションセンタの機能を拡充した。~地域
別概況
<日本>
新排出ガス規制の強化を見据え
拡大するミニ建機の需要を取り込んだもの
合 計
※日本および中国を除く。
の、一般建設機械のレンタル業界向けの需
要が一巡した影響を受け、売上げは前年同期を下回った。
<米州>
北米は鉱山向けやエネルギー向けの需要は引き続き低調に推移したものの、住宅建
設および道路などのインフラ分野向けに需要が増加した結果、売上げは前年同期を上回った。
中南米は鉱山機械の需要が減少したことに加え、主にブラジルで一般建設機械の需要が低迷し
たため、売上げは前年同期を下回った。
<欧州・CIS>
欧州は主要市場を中心に需要を着実に取り込んだものの、為替が前年同期に
比べ円高に推移したことから売上げは前年同期を下回った。CIS では、鉱山向け部品の販売は
増加したものの、為替が円高に推移したことから、売上げは前年同期を下回った。
<中国>
中国政府による金融緩和などの景気下支え策は低迷する需要に対する効果が見え
ず、売上げは前年同期を大きく下回った。
<アジア・オセアニア>
アジアはインド、フィリピンなどで需要を取り込んだものの、最大
市場であるインドネシアなどで需要が低迷したことから、売上げは前年同期を下回った。オセ
アニアでは、鉱山向け需要が依然低調に推移し、売上げは前年同期を下回った。
<中近東・アフリカ>
中近東は主要市場であるトルコの需要が低調であるものの、オマーン、
カタールなどの湾岸諸国などの需要が堅調だったことから、売上げは前年同期を上回った。ア
フリカでは、主要市場である南アフリカの鉱山向け需要が減少したことから、売上げは前年同
期を下回った。
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■2013 年以降 3,500 人を削減、構造改革を推進中
リーマンショック後、コマツは第二次構造改革(2008~11 年)で、日本3工場、北米5工場
を閉鎖するほか、クロスソーシング体制(同一機種を複数の工場で生産)整備による投資抑制
を図ってきた。例えば、20 トン級ショベルは、世界9工場で同一モデルを生産するなど、数年
の需要減少に対し、人員能力は大幅に削減してきた。また、販売部門も大幅に人員を削減、需
要減少への対応として 2013 年以降 3,500 人以上の削減を実施してきたという。
海外では、マイニング直営代理店、マイニング工場(米・独)、建機工場(中国・ブラジル
・タイ・インドネシア他)でレイオフ、人員調整、希望退職を実施。国内では、工場から販社
サービス部門への応援出向派遣、期間社員・派遣社員の契約満了による縮少。補給部品改革で
は、パーツデポ見直し、リードタイム削減を実施してきた。中国、インドネシア、アメリカ、
国内販社では、会社・事業所の統廃合も進めたほか、固定費を増やさないための活動を実行。
トータルでは 200 億円規模の固定費削減を行ってきた。
■伝統市場では将来に向けた先行的な取組みを強化
コマツは、2016 年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「 Together We Innovate
GEMBAWorldwide」を掲げ、①イノベーションによる成長戦略、②既存事業の成長戦略、③土
台強化のための構造改革、を重点項目として活動している。足元の市場環境は、鉱山機械と新
興国の建設機械需要は、当面低迷が継続する一方、日米の需要は堅調に推移するとともに、欧
州についても緩やかな需要回復が継続し、伝統市場全体の需要は増加傾向にある。
こうした中、伝統市場での主な活動としては、第1に、Tier4 対応車の円滑な導入があげられ
る。コマツだけが提供している、特別保証プログラム「KOMATSUCARE」を提供することに
より、累計の出荷台数は4万台を超えた。
また、北米市場のレンタル比率が従来の 20%から 30%程度に拡大していることに対応して代
理店のレンタルビジネスをサポートする「DORF」を推進している。会計上リース扱いとなる
ため、売上げは後に計上されるが、配車台数を拡大しており、結果的に良質な中古車を循環さ
せ、中古車価格の向上が図れる。「コマツアメリカ」の売上げが増えたのは、この取り組みが
一つの力になっているという。
ICT 建機の市場導入については、品揃えの拡大による拡販を図る一方、日本で「スマートコ
ンストラクション事業」を推進する。自社レンタルとしての累計出荷台数は 約 450 台、新車で
売上げた場合でカウントすると 100 億円以上になったという。
■コマツの会見内容(2015 年 10 月 29 日)
---中国をはじめ新興国で需要環境が悪い中、現況と対応策については。
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大橋社長:中国の生産については、通常なら春節に向けて 11 月頃から在庫を積み増す。ところ
が現在の需要は前年比マイナス 50%の水準。我々としては来年の春節が本当にどこまで行くの
か分からないが、引きつけようということで、今は特段大規模な増産をしようとは思っていな
い。当社は在庫が殆どない生産体制にしているので、生産状況については、受注イコール生産
ということだが、来年の春節については今ある生産設備の能力で対応できるだろうと説明して
いる。
中国では6~10 月まで希望退職を募り、約 1,000 人の方々に退職してもらった。中国の工場
は余り仕事がないから色々効率化しようとしている。例えば、バケット工場の生産を車体工場
の方に集約したり、上海の補給部品工場も集約し、管理部門を集約統合、場所的にも集中させ
てオペレーションしている。北京にあったマイニング(鉱山機械)の部品工場も閉鎖した。
こういうこと(雇用関連)はあまりオープンにせずにやっている。組合や地元政府と事前に
よく話し合い、理解を得て進めている。中国はインターネットが普及していてこの種の情報は
あっという間に拡散するから粛々とやっている。今で終わったかといえば決してそうではなく、
まだかなりやることは残っている。
中国市場の回復時期については分からない。色々なデータを見ると、建機の需要が異常に低
いのは間違いない。「KOMTRAX」の稼働時間も対前年で2桁減から1桁減になったとしても
依然としてマイナスは続いている。いくつかの期待材料はあるが、この国はまだ何があるか分
からない。
個人的にウォッチしているのは 2016 年からの5ヵ年計画を策定する事前の会議の結果だ。数
字は出ないと思うが、近いうちに考え方が示されるだろう。それが 12 月の「経済工作会議」で
発表され、反応を見ながら3月の「全人代」までに具体化される。このあたりをよく見ておけ
ば、2016 年の春節需要を決める一つの要素になる。インフラ絡み等が動き出すことになれば、
我々のお客様も動き出す可能性がある。今は何も分からないが、ウォッチしていく。
はっきりしているのは中国の経済政策等については分からないということ。今年初めからの
金融政策がいくつか打ち出される中、実際にやるのかなという話はあるが実際には出ていない。
財政政策を実行するのは地方政府だが、地方政府にお金がなく、地方政府が持っている負債の
借り換えが進んでいる。いわゆる地方債は発行してはいかんという話が、借り換えを許し地方
債の発行を許して、それが3兆元位まで来たかな。そうして地方政府が土地開発等いろいろや
ってきたお金の借り換えが進んでいる。そうなると一息つくのではないか。だから去年と比べ
ると、現時点では地方政府の債務という点では一息ついたのは間違いないが。
---3,500 人削減したとの話だが、当面どれほどの規模が適正となるのか。また、需要減少
が著しい中国での対策については。
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藤塚主夫専務:まず、3,500 人減らしたのは正規従業員だけでなく臨時雇用も含めている。グ
ループ全体では、臨時従業員も含めて 2012 年度末に5万 2,000 人強だったのが 15 年9月末で
5万 800 人位とそれほど減っていない。この間 1,400 人位減ってきたが、その中に 3,500 人の減
少が入っている。差し引き別のところで 2,000 人ぐらい増えている。
最近ではメキシコやブラジルで代理店を買収したことが大きい。今まで入っていなかったバ
リューチェーンを拡げ、売上・利益を増やそうとしていることがある。そうしたことで増加し
た人員がたぶん 1,300 人位。加えて試験研究関連でも少し増やしており、排ガス規制対応(Tier4)
もあるし、これからは新興国向けモデルの開発、あるいはプレス、「スマートコンストラクシ
ョン」への先行投資ということで、研究開発部門でいえば、この数年間に 1,000 人位増やして
いると思う。
つまり、強化すべきところは強化、あるいはバリューチェーンを拡げるところは拡げていく
ということ。人数的にはかなり増えるが、売上・利益にも効いてくる。減らすところは減らす、
増やすところは増やすという考え方でやっている。
大橋社長:人員については、国によって雇用のセーフティネットがしっかりしている地域とそ
うじゃない地域があり、アメリカなどは雇用のセーフティネットがしっかりしていて、レイオ
フ(業績悪化などを理由とする一時的な解雇)してもその後仕事が戻ったら再度雇用するとい
うのがごく普通の地域と、解雇がすごく難しい地域もある。
我々としては、大規模なことはなるべくしなくても良いように、事前にクロスソースなども
やっているし、今他の会社が取り組んでいるような構造改革も 2008 年から 11 年にかけて8つ
の工場を閉めて人を減らした。日本の3工場も閉めたけど人は維持した。北米は残念ながらセ
ーフティネットがしっかりしているから、かなり辞めていただいた。
これ以降クロスソースを徹底させて、人は増やさないのが大事だと思ってやってきた。どこ
かの会社が1万人削減とかいう話を聞くと、私から見たら果たしていかがなものかなと思って
いるので、我々としてはセーフティネットがある地域では我々もイコールフィッティングでや
らせてもらうが、それ以外のところでは事前に細かい構造改革を積み重ね、採用抑制等やるこ
とをやっている。
実際、ここまで固定費がネットで人件費アップ分合わせて 200 億円減っているというのは、
結果としてはかなり大きな金額だと思う。
中国では、済寧地区(山東省)でも会社を分割していたのを一つの会社にまとめて事務部門
の統合を終えた。例えば、コンポーネントの方が忙しく、採用したいという状況になれば本体
組立の方から人を回すということもしているので、事務部門を集約しているのが効いているの
ではないかと思っている。
-5-
協力企業「みどり会」各社は本当に今仕事が薄いと思う。特に中国の減少で見るならば、車
体は全て中国で作っているため、エンジンや油圧機器といったメインコンポーネント向けの部
品を作っている小山工場(栃木県)のサプライヤーに影響が出ており、栃木県や長野県のサプ
ライヤーが一番大きく影響を受けているのではないか。一方、石川県のサプライヤーのうち自
ら中国に出ている会社は大分ご苦労されているようだ。我々としてもできる限り相談しながら
サポートしている。
サポート・支援策の内容は、一般論としても言うことはなかなか難しいが、例えば仕掛かり
や材料の買い取り、機械設備もモノによってはコマツが買って貸与したり、社内の仕事を彼ら
に出したり。ただ、会社や職種によってできる職種とできない職種もある。
---鉱山機械についての現況は。需要回復は 2017 年以降と言っているが。
大橋社長:これもよく分からない。ただ我々のところでいえば、キャッシュカット、コストカ
ット、オーバーホールも延期したりというお客もいるが、もう耐えきれなくなっている。現状
ではオーバーホールがだんだん増えてきている。例えば 10 台とか 20 台持ちのフリート全体が
老朽化しても全体を入れ換えはしないが、1台、2台と入れ換えるという形が多くなっている。
つまり我慢比べの状況になってきている。
ただ、資源価格が落ちているから彼らは投資に踏み切れていない。私は長いことこの状況が
続くとは思っていないが、今の資源価格のマインドと経営者のマインドからすると 2016 年の回
復はまずないなと。17 年から復活するかといわれればそれは分からないが、資源別で見ると一
番復活の可能性が高そうなのがまずは銅、それから燃料炭。一番ダメなのが鉄かなという感じ
を受けている。
資源各社は暦年決算で、来年度の計画はちょうど今立てている段階。11 月末くらいに来年度
計画を公開するが、それを見ない限りはどうか分からない。鉄に関しては純度の高いところと
低いところでは全然経営状況が違う。
我々も鉱山機械に関しては来年も期待していない。私は新興国と鉱山が減る中でどうやって
改善していくかを考えて進めていく。要は、マイニングのお客さんが今の生産能力を維持する
のかどうかが問題になる。今の生産能力を維持するのであれば厭でも入れ換えざるを得ない。
そうすると設備が動く。
ただ、今見てみると、生産量を維持しなければいけないというのは、いくら価格が下がって
も需要と供給から見て銅などは生産は落とせない。燃料炭も基本的にアメリカ政府は火力発電
所がいかんと言われているが、現実にはアメリカ各地で燃料炭で発電している。だから燃料炭
もそんなに落ちない。可能性として落ちるかも知れないのは鉄。鉄は品位のいい西オーストラ
リア産とかブラジル産など品位の良い高純度の鉄鉱石はあまり落ちない。ただし、純度の低い
-6-
低品位のものは生産コストも高いので、たぶん減っていくだろう。低品位の鉱山のお客と高品
位の鉱山のお客がどれだけあるのかが、鉱山機械におけるこれからの競争になっていく。
---日米欧「伝統市場」の現状と取り組みについては。
藤塚専務:国内需要はレンタルの利用が冷えているが、一般の顧客はまだ比較的堅調に推移し
ている。国内売上高は減っているが、「コマツ建設機械販売」の売上げは前年度比で増えてい
る。国内の売上げが減っているのは、「コマツキャステックス」の協力企業向け売上げが減っ
たり「コマツ物流」の日本での仕事量が減ると、その売上げが減る。主力の建設機械の売上げ
はまだ対前年プラスをキープしている。日本の建設投資は少しは下がっているが、そんなに悲
観していない。
足元では、排ガス規制の駆け込み需要の反動で建設会社向けの売上げが落ちているのかなと
いうことがあるが、直近のボトムだった 2010~11 年に比べれば全体のレベルとしてはずいぶん
上がってきているので、そんなに大きな心配はしていない。
大橋社長:「伝統市場」というのは過去 30 年、40 年で見ると非常にサイクリカル、循環的だ。
そんなに一本調子で上がるということはなく、基本的に景気の循環より建設機械の需要が先行
しているのが普通。いつまでも良いということは多分ないだろう。
そこで先進国がスローダウンすると、そのお金がどこかに移行しなければならないというこ
とで新興国に向かうというサイクル。過去、先進国は7年とか 10 年サイクルといわれていた。
新興国は 2003、04 年頃を底にそれ以降一本調子で増えてきたが、現在は落ちている。新興国も
多分サイクリカルになってくるだろうと思うので、私としては一本調子では増えないと思って
いる。
「伝統市場」は 2013 年の時点でマイニングは落ちかけ、新興国は落ちると思っていなかった
が、その中で Tier4 車を入れた。今までなら機械を開発して販売するだけだったが、今回は代
理店に点検を任せるようにして、フィルタの交換もするし、DPF(ディーゼルエンジンの排ガ
ス中の有害物質を含む微粒子を除去するフィルタ)を入れ換えるという「KOMATSUCARE 」
という無償定期メンテナンスサービスプログラムを作った。これはコストかかるが他社がやっ
ていないので、一番効いてくると思う。
レンタルは日本ですでにやってきたが、北米ではなかなかレンタルができていなかった。最
初はレンタル料だけしか売上げを上げられなかったが、結果として徐々にカスタマーベースが
拡がり、中古車価格がかなり上がって成果がでてきている。今後カスタマーベースが拡がり、
もっと大きな取引に拡がるかどうかは、これからウォッチしていく。
情報化施工についても、欧米では機械を開発して作って売ってる。それだけではなかなか次
の道が拓けないということで、日本で「スマートコンストラクション」をやったら非常に好評
-7-
だった。今後、これを海外にも展開していこうとしている。
---需要見通しと「スマートコンストラクション」に続く次の一手は。
大橋社長:それははっきり分からないが、いま新興国と資源国が悪い中、お金が集まっている
のは先進国。そのお金を何に投資するのかだが、少なくとも今は新興国とか資源国に向かって
いないのは事実で、アメリカや日本、あるいはヨーロッパの一部の国にお金があるわけだから、
その意味では条件としてはそんなに悪くないと見る。
「スマートコンストラクション」については、ステレオカメラを出したばかりなので次の一
手は明らかにできない。社内で色々やっている最中で社会に出す段階のものはない。海外は情
報化施工機を販売して使ってもらっているが、フル活用されているかどうか。私自身、自分の
スマホは一部の機能しか使えない。
普段使っているスタンダードな機械でも、こんな機能があるんですよと説明すると『そんな
の知らなかった』というお客さんが大変多い。そういう意味では情報化施工機は大変人気だが、
使われ方を見てみるとこの機械の機能からすればまだもったいない不十分な使われ方をしてい
る。
我々としては、レンタルのような、もっとお客さんのそばでサポートして、使い方を示して
活用していただくというアクションが必要かなと。いまアメリカで我々が持っている代理店で
日本と同じような方法でトライしている。そうしてお客さんに使い方をもっと提示していく。
そこをモデルとしてアメリカに広めていく。
---経営環境が厳しい中、心がけている点については。
経営環境が厳しい時ほど社内だけでなく外注先も含めて全員で情報を共有する。包み隠さず
現状を示して、認識を一つにするのが大事だと思っている。我々は業界の中でどういうポジシ
ョンにあるか。我々は利益率は強いし、バランスシートも強い中で、今でこそ「スマートコン
ストラクション」や米国の「DORF」など、やれるべきことをやっておく。スピードを上げて
みんなでやっていく。年度と半期の決算発表は全社員に対し私が2時間ほど話している。英語
版でも海外に流している。各地の拠点やサプライヤーに出向いて説明もしている。ポイントは
オープンに事実を出すことだと思う。(了)
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