第26 回 iSUC 福岡大会 セッションタイトル「デモで魅せます 最近の Session Speaker Interview IBM i」 進化する IBM i の、意外に知られていない 便利な機能と使い方をまとめて紹介 IBM iの魅力を過去12回、iSUCで語ってきた西上功一郎氏。13回目の登場となる今年のiSUCでは、外部ストレージを使っ た新しいソリューションなどを用意している。 西上 功一郎氏 86 日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社 グローステクノロジー Advisory IT Specialist i Magazine(以下、i Mag) 東京工業大学のご出身なん 西上 IBM iで新機能が出てくると、そのドキュメントを読ん ですね。 で実機で検証し、その特徴や使い方を、IBM やパートナー 西上 情報工学科から大学院の知能システム研究科へ進 様のエンジニアに説明する役割です。説明のための資料を作 み、人工知能を勉強しました。そのかたわら、研究室のサー り、ワークショップを開き、イントラネットの Q&Aシステムで質 バーの管理を担当させてもらい、Linux や Windowsを触っ 問に答えるという仕事でした。 ていました。どちらかというと、プログラミングよりもOS やシス i Mag Linux や Windows の経験からすると、IBM i の印 テム管理のほうに興味がありました。 象はどうでしたか。 i Mag そしてISE(日本アイ・ビー・エム システムズ・エ 西上 コマンドやヘルプが充実していて、何と親切なOSだろ ンジニアリング)に入社されるのですね。 うと感嘆しました。Linuxでコマンドを使う時、ヒントがないと 西上 2002 年の入社です。入社してまもなく、会社からz、 操作は非常に困難ですが、IBM iではF1キーを押せば、使 i、pのどれを担当するか選んでよい、と言われました。zは今 い方がすぐに理解できます。それに、IBM iのCLプログラム のz Systems、iはIBM i、pは当時のSystem pで、OSは は、Linuxのシェルスクリプトと比べると驚くほど簡単で、すぐ AIXです。先輩から「iならば何でもできる」というアドバイス に使うことができました。とにかく、JavaやCなどメジャーな言 を受け、私もいろいろなOS や言語に関心があったので、iを 語やツール、OS が扱えるのが楽しかったですね。 選択しました。i の上ではLinux や Windowsなどさまざまな i Mag それからどのような担当ですか。 OS、ツール、言語が使えます。この選択は自分にとってよかっ 西上 しばらくしてから、お客様のプロジェクトに入って実装 たと、今振り返っても思います。 を手伝うようになり、2008~2009 年には日本 IBMに出向して、 i Mag どのような仕事に就いたのですか。 営業支援のテクニカルセールスを担当しました。その出向の 2015.11•12 086-087_15imag11_iSUC01_FIX.indd 86 2015/10/08 20:33 U 研・ 発見! 少し前に(2007 年) 、Redbook 執筆のために4 週間ほど米 西上 見方を変えれば、新しい機能がどんどん出てくるとい 国に出張しています。 うことですね。そこが IBM i の凄いところで、言うなれば、 i Mag その Redbookはどのようなテーマですか。 IBM iは進化するOSなんです。もちろん、新機能が追加さ 西 上 IBM i の 仮 想 テープライブラリ(TS7510) の 最 れても、その後使われなくなってしまうのもありますが、そうで 新 機 能とそ れを使った BRMS(Backup Recovery and あっても新しい技術を継続的に取り込もうとする姿勢が一番 Media Services) の 解 説 でした(*1)。TS7510 は、 今 の 大事で、ロチェスター(IBM iの開発拠点)のエンジニアた ProtecTIER(仮想テープシステム)の前身です。 ちは大したものだと思います。 i Mag 仮想テープライブラリは、今まさに、IBM i ユーザー i Mag CAMSSのような新しい分野への対応はどうですか。 の間で広く受容されつつある製品・技術ですね。 西 上 CAMSS は、IBM の 分 類 で 言えば SoE(System 西上 私が Redbookを書いていた頃は、ちょっと早すぎたの of Engagement) に 当 たり、IBM i は SoR(System of かもしれませんね(笑)。 Record)で、双方は相互に連携し合う関係です。これか i Mag IBM iはこの 10 年間にどう変わりましたか。 らIBM iとSoE、CAMSSとの連携はますます重要になるで 西 上 最も大きな進 展は、オープン系 技 術の取り込みと しょうし、その連携を担えるのはIBM i の技術者だけです。 仮 想 化 技 術 で す。IBM i の 仮 想 化 は、LPAR に 始まり CAMSSに関しては、IBM i のエンジニアにとって面白い展 PowerVM や Virtual I/O Server(VIOS)が登場し、外 開が、今後いろいろと出てきそうです。 部ストレージに加えて、最近ではProtecTIERなどの仮想テー i Mag ユーザーの間では、IBM iをDB マシンとして位置 プシステムが脚光を浴びています。この10 年で、IBM iの仮 づけ、アプリケーションは別サーバーに担わせる考え方もあり 想化技術はひととおり出揃ったという印象です。 ます。これについてはどう思いますか。 一方のオープン系技術は、Javaに始まり、PHP が使えるよ 西上 その分野こそ PHP や Node.js のようなテクノロジーが うになり、最近ではNode.jsやPythonに対応しています。私 フィットするのだと思いますね。IBM i 上のデータを活用する もついこの間、Node.jsを使ってモバイルアプリケーションを書 アプリケーションが簡単に、手軽に開発でき、IBM i 上で稼 いてみましたが、非常に簡単で、Node.jsをうまく利用すれば 働できます。PHP や Node.jsなら気軽に開発でき、変更も簡 PHPよりも簡単にIBM i 用のアプリケーションが開発できると 単に行えるんですね。 思いました。今回のiSUCでは、OpenSource 協議会 –IBM しかし思い返してみれば、RPGこそ、もともとは気軽に開 をされるので、とても楽しみにしています。 発できる言語だったはずです。RPGも昔のままのRPGではな Sess i on S pea k er I nt er v i ew◉ iのメンバーが“Node.js on IBM i”をテーマにしたセッション (*2) く、オープン技術なども取り入れて、さらに進化を続けていま i Mag 西上さんご自身は「デモで魅せます 最近の IBM i」 す。この先、RPG が再び脚光を浴びることもあるのではない というセッションをおもちですね。 かと思ったりします。 西上 最近のIBM iにはこんな便利な機能があり、こうした i Mag 西上さんにとってIBM i の面白さは何ですか。 使い方ができますという具体例を、デモでお見せしようという 西上 オールインワンということに尽きますね。IBM iに加えて、 セッションです。 Linux や AIX が同一筐体で動くという、選択肢の多いプラッ トフォームはほかにありません。そしてOSだけでなく、WAS 登場しています。たとえば ProtecTIER では、FlashCopy (WebSphere Application Server) 、Dominoなどのミドル 機能を使って、コピーした先の環境で疑似的な本番環境や ウェア、データベース、オープンソースプロダクト、代名詞で テスト環境を構築したり、コピー先でバックアップを取り、バッ あるRPGなど、 多種多様なプロダクトが稼働しますから、 サポー クアップ全体の時間を短縮するような使い方が可能になってい トする側にとっては興味の尽きないプラットフォームです。IBM ます。コピーしたものの活用ですが、外部ストレージを利用す iの進化が、私自身を成長させてくれた、と感じています。 西上 功一郎 氏 ここ数年、IBM iのインフラ周りでは面白い機能がたくさん るのが新しいところです。また、HAでも新しい機能が登場し ています。そうした意外に知られていない面白い機能や使い 方を、たくさんご紹介しようと思っています。 i Mag i Magazine の前号で USBポートを利用するバック アップソリューションを紹介したら、 「IBM iで USBが使えた んですね」という反応が読者からありました。IBM iでは知ら れていない機能がたくさんありますね。 (*1)Redbook『IBM Virtualization Engine TS7510 Getting Started with i5/OS and Backup Recovery and Media Services』Kohichiroh Nishiue ほか共著、 2007 年 https://www.redbooks.ibm.com/Redbooks.nsf/RedbookAbstracts/ sg247510.html (*2) 「IBM i でもっとオープンソースを活用。サーバーサイド Javascript の使い方 Node.js on IBM i - 」10 月 14 日 15 時 10 分〜 16 時 10 分 http://www.imagazine.co.jp/ 086-087_15imag11_iSUC01_FIX.indd 87 87 2015/10/08 20:33
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