「貧困」に地域はどう取り組むのか

講 演会保録
. 基調講演
「貧困」に地域はどう取り組むのか
ードイツ求職者基礎保障の事例を中心に一
講演者
はじめに
武 田 公 子 氏*
大きなテーマは貧困問題に地域がどう取り組
EU:
l
l固におりる多元的止ま貧困対策
むかと いうことなのですが、そのなかで、この
ドイツ ・ハルツ改革
あとのご報告にも出てきます生活困窮者自立支
認可自治体壬デル選択の背景
援法と いうのが一つのキーワードになります。
一 長期失業者支援における自治体の役 割 ー
臼本への示唆
ちょ っと 聞き慣れないかもしれませんが、来年
'
項ー
ー留保
・f
の 4月からこれが実施されると いうことで、今
全同の向治体があたふたしているところです内
はじめに
とれまで生活保護の網に引 っかか らないけれ
まいいるという
ども 生活困窮している人がい っ4
皆さんこんにちは。武田と申します。よろし
くお願いいたします。
ことは漠然と知られていることでした。数年前
の厚労省の試算によりますと、こうした生活困
ご紹介いただきましたように、専門分野が財
,
0
0
0
万人、人口の 3分の lから
窮者は全国で3
Lの分野
政学、地方財政論といっ分野でして、こ
4分の lにも達するといっ ζ とがはっき りし て
でなぜ貧問者与やっているのかとちょっと不思議
きたのです内そういう人たちに対して牛活保護
に恩われるかもしれません。財政学者のなかで
をち ゃんと支給すればよいようなものを、 生活
社会保障分野に足を突 っ込むと い うのはわりと
保護に入れるのではなくて、その手前Jで食い止
少数派のほうなのですが、私がなぜこの問題に
めようというのがこの生活困窮者自立支援です。
関心をもつようにな ったかというと、そもそも
ただ、それを実施していく体制が十分とはい
ドイツの地方財政を対象に研究していたからな
えず、それぞれの自治体で今体制づくりをして
のです。
いるところなのですが、役場だけでこれを実胞
ドイツの市町村財政安調べていたところ、長
室
する体力がないので、実態としてはほとんど民
出の 4分の lくらいが、日本でい う生活保護費
間に丸投げをしています。すでに一部モデル事
で占められていたのです。日本では、最近増加
業が始まっているところですけれども、多くは
してきていてそれでも 8 %程度、いちばん高い
社協に丸投げしているところが多いのです。で
大阪で19%程度です。それに対してドイツでは
も、丸投げされた側もそんなに経験が豊富にあ
市町村の支出の25%も生活保護費が占めている
るわけではなくて、生活困窮している人をどう
というのはどうも不思議だなと い うことでいろ
やって自 立させるかと いうノウハウが十分に あ
いろ調べ始めたのがと っかか りです
内
あわけではあ り支せん内
今日は「貧困に地域はどう取り組むのかJと
それから、もう 一つの問題として指摘されて
いうテーマでお話しさせていただきます。時間
いるのは、自治体の内部の体制が従来の生活保
が限られているなかで、ちょ っと 早足になるか
護の部局だけがやればよいという雰囲気にとど
もしれませんがよろしくおつきあいください。
まっていまして、もう少し役場のなかで綴断的
本
金沢入学人聞社会研 究域経済学経営学系教綬
-57一
地域経済
第3
4号
2
0
1
5
.
3
な取り組みになればよいのにいうこともよくい
EU
語国における多元的な貧困対策
われています。
今日の話は、来年度から始まる生活困窮者自
立支援法に向けて、 ドイツの経験から何が言え
先ほどドイツの市町村では生活保護費が市町
るかということです。私自身はドイツの研究を
村の歳出の25%を占めていたという話をしたの
長年やってきたものですから、そとで見聞きし
0
年
、 2
0
年前の話です。
ですけれども、それは 1
0年
てきたことを踏まえると、ちょうど日本の 1
そのころからドイツを含むEU諸国、ヨーロッ
0年前のドイツ
先をいっていると思うのです。 1
パ諸国では‘いろんな貧困政策に取り組み始め
で、ちょうど今日本でやろうとしていることに
年代から「貧困との闘いj
ていました。特に 90
類似したことに着手していたという感じです。
というスローガンの下で、貧困問題へのさまざ
おそらく目本の厚労省の官僚も、外国の事例を
まな取り組みが始まコています。
いろいろ調べて、こんなのが使えるのではない
第ーは、雇用政策としての枠組みです。マク
かと引っ張り出してきた、そして作った仕組み
ロな国レベルの雇用政策を EUのなかで各国協
がこれだと思うので、すでに始まっている諸外
調してやりましょうという欧州雇用戦略という
岡の事例に学ぶというのも一つの手かなと思っ
0
0
1年に、各同で
ものがあり玄す拘そこでは、 2
ています。
地峻雇用戦略というのを策定しようという勧告
図 1は、生活困窮者自立支援法の対象者がど
が出ているわけです。雇用政策というのは確か
のくらいいるのかということを、石川県内の自
にマクロなレベルで、中央政府がやる部分は大
治体を例に計算してみたものです。いわゆる貧
きいのだけれども、もう少しローカルなところ
困というのは、中位所得の50%という言い方を
でやってもいいのではないかということを模索
しますけれども、全人 U を所得順に並べたとき
し始めたりがその己ろといっーとになります。
に、ちょうど真ん中にいる人の所得の半分以下
第二には、公的扶助受給者の就労向守:支援、
の所得で生活している人々を指します.それに
これがまさに生活保護の自立支援にあたるわけ
類似する指標として、住民税の均等割非課税者
9
9
0
年代後半あたりから
ですね。 E U諸国では 1
というのが大体それに匹敵するものとして厚労
0
0
5年
着千ーされています。日本でいいますと、 2
省の試算で使われています。
O
年ほど前に、生活保
ですからちょうど今から I
9
市町に関して、均等割の非課税
石川県内の 1
護自立支援という、とれもモデルプロジェク卜
士、生活保護ギを縦軸にとって
者の比率を横軸l
が始まっています。ただ日本では、一部成果は
り非課税者か
プロットし支した伺横軸は均等割l
あったけれども、だからといって牛楕保護の受
ら被扶養家族を除いていますから、厩ね貧困世
給者が減っているわけではないというところで
帯をあらわしています。縦軸にとっているのは
す。その後、リ←マンショックもあって大量の
生活保護の受給率、これはパーミル(%)つま
失業が出て、貧困問題がこれで解決するわけで
O
O
O分の 1であらわしています。石川県内の
りL
はないととが明らかなっています。
いちばん高いところで12‰、1, 0
0
0人のうちの
EUでも同様の状況がありまして、大量の公
1
2人が生活保護を受けてい るにすぎないのです
的扶助受給者を自立させるために、いろんなス
が、その実態としては、 25%くらいの人が貧問
ローガン手掲げて取 η細みが推進されました内
状態にあるという こと がわかります。つまり 、
一つは、フ レキシキュ リティという変な英語の
これまでの生活保護の仕組みではとうてい受け
スローガンです。これは、一方でフレキシピリ
とめ切れないほど多くの人が実際に貧困状態に
テれつまり労働市場の抗野j化を促そうという
ある。 4月から自治体はとれを何とかしなけれ
動きで、その結果低賃金の雇用や非正規の雇用
ばいけないということであたふたしていると、
が増えているような状況が生まれているのです
そういう状態なわりです。
が、それらに対してはセキュリティ、社会保障
- 58一
講演会保録
制度でちゃんと受けとめましようというもので
クと福祉事務所が一緒になったようなジョブセ
す。あ るいはアクティペーションというスロー
ンターというものを、パイ ロットプロジェクト
ガンもあります。なかなか仕事に就くことがで
としてつく ったわけです。ほかのところでは、
きなくて長期間失業状態にある人を活性化しよ
主に国が設置するハロ ーワークのようなジョブ
うと いうもので、 職業訓練や資格取得促進、就
センターというのがつくられたわけです。
労の習慣づけ等を内容としています。あるいは、
オランダでは、自治体ジョブセンターといっ
ワークフェアというスローガンもありますが、
て、まさに市町村単位でジョブセンターをつくっ
これは制裁を与えてでも働かせなさいと いう考
ています。
え方です。このように、いろいろな考え方が示
ドイツはデンマークとよく似ていまして、こ
され、様々な方法で就労支援が取り組まれるよ
うになってきていました。
0
0
5
年のハルツ改革の
れはあとでお話しします2
泣
なかで、ジョプセンターというものを企固に i
持続可能な欧州都市j というス
第三には、 f
くようにな ったのですけれども、そのときに自
ローガンのなかで、都市の再開発、まちづくり
治体だけで取り組むジョブセンターというもの
の分野で貧困問題にアプローチすると いうもの
も実験的に認めたという経緯があります。つま
です内都市の再開発者号するときに、貧同問題安
り、デンマーク、オランダ、 ドイツで共通して
抱えている地域、都市の中心部でスラム化して
いるのは、自治体つまり市町村が雇用政策に乗
いる地域に関して、そこに住んでいる人たちを
り出すような部局をつくった経験をもっ国々と
その社会のなか、コミュニティのなかに取り込
いうことです。ですので、ちょっとこのパタ ー
みながらや りましようという理念が登場してき
ンに注目してお話をしていきた いと思います。
たりしています.
以上りょっに、貧困問題に対しては、雇用政
ドイ γ ・ハ ル γ改 革
:支援
策だけではなくて、公的扶助受給者の向 v
もあり、まちづくりもあり、いろんな面から取
ドイツ ・ハルツ改革といいますのは、2
0
0
0
年
り組まれるという傾向がヨーロッパでは見られ
代前半に施行された一連の労働市場改革を指し
るわけです。
ますが、そのうちの一つであるハルツ第四改革
そのなかで私が今日注目するのは、では誰が
0
0
5
といわれるものが最も大規模な改革でした。2
中心になってこの「貧困との闘いJを実施する
年ですから 、今からちょうど 1
0
年前に行われた
のかという組織の問題なのです。 ヨーロッパ諸
)
こω改誌についてお話をします(図 2。
問の場合、多くはジョブセンターという機関手
日本でも何か同の審議会安つくったときに、
設けています。日本でいうとハローワークある
座長の名前をつけて何々委員会とかいいますね。
いはジョブカフェのイメージとしてとりあえず
それと同じで、ぺ←ター ・ハルツというフォル
おさえておいていただければいいのですが、仕
クスワーゲンの取締役の人を委員長に据えたハ
事をあっせんするとか、職業訓練をやるとかい
ルツ委員会というのがありまして、そ とが提唱
う業務を担うジョブセンターというのが各国で
した改革がハルツ改革です。
つくられています。ぞれの組織のあり方で私が
社会
図 2の上半分が改革前の仕組みです。 f
注同すあのは、デンマーケとオランダとドイツ
扶助J とあり去すが、これが円本でいう牛活保
で共通した試みがなされていたということです
護にあたる制度です。改革前の社会扶助という
(表 1。
)
のは市町村レベルで取り組まれる仕事でした。
0
0
7
例えばデンマークを見ていただきますと、 2
日本でもそうですね。生活保護は一応市が、町
年にジョブセンターというものを全国につくっ
村の場合は県が実施しているわけです。それか
て、そのときに自治体と国が共同で設置をした
ら、連邦雇用庁といいまして、日本でいうと厚
生労働省の職業安定局のようなものがあり、そ
ジョブセンタ←、日本でいうとまさにハローワ←
- 59一
地域経済
第3
4号
2
0
1
5
.
3
の地域機関が労働局ですから.これがまさにハ
府がやるのか地方がやるのか.日本でいうと国
ローワークですね。それが実施している失業手
がやるのか地方がやるのかという話なのです。
当、これは日本と共通していますが、保険原理
この問題をめぐってはかなりすったもんだし
による給付があります。失業保険に入っている
たわけですが(表 2)、求職者基礎保障では、
人は失業したときに失業手当を受ける仕組みで、
大きく分けて二つの実施主体のモデルを認めま
その仕組みを担っているととろが労働局です。
した。 一つは、雇用工ージェンシーというハ
それから、失業保険が切れたあと、税財源でもっ
ローワークと自治体が協同の機関をつくるもの
て.給付水準はちょっと低くなりますが.給付
です。ちょっとややこしい説明になるのですが.
を受けられる失業扶助というのがありました。
ARGEというのはアルバイトゲマインシャフト
ですので、改革前のドイツには、失業した場
(Arbeitsgemeinschaft
)の略称で、協同機関の
合には三つのセーフテイネットがあコたといわ
意味で、 AROE(アルゲ)と呼びます。固と地
れています。すなわち失業保険の手当、それが
方とー絡になってつくる機関が ARGEです。
切れたあとは失業扶助という給付、それからそ
それから、自治体が単独でやっていくモデル、
もそも保険に入っていなかった人については社
これを「認可自治体モデル」といいますが、こ
会扶助と、三つのセーフテイネットがあったわ
の二つのモデルで試行してみて、どちらがいい
けです。
か競争してみましようということをやったわけ
しかし、失業扶助と生活扶助というのは非常
です。ところが、これがいろいろな問題を伴っ
に近接していて、失業扶助の金額が少ない人は
年くらいこれでもってパタパタ
て、そのあと 10
あわせて生活扶助で補うというようなことがで
したという経緯があります。
最初は、施行直前の2
0
0
4年に、実験条項とい
き、両者の聞には併給者、 一緒に受けている人
がけっ ιラ多かったわけです。ですので、
ζの
うりを設けて、自治体が単惣でやるといっモデ
ニつ経一緒にしてしまえというのがハルツ第四
ルを実験的に認め玄しようということにな η玄
した。そして2
005
年に実施が始まったのですが、
改革でした。
図 2の下半分が改革後ですけれども、求職者
2
0
0
7
年には、先ほどいいました ARGEという連
基礎保障という仕組みが新たにつくられました。
邦と市町村が一緒になってつくる機関、これは
ドイツには社会法典という法律がありまして、
憲法に違反しているというすごい判決が出てし
その第 2編にあたります。以下、社会法典第 2
まったのです.
編とか、 SGHEとかいうように出てくるのはこ
なぜかというと、説明が長くなりますが、日
の法律、求職者基礎保障法安指し支す内従来の
本でも問と市町村が一緒になって何か表すると
社会保険原理による失業手当は「失業手当 IJ
いうことはあまり望ましいことではないとされ
として引き続き残っています。これは社会法典
ています。固と市町村が一緒に業務を行うこと
第 3編という法律による給付です。
になったら 、国が地方自治を阻害することにな
改革後は、 1年以上の失業者、あるいはそも
りますし、その責任はいったい固なのか市町村
そも失業保険に入っていなかった人たちで就労
なのかわかりにくくなるわけです。ドイツでも
能力があると認定された人は、求職者基礎保障
そのように考えられていまして、ぞれは混合行
という什紺みのなかで給付存常けて向 "'("; 支援存
政として憲法が禁止する行為がったわけです拘
するという仕組みがつくられたのです。
ですので、 ARGEという連邦と市町村が一緒に
その際に問題になりますのは、この求職者基
礎保障というのは、自治体が担っていた社会扶
なってつくる組織は懲法違反だという判決が出
てしまいました。
助、それから連邦機関が担っていた失業扶助、
そ ζ で、どういう改革をしたら合意になるの
この二つを統合したものなので、ではいったい
かということでいろいろ検討されたのですが、
どっちが担うのだろうということです.連邦政
最終的にどうしたかというと、ちょっと恐ろし
- 60一
講演会保録
い話ですが.慾法を改正してARCEを合慾化し
道されていたと思います.2
5年前.ドイツは東
たということなのです。つまり、 ARGEという
西に分かれていたということを、もはや知らな
組織を憲法の例外上の存在にしまして、これだ
5
年前に東西
い世代もいっぱいいるわけです。 2
けはしょうがないから認めましようというかた
5年たってもまだ
が統ーしたのですけれども、 2
ちで、態法を改正することによって合意状態を
東と西の格差というのは、一時期狭まったので
つくりだしたのです。
すが、最近また拡大するようになってきました。
憲法を改正することで合憲化するというのは
恐ろしい話ではありますけれども.このARGE
東部州のほうはかなり失業率が高いわけです。
その失業ネの高い地域でも .自治体が単独でや
という組織は、 2
0
05年から 2
0
1
0
年までの 5年間
りますという名乗りをあげたところがけっこう
にすでに業務を行っていましたし、実績もつくっ
たし、もうこれは揺るがすことができない組織
目立った。このへんがちょっと注目されるとこ
ろです。
になってしまっていたわけです。ですから 、今
0
1
2
年には、当初の認可自治体6
9に
そのあと 2
さらこれを廃止できないので、もうとれを合意
加えて、新しく単独でやりたい人はさらに手を
的な組織として例外として認めるしかないとい
挙げてということで追加募集をやったのです。
う方向でいったわけです内
lOだったのですが、それ安
追加募集は上限が l
ですが、その一方で、認可自治体という自治
上回る自治体が手を挙げて、選考をやって絞っ
体が独自にやっていくモデルも、ここで実験条
0
7と
たという経緯がありまして、最終的には 1
項という暫定的なものではなくて値久的なもの
いう自治体が認可モデルになコています。
0
1
2
年段階では東のほうで
これを見ますと、 2
にしましょう、さらにその数も滑やしましよう
ということをやったわけです。このように、生
もずいぶん認可自治体が増えていますし、西の
活困窮者の就労支接を一体ど乙がやるのか、国
ほうでも、己れまであまり多くなかったと己ろ
がやるか地方がやるかー絡にやるか、というこ
で認可向治体が矯えていることがわかり玄すの
とでずいぶんとすったもんだしたのがドイツの
図 3にドイツの地図を示します。赤いのが認
事例でした。そのなかで、認可自治体モデルと
可自治体ですけれども、ベルリンの周辺がプラ
いう自治体が単独でやるモデルに私は注目した
ンデンプルク州ですが、わりと単独のモデルの
いと思います。 ARGEというのは連邦と地方が
率の高いことがわかります。それから 、南のほ
一緒になってやるモデルで、とれが違憲判決を
うはわりと白いのです。南のほうというと、パ
食らったわけですが、当初はこれが標準モデル
イヱルン州というドイツのなかでもいちばん経
66のジョブセンターはこの標
だったのです 3
演的に葱支れた地域ですa 大手のいろんな製造
準モデルである連邦と地方の協同機関でもって
業が立地していまして、日本でいうと名古屋と
)
業務を実施していました(表 3。
か愛知県のような地域がバイエルン、それから
ft
認可自治体、自治体が単独でやるモデルは例
パーデンーヴュルテンブルクです。豊かな南の
9団体に絞って認めるというのが当
外なので、6
ほうではどちらかというと自治体が単独でやる
初の方法で、単独でやりたい人は手を挙げてと
という選択をしたところが少なかったのです。
いうことで、全国で募集をしたわりです。その
回のほうにいきますと、いわゆるルール地域と
結果、州によってかな ηぱらつ賓があるのです
いい支して、昔、石炭と鉄の地域として重厚長
が、いちばん多かったのはヘッセン州でした。
大型の産業が集積していた、今はちょっと落ち
ヘッセン州は州の首相がこれを積極的に支援し
込んでいる地域、つまり日本のイメージでいう
たという政治的な背景もあるのですが。
と北九州とか北海道のイメージの地域です。わ
表 3で縦に並んでいるのはドイツの州です。
りと経済的にしんどいところが単独モデルを選
話が飛びますが、ドイツのベルリンの壁が崩壊
して25
周年という ことで、テレビでいろいろ報
んでいるというのがちょっと注目されるところ
なのです。
- 61一
地域経済
第 34号 2015.3
この地図を作っているのはドイツ郡会議とい
す。すでに 1年以上失業してはいるが.能力的
う団体です。日本では知事会とか市長会とか町
には、ちょっと頑張って見つければ労働市場で
村会というのがありますが、 ドイツにも都市会
仕事に就けるだろうという人はこれですんなり
議と郡会議という、都市部と郡部それぞれの団
と就職できるわけです。
体の連合体のようなものがあります。どちらか
ところが、ちょっと難しいかなというのはど
というと、都市部の団体ではなくて、郡部の団
ういう人かというと 、ドイツは資格社会なので、
体が認可自治体モデル、自治体単独モデルを支
肉屋さんになりたい、あるいは花屋さんになり
持する立場をとりました。ですので.最初は都
たいと思ってもそれぞれ資格がいる。これだけ
市よりも郡のほうがこの単独モデルをよく採用
の学校を出て、こういう訓練を積んでいないと
したのです。
2年以
ですが、制度が変わってから、つまり 1
花屋さんにも肉屋さんにもなれませんよという
社会なものですから、資格がないといけない、
降はむしろ都市がこの単独モデルに積極的に手
一定学校を出ていなければいけないというハー
を挙げました。都市部のほうが失業率は一般的
ドルがあります。あるいは、移民脊長とありま
に高いですから、当初はたくさんの失業者を自
すが、外国人の比率が非常に高くて、ドイツ語
分の都市だけで引き受けるというのは非常に意
が十分にできない内そういう低資格 ・低学歴 ・
荷だと思ったのです。ですから、最初のうち都
移民背景という労働市場で不利な人たちがいま
市はあまり単独モデルを採用したがらなかった
す。彼らについては、それなりの教育を受けさ
1
2
年になりま
のですが、発足から 7年たって20
せて機業訓練を積めば、あるいは語学の訓練を
すと、都市でむしろこれを積極的にやろうとい
すれば、何とか労働市場に統合できるだろうと
う機運が出てきた。特に経済構造上のしんどい
地療が ιれを積極的に活用するよつになったと
いう目があるわけです.
もつ一つ就労困難だとみなされる伊!としては、
いう点が注目され支すの
長い間失業してしまった人々向 1年どころか、
認可自治体モデル選択の背景
ですと、学校を出てからずっと働いていないと
2年も 3年も失業しているとか、あるいは若者
一長期失業者支援における自治体の役割一
か、就労習慣がないというケースもあります。
彼らに対しては、慣らし就労のような意味で就
ではこれらの自治体はなぜ単独モデルを選ん
労機会というものを提供します。実はとれは悪
だのかということを、この制度の仕組みにちょっ
名高い fiユーロジョブj といわれるものでし
I
T
_ち入ってご説明したいと思い支す(岡 4)
n
と"
日本の生活保護もおそらく似たようなことを
8
0円)ぐらいの照
て、時給が本当は 2ユー ロ(2
時間労働なのですが、お金を稼ぐというよりは、
やっていると思うのですが、受給者が窓口にやっ
仕事に慣れるためにちょっと慣らし就労すると
てきて申請をすると、まず、いろいろとその人
いうようなことで、お駄賃程度の報酬がつくと
とお話をして、その人がすぐに就駿できるか、
いうものがとの 1ユーロジョブです。一回慣ら
ちょっと難しいか、かなり難しいかという見極
し就労してみて織子をみょうかというのがこの
めをするわけです。すぐに就職できますねとい
パターンです。
う人は、ぞのまま労働市場で什事存あっ廿んし
問題はあっせん阻需要閃があるケースです拘
て臓に就いてもらう。あるいは、雇用補助金の
あっせん阻害要因というのは何かというと、例
ようなのを付けて、これだったら就職できます
えば住宅がない、ホームレスである、債務をもっ
ねというようにもっていくわけです。 SGBEと
ている、あるいはシングルマザーで小さい子ど
いうのは社会法典第 2編の意味ですが、要する
もを抱えている、依存症がある、あるいはメン
に求職者基礎保障です。求職者基礎保障という
のは、 1年以上の長期失業者を対象にしていま
クースについては、すぐに職業訓練につけとか
タルな病気を抱えているということです。乙の
- 62一
講演会保録
働けとかいうのは無理だということになります。
存している人々。こういう困難を抱えた人々に
ここで出てくるのが自治体統合給付というサー
対するケアを自治体が行っているという仕組み
ビスでして、この部分については、ジョブセン
なわけです。
ターから自治体に委託に出して、彼らのケアを
してくださいという仕組みになっているわけで
す(図の丸で囲んだ部分)。
こういう仕組みのなかで、ハロ ーワークと自
治体がー絡になってやるというのではなくて、
自治体強自でやる認可自治体モデルを選択した
求職者基礎保障のなかで提供されるいろんな
自治体というのは、いったいどうしてそんなし
サービスがあるのですが.その一覧を示したの
んどいことをわざわざ引き受けたのでしょうか。
が図 5です。いちばん多いものが、雇用創出と
いろいろな自治体で聞き取りをしてみましたと
ありますが、実は先ほど言いました lユーロジョ
ころ、いくつかの理由が挙げられました。
ブです。 1年以上失業している人にはとりあえ
一つは、自治体にとコて重要な政策分野を連
ず 1ユ←ロジョブを提供しようというのが制度
邦政府にとられてしまうことに抵抗があったと
発足の実態ではありました。ただ、それ以外に
いうことです。先ほど冒頭で言いましたように、
も、例えば稼業教育とか資格付けをするとかい
社会扶助というのは自治体の歳出の25%を占め
うことも行われてい乏したし、カウンセリンゲ
ていた拘郡部では、郡というのは日本でいうと
をや って、本当にあなたはどの蛾業に就きたい
事務組合のようなものなので、 50%くらいを社
のというような職業相談もします。稼得活動の
会扶助が占めていたりもします。そういう政策
提供とい って、雇用補助金を付けることで適当
の重要な部分をごコそり連邦政府に譲ってしま
な職を見つけるという手段もあります。
うことにはちょっと抵抗があったというのが一
日本でいうとリ ーマンショ ッ夕 、ヨーロ ッパ
つです。
では世界金融恐慌といわれますが、09
年頃まで
それからもっ一つは、自治体の固有り政策資
失業率は非常に高かったのですが、ドイツでは
源と横断的な連携ができるということの向治体
その後ちょっと呆気がよくて、失業者、受給者
の歳出の25%を占めている業務となれば、これ
がだんだん減ってきています。そんななかであ
::対するサービスではなくて、
は特定の一部の人 I
ま りサービスが減らない部分が、この 自治体統
一般施策だという考え方です。最初のほうで、
合給付なわけです。全体に失業者が減っている
石川県の例で申し上げましたが、生活困窮者自
なかで、との 自治体統合給付の受給者というの
立支援法の対象となるであろう生活困窮者とい
は、ずっと横ぱいでなかなか減っていきません。
うωが、住民の 4分の 1から 3分の Iにまで達
というのは、非常に厳しい条件を抱えた人々が
するわけです向こうした人 々に対するサーピス
この給付を受けるからなのですね。
というのは、決して一部の人向けのサービスで
その具体的な中身を見てみますと(図 6)、い
はなくて、一般施策と考えたらいいのではない
ちばん多いのが偵務相談です。日本でもそうで
かということです。自治体にとって対貧困政策
すけれども、 債務を抱えていて、借金取りから
というのは普通の人に対するサービスと同じで
逃げるために住居を定める ことができないとか、
しょう、誰でも貧困に陥るリスクがあるわけで
債務を抱えているためにちゃんと仕事に就りな
すか ら、その住民向付のサービスをやるのは自
いという人がけっこうドイツでも多いようです内
治体にとって当然の責務が、向治体があってい
次に多いのが、例えば、シングルマザーなどで
るいろんな資源を横断的に活用してそれを行う
小さい子どもを抱えているので働けないという
というのはやはり自治体のやるべきことでしょ
人々、それから精神的 ・心理的ケア、つまりメ
うね、という考え方です。
ンタルな問題を抱えている人々。日本でもこの
三つ呂が、先ほど言いまし たARGEという組
へんがかな り増えつつあるのではないかと思い
ます.あるいは依存症、アルコールや薬物に依
織ですけれども、連邦と自治体が一緒になって
つくった機関がどうもうまく機能しなかったと
- 63一
地域経済
第 34号 2015.3
いうところがいくつか聞き取れました。連邦と
ている部局を横断的に使って対貧困政策に取り
市町村が一緒になると、どうしても連邦のほう
組むというのがオッフェンバッハ市の理念なの
が力が強いわけです。お金を握っているのは連
です、だから単独モデルに移行したのですよ、
邦ですから。連邦はとにかく失業者を自立させ
というような説明をしてくれました。これはな
ることに一生懸命で、何が何でも仕事に就かせ
かなか感動ものの説明でした。
ろというととろを非常に強調するわけです。数
こうした自治体は、 ドイツでもすべてではな
字でもって成果を評価しますので、受給者の何
く、まだー部にとどまっていて、全体の 4分の
パーセン トを就職させたかということで評価さ
lくらいではあります。しかし . ドイツではな
れる世界なわけです。
ぜ認可自治体モデルというものに取り組もうと
それに対して自治体の側は、社会扶助の経験
したのでしょうか。まとめてみますと、 一つは、
からして、就職を急がせてもこの人はすぐに辞
労働市場で不利な条件を抱える人々、先ほど中
めてしまうだろうと思ったら、就職を急がせる
し上げましたように、ホームレスや、メンタル
のではなくて、もう少しいろいろケアをして社
な問題をもっているとか、シングルマザーとか、
会的に統合していくというほうがむしろ重要で
債務を抱えているとか、そういう人に対するケ
はないかというように考える内ぞういう向治体
アというのは、日本でいうとハロ ーワークが得
と連邦の労働行政とはけっとう対立的な立場に
意とする分野ではないということなのです。と
あって、それを ARCEという一つの機関のなか
うした人々に対するいわば福祉的なケアの経験
で一緒にやるということが、いろいろ靴礁を生
というのは、ハロ ーワークよりも自治体レベル、
んだらしいのです。ですから、連邦との協同体
自治体の例えば福祉事務所などが従来からやっ
を解消して単独モデルに移行するという自治体
がけっ ιラ出てきたと考えられます。
てきたことだと思うのです。そうしたところに
フランクフルトというとドイツの間際空港が
有効常用するという考え方ができないものだろ
ある大きな都市なのですが、その隣にあるオッ
もう少し自治体が自分のもっている政策資源を
うかという発想だと思います。
フェンバッハ市というところがあります。最初
もう一つは、労働部局が考えがちな労働市場
は八 RGEという連邦と一緒にやる仕組みでやっ
政策に対するアンチテーゼです。ワークフェア
0
1
2年から自治体単位、モデルに変え
ていたが、 2
というのはとにかく織に就くことを至上命題と
たという市でお話を聞いてきました。そのとき
する考え方で、確かに仕事に就くととは大事な
に、そこの綴員さんがこんなふうに考えていま
のですが、例えばメンタルな問題を抱えている
すという機念岡安描いてくれたのが関 7です内
人に無理やり、働け働け、{動かなかったら牛活
この求職者基礎保障というものをローカルに
保護を切るぞということをやっても問題は解決
実施していくこと、そのなかで自治体が就労と
しないというわけです。そうした人は社会的な
か雇用ということを独自に取り組んでいくこと、
包摂、社会生活を営めるような段階にまずもっ
とのこつはほとんど一緒だと考えます。その周
ていくというととろからやっていくべきではな
りにあるいろんな環境、例えば自治体はそもそ
いかという自治体のスタンスが、この場合は独
も一般施策として産業振興に取り組んだり、コ
ミュニティビジネス手促進したり、あるいは地
自にやっていくという道を選ばせたのかなと思
います内
峻の再開発をやったり、それから、例えば教育
重複した話になりますが、先ほどの図で示し
とか保育とか公衆衛生とかいろんな社会サービ
たように、対貧困政策というのは総合的な地域
スなどもやるし、子ども向けのサービスもやる
政策として考えたらいいのではないか。一部の
しという ように、いろんな行政上の資源をもっ
人のためではなくて、誰でも陥りがちなことで
ている。日本の役場でいうと、児童青少年局と
もありますし、そもそも、先ほど最初に示した
か、商工部とか、土木建設部とか、自治体がもっ
ように、住民の 4分の lから 3分の 1は貧困状
- 64一
講 演会保録
態にあるわけです。そうした住民に対するサー
自治体の責務として求められるのではないかと
ビスは決して一部の人に対するものではなくて、
いうことになります。
最後に、現在の自治体の労働費というのはか
むしろ普遍的な一般的な政策なのではないかと
なり少ないということです。都道府県でも市町
考えるしだいです。
村でも歳出の 1 %未満で、 0.
5%とかいった場
日本への示唆
一留保事項一
合もあります。と きたま大きくなるのですが、
これは、国の補助金を受けて緊急雇用対策事業
のようなものに取り組んだ場合のみ一時的に増
ただし、日本にこれを適用するときに、留保
するべきところがいくつかあります。 一つは、
えるというのが、自治体の労働費のあり方です
(
図 8)
。
ですから、自前で独自に労働政策をやるという
日本ではまだ自治体が雇用政策に取り組むとい
うことに経験が浅いわけです。市町村とか県で
ことについて自治体はあまり積擾的ではなかっ
もそうなのですが、労働部局に話を聞きにいき
たのですが、来年度からの自立支援法というも
ますと、 「労働と いうのは国の仕事ですからねj
のを考えますと、もうちょっと広く、一般施策
と、役場ではぞういうとらえ方が多いのです内
として雇用政策に取り組むという主姿勢があって
県でもいわゆる失業対策事業というのが終息し
もいいのではないかなと思うしだいです。
てしまった。これは石炭を産出していた地域、
北九州とか北海道には残っていたのですが、そ
少々時間を超過してしまい申しわけありませ
ん。どうもありがとうございました。
れも最近になってもうすでになくなってしまい
ました。そうした失業対策事業というものがな
くなってしまったあとは、県も雇用創出といつ
ことにほとんど無関心になってきているという
ことなのです。
それから、生活保護自立支援とか、求職者自
立支援でも、あっせん部分はハロ ーワークに依
存するというかたちで、自治体は雇用政策にカ
をもたない印象があります。そういうなかで、
市町村 ・自治体がもっと主体的に関与する必要
があるだろうということと、市町村内のいろん
な行政資源を横断的に連携させるということが
ポイントなのではないかということです。
3点目は、これは付け足しになりますが、か
といってハローワークの存在意義を否定するも
のではないということです。ハロ ーワークはハ
ローワークで、短期的に就職可能な人たちをす
くいあげゐ、あゐいは、広域的なあっせん資額
を活用してあっせんをするということに非常に
たけているわけでして、ハローワークはハロー
ワークで有続することを決して否定するもので
はありません。むしろハローワークと自治体の
すみ分けといいますか、本当にしんどいタイプ
の人たちを中心に支援をしていくということが、
- 65一
地 域 経 済 第3
4号 2015
.
3
図 1 生活保護率と均等割非課税者の関係
(
石川県内自治体)
14
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0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
年度均等割非課税者対人口比(
%)
2013
表 1 欧州諸国における労働市場改革
組織改革
20012006年
ギ
イ 稼働年齢の全ての失業中の
財源
国 が100%負担
1
) 受給者に対する固のジョブ
ス センター(
JobcenterP
l
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-
2007
年
自治体・国が共同設置のジョ
プ、センター/パイロットとして
マ
の自治体のみのジョブ
の 14
ク センター/ Q9.8.lより 自治体
ジョブセンターの普遍化
ヲ
.
‘
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制御
労働省(DWP)と労働部局
(
J
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rPl
u
s)の聞の目標協
定
混合財源
・雇用省による目標設定、モニタ
消極的給付は国が リング、ベンチマーキング
二段階の目標協定
35%、自治体65%。−
受給者の活性化は ①省と広域評議会の間
国 65%、自治体
② 広 域・自治体両レベルの雇用
35今
色
評議会の間
国 が100%負担
オ 2004年
フ 自治体ジョブセンタ一。財政
ダ
ふ
ノ 的権限を強化する再編も。
労働省<
szw
)
による目標設定、
資源配分モデルによる制御
混合財源
2005年
ARGE:
BA
とBMASの目標協定によ
求職者基礎保障に伴う組織
る連邦給付の制御、自治体給付
連邦が約
80%
、
自
ド
に関するARGE−自治体聞の制御
イ 改 革。346のARGE69のオプ 治体が約20%
フ
ヲ ション、23の分離モデル。
オプション:州を通じての連邦給
付に関する監督
KonleS
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d
l2009
より作成。
氏U
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講演会保録
図2 ハルツ改革の概要
連邦雇用庁 ・労働局
自治体
λ
\
社会技助
失業扶助
|失業手当
(
失業保険期限終了 | (保険原理)
特別扶勧
障害者
高齢者
後の税財源による無
期限給付)
/ \
稼働 能 う は る区分
社 会扶 助
(社会法典
1
2
編)
編)
求職 者 基礎 保障 (社会法典2
失 業手 当 I
!と就労促進
社会手当 (
被扶養家 族)
住宅費給付
失 業手 当 I
1
年未満の
失業者
編)
(
社会法典3
\
一
一
一y 一
一
一J
協同機関( A
R
G
E)
文 は認可自治 体
連邦雇用エージェンシー (
B
A
)・
AA)
雇用ヱージェンシー (
表 2 ハルツ改革関連年表
年
情考
月
2
0
0
31
2S
G
B
II
成立
実施主体をめぐ
る議論の発端
2
0
0
4 7 実験条項導入
2
0
0
5
施行
S
G
B
II
20
0
71
2A
R
G
Eを混合行政とする連邦裁判所違憲判決
実験条項下で
A
R
G
Eと認可自治
体の併存、競争
20
0
81
2S
G
B
I1
6
c
条の実験条項に関する評価報告書公表 改 憲 に よ る 合 憲
2
0
0
9 3 ジョブセンター改革挫折
20
1
0 6 ジョブセンター改革合意
7A
R
G
E
合憲化のための憲法改正
8 ジョブセンター改革を内容とする S
G
B
Il
改正
1
2 認可自治体追加申請 〆切
2
0
1
1
ジョブセンター改革施行
2
0
1
2
4
1認可自治体追加
- 67一
化か「共同ジョ
ブセ ンタ− J で
の空間的同居か
をめぐる議論
改憲によるジョ
ブセンターの存
続と認可自治体
の恒久化 ・拡充
地 域 経 済 第3
4号 2015
.
3
表3 S
G
B
l
l実施主体の組織形態
2005年 末
州
デ離ル
モ
ARGE 分
BadenWurttemberg
'
3
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Hessen
西 Niedersachsen
部
州 Nordrhei
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部 5achsen-Anhalt
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都
市 Bremen
州 Hamburg
39
92
12
33
41
34
13
1
3
2012
年末
認可自治体
同比率(%)
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5
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1
1
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33
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29
35
26
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13
認
可F
治 同比率
(
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10
16
17
18
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10.8
61.5
37
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1
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1
6
.
7
50.0
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27.8
11
13
38.
9
17
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6
11
15.4
19
20.8
8
42.9
23
20.7
7
46.2
21
8
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7
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7
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26.1
総計
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ぞう田・
図3 認可自治体の分布
6
- 68一
講演会保録
図 4 SGBll受給者の労働市場統合への流れ
申請・関白
ブコ7 7
イ1
J
.
、
ノ
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+
|{税金院国益
/
\
低資格・低学
用
字
補
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力
歴移民背景
i
尋・
職業自J
I
牒
労働市場への統合
7
図5 SGBll労働統合措置参加者数の推移
(
各月末現在数の年間平均)
400000
350
,
000
+ 活性化・職業的
統合措置
300000
一 職業選択・職業
教育
250
,
000
十 職業継続教育
200
,
000
稼得活動の提供
1
5
0000
障害者の参加措
置
1
0
0
,
000
+ 雇用創出
50
,
000
0
7
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0
9
1
0
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1
2
+ その他給付
1
3
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- 69一
便豆亙予
地 域 経 済 第3
4号
2
0
1
5
.
3
図6 自治体統合給付の内容別新規受給者数推移
06
07
・保育
08
・家族介護
09
10
・債務相談
11
・精神的・心
理的ケア
12
・依存症相談
13
0
20000
40000
60000
80000
100000
9
図7 自治体の業務分野と雇用促進のインターフェース
|児童青少年扶助|
産業振興
起業支援
|保育所社会インフラ
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自治体の教育政策|
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|都市・
地区再開発 |
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- 70一
講 演会保録
図8 労働費の性質別内訳推移 (
億円)
市町村
都道府県
9000
3.
500
8000
3,
000
7000
2 500
6000
2,
000
5000
4000
1500
3000
1
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2000
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11
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ーその他
・出資 ・貸付等
・普通建設事業費
・物件費
・積立金
・失業対策事業費
・補助費
・人件費
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1
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01
11
2
・その他
・出資・貸付等
・普通建設事業費
・物件費
・積立金・繰出金
・失業対策事業費
・補助費
・人件費
1
1
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