医薬品インタビューフォーム 日本薬局方 ジゴキシン錠

2016 年 2 月改訂(第 10 版)
日本標準商品分類番号 872113
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2013 に準拠して作成
ジギタリス配糖体製剤
日本薬局方 ジゴキシン錠
剤
形
錠剤(素錠)
製 剤 の 規 制 区 分
劇薬、処方箋医薬品(注意-医師等の処方箋により使用すること)
規
量
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」:1 錠中に日局ジゴキシン 0.0625mg 含有
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125:1 錠中に日局ジゴキシン 0.125mg 含有
ジゴキシン KY 錠 0.25 :1 錠中に日局ジゴキシン 0.25mg 含有
名
和名:ジゴキシン(JAN)
洋名:Digoxin(JAN、INN)
一
格
・
般
含
製 造 販 売 承 認 年 月 日
薬価基準収載・発売年月日
製造販売承認年月日:0.0625mg 2014 年 8 月 15 日
0.125mg 2002 年 2 月 20 日
0.25mg 1982 年 12 月 23 日
(製造承認承継 2002 年 4 月 30 日)
薬価基準収載年月日:0.0625mg 2014 年 12 月 12 日
0.125mg 2002 年 7 月 5 日
0.25mg 1961 年 8 月 23 日
発 売 年 月 日:0.0625mg 2015 年 1 月 21 日
0.125mg 2002 年 7 月 5 日
0.25mg 2002 年 6 月
開 発・製 造 販 売( 輸 入 )・
提 携 ・ 販 売 会 社 名
製造販売:京 都 薬 品 工 業 株 式 会 社
発 売:トーアエイヨー株式会社
販 売:アステラス製薬株式会社
医薬情報担当者の連絡先
問 い 合 わ せ 窓 口
トーアエイヨー株式会社 信頼性保証部
TEL:0120-387-999 048-648-1070
医療関係者向けホームページ http://med.toaeiyo.co.jp/
本 IF は 2016 年 2 月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。最新の添付文書情報は、PMDA ホームページ
「医薬品に関する情報」http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認ください。
IF利用の手引きの概要
-日本病院薬剤師会-
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書と略す)がある。医
療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には、添
付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。
医療現場では、当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報
を補完して対処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタ
ビューフォームが誕生した。
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下、
日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォー
ム」
(以下、IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後、医療従事者向け並びに患者
向け医薬品情報ニーズの変化を受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領
の改訂が行われた。
更に 10 年が経過し、医薬品情報の創り手である製薬企業、使い手である医療現場の薬剤師、双方にとっ
て薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において IF
記載要領 2008 が策定された。
IF 記載要領 2008 では、IF を紙媒体の冊子として提供する方式から、PDF 等の電磁的データとして提
供すること(e-IF)が原則となった。この変更にあわせて、添付文書において「効能・効果の追加」、「警
告・禁忌・重要な基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に、改訂の根拠データを追加した最新版
の e-IF が提供されることとなった。
最新版の e-IF は、( 独 ) 医薬品医療機器総合機構の医薬品情報提供ホームページ(http://www.info.
pmda.go.jp/)から一括して入手可能となっている。日本病院薬剤師会では、e-IF を掲載する医薬品情報
提供ホームページが公的サイトであることに配慮して、薬価基準収載にあわせて e-IF の情報を検討する
組織を設置して、個々の IF が添付文書を補完する適正使用情報として適切か審査・検討することとした。
2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し、製薬
企業にとっても、医師・薬剤師等にとっても、効率の良い情報源とすることを考えた。そこで今般、IF
記載要領の一部改訂を行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった。
2.IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な、医薬品の品質管
理のための情報、処方設計のための情報、調剤のための情報、医薬品の適正使用のための情報、薬学的
な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定
し、
薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
ただし、薬事法・製薬企業機密等に関わるもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自
らが評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企業から提供さ
れた IF は、薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに、必要な補完をするものという認識を持つ
ことを前提としている。
[IF の様式]
①規格は A4 版、
横書きとし、
原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し、一色刷りとする。
ただし、添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、電子媒体ではこれに従うものとする。
② IF 記載要領に基づき作成し、各項目名はゴシック体で記載する。
③表紙の記載は統一し、
表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するものとし、
2 頁にまとめる。
[IF の作成]
① IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤、注射剤、外用剤)に作成される。
② IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。
③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。
④製薬企業の機密等に関するもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者
自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」
(以下、
「IF 記載要領 2013」と略す)により作成された
IF は、電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する。
企業での製本は必須ではない。
[IF の発行]
①「IF 記載要領 2013」は、平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる。
②上記以外の医薬品については、
「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない。
③使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適応症の拡大
等がなされ、記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。
3.IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2013」においては、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利
用する薬剤師は、電子媒体から印刷して利用することが原則である。
電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場
所が設定されている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原点を踏
まえ、医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等へのイ
ンタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要がある。また、随時改訂さ
れる使用上の注意等に関する事項に関しては、IF が改訂されるまでの間は、当該医薬品の製薬企業が提
供する添付文書やお知らせ文書等、あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが
整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで
確認する。
なお、適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に
関する項目等は承認事項に関わることがあり、その取扱いには十分留意すべきである。
4.利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。しか
し、薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情報として提
供できる範囲には自ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の製薬企業が作成・
提供するものであることから、記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければな
らない。
また製薬企業は、IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり、インターネットでの公開等も
踏まえ、薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必
要がある。
(2013 年 4 月改訂)
目 次
Ⅰ.概要に関する項目
Ⅴ.治療に関する項目
1.開発の経緯. ...........................................................1
2.製品の治療学的・製剤学的特性............................1
1.効能又は効果........................................................ 9
2.用法及び用量........................................................ 9
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名................................................................... 2
2.一般名................................................................... 2
3.構造式又は示性式................................................. 2
4.分子式及び分子量................................................. 2
5.化学名(命名法).................................................. 2
6.慣用名、別名、略号、記号番号........................... 2
7.CAS 登録番号....................................................... 2
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.物理化学的性質.................................................... 3
2.有効成分の各種条件下における安定性................ 3
3.有効成分の確認試験法. ........................................ 3
4.有効成分の定量法................................................. 3
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形...................................................................... 4
2.製剤の組成. .......................................................... 4
3.懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意.................... 4
4.製剤の各種条件下における安定性. ...................... 5
5.調製法及び溶解後の安定性.................................. 6
.................. 6
6.他剤との配合変化(物理化学的変化)
7.溶出性................................................................... 6
8.生物学的試験法.................................................... 8
9.製剤中の有効成分の確認試験法........................... 8
10.製剤中の有効成分の定量法................................... 8
11.力価....................................................................... 8
12.混入する可能性のある夾雑物............................... 8
13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する
情報....................................................................... 8
14.その他................................................................... 8
3.臨床成績............................................................... 9
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群............ 11
2.薬理作用.............................................................. 11
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法..................................... 12
2.薬物速度論的パラメータ..................................... 16
3.吸収..................................................................... 16
4.分布..................................................................... 17
5.代謝..................................................................... 19
6.排泄.....................................................................20
7.トランスポーターに関する情報..........................20
8.透析等による除去率............................................20
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由............................................ 21
.............. 21
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
............................................................................. 21
4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
............................................................................. 21
5.慎重投与内容とその理由..................................... 21
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法........ 22
7.相互作用.............................................................. 22
8.副作用.................................................................. 26
9.高齢者への投与................................................... 27
10.妊婦、産婦、授乳婦等への投与. ......................... 27
11.小児等への投与.................................................... 27
12.臨床検査結果に及ぼす影響.................................. 27
13.過量投与............................................................... 28
14.適用上の注意....................................................... 28
15.その他の注意. ...................................................... 28
16.その他.................................................................. 28
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
ⅩⅢ.備 考
1. 薬理試験................................................................ 29
2. 毒性試験................................................................30
その他の関連資料...................................................... 37
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1.規制区分.............................................................. 31
2.有効期間又は使用期限. ....................................... 31
3.貯法・保存条件................................................... 31
4.薬剤取扱い上の注意点. ....................................... 31
5.承認条件等. ......................................................... 31
6.包装..................................................................... 31
7.容器の材質. ......................................................... 31
8.同一成分・同効薬................................................ 31
9.国際誕生年月日................................................... 31
10.製造販売承認年月日及び承認番号....................... 32
11.薬価基準収載年月日............................................. 32
12.効能又は効果追加、用法及び用量変更追加等の
年月日及びその内容. ........................................... 32
13.再審査結果、再評価結果公表年月日及び
その内容. ............................................................. 32
14.再審査期間........................................................... 32
15.投薬期間制限医薬品に関する情報....................... 32
16.各種コード........................................................... 32
17.保険給付上の注意................................................ 32
Ⅹ
Ⅰ.文 献
1.引用文献.............................................................. 33
2.その他の参考文献................................................34
Ⅹ
Ⅱ.参考資料
1.主な外国での発売状況. ....................................... 35
2.海外における臨床支援情報................................. 35
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
Digitalis lanata 葉が Digitalis purpurea 葉より生理作用が強いことは以前か
ら知られていた。Smith(1930)が Digitalis lanata 葉から結晶性の配糖体ジゴ
キシンを分離した。その後 Stoll らは Digitalis lanata の新鮮な葉を硫酸アンモ
ニウムと磨砕し、酵素作用を阻害することによってジギラニド digilanide を抽
出分離したが、更に種々の溶媒(後に分配クロマトグラフィー)を用いて単一
な原配糖体ラナトシド lanatoside A、B、C に分離した。この原配糖体の一つ
であるラナトシド C にグリコシダーゼ及び希アルカリを作用して、グルコース
の脱離及び脱アセチルを行いジゴキシンを得た。
1962 年 12 月に発売され広く利用されてきたジゴキシン錠「山之内」の製剤
承認を、2002 年 4 月に京都薬品工業がジゴキシン KY 錠 0.25 として承継した。
ジギタリス製剤は、血中濃度の治療域と中毒域が近い。患者の病態、年齢・
体重に合わせた投与量設定のためハーフジゴキシン KY 錠 0.125 を開発し、
2002 年 2 月に承認を取得、同年 7 月に発売した。
さらに、
よりきめ細やかな用量調節を目的としてジゴキシン錠 0.0625
「KYO」
を開発し、2014 年 8 月に承認を取得、2015 年 1 月に発売した。
2.製品の治療学的・製剤学的
特性
1)
1997 年に報告された大規模臨床試験で、ジゴキシンの有用性が評価されてい
1)
る。
2)
ジゴキシン製剤の重大な副作用としてジギタリス中毒(高度の徐脈、二段脈、
多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍等の不整脈)
、非閉塞性腸間膜虚
血があらわれることがある。(26 ページ参照)
-1-
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
(1)
和名
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125
ジゴキシン KY 錠 0.25
(2)
洋名
Digoxin tab. 0.0625「KYO」
Halfdigoxin-KYtab. 0.125
Digoxin-KYtab. 0.25
(3)
名称の由来
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125 は、従来の日局ジゴキシン錠 0.25mg の 1/2 量
のジゴキシンを含むため、“ハーフ”から始まる製品名とした。
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」は、有効成分の一般名に剤形、含量及び京都薬
品工業の屋号を付した。
2.一般名
(1)
和名
(命名法)
2)
ジゴキシン(JAN)
(2)
洋名
(命名法)
2)
Digoxin(JAN、INN)
(3)
ステム
不明
3.構造式又は示性式
Ü
Ü
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Ù ÚÙÛ Ù
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4.分子式及び分子量
分子式:C41H64O14
分子量:780.94
5.化学名
(命名法)
3β[2, 6 - Dideoxy - β - D - ribo - hexopyranosyl -(1→4)-2, 6 - dideoxy β - D -ribo - hexopyranosyl -(1→4)- 2, 6- dideoxy - β - D - ribo hexopyranosyloxy]- 12β, 14 - dihydroxy - 5β, 14β- card - 20(22)- enolide
6.慣用名、別名、略号、
なし
記号番号
7.CAS 登録番号
20830 - 75 - 5 2)
-2-
Ⅲ.有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
(1)
外観・性状
無色~白色の結晶又は白色の結晶性の粉末である。
(2)
溶解性
ピリジンに溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、酢酸(100)に極めて溶
けにくく、水にほとんど溶けない。
(3)
吸湿性
該当資料なし
(4)
融点
(分解点)
、沸点、
3)
融点:230 ~ 265℃(分解)
凝固点
(5)
酸塩基解離定数
該当資料なし
(6)
分配係数
該当資料なし
(7)
その他の主な示性値
20
〔α〕 :+
10.0 ~+ 13.0°
旋光度 D
(乾燥後、0.2g、無水ピリジン、10mL、100mm)
2.有効成分の各種条件下に
該当資料なし
おける安定性
3.有効成分の確認試験法
日局 「 ジゴキシン 」 の確認試験による。
4.有効成分の定量法
日局 「 ジゴキシン 」 の定量法による。
-3-
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形
(1)
剤形の区別、外観及び性状
販売名
ジゴキシン錠
0.0625「KYO」
ハーフジゴキシン
KY 錠 0.125
ジゴキシン
KY 錠 0.25
剤 形
白色~帯黄白色
の素錠
帯黄白色素錠
(割線入り)
白色素錠
(割線入り)
大きさ
直径:6.0mm
直径:7.0mm
長径:7.8mm
短径:6.3mm
厚 さ
2.2mm
2.6mm
2.3mm
重 量
80mg
120mg
120mg
表
裏
外 観
側面
(2)
製剤の物性
硬度:ジゴキシン錠 0.0625「KYO」 約 60N
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125 約 40N
ジゴキシン KY 錠 0.25 約 40N
(3)識別コード
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」:KYO 270
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125:KYO 271
ジゴキシン KY 錠 0.25:KYO 272
(4)
pH、浸透圧比、粘度、比重、
該当しない
無菌の旨及び安定な pH 域等
2.製剤の組成
(1)
有効成分
(活性成分)
の含量
(2)
添加物
販売名
ジゴキシン錠
0.0625「KYO」
ハーフジゴキシン
KY 錠 0.125
ジゴキシン
KY 錠 0.25
成分・含量
1 錠中
日局 ジゴキシン
0.0625mg
日局 ジゴキシン
0.125mg
日局 ジゴキシン
0.25mg
添加物
(3)
その他
3.懸濁剤、乳剤の分散性に
乳糖水和物、トウモ
ロコシデンプン、セ
ルロース、 クロスカ
ルメロース Na、ヒド
ロキシプロピルセル
ロース、 ステアリン
酸 Mg
該当しない
該当しない
対する注意
-4-
乳糖水和物、トウモ 乳糖水和物、トウモ
ロコシデンプン、セ ロコシデンプン、ス
ルロース、 クロスカ テアリン酸 Mg
ルメロース Na、ヒド
ロキシプロピルセル
ロース、 ステアリン
酸 Mg、黄色三二酸
化鉄
Ⅳ.製剤に関する項目
4.製剤の各種条件下における
安定性
1)
長期保存試験
本剤(0.125mg 製剤及び 0.25mg 製剤)を最終包装形態(PTP/ アルミピロー
包装及び瓶包装)で、25℃ 60%RH の条件にて 36 ヵ月間保存した場合、開始時
と比べて変化は認められなかった。(試験項目 : 性状、溶出性、含量)
※本剤 0.0625mg 製剤については現在、試験実施中である。
表Ⅳ - 1 .25℃ 60%RH 36 ヵ月間保存におけるジゴキシン含量
(表示量に対する%)
0.125mg
0.25mg
包装形態
開始時
12ヵ月
24ヵ月
36ヵ月
PTP
96.7
97.5
96.5
97.1
瓶
96.7
96.8
96.7
97.7
PTP
97.4
97.3
96.9
98.6
瓶
97.4
97.5
97.2
100.2
2)
加速試験
本剤を最終包装形態(PTP/ アルミピロー包装及び瓶包装)で、40℃ 75%RH
の条件にて 6 ヵ月間保存した場合、開始時と比べて変化は認められなかった。
(試験項目:性状、純度試験、溶出性、含量)
表Ⅳ - 2 .40℃ 75%RH 6 ヵ月間保存におけるジゴキシン含量(表示量に対する%)
0.0625mg
0.125mg
0.25mg
包装形態
開始時
1ヵ月
3ヵ月
6ヵ月
PTP
100.0
98.5
99.3
99.3
瓶
100.0
99.7
100.2
99.5
PTP
100.4
100.2
100.0
100.1
瓶
100.4
101.1
100.0
99.9
PTP
100.6
99.9
99.7
100.2
瓶
100.6
100.0
99.4
99.3
3)
無包装状態における安定性
①温度に対する安定性
本剤を無包装状態(遮光、気密容器)で 40℃の条件にて 3 ヵ月間保存した場合、
開始時と比べて変化は認められなかった。(試験項目:性状、溶出性、含量、硬度)
表Ⅳ - 3 .40℃ 3 ヵ月間保存におけるジゴキシン含量(表示量に対する%)
開始時
1ヵ月
3ヵ月
0.0625mg
100.0
98.6
98.4
0.125mg
96.7
96.9
97.8
0.25mg
97.4
98.0
97.8
-5-
Ⅳ.製剤に関する項目
②湿度に対する安定性
本剤を無包装状態(遮光、開放)で、25℃ 75%RH(0.0625mg 製剤)又は
30℃ 75%RH(0.125mg 製剤及び 0.25mg 製剤)の条件にて 3 ヵ月間保存した場合、
0.25mg 製剤では開始時と比べて変化は認められなかった。0.0625mg 製剤及び
0.125mg 製剤では 1 ヵ月後から硬度の低下が認められたが、19.6N(2.0kgf)以
上を維持した。その他の試験項目では変化は認められなかった。
(試験項目 : 性
状、溶出性、含量、硬度)
表Ⅳ - 4 .各条件下で 3 ヵ月間保存におけるジゴキシン含量(表示量に対する%)
0.0625mg
0.125mg
0.25mg
保存条件
開始時
1ヵ月
3ヵ月
25℃ 75%RH
100.0
98.9
98.7
96.8
95.3
96.9
96.8
98.1
97.3
30℃ 75%RH
③光に対する安定性
本剤を無包装状態(開放)で、昼光色蛍光ランプ(1,000lx)照射の条件にて
120 万 lx・hr まで保存した場合、開始時と比べて変化は認められなかった。
(試
験項目:性状、溶出性、含量、硬度)
表Ⅳ - 5 .総照度 120 万 lx・hr におけるジゴキシン含量(表示量に対する%)
開始時
60万lx・hr
120万lx・hr
0.0625mg
100.0
99.8
100.4
0.125mg
96.8
95.8
95.7
0.25mg
96.8
97.7
97.9
5.調製法及び溶解後の安定性
該当しない
6.他剤との配合変化
該当資料なし
(物理化学的変化)
7.溶出性
1)
公的溶出規格への適合性
本剤は、日本薬局方医薬品各条に定められたジゴキシン錠の溶出規格に適合
していることが確認されている。
方法:日本薬局方 一般試験法 溶出試験法の回転バスケット法
回転数 100rpm 試験液 薄めた塩酸(3 → 500)
試験液の温度 37℃
試験液の量 500mL
測定法 蛍光光度法
規格:60 分間の溶出率は 65%以上
-6-
Ⅳ.製剤に関する項目
2)
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」に関する溶出性
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」につき、
「含量が異なる経口製剤の生物学的同
等性試験ガイドライン」平成 12 年 2 月 14 日 医薬審第 64 号(平成 13 年 5 月
31 日 医薬審第 786 号、平成 18 年 11 月 24 日 薬食審査発第 1124004 号、平
成 24 年 2 月 29 日 薬食審査発 0229 第 10 号にて一部改正)に従い、ハーフジ
ゴキシン KY 錠 0.125 との溶出挙動を比較検討した。
<試験条件>
製剤:試験製剤 ジゴキシン錠 0.0625「KYO」
標準製剤 ハーフジゴキシン KY 錠 0.125
方法:日本薬局方 一般試験法 溶出試験法のパドル法
回転数 50rpm
試験液の温度 37 ± 0.5℃
試験液の量 900mL
試験液 ①日本薬局方溶出試験第 1 液(pH1.2)
②薄めた McIlvaine 緩衝液(pH3.0)
③日本薬局方溶出試験第 2 液(pH6.8)
④日局精製水(水)
<結果>
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」は、平均溶出率及び個々の溶出率ともに溶出挙
動の同等性の判定基準に適合したので、両製剤の溶出挙動は同等と判断された
(図Ⅳ - 1、表Ⅳ - 6)。
パドル法 50rpm、pH1.2 パドル法 50rpm、pH3.0
100
100
80
80
40
)
試験製剤
40
85%ライン
20
0
60
%
標準製剤
)
%
溶
出
率
(
60
(
溶
出
率
0
10
20
30
試験液採取時間(分)
標準製剤
試験製剤
85%ライン
20
0
40
0
10
20
30
試験液採取時間(分)
40
パドル法 50rpm、pH6.8 パドル法 50rpm、水
100
100
80
60
%
40
標準製剤
40
試験製剤
85%ライン
20
0
溶
出
率
)
)
%
80
60
(
(
溶
出
率
0
10
20
30
試験液採取時間(分)
標準製剤
試験製剤
85%ライン
20
40
0
0
10
20
30
試験液採取時間(分)
40
図Ⅳ - 1 .各試験条件における標準製剤(ハーフジゴキシン KY 錠 0.125)
及び試験製剤(ジゴキシン錠 0.0625「KYO」)の平均溶出曲線
の比較(n=12)
-7-
Ⅳ.製剤に関する項目
表Ⅳ - 6 .標準製剤(ハーフジゴキシン KY 錠 0.125)及び試験製剤(ジゴキ
シン錠 0.0625「KYO」)の比較時点における平均溶出率の比較
試験液
pH1.2
pH3.0
pH6.8
水
平均溶出率(%)
比較時間
判定
(分)
標準製剤
試験製剤
差
15
85.5
81.6
3.9
適合*1
10
66.3
65.0
1.3
適合*2
15
78.7
77.4
1.3
適合*2
10
63.3
62.8
0.5
適合*2
15
80.8
79.8
1.0
適合*2
15
89.2
87.4
1.8
適合*1
(n = 12)
判定基準
* 1:標準製剤が 15 分以内に平均 85%以上溶出する場合 試験製剤が 15 分以
内に平均 85%以上溶出するか、又は 15 分における試験製剤の平均溶出
率が標準製剤の平均溶出率± 10%の範囲にある。
* 2:標準製剤が 15 ~ 30 分に平均 85%以上溶出する場合 標準製剤の平均溶
出率が 60%及び 85%付近となる適当な 2 時点において、試験製剤の平均
溶出率が標準製剤の平均溶出率± 10%の範囲にある。
8.生物学的試験法
該当しない
9.製剤中の有効成分の確認
日局 「 ジゴキシン錠 」 の確認試験による。
試験法
10.製剤中の有効成分の定量法
日局 「 ジゴキシン錠 」 の定量法による。
11.力価
該当しない
12.混入する可能性のある
該当資料なし
夾雑物
13.注意が必要な容器・外観が
該当資料なし
特殊な容器に関する情報
14.その他
該当資料なし
-8-
Ⅴ.治療に関する項目
1.効能又は効果
○次の疾患に基づくうっ血性心不全(肺水腫、心臓喘息などを含む。)
先天性心疾患、弁膜疾患、高血圧症、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
、
肺性心(肺血栓・塞栓症、肺気腫、肺線維症などによるもの)、その他の心疾
患(心膜炎、心筋疾患など)、腎疾患、甲状腺機能亢進症ならびに低下症など
○心房細動・粗動による頻脈
○発作性上室性頻拍
○次の際における心不全および各種頻脈の予防と治療
手術、急性熱性疾患、出産、ショック、急性中毒
2.用法及び用量
ジゴキシンとして通常成人に対して
1. 急速飽和療法(飽和量:1.0 ~ 4.0mg)
初回 0.5 ~ l.0mg、以後 0.5mg を 6 ~ 8 時間毎に経口投与し、十分効果
のあらわれるまで続ける。
2. 比較的急速飽和療法を行うことができる。
3. 緩徐飽和療法を行うことができる。
4. 維持療法
1 日 0.25 ~ 0.5mg を経口投与する。
ジゴキシンとして通常小児に対して
1. 急速飽和療法
2 歳以下 1 日 0.06 ~ 0.08mg/kg を 3 ~ 4 回に分割経口投与する。
2 歳以上 1 日 0.04 ~ 0.06mg/kg を 3 ~ 4 回に分割経口投与する。
2. 維持療法
飽和量の 1 / 5 ~ 1 / 3 量を経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
飽和療法は過量になりやすいので、緊急を要さない患者には治療開始初期か
ら維持療法による投与も考慮すること。
3.臨床成績
(1)
臨床データパッケージ
該当しない
(2)
臨床効果
該当資料なし
(3)臨床薬理試験
該当資料なし
(4)
探索的試験
該当資料なし
-9-
Ⅴ.治療に関する項目
(5)
検証的試験
1)無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2)
比較試験
該当資料なし
3)
安全性試験
該当資料なし
4)
患者・病態別試験
該当資料なし
(6)
治療的使用
1)使用成績調査・特定使用成績
該当資料なし
調査(特別調査)
・製造販売後
臨床試験
(市販後臨床試験)
2)承認条件として実施予定の
該当しない
内容又は実施した試験の概要
- 10 -
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物
又は化合物群
ジギタリス配糖体 :
ジギトキシン、メチルジゴキシン、デスラノシド、ラナトシド C
2.薬理作用
(1)
作用部位・作用機序
作用部位:心臓
作用機序:ジゴキシンはリン酸化された Na +、K + - ATPase αサブユニッ
トに結合して阻害することで、Na + の流出を減少させ、細胞内
Na +濃度を増加させる。これが Na + - Ca2 +交換の原動力となり、
4)
結果として、細胞内 Ca2 +が増加し心筋収縮力が増加する。
また、
徐脈作用、抗不整脈作用、二次的な作用及び腎における Na + の
再吸収抑制作用による利尿作用を有するとされている。
(2)
薬効を裏付ける試験成績
1)
心収縮に対する作用 5)
モルモットの摘出左心房標本において、電気的駆動による心収縮力に対する
ジゴキシン及びメチルジゴキシンの作用を比較した試験において、両薬物の
心収縮力最大増加率及びその時の薬物濃度並びに心停止を起こす濃度は同等
であった。また、心室性期外収縮及び心停止発現量はジゴキシンとメチルジ
ゴキシンの間に差は認められなかった。
2)
心不全に対する作用 6)
イヌ及びモルモットを用いた実験的心不全に対するジゴキシンの効果は、メ
チルジゴキシンの効果と同程度であった。
3)
強心作用 7)
ウレタン麻酔モルモットの静脈内に持続注入し、不整脈及び心停止発現用量
を測定し、生物学的力価を測定した試験で、ジゴキシンはジギトキシン、メ
チルジゴキシンより強い活性を示した。また、ウレタン麻酔ネコで静脈内及
び十二指腸管内に持続注入し期外収縮及び心停止量を求め、強心効果を比較
した試験で、静脈内投与による心停止量はジゴキシン、メチルジゴキシン、
β - アセチルジゴキシン、ジギトキシンの間でほとんど差は認められなかっ
た。
(3)
作用発現時間・持続時間
<参考>
表Ⅵ - 1.ジゴキシンの作用発現時間、持続時間 8)
薬剤名
作用発現時間
(min)
最大効果発現時間
(hr)
作用持続時間
(day)
ジゴキシン
(経口)
30 ~ 60
3~6
2~6
- 11 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
(1)
治療上有効な血中濃度
ジゴキシンの有効治療血中濃度範囲は一般的に 0.5 ~ 2.0ng/mL(血清中濃度)
と考えられており、その範囲は非常に狭い。実際には中毒域と有効治療域の間
には明瞭な境界はなく、オーバーラップ域が存在する。その一因としては、低
カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症などの電解質のバラン
スが崩れた状態、腎疾患のある患者、血液透析を受けている患者、甲状腺機能
の低下している患者、交感神経系緊張の亢進した患者、心臓に器質的変化のあ
る患者及び高齢者等では、上記有効治療血中濃度範囲にあっても中毒を起こす
可能性がある。従って、血中濃度だけを指標にした治療ではなく、臨床家の正
確な臨床状態の把握とジゴキシン中毒症状の知識が必須のものとなる。また、
経口投与されたジゴキシンは主に小腸上部で吸収されるが、極性が高いために
吸収は不完全であり個体差も大きい。加えて他剤との相互作用も体内動態に影
響するため、患者個々において十分な観察が必要である。以下に参考として各
種文献での有効治療血中濃度範囲を示す。
表Ⅶ - 1.国内外の文献によるジゴキシン(Dg)の経口的維持療法における有効
治療血中濃度
文献
No
報告者
対象患者
Dg 服用患者
9) 濱田博章
平均維持量*1 有効治療血中濃度*1
(mg)
(血清濃度:ng/mL)
0.25 ± 0.11
1.17 ± 0.56
BUN30mg/dL以下 0.26 ± 0.12
1.14 ± 0.55
BUN30mg/dL以上 0.17 ± 0.06
10)
11)
佐藤友英
Dg 服用患者
0.125 ~ 0.5
1.45 ± 0.57
0.96 ± 0.55
2.0ng/mL 以下
12) 古舘正従 他
Dg 服用患者
0.89 ± 0.45
1.4ng/mL 以下
13) 石崎高志
Dg 服用患者
0.8 ~ 2.0 * 2
14) 上野和行 他
平均 72.2 歳
15) 扇谷茂樹 他
Dg 服用患者
16) 三浦崇則 他
1.5ng/mL 以下
0.05 ~ 0.375 0.23~2.20(1.00±0.431)
高齢者 71 歳以上 0.125 ~ 0.5
1.4ng/mL 以下
0.0625 ~ 1.0
0.3 ~ 3.0(1.4 ± 0.7)
0.31 ± 0.19
*4
Smith T.W. 他
17)
Dg 服用患者
18)*4 Doherty J.E. 他
Dg 服用患者
0.5 ~ 2.5
Dg 服用患者
0.8 ~ 2.3 *2
20)*4 Clayton B.D.
Dg 服用患者
0.5 ~ 2.5 *2
平均治療濃度1.4ng/mL
でも 10% の中毒発生の
リスク有り
21)*4 Oliver G.C. 他
Dg 服用患者
1.0 ~ 2.25 * 3
*4
19)
Hladik Ⅲ W.B. 他
* 1:範囲もしくは平均値± S.D. を記載した。
* 2:複数の文献のデータをまとめた値
* 3:血漿中濃度
* 4:外国人のデータ
- 12 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(2)
最高血中濃度到達時間
健康成人男子 8 名にハーフジゴキシン KY 錠 0.125 又はジゴキシン KY 錠 0.25(ジ
ゴキシンとして 0.125mg 又は 0.25mg)を絶食下単回経口投与したときの最高血清中濃
度は、投与後約 1 時間で得られた。
→「Ⅶ -1-(3)臨床試験で確認された血中濃度 」 の項参照
(3)臨床試験で確認された血中
濃度
1)
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125 及びジゴキシン KY 錠 0.25 の血清中濃度
健康成人男子にハーフジゴキシン KY 錠 0.125 又はジゴキシン KY 錠 0.25(ジゴキ
シンとして 0.125mg 又は 0.25mg)を単回経口投与したとき、血清中ジゴキシン濃度は
投与後約 1 時間で Cmax に達し、0.125mg 投与の Cmax 及び AUC は、0.25mg 投与の
ほぼ 1 /2 であった。22)
表Ⅶ - 2.健康成人男子にハーフジゴキシン KY 錠 0.125 又はジゴキシン KY 錠
0.25 を 1 錠単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0 → 48
(ng・hr/mL)
0.125mg
0.97 ± 0.42
1.2 ± 0.8
22.1 ± 21.1
5.28 ± 2.12
0.25mg
1.68 ± 0.45
0.9 ± 0.2
30.1 ± 7.8
11.59 ± 1.47
(平均値± S.D. n = 8)
(ng/mL)
ËÊ
Ì
£ i
ÊË
Ìa˜
£ i
Êf
ËÌ
ハーフジゴキシン
a˜ KY 錠 0.125
ジゴキシン KY 錠 0.25
血清中濃度
ËÊ
i
«
fÊ
Ì
«
«
«
« «
iÊ
Ì«
« «
«
«
fÊ
i«
i
f
h
«
«
ù
«
«
«
«
f
Ë
Ë
«
«
h
ù
«
«
(hr)
¨e
j
d†
‘
投与後時間
図Ⅶ - 1.健康成人男子にハーフジゴキシン KY 錠 0.125 又はジゴキシン KY 錠 0.25
を 1 錠単回経口投与したときの血清中ジゴキシン濃度推移
(平均値± S.D. n=8)
- 13 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
2)ジゴキシン錠 0.0625「KYO」及びハーフジゴキシン KY 錠 0.125 の血清中濃度
健康成人男子にジゴキシン錠 0.0625「KYO」又はハーフジゴキシン KY 錠
0.125(ジゴキシンとして 0.0625mg 又は 0.125mg)を単回経口投与したとき、
血清中ジゴキシン濃度は投与後約 1 時間で Cmax に達し、0.0625mg 投与の Cmax
及び AUC は 0.125mg 投与のほぼ 1/2 であった。23)
表Ⅶ - 3.健康成人男子にジゴキシン錠 0.0625「KYO」又はハーフジゴキシン
KY 錠 0.125 を 1 錠単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-48
(ng・hr/mL)
0.0625mg
0.41 ± 0.21
1.0 ± 0.40
32.7 ± 10.4
2.7 ± 0.94
0.125mg
0.76 ± 0.31
1.0 ± 0.33
33.4 ± 14.8
5.5 ± 1.68
(平均値± S.D. n = 12)
(ng/mL)
1.2
ジゴキシン錠0.0625「KYO」
1.0
ハーフジゴキシンKY錠0.125
血清中濃度
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
48 (hr)
9 10 11 12 13 14 24
15 16 17 18
36 19 20 21
投与後時間
図Ⅶ - 2.健康成人男子にジゴキシン錠 0.0625「KYO」又はハーフジゴキシン
KY 錠 0.125 を 1 錠単回経口投与したときの血清中ジゴキシン濃度推
移(平均値± S.D. n = 12)
3)
生物学的同等性試験
健康成人男子にハーフジゴキシン KY 錠 0.125 2 錠(ジゴキシンとして 0.25mg)
又は日局ジゴキシン錠 1 錠(ジゴキシンとして 0.25mg)を単回経口投与した
場合、血清中ジゴキシン濃度の推移はほぼ同様であり、生物学的に同等であっ
24)
た。
- 14 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(4)
中毒域
→「Ⅶ -1-(1)治療上有効な血中濃度 」 の項参照
ジゴキシンの有効治療血中濃度範囲は非常に狭く、一般に中毒域は 2.5ng/mL
以上とされているが、実際には中毒域と有効治療域の間には明瞭な境界はなく、
オーバーラップ域が存在する。
以下に参考として各種文献での中毒症状を発現する血清中濃度を示す。
表Ⅶ - 2.国内外の文献によるジゴキシン(Dg)の経口的維持療法における中毒
症状を発現する血清中濃度
文献
No
報告者
対象患者
平均維持量*1 中毒症状を発現する
(mg)
血清中濃度*1(ng/mL)
9)
濱田博章
Dg 服用患者
0.35 ± 0.15
2.20 ~ 5.66
(3.14 ± 1.41)
10)
11)
佐藤友英
Dg 服用患者
0.125 ~ 0.5
3.06 ± 1.34
13)
石崎高志
Dg 服用患者
2.5 以上* 2
14)
上野和行 他
平均 72.2 歳
1.5 以上
15)
扇谷茂樹 他
Dg 服用患者
16)
三浦崇則 他
0.05 ~ 0.375
高齢者 71 歳以上 0.125 ~ 0.5
0.125 ~ 1.0
0.36 ± 0.19
0.83 ~ 3.12
(1.89 ± 0.657)
1.4 以上
1.6 ~ 13.7
(3.7 ± 1.0)
*4
17)
Smith T.W. 他
Dg 服用患者
*4
18)
Doherty J.E. 他
Dg 服用患者
3.0 以上
Dg 服用患者
2.3 以上* 2
*4
20)
Clayton B.D.
Dg 服用患者
3.0 以上* 2
*4
21)
Oliver G.C. 他
Dg 服用患者
*3
0.5 ~ 3.0(1.6)
*4
19)
Hladik Ⅲ W.B. 他
* 1:範囲もしくは平均値± S.D. を記載した。
* 2:複数の文献のデータをまとめた値
* 3:血漿中濃度
* 4:外国人のデータ
(5)
食事・併用薬の影響
→「Ⅷ -7.相互作用 」 の項参照
(6)
母集団(ポピュレーション)
該当資料なし
解析により判明した薬物
体内動態変動要因
- 15 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
2.薬物速度論的パラメータ
Aronoff G. R. らが著した薬剤処方書では、健康成人及び腎疾患の末期患者での
消失半減期は、36 ~ 44 時間及び 80 ~ 120 時間となっており、腎疾患患者の半減
期が健康成人よりも 2 倍以上延長している。25)以下に各種文献から得られた薬物
速度論的パラメータを示す。
表Ⅶ - 3.各種文献にみられる薬物速度論的パラメータ 13、26)
文献
試験
kel
(hr-1)Vdc(L/kg) Vdss(L/kg)
対象
β(hr-1)Tl/2(hr)
β
No
者数
13)
腎機能正常者
36 ~ 44
5.1 ~ 7.4
27)*3
*3
28)
健康成人
5
0.017
44.1
0.020
34.65
*3
29)
14
30)*3
5
0.009
79.2
33
0.006
110.0
*3
31)
腎不全患者
*3
29)
7
*3
32) 乳児
(心不全) 7
103
0.029
*1
29.8
8.1 * 2
0.18
0.78
5.95
0.08 * 1
1.1 * 1
5.1 * 1
4.44 * 2
0.51
0.04
*1
0.73 * 1
3.3 * 1
1.3
9.9
0.27
β:β相での傾き、Tl/2 β:β相での消失半減期、kel:消失速度定数、
Vdc:体循環コンパートメントの容積、Vdss:定常状態での分布容積
* 1:他の文献値を平均した値、* 2:単位を L/kg に換算した値 * 3:外国人のデータ
(1)
解析方法
該当資料なし
(2)
吸収速度定数
ジゴキシンは極性が大きく難溶性であるため、錠剤で投与した場合、消化管
13)
吸収が不完全であることが知られている。
<参考>
①新岡らの報告では、健康成人 2 名を対象に空腹時にジゴキシン 0.5mg(0.25mg
× 2 錠)
を単回経口投与した結果、吸収速度定数(ka)は 3.73 及び 2.04hr-1 であっ
た。33)
②維持療法中の患者 9 症例でのジゴキシンの吸収速度定数は 0.830 ± 0.154hr-1
34)
であった。
(3)
バイオアベイラビリティ
35)
0.65 ~ 0.75(静注によるものを 1.0 とする)
(4)
消失速度定数
→「Ⅶ - 2.薬物速度論的パラメータ 」 の表Ⅶ - 3 参照
(5)
クリアランス
全身:181mL/min/1.73 13)
腎 :120 ~ 144mL/min/1.73 13)
(6)
分布容積
→「Ⅶ - 2.薬物速度論的パラメータ 」 の表Ⅶ - 3 参照
(7)
血漿蛋白結合率
20 ~ 25% 10)
3.吸収
35)
吸収部位:消化管(主に小腸の上部で急速に吸収される)
吸 収 率:60 ~ 80% 35、36)
腸肝循環:約 6.5 ~ 6.8% 35、36)
- 16 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
4.分布
Doherty J. E. らは、ジゴキシンの体内動態を検討中、ジゴキシン経口投与後
5.5 時間(平衡状態)で死亡した症例において、各臓器内での組織内濃度を測
定した。 その結果、
腎で最も濃度が高く、
次いで心臓、
膵臓、
副腎、
肝、
横隔膜の順となった。
骨格筋における濃度は他臓器と比べると比較的低かったが、人体中の容積の
上では骨格筋は正常ヒトの約 40% を占めることになるので、ジゴキシンの最大
35、37)
の貯溜部位といえる。
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図Ⅶ - 2.ヒトの各臓器におけるジゴキシンの組織内濃度 34、36)
(1)
血液 - 脳関門通過性
37 ~ 39)
通過する。
a)
Allonen H. らの報告では、ジゴキシン維持療法中の乳児(n=8)において、
ジゴキシンの血漿中濃度及び脳脊髄液(CSF)中での濃度を測定したところ、
平均 1.5ng/mL 及び 0.5ng/mL であった。また、長期ジゴキシン療法を受け
ている成人(n=11)でのジゴキシンの血漿中濃度及び CSF 中濃度は、平均
1.1ng/mL 及び 0.3ng/mL であった。また、ジゴキシン 0.5mg の単回経口投
与を受けた患者(n = 15)では、1 ~ 12 時間で 5 人に移行が認められた。38)
b)
Schott G. D. らの報告では、ジゴキシンの長期療法を受けている患者及び
7 ~ 10 日ジゴキシン投与を受けている患者(n=10)に 0.25mg もしくは
0.25mg × 2 を経口投与したとき、10 例中 2 例の CSF にジゴキシンが検出
された。39)
c)
Doherty J. E. らのジゴキシンの分布を調べた報告では、脳にジゴキシンの
僅かな分布を認めている。37)→ 「 Ⅶ - 4.分布 」 の図Ⅶ - 2 参照
(2)
血液 - 胎盤関門通過性
40、41)
通過する。
a)ジゴキシンは強心剤とともに抗不整脈剤としても用いられるため、心疾患
合併の妊婦では、妊娠中より投与されていることが比較的多い薬剤であり、
胎盤通過性も良好である。40)
b)妊婦へのジゴキシン投与が、胎児の奇形を引き起こしたとの報告はない。
ジゴキシンはヒトの胎盤を通過するが、母体の血中濃度が中毒域にある場
合、胎児に致命的な影響を与える可能性がある。しかし、治療域にある場
合には、胎児に副作用をもたらすとは考えられない。41)
- 17 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(3)
乳汁への移行性
42 ~ 46)
移行する。
a)
Chan V. らの報告では、ジゴキシン 0.25mg/ 日を服用中の授乳婦 11 人の出
産 1 ~ 7 日間の血漿中ジゴキシン濃度は 1.3 ~ 1.5nmol/L であり、母乳中
濃度は 0.83nmol/L であった。43)
b)
Loughnan P. M. の報告では、ジゴキシン 0.25mg/ 日を服用中の母親 2 人
の母乳中ジゴキシン濃度は投与後 4 時間及び 6 時間に最大となり、その濃
度は 0.96 及び 0.61ng/mL であり、平均母乳中濃度は、0.78 及び 0.41ng/mL
であったが、乳児の血中濃度は検出限界以下(0.1ng/mL 未満)であった。44)
c)
Finley J. P. らの報告では、ジゴキシン 0.75mg/ 日を服用中の母親の母乳中ジ
45)
ゴキシン濃度は 1.9ng/mLであり、乳児の血漿中濃度は 0.2ng/mLであった。
d)
Levy M. らの報告では、長期間ジゴキシン療法を受けている 5 人の母親
にジゴキシンを投与し、6 時間以上経過後の血清中及び母乳中のジゴキシ
ン濃度を測定した結果、0.6 ~ 1.2ng/mL 及び 0.5 以下~ 1.0ng/mL であり、
母乳中のジゴキシン濃度は血清中濃度とほぼ同じ値であった。46)
(4)
髄液への移行性
38、39)
移行する。
→「Ⅶ -4-(1)血液 - 脳関門通過性 」 の項参照
(5)その他の組織への移行性
心筋内のジゴキシン濃度は血漿中ジゴキシン濃度の約 30 倍(20 ~ 50 倍)で
あり、一般に腎濃度の約 1 / 2 である。骨格筋濃度は心臓の約 1 / 5 であり、脂肪
35、37)
組織へはほとんど分布しない。
- 18 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
5.代謝
(1)
代謝部位及び代謝経路
<代謝部位>
肝臓で代謝されると推定される。
<代謝経路>
投与されたジゴキシンの大部分が未変化体で排泄され、全体の 20 ~ 30%
が主に肝臓で代謝される。ジゴキシンの代謝は、その分子構造の C-3 位の
糖質部分(3 分子)が一つずつ脱落する方向に進む。また、ジゴキシンのラ
クトン環が還元されて dihydrodigoxin となり、糖質部分が一つずつ脱落す
る代謝経路も認められている。主な代謝物は薬理活性のない dihydrodigoxin
と dihydrodigoxigenin、薬理活性を持つ digoxigenin-bis-digitoxiside 及び
digoxigenin-mono-digitoxiside である。
-2H
Digoxin(polar, 3sugar) Dihydrodigoxin
+2H
↓
↓
Digoxigenin- bis-digitoxiside(2sugar)
Dihydrodigoxigeninbis-digitoxiside(2sugar)
↓
Digoxigenin-
mono-digitoxiside(1sugar)
Dihydrodigoxigenin
mono-digitoxiside(1sugar)
↓
Digoxigenin(0sugar)
↓
↓
Dihydrodigoxigenin(0sugar)
↓
Epi-digoxigenin
↓
Conjugation products
図Ⅶ - 3.ジゴキシンの代謝経路 35、36)
(2)
代謝に関与する酵素
(CYP450 等)の分子種
(3)
初回通過効果の有無及び
主な代謝酵素は肝薬物代謝酵素チトクローム P450(CYP)3A が考えられてい
47)
る。
該当資料なし
その割合
(4)
代謝物の活性の有無及び
比率
ジゴキシンの代謝物である digoxigenin-bis-digitoxiside、digoxigenin-monodigitoxiside、digoxigenin は、ジゴキシンと同様の活性を持っているが、還元代
謝物である dihydrodigoxin 及びその糖鎖部分が脱落した代謝物は、ジゴキシン
36)
の 1 / 7 ~ 1 / 36 程度の低い薬理活性を示す。
(5)
活性代謝物の速度論的
該当資料なし
パラメータ
- 19 -
Ⅶ.薬物動態に関する項目
6.排泄
(1)
排泄部位及び経路
腎排泄を主経路とし、糸球体濾過と P 糖蛋白質を介する尿細管分泌により尿
48、49)
中に排泄される。
(2)
排泄率
静注されたジゴキシンは、投与後 1 週間で約 80% が尿中に排泄され、約 17%
が糞便中に排泄された。また、尿中に排泄されたジゴキシンの 90% 以上は未変
35)
化体で排泄された。
<参考>
a)健康成人では、ジゴキシンのクリアランスと内因性クレアチニンクリアラ
ンスの比はほぼ一定であり、約 0.8 である。この比が 1 に近いことは、糸
球体で濾過されたジゴキシンが、ほとんど再吸収されないことを意味する。
また、ジゴキシンの尿細管からの排泄は、腎臓全体から排泄されるジゴキ
シンの 28% にすぎない。
しかし、重篤な腎不全になると、この比は 4.0 にまで増大する。これはジ
ゴキシンが積極的に尿細管から排泄されていることを示唆する。35)
b)
Doherty J. E. らの報告では、3H でラベルしたジゴキシンの投与後に、糞
便中から回収される放射能活性の 45 ~ 55% は未変化体であり、10 ~ 20%
は digoxigenin-bis-digitoxiside、25% は digoxigenin-mono-digitoxiside で
50)
あった。
(3)
排泄速度
7.トランスポーターに関する
36)
ジゴキシンの投与後 24 時間の腎排泄率は 34% と考えられている。
48)
ジゴキシンはP糖蛋白質の基質である。
情報
8.透析等による除去率
(1)
腹膜透析
Ackerman G. L. らの報告では、14 人の患者に対し、腹膜透析を平均 8mL/
min で行ったとき、透析液中に回収されたジゴキシンは投与量の平均 2% にす
ぎなかった。また、透析後の血清中の半減期は平均 88 時間であり、透析をし
51)
なかった腎不全患者の半減期と違いはなかった。
(2)
血液透析
Ackerman G. L. らの報告では、9 人の患者に対し、血液透析を平均 10mL/
min で行ったとき、透析液中に回収されたジゴキシンは投与量の平均 3% に満
51)
たなかった。
(3)
直接血液灌流
ジゴキシン中毒に有効としている報告もあるが、4 時間血液灌流を行っても、
投与した量及びその生体が保持しているジゴキシン量の 1 ~ 4% 以上は除去す
52)
ることができないとしている報告もある。
- 20 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
2.禁忌内容とその理由
(原則禁忌を含む)
該当しない
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
(1)房室ブロック、洞房ブロックのある患者[刺激伝導系を抑制し、これら
を悪化させることがある。]
(2)
ジギタリス中毒の患者[中毒症状が悪化する。]
(3)閉塞性心筋疾患
(特発性肥大性大動脈弁下狭窄等)のある患者[心筋収縮
力を増強し、左室流出路の閉塞を悪化させることがある。]
(4)
本剤の成分又はジギタリス剤に対し過敏症の既往歴のある患者
【原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする
場合には慎重に投与すること)】
(1)本剤投与中の患者にカルシウム注射剤を投与すること[「 相互作用 」 の項
参照]
(2)本剤投与中の患者にスキサメトニウム塩化物水和物を投与すること
[「 相互作用 」 の項参照]
3.効能又は効果に関連する
該当しない
使用上の注意とその理由
4.用法及び用量に関連する
「Ⅴ.治療に関する項目」を参照すること。
使用上の注意とその理由
5.慎重投与内容とその理由
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)急性心筋梗塞のある患者[心筋収縮力増強により心筋虚血を悪化させる
おそれがある。]
(2)心室性期外収縮のある患者[中毒が発現した場合鑑別ができないおそれ
がある。]
(3)
心膜炎、肺性心のある患者[少量で中毒を起こすおそれがある。]
(4)
WPW 症候群のある患者[副伝導路の伝導速度を速め、不整脈が悪化する
おそれがある。]
(5)電解質異常(低カリウム血症、高カルシウム血症、低マグネシウム血症等)
のある患者[少量で中毒を起こすおそれがある。]
(6)
腎疾患のある患者[本剤の排泄が遅延し、中毒を起こすおそれがある。
]
(7)血液透析を受けている患者[本剤の排泄が遅延する。また、透析により、血
清カリウム値が低下する可能性があるため、中毒を起こすおそれがある。
]
(8)
甲状腺機能低下症のある患者[本剤の血中濃度が高くなり、作用が増強し、
中毒を起こすおそれがある。]
(9)
甲状腺機能亢進症のある患者[本剤の血中濃度が低くなり、作用が減弱し、
大量投与を要することがある。]
(10)
高齢者[「 高齢者への投与」 の項参照]
- 21 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
6.重要な基本的注意とその
理由及び処置方法
(1)本剤を投与する場合には観察を十分に行い、過去 2 ~ 3 週間以内にジギ
タリス剤又はその他の強心配糖体が投与されているか否かを確認したの
ち、慎重に投与量を決定すること。
(2)本剤の至適投与量は患者により個人差があるので、少量から投与を開始
し、観察を十分に行い投与量を調節すること。
(解説)
(1)ジギタリス剤は有効血中濃度の範囲が狭く、血中濃度の上昇に伴いジギタ
リス中毒の発現頻度も上昇するため、慎重に投与量を決定する。
投与量は、患者の心症状、合併症、年齢等によって増減されるものであるが、
その他、血中ジギタリス濃度を測定し、その値も参考にすることが望ましい。
7.相互作用
本剤は種々の薬剤との相互作用が報告されているが、可能性のあるすべての
組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤と併用したり、
本剤又は他剤を休薬する場合は本剤の血中濃度の推移、自覚症状、心電図等
に注意し、慎重に投与すること。また、本剤はP糖蛋白質の基質であるため、
本剤の血中濃度はP糖蛋白質に影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考え
られる。
(1)
併用禁忌とその理由
[原則併用禁忌](原則として併用しないこと)
薬剤名等
臨床症状・措置方法
注)
カルシウム注射剤
機序・危険因子
静注により急激に血中 本剤の催不整脈作用は心
グルコン酸カルシウム カルシウム濃度が上昇 筋細胞内カルシウム濃度
水和物
するとジゴキシンの毒 に依存するものと考えられ
カルチコール注射液
性が急激に出現するこ ている。
等
とがある。
急激にカルシウム濃度を
上昇させるような使用法は
塩化カルシウム水和物
避けること。
スキサメトニウム塩化物 併用により重篤な不整 スキサメトニウム塩化物水
水和物
脈を起こすおそれがあ 和物の血中カリウム増加作
スキサメトニウム
る。
用又はカテコールアミン放
出が原因と考えられてい
レラキシン
る。
注)
カルシウム値の補正に用いる場合を除く。
- 22 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(2)
併用注意とその理由
[併用注意](併用に注意すること)
(1)
ジゴキシンの作用を増強する薬剤
臨床症状:本剤の作用を増強することがある。
ジギタリス中毒の症状(嘔気、嘔吐、不整脈等)があらわれることがある。
消化器 ・ 神経系自覚症状、心電図、血中濃度測定等必要に応じ観察する
とともに腎機能、血清電解質(カリウム、マグネシウム、カルシウム)、
甲状腺機能等の誘因に注意すること。
措置方法:「 過量投与 」 の項参照。
薬剤名等
機序・危険因子
解熱・鎮痛・消炎剤
本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇
インドメタシン
するとの報告がある。
ジクロフェナク 等
トラゾドン
機序は不明であるが、本剤の血中濃度が上
昇するとの報告がある。
抗コリン剤
腸管運動を抑制し、滞留時間が延長される
アトロピン系薬剤
ため、本剤の吸収が増大し、血中濃度が上
プロパンテリン 等
昇するとの報告がある。
強心剤
過度の利尿により低カリウム血症が起こる
アムリノン
ためと考えられている。
不整脈用剤
機序不明なものも含まれるが、本剤の腎排
アミオダロン
泄が抑制されることによる血中濃度上昇、
キニジン
あるいは、薬力学的相互作用による刺激伝
ピルメノール
導抑制等があらわれることがある。
フレカイニド
ピルジカイニド
プロパフェノン
べプリジル 等
β遮断剤
薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、
プロプラノロール
徐脈の誘発があらわれることがある。また、
アテノロール
カルベジロールでは本剤の血中濃度が上昇
カルべジロール 等
したとの報告がある。
カリウム排泄型利尿剤
チアジド系利尿剤
過度の利尿により、血中カリウム値が低下
しやすくなるとの報告がある。
クロルタリドン
利尿剤
フロセミド 等
アセタゾラミド
スピロノラクトン
本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇
するとの報告がある。
トルバプタン
P糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制によ
り、血中濃度が上昇するとの報告がある。
血圧降下剤
薬力学的相互作用により、伝導抑制の増強、
レセルピン系薬剤
徐脈の誘発があらわれることがある。
アンジオテンシンⅡ受容体 機序は不明であるが、本剤の血中濃度が上
昇するとの報告がある。
拮抗剤
テルミサルタン
- 23 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
薬剤名等
機序・危険因子
カルシウム拮抗剤
本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇
ベラパミル
するとの報告がある。
ジルチアゼム
ニフェジピン 等
HMG-CoA
還元酵素阻
害剤
フルバスタチン 機序は不明であるが、本剤の最高血中濃度
の上昇が認められたとの報告がある。
アトルバスタチン P 糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制によ
り血中濃度の上昇が示唆されている。
ポリスチレンスルホン酸塩
腸内のカリウムイオンとのイオン交換により、
血中カリウム値が低下するとの報告がある。
交感神経刺激剤
薬力学的相互作用により、不整脈があらわ
アドレナリン
れることがある。
オルシプレナリン
イソプレナリン 等
プロトンポンプ阻害剤
胃酸分泌抑制作用により本剤の加水分解が
オメプラゾール
抑制され、血中濃度が上昇するとの報告が
ラベプラゾール 等
ある。
副腎皮質ホルモン剤
副腎皮質ホルモンにより低カリウム血症が
起こるためと考えられている。
ビタミン D 製剤
ビタミン D 製剤により、血中カルシウム値
カルシトリオール 等
が上昇するためと考えられている。
カルシウム経口剤
これらの薬剤により、血中カルシウム値が
カルシウム含有製剤
上昇するためと考えられている。
高カロリー輸液 等
習慣性中毒用剤
ジスルフィラム - アルコール反応時に過呼吸
ジスルフィラム
により血中カリウム値が低下したとの報告があ
る。
シクロスポリン
本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇
するとの報告がある。
エリスロマイシン
腸内細菌叢への影響による本剤の代謝の抑
クラリスロマイシン
制、あるいは、P 糖蛋白質を介した本剤の
抗生物質製剤
ガチフロキサシン水和物 排泄の抑制により血中濃度が上昇するとの
テトラサイクリン
報告がある。
アジスロマイシン
機序の詳細は不明であるが、P糖蛋白質を
介した本剤の輸送が阻害されるとの報告が
ある。
アムホテリシン B
これらの薬剤により、血中カリウム値が低
エンビオマイシン
下するためと考えられている。
HIV プロテアーゼ阻害剤
P 糖蛋白質を介した本剤の排泄の抑制によ
リトナビル
り、血中濃度が上昇するとの報告がある。
サキナビル
エトラビリン
P糖蛋白質阻害作用により、本剤の血中濃
度が上昇するとの報告がある。
- 24 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
テラプレビル
P糖蛋白質阻害作用により、本剤の血中濃
度が上昇するとの報告がある。
化学療法剤
本剤の腎排泄が抑制され、血中濃度が上昇
イトラコナゾール
するとの報告がある。
スルファメトキサゾール・
トリメトプリム
抗甲状腺剤
甲状腺機能亢進の改善に伴いクリアランス
チアマゾール
が正常になるため、本剤の血中濃度が上昇
プロピルチオウラシル
するとの報告がある。
ベムラフェニブ
P糖蛋白質阻害作用により、本剤の血中濃
度が上昇するとの報告がある。
(2)
ジゴキシンの作用を減弱する薬剤等
臨床症状 ・ 措置方法:本剤の作用を減弱することがあるので、併用する場
合には本剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。
薬剤名等
機序・危険因子
カルバマゼピン
併用後、本剤の血中濃度の低下が認められ
たとの報告がある。
コレスチラミン
コレスチミド
消化管内での吸着により本剤の吸収を阻害
し、血中濃度が低下すると考えられている。
消化性潰瘍剤
スクラルファート水和物
消化管内での吸着により本剤の吸収を阻害
し、血中濃度が低下するとの報告がある。
制酸剤
水酸化アルミニウム
水酸化マグネシウム 等
抗生物質製剤
フラジオマイシン
本剤の吸収が阻害され、血中濃度が低下す
るとの報告がある。
リファンピシン
P 糖蛋白質、肝薬物代謝酵素の誘導作用に
より、本剤の血中濃度が低下するとの報告
がある。
サルファ剤
サラゾスルファピリジン
本剤の吸収が阻害され、血中濃度が低下す
るとの報告がある。
甲状腺製剤
乾燥甲状腺
レボチロキシン
リオチロニン
甲状腺機能低下の改善に伴いクリアランス
が正常になるため、本剤の血中濃度が低下
するとの報告がある。
アカルボース
ミグリトール
併用により本剤の血中濃度の低下が認めら
れたとの報告がある。
セイヨウオトギリソウ
本剤の排泄が促進され血中濃度が低下する
(St. John's Wort、セント・ おそれがあるので、本剤投与時はセイヨウ
ジョーンズ・ワート)含有食品 オトギリソウ含有食品を摂取しないよう注
意すること。
- 25 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(3)
ジゴキシンにより作用が増強される薬剤
臨床症状 ・ 措置方法:ブピバカイン塩酸塩水和物の副作用を増強したとの
報告がある。
薬剤名等
機序・危険因子
ブピバカイン塩酸塩水和物 薬力学的相互作用によると考えられている。
(4)
併用薬剤の作用が減弱される薬剤
臨床症状 ・ 措置方法:ヘパリンの作用を減弱するおそれがある。
薬剤名等
ヘパリン
機序・危険因子
抗凝血作用に拮抗すると考えられている。
(5)
ジギタリス中毒の症状を不顕化するおそれのある薬剤
臨床症状 ・ 措置方法:ジギタリス中毒の症状(悪心・嘔吐、食欲不振等)
を不顕化するおそれがある。
薬剤名等
機序・危険因子
制吐作用を有する薬剤
これら薬剤の制吐作用のため、本剤の中毒症
スルピリド
状が判別しにくくなる。
メトクロプラミド
ドンペリドン 等
8.副作用
(1)
副作用の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない
ため頻度は不明である。(再審査対象外)
(2)重大な副作用と初期症状
重大な副作用(頻度不明)
1)ジギタリス中毒:高度の徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性
心房性頻拍等の不整脈があらわれることがある。また、さらに重篤な房
室ブロック、心室性頻拍症あるいは心室細動に移行することがある。初
期症状として消化器、眼、精神神経系症状[「その他の副作用」の項参照]
があらわれることが多いが、それらの症状に先行して不整脈が出現する
こともある。このような症状があらわれた場合には、減量又は休薬する
など適切な処置を行うこと。[処置法は「過量投与」の項参照。]
2)非閉塞性腸間膜虚血:非閉塞性腸間膜虚血があらわれることがあり、腸
管壊死に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、激しい腹
痛、血便等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行
うこと。
- 26 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(3)
その他の副作用
頻度不明
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢等
眼
視覚異常(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視等)
精神神経系 めまい、頭痛、失見当識、錯乱、譫妄等
肝 臓
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P の上昇
血 液
血小板数減少
注)
過敏症
発疹、蕁麻疹、紫斑、浮腫等
その他
女性型乳房、筋力低下
注)このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
(4)
項目別副作用発現頻度及び
該当資料なし
臨床検査値異常一覧
(5)
基礎疾患、合併症、重症度
該当資料なし
及び手術の有無等背景別の
副作用発現頻度
(6)
薬物アレルギーに対する
注意及び試験法
本剤の成分又はジギタリス剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しな
いこと。
発疹、蕁麻疹、紫斑、浮腫等があらわれることがあるので、このような症状
があらわれた場合には投与を中止すること。
試験方法については現在のところ確立したものはない。
9.高齢者への投与
高齢者に投与する場合には少量から投与を開始し、血中濃度等を監視するな
ど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
[ジギタリス中毒があらわれ
やすい。
]
10.妊婦、産婦、授乳婦等への
投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回
ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は
確立していない。]
11.小児等への投与
小児等に投与する場合には少量から投与を開始し、血中濃度や心電図等を監
視するなど、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
[ジギタリス中毒が
あらわれやすい。]
12.臨床検査結果に及ぼす影響
該当資料なし
- 27 -
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
13.過量投与
徴候・症状
ジギタリス中毒が起こることがある[「 副作用 」 の項参照]。
処置法
(1)薬物排泄:胃内のジゴキシンの吸収を防止するために活性炭が有効と
報告されている。
(2)心電図:直ちに心電図による監視を行い、上記ジギタリス中毒特有の
不整脈の発現に注意する。
(3)重篤な不整脈の治療法:徐脈性不整脈及びブロックにはアトロピン等
が用いられる。
(徐脈性不整脈に通常用いられる交感神経刺激剤はジギ
タリス中毒には用いるべきではない。
)重篤な頻脈性不整脈が頻発する
ときは塩化カリウム、リドカイン、プロプラノロール等が用いられる。
(4)
血清電解質
1)
特に低カリウム血症に注意し、異常があれば補正する。
2)高カリウム血症には、炭酸水素ナトリウム、グルコース・インスリン
療法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が用いられる。
(5)腎機能:ジゴキシンは腎排泄型であるので腎機能を正常に保つ。血液
透析は一般に無効であるとされている。
14.適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指
導すること。[PTP シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、
更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告され
ている。
]
1)
医師の指示なしに服用を中止しないよう注意すること。
2)決められた時間に服用するのを忘れたら、1 回飛ばして次の服用時間から通
常どおり服用する。2 回分を 1 度に服用することは絶対に避けること。
注)飲み忘れ時の対応は、個々のケースに応じた対応が望ましいと考えられ
るが、参考として目安を示した。
15.その他の注意
該当しない
16.その他
該当しない
- 28 -
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.薬理試験
(1)
薬効薬理試験(
「Ⅵ.薬効
薬理に関する項目」参照)
(2)
副次的薬理試験
該当資料なし
(3)
安全性薬理試験
表Ⅸ - 1.一般薬理に関する試験結果 53)
試験項目
実験
動物
試験方法
自発運動 マウス 回転式運動量測定法
抗痙攣
作用
最大電気刺激法
マウス pentylentetrazol 痙攣、
strychnine 痙攣
中枢神経系
麻酔増強
thiopental sodium
マウス
作用
睡眠作用
酢酸法により、
鎮痛作用 マウス stretching movement
回数を測定
催吐作用
イヌ
観察
投与
経路
腹腔内
試験成績
0.01 ~ 1 溶媒群と差を認めず
経口
0.1 ~ 10 作用なし
経口
0.1 ~ 10 作用なし
経口
0.3 ~ 3
0.3mg/kg より用量に
依存して著明に延長
経口
1 ~ 10
10mg/kgで回数がや
や減少
(有意差なし)
*
経口
0.03 ~ 0.3
嘔吐を用量依存的に
起こした
筋弛緩
作用
マウス 回転棒法
経口
0.1 ~ 3
明らかな作用なし
体温
ラット 直腸温度
経口
1 ~ 10
明らかな作用なし
静注
0.1
動注
0.01 ~ 0.1
血圧・血流量ともに
変化せず
静注
0.3
溶媒群と差を認めず
摘出
10-6~
10-5M
静注
1~5
静注
1
vitro
0.1 ~ 1
自律神経系
多シ ナプ
交差性伸展反射
ス脊椎反 ヒヨコ
同側性屈曲反射
射
pentobarbital 麻酔下で
後肢血流量 イヌ の右総頚動脈と右大腿
動脈間の血圧・血流量
urethane 麻酔下で上
交感神
頚交感神経節の節前・
経節瞬
ネコ
節後神経刺激による瞬
膜標本
膜の収縮に対する作用
摘出横隔膜神経刺激に
よる横隔膜の収縮に対
する作用
神経筋
ラット urethane 麻酔下で生
接合部
体位坐骨神経刺激によ
る腓腹筋の収縮に対す
る作用
子宮の自由運動及び
生体位
ラット oxytocin による収縮
子宮
に対する作用
消化管
マウス 炭末の移行率
輸送能
角膜反射作用を指標と
局所粘膜 ウサギ して表面麻酔作用、眼
結膜刺激作用を検討
生殖消化器系
carrageenin
後 肢 足 蹠 に お け る 皮下注
浮腫への
ラット carrageenin 浮腫に対
作用
して
経口
*:溶媒投与群との有意差を示す。
(4)
その他の薬理試験
投与量
(mg/kg)
該当資料なし
- 29 -
作用なし
変化なし
5mg/kg で軽度に収
縮作用の持続延長
作用せず
1mg/kg で 28% 抑制
1%懸濁液 作用なし
1mg/kg で抑制傾向
(有意差なし)
*
3mg/kg で約 25% の
0.3 ~ 3
抑制
0.01 ~ 1
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
2.毒性試験
(1)
単回投与毒性試験
<参考:急性毒性試験>
a)モルモット(10 匹)にジゴキシンを経口及び腹腔内投与し、LitchfieldWilcoxon 法により 50% の致死量(LD50)を求めた結果を以下に示す。死
亡症状は、歩行困難、興奮、外界刺激に対する感受性の増大、耳介反射の
亢進などに続いて間代性痙攣を 2 ~ 3 分毎に間欠的に起こし、呼吸困難と
なり死亡した。5)
表Ⅸ - 2.モルモット(n=10)におけるジゴキシンの LD50 値 5)
LD50 mg/kg
算出値
(n=10)
経口投与
平均値
4.4
(データ範囲) (3.6 ~ 5.4)
腹腔内投与
0.8
(0.64 ~ 0.96)
b)
雑種成犬(5 頭)を pentobarbital sodium 30mg/kg(静注)で麻酔後、股
静脈よりジゴキシンを 0.17mL/min(0.005mg/kg/min)で持続注入し、期
5)
外収縮及び心停止が起こるまでの投与量を観察した結果を以下に示す。
表Ⅸ - 3.麻酔イヌ(n=5)にジゴキシンを持続注入した時の期外収縮量
及び心停止量 5)
投与速度
(mg/kg/min)
0.005
(2)
反復投与毒性試験
投与した平均ジゴキシン量± S.E.(mg/kg)
期外収縮
心停止
0.20 ± 0.015
0.36 ± 0.013
<参考:静注での反復毒性試験>
「<参考:急性毒性試験> b)」の心停止量の結果より、この 1/3 量(0.12mg/
kg)のジゴキシンを雑種成犬(5 頭)に 48 時間毎に静脈内投与し、死亡するま
での投与回数を測定した結果、2.6 ± 0.24 回(平均± S.E.)であった。この値
は、同じ条件で実施したβ-メチルジゴキシンの値より若干少なかったことか
ら、ジゴキシンの蓄積作用はβ-メチルジゴキシンより若干多い傾向にあった
5)
が両者間に有意の差はなかった。
(3)
生殖発生毒性試験
該当資料なし
(4)
その他の特殊毒性
該当資料なし
- 30 -
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1.規制区分
製剤:ジゴキシン錠 0.0625「KYO」 劇薬、処方箋医薬品注)
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125 劇薬、処方箋医薬品注)
ジゴキシン KY 錠 0.25 劇薬、処方箋医薬品注)
注)注意―医師等の処方箋により使用すること
有効成分:ジゴキシン 毒薬 54)
2.有効期間又は使用期限
使用期限:外箱に表示(製造後 3 年;安定性試験結果に基づく)
(使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。
)
3.貯法・保存条件
遮光した気密容器、室温保存
4.薬剤取扱い上の注意点
(1)薬局での取り扱い上の留意
該当しない
点について
(2)薬剤交付時の取扱いについ
て(患者等に留意すべき必
→「Ⅷ - 14.適用上の注意」の項参照
くすりのしおり:有り
須事項等)
(3)
調剤時の留意点について
該当しない
5.承認条件等
該当しない
6.包装
ジゴキシン錠 0.0625「KYO」 :PTP 100 錠(10 錠× 10)
100 錠
バラ
ハーフジゴキシン KY 錠 0.125:PTP 100 錠(10 錠× 10)
1,000 錠(10 錠× 100)
1,400 錠(14 錠 × 100)
バラ
100 錠
ジゴキシン KY 錠 0.25 :PTP 100 錠(10 錠× 10)
1,000 錠(10 錠× 100)
バラ
7.容器の材質
PTP 包装
100 錠
PTP シート:ポリ塩化ビニル、アルミニウム
瓶 :ガラス(褐色)
バラ包装
キャップ:ブリキ
詰 め 物:ポリエチレン、(0.25mg のみ)ポリウレタン
8.同一成分・同効薬
同一成分薬:ジゴシン錠(中外)等の日本薬局方ジゴキシン錠
同 効 薬:メチルジゴキシン、デスラノシド等のジギタリス配糖体
9.国際誕生年月日
不明
- 31 -
Ⅹ.管理的事項に関する項目
10.製造販売承認年月日及び
承認番号
11.薬価基準収載年月日
販売名
製造販売承認年月日
承認番号
薬価基準収載年月日
ジゴキシン錠
2014 年 8 月 15 日 22600AMX00969 2014 年 12 月 12 日
0.0625「KYO」
ハーフジゴキシン
KY 錠 0.125
2002 年 2 月 20 日
21400AMZ00097
2002 年 7 月 5 日
ジゴキシン
KY 錠 0.25 *
1982 年 12 月 23 日
57AM1329
1961 年 8 月 23 日
*ジゴキシン錠「山之内」として(製造承認承継:2002 年 4 月 30 日)
12.効能又は効果追加、用法
該当しない
及び用量変更追加等の
年月日及びその内容
13.再審査結果、再評価結果
公表年月日及びその内容
再審査結果:該当しない
再評価結果:
販売名
通知年月日
変更内容
ジゴキシン錠
「 山之内 」
1974 年 7 月 29 日
医薬品再評価結果(その 2)
「 用法及び用量 」「 効能又は効果 」 に
変更なし
14.再審査期間
該当しない
15.投薬期間制限医薬品に
本剤は、投薬(あるいは投与)期間に関する制限は定められていない。
関する情報
16.各種コード
17.保険給付上の注意
販売名
HOT(9桁)番号
厚生労働省
薬価基準収載
医薬品コード
レセプト電算
コード
ジゴキシン錠
0.0625「KYO」
123794801
2113003F3025
622379401
ハーフジゴキシン
KY 錠 0.125
114686801
2113003F2010
610462018
ジゴキシン
KY 錠 0.25
102367102
2113003F1014
620000519
本剤を投与している心疾患、重症うっ血性心不全(急速飽和)の患者に対して、
薬物血中濃度を測定して計画的な治療管理を行った場合、「特定薬剤治療管理
料」が認められている。
- 32 -
ⅩⅠ.文献
1.引用文献
1)The Digitalis Investigation Group:N. Engl. J. Med., 336(8), p. 525-533(1997)
2)日本公定書協会編:医薬品一般名称辞典 , 薬事日報社 , 1996, p. 100
3)Maryadele J. O. et al:THE MERCK INDEX, 14th ed., Merck Research
Laboratories, 2006, p. 537
4)髙折修二 他監訳:グッドマン ・ ギルマン薬理書[上], 第 12 版 , 廣川書店 ,
2013, p. 1018-1021
5)竹中登一 他:応用薬理 , 7(3), p. 373-379(1973)(LP-038)
6)Schaumann W. et al:Naun.-Schmie. Arch. Pharmacol., 282(1), p. 9-14
(1974)
(DG-0987)
7)Schaumann W. et al:Arzneim.-Forsch.(Drug Res.)., 21(2), p. 225-231
(1971)
(LP-121)
8)大坪博子:都薬雑誌 , 13(12), p. 13-22(1991)(DG-0982)
9)濱田博章:関西医科大学雑誌 , 34(3), p. 651-666(1982)(DG-1233)
10)佐藤友英:日本臨床 , 40(11), p. 2367-2375(1982)(DG-1252)
11)宮沢良道 他:臨床薬理 , 11(4), p. 331-332(1980)(DG-2144)
12)古舘正従 他:臨床検査 , 26(1), p. 109-112(1982)(DG-1269)
13)石崎高志:綜合臨床 , 31(1), p. 63-68(1982)(LP-111)
14)上野和行 他:病院薬学 , 17(1), p. 34-37(1991)(DG-0017)
15)扇谷茂樹 他:衛生検査 , 32(7), p. 928-931(1983)(DG-1207)
16)Miura T. et al:Ann. Pharmacother., 34(4), p. 427-432(2000)
17)Smith T. W. et al:J. Clin. Invest., 49(12), p. 2377-2386(1970)
18)Doherty J. E. et al:Prog. Cardiovasc. Dis., 21(2), p. 141-158(1978)(DG0997)
19)Hladik Ⅲ W. B. et al:Eur. J. Clin. Pharmacol., 15(6), p. 411-415(1979)
20)Clayton B. D.:Am. J. Hosp. Pharm., 31(9), p. 855-865(1974)
21)Oliver G. C. et al:Am. J. Med., 51(2), p. 186-192(1971)
22)大西明弘 他:診療と新薬 , 39(6), p. 477-483(2002)
23)京都薬品工業社内資料:ジゴキシン錠 0.0625「KYO」及びハーフジゴキシン
KY 錠 0.125 の健康成人における薬物動態[DG00401]
24)大西明弘 他:診療と新薬 , 39(4), p. 285-291(2002)
25)Aronoff G. R. et al:Drug Prescribing in Renal Failure, 4th ed., American
College of Physicians, 1999, p. 35
26)Iisalo E.:Clin. Pharmacokinet., 2(1), p. 1-16(1977)
27)Koup J. R. et al:J. Pharmacokinet. Biopharm., 3(3), p. 181-192(1975)
28)Nyberg L. et al:Acta Pharm. Suec., 11(5), p. 459-470(1974)
29)Reuning R. H. et al:J. Clin. Pharmacol., 13(4), p. 127-141(1973)
30)Koup J. R. et al:Clin. Pharmacol. Ther., 18(1), p. 9-21(1975)
31)Ohnhaus E. E. et al:Dtsch. Med. Wochenschr., 99
(37), p. 1797-1803(1974)
32)Wettrell G.:Eur. J. Clin. Pharmacol., 11(5), p. 329-335(1977)
33)新岡正法 他:病院薬学 , 10(4), p. 247-253(1984)(DG-1095)
34)馬場茂樹 他:臨床薬理 , 13(1), p. 57-58(1982)(JP-M03549)
35)安田寿一 他:綜合臨床 , 28(1), p. 29-36(1979)(LP-138)
36)石橋丸應 他:薬局 , 32(9), p. 1057-1064(1981)(JP-L51196)
- 33 -
ⅩⅠ.文献
37)Doherty J. E. et al:Ann. Intern. Med., 66(1), p. 116-124(1967)
(DG-0994)
38)Allonen H. et al:Acta Pharmacol. Toxicol., 41(3), p. 193-202(1977)
(DG-0991)
39)Schott G. D. et al:Postgrad. Med. J., 52(613), p. 700-702(1976)
(DG-0992)
40)伊藤 茂:産科と婦人科 , 66(10), p. 1273-1277(1999)(PD-09041)
41)Lees K. R. et al:Br. Med. J., 294(6568), p. 358-360(1987)(DG-02366)
42)豊口禎子 他:JJSHP, 30(7, 8), p. 831-835(1994)(HR-03107)
43)Chan V. et al:Br. J. Obstet. Gynaecol., 85(8), p. 605-609(1978)
44)Loughnan P. M.:J. Pediatr., 92(6), p. 1019-1020(1978)
45)Finley J. P. et al:J. Pediatr., 94(2), p. 339-340(1979)
46)Levy M. et al:N. Engl. J. Med., 297(14), p. 789(1977)
47)Salphati L. et al:Xenobiotica., 29(2), p. 171-185(1999)
48)Tanigawara Y. et al:J. Pharmacol. Exp. Ther., 263(2), p. 840-845
(1992)
49)Woodland C. et al:Ther. Drug Monit., 20(2), p. 134-138(1998)
50)Doherty J. E. et al:Annu. Rev. Med., 26, p. 159-171(1975)
51)Ackerman G. L. et al:Ann. Intern. Med., 67(4), p. 718-723(1967)
(DG-0998)
52)Okonek S. et al:Dtsch. Med. Wochenschr., 105(15), p. 501-502(1980)
(DG-0999)
53)伊藤隆太 他:東邦医学会雑誌 , 23(1, 2), p. 59-88(1976)(LP-280)
54)薬事研究会:規制医薬品事典 , 薬業時報社 , 1992, p. 181-182
2.その他の参考文献
該当資料なし
- 34 -
ⅩⅡ.参考資料
1.主な外国での発売状況
本剤は外国では発売されていない。(2016 年 2 月現在)
<参考>
外国で発売されている主なジゴキシン錠
国名
米
販売名
Lanoxin
含量(mg)
0.125
0.25
会社名
Covis Pharmaceuticals
0.0625
英
Lanoxin
0.125
aspen
0.25
Lenoxin mite
独
仏
0.125
0.25
Aspen Pharma
Digacin
0.25
mibe
Lanicor
0.25
TEOFARMA
Digoxine Nativelle
0.25
TEOFARMA
注)Drugs@FDA<http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/>
(2016 年 2 月現在)
、The electronic Medicines Compendium<http://www.
medicines.org.uk/emc/>(2016 年 2 月現在)
、ROTE LISTE(2015)
、ViDAL
(2015)より主な製剤を抜粋した。
2.海外における臨床支援情報
妊婦に関する海外情報(FDA、オーストラリア分類)
本邦における使用上の注意「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項の記載は
以下のとおりであり、米 FDA、オーストラリア分類とは異なる。
【使用上の注意】「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回
ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確
立していない。]
分類
FDA の分類:Pregnancy Category
C注 1)
オーストラリアの分類:
An Australian categorisation of risk of
drug use in pregnancy
A注 2)
- 35 -
ⅩⅡ.参考資料
<参考:分類の概要>
FDA の分類:Pregnancy Category 注 1)
C:Either studies in animals have revealed adverse effects on the fetus
(teratogenic or embryocidal or other)and there are no controlled studies
in women or studies in women and animals are not available. Drugs should
be given only if the potential benefit justifies the potential risk to the fetus.
オーストラリアの分類:An Australian categorisation of risk of drug use
in pregnancy 注 2)
A:Drugs which have been taken by a large number of pregnant women and
women of childbearing age without any proven increase in the frequency
of malformations or other direct or indirect harmful effects on the fetus
having been observed.
注 1)Briggs, G. G. et al.:Drugs in Pregnancy and Lactation, 8th ed.,
LIPPINCOTT WILLIAMS & WILKINS, 2008, p. xxiii, 540-542
注 2)Australian Drug Evaluation Committee:Prescribing medicines in
pregnancy, 4th ed., TGA, 1999, p. xii, 8
- 36 -
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料
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