OP1「原価一番」概要マニュアル Ⅰ 「原価一番」の特徴 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 11) 12) 13) 14) 15) 16) 17) 18) 19) 20) 21) 22) Ⅱ 個別原価計算と総合原価計算の両方に対応します。 原価計算基準が示す費目別計算、部門別計算、製品別計算の手順で原価を計算します。 多段階の工程別総合原価計算が可能です。 原価分類コードを使って原価の機能別分類ができます 個々の原材料の購入原価に仕入諸掛や値引きを加算(減算)できます 標準消費量を使って2通りの材料費の計上ができます 月末在庫の評価額計算は先入先出法と加重平均法が可能です 消費単価に予定単価を適用することもできます 無償支給による外注加工品の原価計算ができます 補助部門費の配賦計算は3段階で行います 部門共通費と補助部門費の配賦基準値として3種類が使えます 社内加工費の配賦計算で、製造部門別に予定配賦率と実際配賦率を選択適用できます。 製造部門費の配賦は原価分類コード別に配賦基準を指定できます 配賦基準として実際作業時間が使えない場合は「標準時間×生産数量」を使います 製造部門費を工程へ按分して工程別に配賦を行うことができます 直接経費の計上は部門経費から製品/製造オーダーへ振り替える形でインプットします 連産品の計算ができます 個別原価計算では原価元帳に完成日をインプットすることで完成原価が集計されます 帳簿残高か実棚残高かを選択して翌月に繰り越すことができます 標準消費数量と標準時間を使って製品の標準原価を積上計算します IFRSに対応します 画面とレポートをパラメータの切り替えで英語表記にできます MS-Access技術用語の解説 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) データベース テーブル クエリー マクロ フォーム レポート モジュール - 1 - 1.「原価一番」の特徴 システム全体図 科目別購 入明細 仕入額集計 直接入力 直接入力 購買管理 システム 購入実績 在庫管理 システム 入出庫/ 在庫残 単価計算 組別工程別 積上計算 材料費計算 原価元帳 直接入力 月末残評 価計算 在庫受払残 高表 部門別製 造経費 一般会計 システム 部門間配 賦計算 配賦計算表 加工費配 賦計算 製造部門 賃率計算 工程作業 実績 工程管理 システム 直接入力 完成原価集計 原価計算 表 「原価一番」機能 1) 外部システム データ 個別原価計算と総合原価計算の両方に対応します。 「原価一番」は個別原価計算と総合原価計算を1つのシステムの中で取り扱うことができます。 従って、部品は継続生産で加工しているので総合原価計算方式を必要とし、製品は、作りこんでお いた部品を使って顧客のオーダーに合うように組み立てるので個別原価計算方式を必要とするとい う場合や、1つの部門で量産品の製造と試作品の製造を行っているような場合でも対応が可能です。 原価はデータベース内の原価元帳に集計します。個別原価計算を適用するか、総合原価計算を適 用するかは、原価元帳の登録時に指定しなければなりません。 総合原価計算の原価元帳では月別に完成品と仕掛品の原価を計算しますが、個別原価計算の原価 元帳は当該原価元帳に対して完成日を登録することで、その原価元帳に累積された全ての原価が集 計されて完成品の原価となります。 個別原価計算でも総合原価計算でも、原価元帳は月別に原価データを保有します。したがって、 個別原価計算の場合でも、月別にどのような原価が計上されてきたかを見ることが出来ます。 2) 原価計算基準が示す費目別計算、部門別計算、製品別計算の手順で原価を計算します。 費用を製造費用と販管費に分別する作業の多くは、原価一番ではなく、一般会計システム等で行 われ、原価一番へは基本的に製造に関する費用のみがインプットされると考えていますが、原材料 を製造以外の目的に消費した場合や、販売部門や管理部門の分も含めた部門共通費が計上された場 - 2 - 合は、製造費用以外の部門や勘定科目へ振り替えて計算を行います。 部門別計算では、部門共通費をまず配賦し、次に補助部門の費用を製造部門へ配賦します。製造 費用のすべてが製造部門へ集計された時点で製造部門の配賦率を計算しますが、実際配賦率に替え て予定配賦率を適用することもできます。 材料費については、品目別に指定された在庫の評価方法に基づき、購入明細データと出庫明細デ ータを使って月中の消費単価と月末の在庫単価を計算します。材料費を製品または製造オーダー別 に計上するには、製品または製造オーダー別の消費数量が必要になりますが、把握が難しい品目に ついては、標準製品構成を使った計算も可能です。 原材料を外注へ無償で支給して加工を委託した場合は、支給原材料の原価と外注加工費を加算し て納品された加工品の原価を計算します。 社内加工費の計上には、製品や製造オーダー別の作業時間データが必要になりますが、その把握 が難しい場合は、生産重量比や直接材料費比を使うことも可能です。 それぞれの機能は、以下でより詳しく説明します。 3) 多段階の工程別総合原価計算が可能です。 総合原価計算で、多段階の工程を経て製品が完成するという場合、「原価一番」は次工程への投 入実績データをインプットすることで、前工程の原価を次の工程へと積み上げることが可能です。 この積み上げ計算の階層は、「品目のローレベルコード-品目タイプ-品目の分類コード-製造部 門」の組み合わせで最大255階層まで指定することができます。積上は基本的には非累加法ですが、 設定を変えることで累加法も可能です。 4) 原価分類コードを使って原価の機能別分類ができます 原価計算基準でいう「原価費目を必要に応じて機能別に分類する」のニーズに対応できるように、 「原価一番」では、直接材料費、直接経費、社内加工費の費目をそれぞれ10項目に分類して集計で きるようになっています。これによって製品の原価構成をより詳細に横比較することができます。 機能別分類を行うには原価分類コードを使います。この設定はユーザー用のパラメータを設定す る画面でたとえば以下のように行います。 ① 直接材料費・・・主要材料費、補助材料費、外装包装資材費、内装包装資材費 ② 直接経費・・・・研磨外注費や組立外注費あるいは特定設備の減価償却費 ③ 社内加工費・・・直接部門労務費、直接部門経費、補助部門労務費、補助部門経費、 工場管理部門費 直接材料費については、直接材料費の対象となる品目を登録するときに、その分類コードを指定 します。この分類は製品原価の集計用に使われます。どのような原材料がどれだけ投入されたかの 明細データは別に保有してあり、「原価元帳計上明細」のレポートで確認することができます。 直接経費の内、外注加工費については、取引先マスターへ外注先を登録するときに、この外注は、 どの原価分類に属するかを指定しておきます。その外注へ外注費を支払ったときに、原価分類コー ドを取り込んで原価元帳へ転記します。外注加工費以外の直接経費は、画面から計上するときに、 どの原価分類に加算するかを指定します。 直接労務費と製造間接費については、製造部門と勘定科目の組み合わせで原価分類を設定するこ とができますので、製造部門優先で分類することも勘定科目優先で分類することもできます。 5) 個々の原材料の購入原価に仕入諸掛や値引きを加算(減算)できます 原材料を購入したときに、購入代価以外に支払った運賃や関税、手数料等の諸掛、あるいは仕入 先から受けた一括の値引きが、当該品目の購入伝票とは別の伝票で計上された場合、同じ月内であ れば、個々の購入品の原価に配賦計算で加算あるいは減算することができます。配賦基準は購入数 - 3 - 量、重量または購入金額から選択できます。 6) 標準消費量を使って2通りの材料費の計上ができます 原価計算基準では材料費の計上は「原価計算期間における実際の消費量にその消費価格を乗じて 計算する」とあります。 「原価一番」でも、材料費は、原価元帳単位に工程に投入した原材料の実際消費数量をインプッ トしてもらうことで計算をしていますが、そのような実際消費数量をインプットすることが困難な 品目もあります。このような品目は製品構成マスターを使った自動引き落し処理を行うことが可能 です。 これは、製品構成マスターに親品目の完成数に対する子品目の標準消費量を登録しておき、親品 目の完成報告データを使って、その完成数見合いの標準消費量を計算し、この標準消費量を基に原 価の計上と原材料(あるいは中間加工品)の在庫残から引き落としを行う処理です。 この標準消費量を使っての引き落としには2つの方法があります。 ① 親の完成数×標準消費量で引き落とす。 この方法の場合、標準消費数量と実際消費数量に大きな差があると、実地棚卸時点で、 大きな棚卸差損が発生する可能性があります。 ② 実際投入数量合計をインプットし、これを「親の完成数×標準消費量」の比で按分して消 費数量を補正し、これに消費単価を乗じて親別の材料費を計算する。 この方法は、計算した消費数量の合計が実際消費数量と一致するので、実地棚卸時の棚 卸差損は発生しません。 ②の方法は、装置産業の場合などで、原材料の消費量の総量を把握することはできるが、製品や 製造オーダー別に把握することが難しいという場合に用います。 製品別の材料費=その材料の払出総額×(その製品に対する標準消費量/標準消費量の総量) 材料消費量計算の例 原材料 実際消費量 製品 a 5,280Kg X Y Z 合計 完成見合標準 2,000Kg 1,200Kg 2,000Kg 5,200Kg 按分値 2,031Kg 1,218Kg 2,031Kg 5,280Kg こ れ を製品 別 の 投入量 とする 例) 製品Xへの按分値=5,280×(2,000÷5,200)=2031 どの方法で材料費の計上を行うかは、品目別に指定が可能で、品目マスターの登録を行うときに 「在庫管理方式」で指定しておきます。 1=払出を個別計上 2=実際消費量を標準消費量で按分 3=標準消費量で引落 7) 月末在庫の評価額計算は先入先出法と加重平均法が可能です 品目の消費と期末残数の評価に用いる評価単価の計算方法としては以下の方法があります。 - 4 - ① 先入先出法(原材料のみ) ② 加重平均法 加重平均法として提供するのは、月次総平均法と都度移動平均法(将来は年総平均法も提供する 予定)です。 先入先出法の計算は個々の入出庫を日付順に処理して計算を行うのではなく、月末の在庫残高は 直近の入庫ロットから残っているものとして、先に月末在庫の金額を確定してから、月中に出庫し た数量に対しては以下の方法で計算した単価を一律に適用します。 都度移動平均法の場合は、いったん教科書的な方法で月末在庫の金額を計算し、これを使って先 入先出法と同様の方法で月中に出庫した数量に適用する単価を計算します。 月中の出庫の単価=(月初在庫残+月中購入金額-月末在庫残)÷月中の出庫数量 製品/半製品。/仕掛品などの社内加工品の評価は加重平均法のみとなります。 8) 消費単価に予定単価を適用することもできます 品目の消費単価は、実際購入金額を基に計算した単価ではなく、予算期間内で設定した予定単価 を使って材料費の計算を行うこともできます。 品目マスターの登録のときに、「適用単価コード」で、この品目は投入原価を予定単価を使っ て計算するか、実際単価を使って計算するかを指定します(規定値は実際単価)。 予定単価の設定はテーブルメンテナンスのメニューで、購入品の場合は「購入品予定単価」、加 工品の場合は「加工品予定単価」のボタンを使って登録します。 9) 無償支給による外注加工品の原価計算ができます 原材料を無償で支給し加工を委託して納品してもらう場合、支払い額は外注の加工費分のみです が、受領した品目の原価は、支給した原材料の原価を含んだ金額で計算しなければなりません。 従来のパッケージ・ソフトの多くは、支給原材料の原価積上ができないため、実態は無償支給で あるのに、有償支給の形態をとって、支給原材料を売却し、加工済み品を「支給原材料+外注加工 費」の金額で購入するという方法を採用していました。しかし、これでは実際の外注加工費が原価 の内訳として現れてきません。 「原価一番」は、このような外注加工品の原価を「支給原材料の原価+外注加工費」の計算式で自 動積み上げ計算します。 この処理を行うには、以下の3つの取引データが必要です。 ・外注へ支給した原材料の数量 ・外注から納品された数量とそれに対する支払外注費 ・納品された加工品に対する外注で消費した支給原材料の数量 10) 補助部門費の配賦計算は3段階で行います 原価計算手順の第2番目となる原価の部門別計算にあたる処理で、部門別勘定科目別にインプッ トされた直接労務費と製造間接費について、部門共通費の配賦計算と、補助部門費の配賦計算を行 います。 原価計算基準では、部門を製造部門と補助部門に分け、補助部門は必要に応じて、さらに補助経 営部門と工場管理部門に分けるようにいっています。 - 5 - 「原価一番」も原価計算基準での補助経営部門に相当するものを補助部門、工場管理部門に相当 するものを管理部門という名称で定義し、まず部門共通費をその配賦対象となる部門へ配賦し、次 に管理部門の費用を配賦し、最後に補助部門の費用を配賦するようにしています。 共通部門 管理部門 第2次配賦: 管理部門の費用を補助 部門と製造部門に配賦 11) 第1次配賦: 共通部門の費用を各部門へ配賦 製造部門 補助部門 第3次配賦: 補助部門の費用を管理部門から の配賦費用と合わせて配賦 部門共通費と補助部門費の配賦基準値として3種類が使えます 部門共通費や補助部門/管理部門の費用を配賦先の部門に配賦するには、最適な配賦基準を選択 しなければなりません。「原価一番」では3種類の配賦基準が選択できるようになっています。 ① 固定値 人員数、床面積、機械台数など画面から基準値をインプットするものです。 ② 生産実績値 生産数量や重量、作業者の作業時間や機械設備の運転時間などのデータです。これらは入 出庫データや作業時間データなどの明細データを部門別に集計して自動的に配賦基準値とし て設定します。 ③ 勘定科目値 部門別勘定科目別に計上された金額を使って配賦計算を行う場合です。どの勘定科目に対 する計上金額を使うかは、テーブルメンテナンスメニューの勘定科目メンテナンスで勘定科 目を指定します。個々の勘定科目の金額を使うことも、いくつかの勘定科目の金額を合算し た値を使うこともできます。 配賦基準の指定は、配賦元の部門単位でも、部門内の勘定科目単位でも設定することが可能です。 12) 社内加工費の配賦計算で、製造部門別に予定配賦率と実際配賦率を選択適用できます。 社内加工費の配賦計算では、製造部門ごとに、予定加工費率を使って配賦計算をするか、実際配 賦率を使って計算するかを選択することができます。 予定配賦率は予算金額と正常生産能力をベースに計算した値を画面からインプットします。実際 配賦率は製造労務費経費の実際発生額と、実際の作業実績データ(生産数量、重量、人の作業時間、 機械の稼動時間)をインプットすれば「原価一番」内で計算します。 - 6 - 13) 製造部門費の配賦は原価分類コード別に配賦基準を指定できます 部門共通費と補助部門費の配賦計算の結果、製造部門へ集計された直接労務費と製造間接費は、 原価分類コード別に集計した後に、製品/製造オーダー別に設定された原価元帳へ配賦されます。 原価分類コードは、製造部門の部門別勘定科目別に設定されますが、製品/製造オーダーへの配 賦基準は、この原価分類コード単位に設定します。「原価一番」で用意している配賦基準は以下の 5種類です。 ① ② ③ ④ ⑤ 生産数量 生産重量 作業者の作業時間 機械設備の運転時間 直接材料費 これらの配賦基準に等価係数を掛けた値を使って配賦計算を行うこともできます。等価係数は品 目単位で設定しますので、総合原価計算の場合しか使えません。 14) 配賦基準として実際作業時間が使えない場合は「標準時間×生産数量」を使います 加工費の配賦には通常、作業者の製品/製造オーダー別作業時間を使いますが、「原価一番」で は機械設備の稼働時間も併用で使うことができます。しかし、製品/製造オーダー別に実際の作業 時間や稼働時間を把握することが困難な場合は、品目別に設定された標準時間に生産数量を乗じた 値を使って配賦計算を行うことができます。 15) 製造部門費を工程へ按分して工程別に配賦を行うことができます 総合原価計算で実際配賦率を使う場合にのみ可能ですが、製造部門の費用を直接、製品へ配賦す るのではなく、いったん製造部門内のラインや工程に一定の配賦基準で按分し、次にそれぞれのラ インや工程で製造される製品に配賦するという2段階配賦を行うことができます。 製造部門内のラインや工程ごとの発生費用に顕著な差があるにもかかわらず製造費用の勘定科目 別集計は製造部門単位であるという場合に、製造部門の費用を部門内のラインや工程へ按分する計 算を行います。 この配賦基準には以下のものを選択できます。 ① ② ③ ④ 生産数量 生産重量 作業者の作業時間 機械設備の運転時間 製品/製造オーダーへの配賦のときに等価係数が使えましたが、工程への按分計算にも工程別に 設定した等価係数を使うことが出来ます。 16) 直接経費の計上は部門経費から製品/製造オーダーへ振り替える形でインプットします 特定の原価元帳や品目に対して発生した経費を、指定した部門と勘定科目から原価元帳へと振り 替える処理です。個別原価計算の原価元帳でも総合原価計算の原価元帳でも行うことができます。 この時、原価元帳のどの原価分類の直接経費項目に加算するかを指定しなければなりません。直 接経費の計上は部門別経費の振替となりますから、部門費の配賦計算においては、経費の総額から - 7 - 直接経費として計上された額を差し引いて配賦処理が行われます。 この画面にはもう1つの機能があり、総合原価計算の場合にのみ使えるものですが、製造部門の 費用を部門内の特定の工程へ振り替える処理です。これは、製造部門費の配賦計算処理で、製造部 門費をいったん部門内のラインや工程へ按分した後に、工程から製品へ配賦するという方法を採用 した場合に使えるものです。 17) 連産品の計算ができます N種類の原材料を投入してM種類の製品が生産されるという生産形態の場合、ダミーの原価元帳 を設定して、これにN種類の原材料の投入数量と原価を計上し、完成した製品の数量から製品別の 標準消費数量を計算して、投入数量を標準消費数量比で按分することで、投入原材料個々の製品別 実際消費数量を計算して、これに消費単価をかけて製品別材料費を計算します。 社内加工費はダミーの原価元帳に対して配賦され、これを製品の生産数量(または重量)比で按 分して製品別加工費を計算します。 18) 個別原価計算では原価元帳に完成日をインプットすることで完成原価が集計されます 完成報告処理の画面を開き、一覧表示された原価元帳に対して完成日をインプットします。完成 日が当月内の原価元帳については、その月までに計上された製造費用を全て集計した完成品原価の レポートが作成されます。 完成日がまだインプットされていない原価元帳については、その月までに計上された原価の全て が仕掛品残高としてレポートに表示されます。 完成日がインプットされますと、月末での在庫残高繰越処理で行う次月マスター生成処理では、 その月より後の原価元帳が生成されません。しかし、翌月に原価の計上があると仮マスターを自動 生成して、そこに転記し、「完成後計上原価」のレポートを作成します。 19) 帳簿残高か実棚残高かを選択して翌月に繰り越すことができます 会計年月表で、原材料、半製品、製品の月末の在庫を帳簿残で繰り越すか実棚残で繰り越すかを 指定しておけば、指定されたほうの月末在庫を翌月の開始残高として繰り越します。 実棚残で繰り越す場合は、原価計算処理を実行する前に実棚残の数量をインプットしておかなけ ればなりません。これは在庫残高確定処理メニューの在庫残登録の枠にある「実地棚卸報告」のボ タンを押して表示された画面からインプットします。 低価法を適用する場合は、評価減の%か金額をインプットします。繰越金額に対して切放し法を 適用するか洗替え方式を適用するかはオプションとなります(既定値=洗替え方式)。 20) 標準消費数量と標準時間を使って製品の標準原価を積上計算します 製品構成マスターに登録した使用子品目の標準消費数量、品目マスターに登録した標準時間、原 材料の予定単価、および製造部門の加工費予定配賦率を使って製品の標準原価の積上計算を行いま す。ただし、積上が可能なのは9レベルの階層までの製品です。 21) IFRSに対応します IFRS自体が流動的ですが現時点では下記の機能を備えています。 ① 国内用とIFRS用の2つの製造費用を使って、1回の積上計算処理で2つの製品原価を 計算します。 - 8 - ② 製造部門の固定製造間接費を配賦するときに、正常生産能力で計算した予定配賦率を使っ て配賦した結果が実際の発生額を超える場合は、その製造部門について実際配賦率を使っ た計算を実際配賦率に変えて配賦計算をやり直すことが可能です。 22) 画面とレポートをパラメータの切り替えで英語表記にできます 初期画面のシステムパラメータの設定で、「画面/レポート表示の言語」を日本語から英語に切 り替えると、表示される画面とレポートは英語表記に切り替わります。 海外の子会社には英語表記のものをインストールし、そのデータファイルを日本の親会社へ転送 すれば、日本語表記で画面とレポートを確認することができます。 (日本語表記の画面) (英語表記の画面) 初期設定の「システムパラメータの変更」で言語を日本語から英語へ変更 - 9 - 2. 技術用語の解説 「原価一番」はMicrosoft社のAccessを使って開発されています。従って、システムの技術担当 者でなくても、多少はAccessの知識がないと、このマニュアルも理解することはできません。ここ では、MS-Accessについて最低必要な用語を解説します。 1) データベース プログラムとデータを保有するファイルです。「原価一番」では、頭文字が“P”のファイ ルはプログラム(下記のクエリー、マクロ、フォーム、レポート、モジュール)を保有し、頭 文字が”D”のファイルはデータ(下記のテーブル)を保有します。現時点でプログラムのみ を保有するデータベースは「P_CST.mdb」のみです。 プログラムとデータのファイルが別々になっていますので、「原価一番」のバージョンアッ プが行われた場合でも、P_CST.mdbのみを交換すれば、登録済みのデータをそのまま使うこと ができます。また、共通のデータを保有するデータベースはサーバーに保管することで、複数 のローカルPCからデータを共有することができます。 2) テーブル データベースに保有されるデータです。「原価一番」ではテーブルの名前を付けるルールと して「英文字1桁+数字2桁+データの内容を示す略語」を使っています。頭文字の英文字1桁 は以下のルールが適用されています。 ① 頭文字=M 通常、マスターと呼ばれるテーブルで、品目、組織、勘定科目のように固定的なデータ を保有するものと、月次在庫、月次原価、月次単価のように月別のデータを保有するもの があります ② 頭文字=D 「原価一番」にインプットされた月次の入出庫データや作業時間データの明細です ③ 頭文字=G 頭文字=Dのデータを使って計算をした結果の原価データが書き込まれたテーブルです。 頭文字=Dのデータでまとめて計算をすればよいものは集計していますので、レコード件 数は頭文字=Dのテーブルよりも少なくなります。 ④ 頭文字=S 「原価一番」が計算処理を行う上で、処理のオプションを選択するためのパラメータや コードを提供します。「原価一番」のロジックに深く関係していますので、ユーザーが勝 手に値を変更することはできません。 ⑤ 頭文字=P パラメータという意味では、頭文字=Sのテーブルと同じですが、ユーザーが一定のル ールの下で自由に設定できるものです。 ⑥ 頭文字=W 「原価一番」の計算処理の中で一時的にデータを退避する場合に使用されます。計算を 実行するたびに、前のデータを消去して書き込むという処理を繰り返しますので、保存し ておくデータではありません。 ⑦ 頭文字=R 頭文字=Mのテーブルの内、月次の実績データを保有するものと、頭文字=Gのテーブ ルについては、月次の原価計算処理が終了して月末在庫残の翌月への繰越処理が行われる と、頭文字=Rの対応するテーブルへ書き写されます。年初からの累積数値を扱う場合は、 この頭文字=Rのテーブルを使ってレポートを作成します。 ⑧ 頭文字=U - 10 - 2) 3) 4) 5) 6) 品目や製品構成のデータを登録する時に使用する一時的なテーブルです。目的は頭文字 =Wのテーブルと変わりありません。 クエリー 計算処理や画面表示、レポート作成のためにデータベースのテーブルからの抽出条件と計 算ロジックを組み込んだものです。 マクロ 画面のボタンを押すことで、クエリーの一連の処理や画面表示、レポート作成のためのコ マンドを組み合わせたものです。 フォーム 画面の設計仕様を示します。「原価一番」はオープンソースで提供しますので、ユーザー が自社の原価情報ニーズに合った画面になるよう自由に設計変更できます。 レポート プリンタに印字するレポートの設計仕様を示します。帳表のボタンを押す時に、「様式変 更」のオプションを選択すると、デザインモードのレポートを表示しますので、簡単に表示 項目を修正することができます。 モジュール BASICで組まれたプログラムです。クエリーやフォーム、レポートの中で使用されま す。Access2007以上をお使いの場合、そのままP_CST.mdbのデータベースを開くと、エラーメ ッセージが表示され、「原価一番」内で保有しているモジュールが無効になります。そのま ま処理を実行しても途中で異常停止します。別マニュアルの「Access2007でのセキュリティ の初期設定」に示した手順で、チェックをはずしてください。 - 11 -
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