低次生態系モデルとマサバ資源変動が18.6年 周期変動に関連する可能

OMIX「水産生物の環境履歴と水産資源変動」班検討会議
2015年9月12日
13:20‐13:40
低次生態系モデルとマサバ資源変動が18.6年
周期変動に関連する可能性のある事象
小松 幸生
(東大新領域・大気海洋研)
18.6年潮汐周期変動
2 

Amplitude   cos  year  1960 

18 .6 

18.6年周期変動はPDOの20年
周期変動とよく合う
Yasuda (2009GRL)
マサバ太平洋系群の分布・回遊・生活史
(H26年度マサバ太平洋系群の資源評価)
18.6年周期潮汐変動 vs. 気候指数
湾流域: Nutrient Stream
 等密度面上で強流帯に沿って栄養塩が極大構造 (Nutrient Stream)、
成因は鉛直拡散の効果 (Pelegri and Csanady 1991, 1994)
 起源は南大洋の中層、水平移流で形成 (Palter and Lozier, 2008)、
栄養塩の半分は亜寒帯へ、半分は亜熱帯域へ再循環 (Palter et al. 2005)  栄養塩の水平輸送+induction 過程で亜寒帯域表層に供給、 高生産に
支配的に寄与 、従来のEkman輸送の5倍 (Williams et al., 2006) PO4 [mmol/m3] on 26.5
北西太平洋ではどうか?
(Palter and Lozier, 2008)
(Williams et al., 2006) 仮説:黒潮域からの栄養塩輸送が重要
湾流域の一連のNutrient Stream研究から想定
気候値の春期平均値 (WOA09)
(a) Depth [m] (b) NO3 [mmolNm‐3]
25.025.0
(黒潮生態系SKED小松資料)
混合層内密度の水平分布
(航海時, 1998年5‐6月)
25.5
25.5
25.0
24.5
24.0
25.0 面は黒潮続流の北側で露出
26.2 より重い面は露出しない
小松他 (2015春
期海洋学会)
既往観測データを用いた長期変動解析
JODCからCTD・採水データを収集・整理
(黒潮生態系SKED小松資料)
黒潮域栄養塩の経年変動特性
‐PDO Index + 5year‐lag
NPGO Index + 3year‐lag
Warm
Cool
逆相関
逆相関
正相関
Winter
Block‐2
(黒潮中流域)
冬季黒潮中流域春季続流域へのインパクト on 25.0
Warm period
Cool period
?
???
太字: 5年移動平均
(黒潮生態系SKED小松資料)
本課題の計画案
• 数10年規模変動の実態解明
過去データ:続流から移行域も含めて解析
NPDZモデル:18.6年周期実験データの利用?
• マサバ初期回遊経路の推定
同化モデル粒子輸送: 耳石サンプルのあるRPSの
高い年と低い年
 水温履歴に有意な違いが出るか?
卵稚仔データに基づいて発生場所・時期を変えて輸送実験
出ない  ①両年で同じ経路∧同じ水温場
②
違う経路∧違う水温場
出る  ③両年で同じ経路∧違う水温場
④
違う経路で②とは異なる経路
 初期回遊経路のターゲット時期・場所の絞込
事例紹介
マイワシ耳石δ18O履歴水温
vs.
粒子輸送実験
(坂本達也の修論研究)
使用個体
2014年に加⼊成功した当歳⿂
GHRSSTによる9⽉21⽇のSST
2014年9⽉18⽇〜10⽉12⽇
中央⽔研秋季北⻄太平洋浮⿂資源調査
St. 9
採集時SST
11.88℃
St. 2
採集時SST
19.87℃
60~100⽇齢時にできた領域を、10⽇単位で削りだした
δ18O測定後、⽔温に変換した
稚魚期初期経験水温
60〜100⽇齢時の経験⽔温とそのときの⽇付
水温(℃)
19
18
St. 9
・
17
・St. 2
16
15
-St. 2 n = 6
-St. 9 n = 6
測定誤差
14
13
日付
12
4/1
4/11
4/21
5/1
5/11
5/21
5/31
6/10
6/20
6/30
60〜100⽇齢時には15℃から18℃の間に分布
St. 9に関しては、異なる⽔温帯から来た個体が混じっている?
どこにいたのか?
15〜18℃⽔温帯の分布
GHRSSTのプロダクト
⽔温情報から緯度は絞ることができる!
経度を絞る:粒子輸送実験
渦解像海洋同化モデルFRA-ROMSの出⼒を利⽤し、
いろいろなところから微⼩変位(0.1°×0.1°)を与えて流す
(今回は拡散項を⼊れずに計算)
孵化⽇から、どのように流されてくれば、
60⽇後に測定で出てきた⽔温帯を経験するか?
スタート地点
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
①⾼知沖(134°E)から、⽔深10 mを流す
この⻘4つについて考える
沿岸近く
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
①⾼知沖(134°E)から、⽔深10 mを流す
沿岸近く
経験する⽔温が⾼すぎる
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
①紀伊半島沖(136°E)から、⽔深10 mを流す
沿岸近く
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
②紀伊半島沖(136°E)から、⽔深10 mを流す
沿岸近く
やはり経験する⽔温が⾼すぎる
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
③愛知沖(138°E)から、⽔深10 mを流す
沿岸近く
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
③愛知沖(138°E)から、⽔深10 mを流す
沿岸近く
よく⼀致!!
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
④相模湾(139.5°E)から、⽔深10 mを流してみる
沿岸近く
少し沖
解析例
St. 9の3⽉10⽇前後に孵化した個体について
④相模湾(139.5°E)から、⽔深10 mを流してみる
沿岸近く
そこそこ⼀致!!
少し沖
考察
・St. 9
3⽉上旬に⽣まれ、170°E付近まで流され、
9⽉にSt. 9(159°E)に⼊ってくる
温度変換が不正確なのか、スタート地点の設定が悪いのか
ただスタート地点により⽔温がかなり変わってくるので、
⼿法⾃体は使えそうである
本課題の計画案
• 数10年規模変動の実態解明
過去データ:続流から移行域も含めて解析
NPDZモデル:18.6年周期実験データの利用?
• マサバ初期回遊経路の推定
同化モデル粒子輸送: 耳石サンプルのあるRPSの
高い年と低い年
 水温履歴に有意な違いが出るか?
卵稚仔データに基づいて発生場所・時期を変えて輸送実験
出ない  ①両年で同じ経路∧同じ水温場
②
違う経路∧違う水温場
出る  ③両年で同じ経路∧違う水温場
④
違う経路で②とは異なる経路
 初期回遊経路のターゲット時期・場所の絞込