14 29. 包袋禁反言「繊維分離装置事件」 大阪地判S61.5.23〔S60(ワ

29. ◎
包袋禁反言「繊維分離装置事件」
大阪地判S61.5.23〔S60(ワ)3515〕
■包袋禁反言
・意見書での主張が採用されて登録を得た後に,それに反する主張をすることは,包袋禁反言の原則
上許されないと解される。
30. ◎
均等論「ボールスプライン軸受事件」
最二小判H10.2.24〔H6(オ)1083〕
■均等論
・以下の5要件を満たせば,均等物として侵害が成立する。
1)異なる部分が特許発明の本質的部分ではないこと
2)異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,
同一の作用効果を奏するものであること(置換可能であること)
3)右のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到する
ことができたものであること(製造時に置換容易であること)
4)対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時
に容易に推考できたものではないこと(出願時に推考容易でないこと)
5)対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに
当たるなどの特段の事情もないこと
∵このような場合に非侵害とすれば,法目的に反するばかりでなく,社会正義に反し,衡平の理念に
もとる結果となるからである。
31. ○
均等論の本質的部分「海苔異物除去装置事件」
知財高判H20.7.14〔H12(ネ)2147〕
■均等論の本質的部分
・明細書の特許請求の範囲に記載された構成のうち,当該特許発明特有の解決手段を基礎付ける技術
的思想の中核をなす特徴的部分が特許発明における本質的部分であると理解すべきである。
∵発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった課題を解決するため,特有の技術的思想に基
づく解決手段を,社会に開示した点にあるからである。
32. ○
発明の利用と技術的範囲「温床用覆布事件」
東京地判S38.9.14〔S37年(ワ)6578〕
■発明の利用と技術的範囲
・発明の有する作用効果を期待することができないときは,(利用関係にあらず)
,技術的範囲に属し
ない。
33. ◎
存続期間の延長登録の処分「パシーフカプセル30mg事件」
最一小判H23.4.28〔H21(行ヒ)326〕
■延長登録の処分
・先行医薬品が延長登録出願に係る特許権のいずれの請求項に係る特許発明の技術的範囲にも属しな
いときは,先行処分がされていることを根拠として,当該特許権の特許発明の実施に後行処分を受
けることが必要であったとは認められないということはできない。
∵特許権のいずれの請求項に係る特許発明も実施することができたとはいえないからである。
14