第19号 - ふくいブドウネットワーク

ふくいブドウネットワーク会報誌
http://fukuib.web.fc2.com/
第19号
2015 年 5 月
ふくいブドウネットワーク
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会員紹介
坂井市 玉森武志
三里浜砂丘地でブドウ栽培を行っている玉森
武志です。
親の代にはガラス温室でトマトの水耕栽培を
行っていました。私がサラリーマンであったこ
ともあり、水耕栽培をやめてからは、ガラス温
室が空いていました。何か有効活用できないか
と考えていたところ、父親がデラウエアを栽培
していたこと、大阪の市場で購入した「シャイ
ンマスカット」がおいしかったことから、ブド
ウ栽培がいいのではと思いました。
現在はラッキョウ、アールスメロン、コカブ
に加え、ブドウを栽培しています。品種は気に入っている「シャインマスカット」10 本、
「ブラ
ックビート」2 本、
「オリエンタルスター」1 本です。昨年初めて農協出荷と直売所での販売を行
いましたが、直売所では「おいしいのでもっと持ってきて」といわれ、やりがいのある品目だな、
と感じています。
栽培面では、ガラス温室が暑くなりやすいため、サイドのガラスを外し、風通しを良くするよ
う改良しました。土壌管理は堆肥を毎年入れながら、施肥量は pH 測定をしてから行うなどの注
意を払っています。
今後も手間をかけながら、ブドウにとって良い環境で栽培していきたいと思います。
堆肥を入れ、土壌管理には気を使います。
ガラスを外して(
の部分)換気良く。
旬な技術情報
●摘房
房の数を制限して、養分の浪費を防止します。1回目は花穂整形前に行い、その後も随時、房
を取り除き、摘粒時期には最終房数(別表)とします。
1回目の摘房では、1新梢1房(サニールージュは2房でも可)とし、最終着房数の3~4割
増し程度まで除去します。着房位置はどこでもよく、房の形や大きさに注目して、残す房を決め
ます。
●花穂整形(房づくり)
ブドウは粒数が多すぎると糖度が上がら
マーカー
ず、着色も悪くなります。満開期までに花
蕾数を制限し、形の良い房づくりのために、
別表に基づき花穂整形を行います。ただし、
房づくり
サニールージュ(若木時)はほとんど整形
しなくてもかまいません。
整形時に房上部の支梗一部をマーカーと
して残しておき、ジベレリン処理を行った際
3.5cm
に切り落とし、処理済みの目印とします。
巨峰系4倍体などの房づくり
品種別の 10aあたりの最終房数、房づくり、ジベレリン処理濃度、粒数
ジベレリン処理
品 種
最終房数
房づくり
(先端から)
1回目
2回目
サニールージュ
4,300
6~7cm
25ppm
25ppm
55
ブラックビート
藤 稔
2,800
3.5cm
12.5ppm
25ppm
35
シャインマスカット
3,000
4cm
25ppm
25ppm
42
粒数
※ ジベレリン処理1回目はフルメット3ppm を加用
●無核化処理
① アグレプト液剤
品種や樹勢によって、無核化しにくい場合は、満開予定日の
14 日前~開花始期に、1,000 倍液を(200ppm)スプレー
等で花房へ散布または花房浸漬します。
シャインマスカット>ブラックビート、藤稔>サニールー
ジュの順に無核化しにくく、シャインマスカットは処理を行
った方が無難です(1回目ジベレリン処理液に混用も可能)。
② ジベレリン処理
1回目は無核化、2回目は果粒肥大のために行います。
1回目ジベレリン処理適期
処理時期は1回目を満開から満開3日後まで (満開とは
100%開花!)、2回目を満開 10~15 日後に行います。ジベレリンカップ等を用いて、果房
を浸漬処理します。処理後は、液が乾く前に棚などを振って、余分な液を落とします。
また、濃度は濃い方が無核になりやすいですが、高濃度では軸が硬くなり、脱粒しやすくな
る短所もあります。
③フルメット液剤の混用
ジベレリン処理液に混用し、1回目は着果促進、2回目は果実肥大の効果を期待できます。
ただし 2 回目の混用は、熟期が遅れたり、糖度が落ちたり、着色が悪くなる場合があるので原
則加用しません。
●摘粒
果粒がダイズ大になった頃までに、果粒肥大、密着果房防止、房型整形のために摘粒を行いま
す。品種ごとの粒数の目安は別表のとおりで、内向き、下向きの果粒を中心に取り除きます。
●袋かけ
果粉(ブルーム)をきれいに残す、日焼け防止、農薬による汚れ防止のために行いますが、ハ
ウス栽培の場合は、農薬散布が少ないので省くことも可能です。摘粒直後に行ないます。
●摘心
短梢せん定では、新梢の伸長が旺盛なため、枝伸びに対する手入れをしないと、副梢の発生も
加わって過繁茂になります。そうなると、着色不良や糖度の低い果実になるため、時期ごとに摘
心を繰り返し行います。
①結実前
新梢の伸長を一時的に抑え、新梢内の養分を高め、果実肥大もよくなります。開花まで(花穂
整形頃)に、新梢の先端5mm ほどをつまむ程度の軽い摘心を行います。
②結実後
新梢の遅伸びや過繁茂を防止するため、新梢(開花前に摘心した場合は副梢)の先端が目標の
長さ(1.0~1.2m)を超えたら、摘心を行います。
③副梢管理
新梢各節の脇芽から伸長している副梢は、1~2枚(節)程度を残して摘心します。副梢から
さらに発生した二次副梢(孫枝)は、発生した基部から切り取ります。
(1)結実前の摘心
(2)結実後の摘心(左:摘心前、右:摘心後)
●満開後の防除
月 旬
6
7
生育状況
対象病害虫
使
用
農
薬
黒とう病、べと病、 ホライズン
満開後
褐斑病、晩腐病
ドライフロアブル
上
(2 回目の GA
中
チャノキイロアザミウマ、フタ スカウト
処理後)
テンヒメヨコバイ
フロアブル
上
中
着色期
摘粒期
(袋かけ前)
チャノキイロアザミウマ、フタ
コテツ
テンヒメヨコバイ、ナミハ
フロアブル
ダニ他
使用濃度
使用時期
使用
回数
2,500 倍
21 日前まで
3回
以内
3,000 倍
21 日前まで
3回
以内
2,000 倍
14 日前まで
2回
以内
※ 散布量は 200~700 リットル/10a
※ 着粒後の防除なので袋かけをしない場合は展着剤まくぴか 10,000 倍を加用