大使からのメッセージ 本日は、在ネパール日本国大使館のホームページ

大使からのメッセージ
本日は、在ネパール日本国大使館のホームページにアクセス頂き、誠にありがとうございます。
4月25日の大地震から約5ヶ月が経過しました。首都カトマンズでは、瓦礫の撤去も進み、一時はラ
トナ公園を埋め尽くしていた避難民のテントも今では数えるほどになりました。カトマンズでは、人々
の生活は徐々に大地震の前に戻りつつあるようです。しかし、シンドパルチョーク郡、ヌワコット郡、ダ
ディン郡など山岳部の被災地では、依然として破壊された住居の再建は進まず、病院や学校など公共施
設の修復も遅れがちで、人々は困難な生活を余儀なくされています。日本政府はネパール政府に対して、
地震で被害を受けた住宅、学校、公共インフラを修復するために320億円の支援を約束し、JICAも
活動を開始しています。ネパール政府が早期に中長期的な復興プランを策定し、実施体制を整備して、全
面的な復興作業を開始することが強く望まれます。
さて、9月16日、ネパールの新憲法が、制憲議会において総議員の約85%の賛成をもって可決さ
れ、20日、ヤダブ大統領によって公布されました。この新憲法は、ネパールにおいて初めて民主的な手
続きを踏んで作られた憲法であり、ネパールの人々が長く待ち望んできたものです。この憲法の成立に
より、ネパールは、ようやく主権在民、自由平等の理念に立脚した近代民主国家としての法的基盤を確立
したと言えましょう。日本政府は、この新憲法の公布を歓迎するとともに、今後とも、ネパールがこの憲
法に基づき、法体制の整備や、行政改革、経済体制改革などを促進し、新たな国造りを行っていくことを
支援していく所存です。
また、この憲法の制定を巡って、一部少数民族の政党が自らの権利が保障されていないとして、南部の
タライ地域で激しい反対運動を継続し、治安部隊とデモ隊との間で40名以上の死者が出る事態となっ
ています。この事態を重く見た隣国のインドは、9月後半より、ネパール国境における貨物トラック等の
安全検査を強化したため、石油、LPガスなどのを含む生活物資のネパールへの流入が減少し、市民生活
に大きな影響が出始めています。これら問題を解決するためには、ネパールの主要政党と反対少数民族
の代表が対話を行って、双方が納得できる方策を見出す努力をすることが必要です。日本政府としては、
早期に平和的な解決がもたらされ、新憲法が真にネパール国民全体から支持されるものとなることを心
より期待しております。
平成27年10月1日
在ネパール大使館特命全権大使
小川正史