FLOL05 (電子加速器) Tohoku University ストリークカメラを用いたOTR測定による 極短電子ビームバンチ長計測 齊藤 寛峻, 柏木茂, 日出富士雄, 武藤俊哉, 阿部太郎, 柴崎義信, 南部健一, 長澤育郎, 高橋健, 東谷千比呂, 小林恵理子, 浜広幸 東北大学 電子光理学研究センター 第12回日本加速器学会年会 (2015年8月5日~7日 @プラザ萬象、あいあいプラザ) Contents 1. Introduction Velocity Bunchingによる極短パルス電子ビーム生成 2. t-ACTSにおける極短パルス電子ビーム生成と計測 実験セットアップ OTR 測定結果 3. OTR光輸送により発生する時間拡がりに関する考察 波長分散による影響 集光光学系による影響 4. まとめと今後の課題 超短電子バンチ生成 (Velocity bunching) Velocity bunching L. Serafini and M. Ferrario, Proc. Of ICFA Workshop on the physics of, and Science with, The X-Ray Free-Electron Laser, Sept 2000. • 進行波型加速管のRFの位相速度よりわずかに遅い速度 (vbeam < vp,RF)で ビームを加速管に入射 電子ビームの縦方向位相空間分布は、加速管の中で phase slip を しながらバンチ圧縮され、同時に加速される。 t-ACTSにおける超短電子バンチ生成と計測 • バンチ長計測: OTR光をストリークカメラを使い測定 (ビームの加速管への入射位相をパラメータにしバンチ長を測定) Beam parameters Energy: 50 MeV(max) Peak current: 60 mA Pulse width: 3 usec t-ACTS (test Accelerator for Coherent THz Source) 遷移放射光(OTR) Exact formula of OTR Ginzburg-Frank Formula Ω Ω = = 4 sin −cos + 1 − cos 4 1 + sin 4 sin 1 − cos (eq. 1) (eq. 2) e+ (image charge) metal foil 45° e- θ • 1⁄ に比例する広い波長スペクトルをもつ。 • OTRは電子ビームのエネルギーに依存した発散 角を持つ。 10mm • ストリーク光輸送系に集光素子が必要。 OTR image (I.I. camera) OTR光輸送系 Concave mirror (f=500mm) OTR optical path length: ~10m Off-axis parabolic mirror (φ=76.2mm, f=178mm) OTR optical path length: ~10m バンチ長測定結果 2.5 GPT code 50ps range 100ps range RMS bunch length [ps] 2 1.5 1 0.5 = 0 -100 -80 -60 + -40 -20 0 20 Injection phase [deg] これまで測定の時間分解能として考慮していたもの • ストリークカメラのスリット幅の影響 Measured range Temporal resolution 100 ps range 1.05 ps 50 ps range 0.37 ps OTR光輸送により発生する時間拡がりに関する考察 1. 波長分散による時間拡がり • 空気の屈折率 • 光輸送系の透過率(真空窓、ミラー) • ストリークカメラ光電面の量子効率 2. 集光光学系による時間拡がり • 凹面鏡・軸外し放物面鏡の収差 空気中の分散による時間拡がりへの影響 空気中の分散による広がりの影響 短い波長ほど屈折率が大きくなるので、時間がかかる 1E-1 OTR のスペクトル + 光学素子の特性 1E-2 1E-3 1E-4 1E-5 1E-6 200 400 時間 600 800 1000 wavelength [nm] OTRの各波長成分が同時に放出 されたとしても、分散により時間 拡がりを生じる 赤: OTRの波長スペクトル(~1 / λ) 青: 赤×窓の透過率×ミラーの反射率 緑: 青×ストリークの量子効率 真空窓 (合成石英) 6枚 OTR発光点 (Alミラー) 凹面鏡 1200 Al平面ミラー 10m FESCA-200 放物面鏡 ストリークカメラ 空気中の分散による時間拡がりへの影響 標準空気の屈折率 空気の分散によるOTRの時間広がり dry air at 15 ℃, 101 325 Pa and with 450 ppm CO2 content 6E-3 1.000310 標準偏差 0.18 ps 5E-3 1.000305 波長が短くなると、 急激に屈折率が大きくなる 1.000300 4E-3 1.000295 3E-3 1.000290 1.000285 2E-3 1.000280 1E-3 1.000275 1.000270 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 wavelength [nm] 波長に依存して空気の屈折率が違うため に、10m先で生じる光の到達時間の差 = × − Lpath : 光路長(10 m) n : 屈折率 c : 光速 t0 : 基準時間 @230 nm 0 -1.2 -1.1 長波長 -1.0 -0.9 -0.8 -0.7 time delay [ps] -0.6 -0.5 -0.4 短波長 *空気の分散で 180 fs 程度広がる *波長にして300~500 nm程度の光が最も光量が 多いが、~300 nm以下の短波長の光は後ろの テールへの寄与が大きい OTR集光光学系による時間拡がりへの影響(評価方法) X 焦点 Ginzburg-Frank Formula sin = 1 − cos Ω 4 90°非軸放物面鏡 = 177.8mm = 76.2mm Y 面x=1mでのOTR分布 0.15 0.1 y単位:m 0.05 Alミラー (ビーム軸) 原点 45° -0.05 ビーム( 軸) 基準ライン 20° -0.1 -0.15 -0.15 10m OTR 0 • • 凹面鏡(球面鏡) = 500mm , 0,0 = 150mm • -0.1 -0.05 0 0.05 z単位:m 0.1 0.15 左図のようなOTR集光光学系で3次元レイトレースを行った 発光点が ①原点(ずれがないとき) ②(x,z)=(1mm,1mm) のときの時間拡がりを評価 真空窓と平面ミラーは考慮していない XY面でのプロファイル 発光点のずれが ∆ = ∆ = 1mmのとき 発光点のずれがないとき X方向: = 53.0μm 中心= 10.3μm Y方向: = 61.2μm 中心= 0.956μm X方向: = 45.4μm 中心=435 μm Y方向: = 48.5μm 中心=-349 μm 600 400 Y(μm) 200 0 -200 -400 -600 -1200 -800 -400 0 X(μm) 400 800 1200 時間拡がり 発光点のずれがないとき 発光点のずれが ∆ = ∆ = 1mmのとき 鏡のサイズ内に入る割合 凹面鏡:86% 放物面鏡:74% 鏡のサイズ内に入る割合 凹面鏡:86% 放物面鏡:58% 時間拡がり: = 92.4fs 2500 250 2000 200 1500 150 カウント数 カウント数 時間拡がり: = 3.80fs 1000 100 500 50 0 0 -500 0 50 100 150 200 250 300 350 400 時間拡がり(fs) -50 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 時間拡がり(fs) まとめと今後の課題 • OTR光をストリークカメラで計測し、サブピコ秒時間幅の電子バンチの生成を確認 した。しかし、測定されたバンチ長はシミュレーションの予測よりも長く、測定シス テムにOTRの時間幅を拡げている要因がないか考察した。 • 波長分散が測定時間幅に与える影響について考察を行い、約180 fsの時間拡が りが生じていることが分かった。 • 集光光学系が測定時間幅に与える影響について考察を行い、光源サイズとアラ イメントエラーがない場合には約4 fsの時間拡がりが生じるが、光源位置が1 mm ずれると約90 fsの時間拡がりが生じることがわかった。 • アライメントエラーがある場合の集光光学系がOTRの測定時間幅に与える影響大 きさについてはまだ見積もり切れておらず、更に考察を進める必要がある。 • しかし今回評価を行った波長分散、集光光学系の影響だけではシミュレーション と実験でのバンチ長のずれは説明できず、別の原因があるかVelocity Bunching が正しく行われていないということが考えられる。
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