総合設備会社が設計ツールをリプレース 設計業務の大幅な

株式会社竹村コーポレーション
総合設備会社が設計ツールをリプレース
設計業務の大幅な効率化を実現し
プレゼンテーションにも威力を発揮
導入の狙い
CADの運用コストを低減させたい
建築業界が要請するBIMへの対応が
必要
パース作成作業等の省力化を実現し
たい
導入システム
建設設備CAD『Rebro 2013』
複合機・プリンター『リコー製複合機』
導入効果
従来のシステムに比べて運用コスト
が低減した
操作のしやすさと機能性の高さで業
務効率と設計品質がアップした
優れたビジュアライゼーション機能で
施主へのプレゼンテーションの質が
高まった
東京都新宿区に本社を構える株式会社竹村コーポレーションは、創業100年以上
の総合設備会社だ。従来のサブコンとしての役割に加え、近年は建物の設計施工、
— U S E R P R O F I L E ———————————————————
株式会社竹村コーポレーション
●業種:建設業
●事業内容:建築物全般の設備工事
(空調・
給排水・電気・防災)、リノベーション工事
(設備・建築・内装)の設計、施工、コン
サルティング
●従業員数:80名
(2014年11月現在)
建設設備用CADのリプ
レースで業務効率を高
めた株式会社竹村コー
ポレーション
2014年11月取材
リノベーションされた社屋そのものが、同社のショールームとして機能。壁面緑化システムも新事業の一部だ
保守管理、内装工事、さらにはビル等の大規模なリノベーションや省エネ、エコ関連
などの事業にも取り組み、経営の多角化を進めている。そんな流れを背景に、設計
業務の効率化や低コスト化、またBIMへの対応を図るべく、建設設備用CADをリプ
レース。旧来のシステムよりも合理的な運用ができるようになり、同社の事業展開
を力強く後押ししている。
新事業の展開にも積極的な
創業100年以上の総合設備会社
どに、空調・給排水・衛生・電気・防災等
の設備を設計・施工する総合設備会社
に発展した。
東京都新宿区に本社を置く株式
長くサブコンとして官庁の設備工
会社竹村コーポレーションは、1906
事 案 件を中 心に請け負ってきたが、
年に「竹村組」として創業された歴史
2010年に今福 浩之氏が30代の若
ある企業だ。ゼネコンに協力する土木
さで代表取締役社長に就任するととも
工事からスタートし、給排水や衛生関
に、経営方針を転換。旧来のようにサ
連の設備事業に業務を移行。公共施
ブコンとして設備工事を受注する一方
設、オフィスビル、マンション、住宅な
で、ビルオーナーやビル管理会社に自
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株式会社竹村コーポレーション
らアプローチし、建物の設計施工や保
ネシステムも開発した。創業時より、
守管理、内装工事までさまざまなサー
常に革新的な技術を採り入れながら
ビスを提案するようになった。それと同
設備工事事業で日本の都市インフラ
時に、古い建物を大幅に改修して新た
を整えてきた同社は、
「リノベーショ
な用途や機能を付加するリノベーショ
ン」と「エコ」をキーワードに、旺盛な
ン分野も、新たな事業の柱として力強
チャレンジ精神を発揮しながら新事業
く推進。同社が専門とする設備工事は、
の展開に取り組んでいる。
高まる省エネや環境保全ニーズにも貢
献できる分野であるだけに、今後の大
リノベーション事業に注力しようと
操作性とコストパフォーマンスを
追求し設計ツールの刷新を検討
する同社の意思を物語るのが、2010
同社は、以前はあるC A Dシステム
年になされた本社社屋のフルリノベー
を設計業務に用いてきたが、以前より
ションだ。昭和30年代に建てられた
多くの不都合を感じていた。そのCAD
ビルを改修し、エントランスからオフィ
システムは、2次元CADを仮想的に3
ス、ミーティングスペースや応接室に
次元化するいわゆる2.5次元CADで
至るまで、クラシカルモダンな意匠に
あったため、図面をさまざまな角度か
一新された。
ら捉えてパース作成等をする機能が
「当社を訪れた多くの方が、
『 設備
十分ではなかったのだ。それに加え、
会社のビルとは思えない』
と驚かれま
そのシステムには原則として中途解約
す。デザイン性に富むだけではなく、
ができない5年契約のレンタル利用制
オフィスとしての機能性にも十分に配
であるため運用に縛りがあり、その利
慮しており、この社屋自体が当社のリ
用料もかなり高額なものだった。
ノベーション事業のショールームとし
「折しもゼネコンがBIM(Building
ての役割を果たしています」と説明す
Information Modeling)
の活用に力
るのは、社長室顧問 兼 コンサルチー
を入れている時期で、当社も本格的な
ムリーダーの横田 宗卓氏。
3次元設計に取り組む必要性を感じて
きな成長が見込まれている。
社屋のエントランスを彩る鮮やか
いました。そこで、疑問を感じながら
な壁面緑化も、現在の事業の方向性
使っていたCADシステムの契約更新を
を象徴している。ガーデニングのプロ
迎えるタイミングで、別の建設設備用
デュースを手がける企業との協力で開
CADへの変更を検討。システム選定に
発されたこの『GREEN CANVAS』
際してはAutoCADベースのソフトも
は、従来のパネル型とは異なり、フェル
有力候補でしたが、サブコンとしての設
ト型の仕組みを生かした高密度な壁
計業務には、NYKシステムズの建設設
面緑化システムとして特許を取得。フ
備CAD『Rebro 2013』の方が適して
ルオーダーメイドで自由自在にデザイ
いるのではないかと判断しました。検
ンでき、室内外を問わずに設置できる
討段階で実際に操作をさせてもらった
ことで注目されている。
ところ、私のように普段あまりシステム
また、同社大阪支店は機械メーカー
を使わない者にも扱いやすく感じられ
との協力で、地熱などを利用した省エ
ましたし、コストパフォーマンスの面で
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社長室顧問 兼 コンサルチームリーダー 横田 宗卓氏
「3社の製品を検討した結果、操作性、機
能性、コストのいずれの面でも優れていた
『Rebro 2013』
を選びました。業務が効
率化しただけではなく、施主様へのプレゼン
テーションのしやすさにも満足しています。
今後はFMにおける活用も積極的に進めて
いくつもりです」
工事本部 営業部 設計積算チーム 主任
鈴木 孝春氏
「 操 作がシンプルで高 機 能な『 R e b r o
2013』
の導入で、以前と比べて設計業務
の負担が大幅に軽減しました。操作に関す
る疑問などに、電話で直ちに対応してくれ
るサービス体制にも満足しています。ベン
ダーには、これからも一歩先を行く機能を付
加しながらバージョンアップしていただけるこ
とを望みます」
デザイン会社のような趣を漂わせる本社のオフィス。機能
性とデザイン性を兼ね備えた135Rの特注デスクがオフィ
スに独特の雰囲気を添える
も優れていると思いました」
(横田氏)
「特にありがたいのは、構造物の干
こうして同社は2012年に、複合
渉チェック機能です。設計段階で干渉
機 や I T 関 連 機 器 などの 利 用 で 古く
している部分が自動的に一覧表示さ
から取引のあった大塚商会を通じて
れるので、
『ここが干渉するので天井
『Rebro 2013』を導入した。新しい
高を少し下げてください』
というように
システムの運用にあたっては、
「まず
建築士に相談し、事前に対処をするこ
は1人のエキスパートを養成してから
とができます。こうして設計手戻りを
社内に普及させる」との方針のもと、
防止することは、コスト低減にもつな
CAD操作に習熟していた工事本部 営
がるでしょう。また、工事費積算のため
業部 設計積算チーム 主任の鈴木 孝
の拾い作業については、以前のシステ
春氏がその任に就いた。
ムでも可能でしたが、条件入力が煩雑
「 ベンダーで開 催されたセミナー
なのでその機能を使っていませんでし
に参 加してからは、実 務を通して操
た。それに対して『Rebro 2013』は、
作を覚えて いきました 。コマンドが
ごく簡単な操作で拾い作業ができるこ
シンプルでクリック数が格段に少ない
とも魅力です」
(鈴木氏)
『R e b r o 2013』はとても使いやす
一 方 、横 田 氏 が 挙 げる『 R e b r o
く、以前のCADソフトからの移行は全
2013』のメリットは、施主へのプレゼ
く苦になりませんでした。CADをそれ
ンテーションがしやすくなったことだ。
なりに操作できる人なら、すぐに問題
「『Rebro 2013』では、建築物の
なく使えるようになると思います。1カ
内部の様子を明快にビジュアライズす
月ほどでスムーズに図面を作成できる
ることができ、例えば工場内の倉庫な
ようになり、3、4カ月で細かい機能を
どの案件では、建物の内部の様子や
使いこなすレベルまで到達しました」
人の流れなどを一目で把握できるよう
と鈴木氏は振り返る。
にするだけで、施主様に『わかりやす
い』と満足していただけます。当社の
同社が『Rebro 2013』
で作成した3次元モデル。施工前
に設備などの配置イメージを分かりやすく理解してもらうた
めに使用した
手がけるリノベーション案件は単なる
豊富な機能性と使い勝手のよさで
設計業務を大幅に効率化
リニューアルではなく、いかに新たな
同社の設計では3次元モデルのデー
ントなので、設計段階でそれを施主様
タがゼネコンから提供されるケースは
に示せる設計ツールとしても高く評価
少なく、多くの案件で基本的な建築デー
しています」
(横田氏)
タを鈴木氏ら設計スタッフが描き起こし
鈴 木 氏 による 指 導 を 通じ、現 在
ている。特にイノベーション関連の案件
は 同 社 の 設 計 者 の 大 半 が『 R e b r o
では、既存の紙図面を3次元データにす
2 0 1 3 』を活 用しているが、以 前 の
るしかない。
『Rebro 2013』
には各部
CADを長年使い慣れた人のなかには
の寸法を正確に入力しなければならず、
抵抗感を抱くケースもあり、今後全ス
その点においては作業量が増えたもの
タッフに新しいシステムの操作を習熟
の、それさえしっかり行えば、後の作業
させることが課題だという。
は以前のシステムと比べて格段に楽に
これについて横田氏は、
「設計業務
なったと鈴木氏は語る。
にも、新しい技術を積極的に採り入れ
3
付加価値が盛り込まれているかがポイ
株式会社竹村コーポレーション
ようとするトライ&エラーの姿勢が求
ありません。世の中もそうした管理の
められます。何かを革新しようとすると
あり方を望む流れにあるので、これか
必ず問題が起きますが、技術レベルは
らはF Mをしっかり行わなければなら
それをクリアすることで向上するもの
ない時代になるでしょう。FMによって
です。現状の技術をキープしようとす
当社のメンテナンスの案件も増える
る保守的なエンジニアには、進歩がも
はずですし、故障が起きてから修理す
たらされることはありません」
と語る。
るだけはなく、故障の未然防止という
横田氏が主張するこの考え方は、創
視点からの営業もできるようになりま
業時から技術革新に対して前向きだっ
す」と語る横田氏は、そのことがひい
た同社の企業精神そのものでもある
ては省エネにもつながると言う。
ようだ。
「真に効果的な省エネは現場管理に
CAD設計を行う
『Rebro 2013』
は、使用する場所やPC
を選ばない
あり、いかに設備が適切に運用されて
FMに取り組むことで
事業がさらに拡大する
いるかがポイントです。現場の設備運
用データを分析すればより効果的な
省エネのための管理ができるようにな
『Rebro 2013』
による空調や給排
るでしょう。また、設計者はリスクを避
水設備の設計のしやすさに満足してい
けるためにオーバースペックで設計す
る横田氏と鈴木氏だが、電気設備の設
るのが常なので、設備の更新時に運用
計に関しては改善要望があるという。
データと照らし、元の設計よりも省ス
それは、複数の電気配線が1本の線と
ペックのものに置き換えることでも省
して表現されてしまうことだ。図面で
エネを進められます。そのようなかた
は1本に見えても、実際には大量の本
ちで、現場の運用データを次の設計に
数の配線を天井裏などに通さなけれ
フィードバックして改善していくことも
ばならないため、施工現場で不都合が
重要になると思います」
(横田氏)
生じる可能性があるのだ。配線図に電
ほかにも、物件単位のドキュメント
線の本数を示すことはできるが、それ
管理体制の強化や、タブレット端末の
では入力作業に大変な時間がかかる。
モバイル活用など、同社は業務全般の
配線を合理的な仮想モデルとして表
さらなるIT化を見据えている。
現する工夫をしてほしいと、両氏は貴
「ドキュメント管理のベースは構築し
重な提言をする。
たものの、将来的にはこれをクラウド
同社はFM(Facility Management)
化し、会社からも現場からもデータに
の観点での設備CADデータ活用の必
アクセスできる環境を整えなければな
要性を感じており、今後積極的に取り
りません。また、現場で設計図面を拡
組んでいく意向だという。
大して確認できるiPadの導入も急務
「抵抗計算なども含め、描かれた図
だと考えています」
(横田氏)
面データはすべて『Rebro 2013』
同社は今後の業務効率化に向け、
に保存されるので、それをExcelデー
大塚商会によるソリューションの提案
タに変換して現場のメンテナンス管理
に大きな期待を寄せている。
台帳とリンクさせるようにしなければ、
株式会社竹村コーポレーションのホームページ
http://www.takemura-ss.co.jp/
せっかく新システムを導入した意味が
・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。
・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
・この記事は2015年1月に作成されました。
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