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2015 年(平成 27 年)8 月 7 日(金)
NNA JAPAN CO., LTD.
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MCI(P)042/09/2014
縫製業、最低賃金や政局注視
HIDAが最新動向セミナー
縫製業の進出先として注目されるミャンマーの最新動向についてのセミナーが6日、東京都内で開かれ、
策定作業が進む法定最低賃金や 11 月の総選挙の影響などについて、アジア・アパレルものづくりネット
ワーク(AAP)の小島正憲代表理事や、ミャンマー縫製業協会(MGMA)のミン・ソー会長、矢野経
済研究所の小野寺晋氏が講演した。主催は海外産業人材育成協会(HIDA)総合研究所。
る」とも指摘した。
総選挙については、「選挙後にミャンマーがどう変化
するかは読みにくいが、良い方に変化してくれれば」と
期待。小島衣料が当初の進出から3年で撤退した当時を
振り返り、「居残って頑張った日本の縫製企業は成功し
た。欧米の経済制裁で撤退が相次ぐ中、労働者も工場も
余剰となり、工場を安く買うチャンスでもあった」と指
摘。今後についても「変化をチャンスと捉えることが重
要」と指摘した。
ミャンマー縫製業協会(MGMA)のミン・ソー会長
は、ミャンマーの縫製品の輸出額が 2011 年の7億米ド
ルから、14 年見込みで 15 億米ドル超、15 年は 20 億米
ドルに達する見通しだと報告。主な仕向地は日本と韓国
だが、14 年には特恵関税の適用を再開した欧州連合(E
AAPの小島氏がオーナーである小島衣料(岐阜市)
U)向けが急増したと指摘。米国も最恵国待遇の適用、
は、1997 年にミャンマー進出、いったん撤退し、2013
特恵関税の適用を検討していると期待を示した。
年にヤンゴン北部バゴー管区に工場を設けて再進出し
最低賃金策定の動きについては、「全員が高い生産性
た。小島氏は、中国やバングラデシュなど各国との比較
を示せば良いが、それがうまくいかないと産業全体の重
で、「縫製加工業の成功の条件は、人がたくさんいて、
工場に歩いて集まってくること、人の定着率が高いこ しになる」と指摘。労使関係の安定化への期待も示し
と」と指摘。80 年代終わりから 90 年代初めの中国は理 た。残業代については、現在の 2.18 倍を、他国並みの
想的な環境だったとした上で、バングラデシュは1億 1.55 倍に引き下げるよう要望していると明らかにした。
6,000 万の人口、ミャンマーの高い識字率や教育水準も 現在ミャンマーで主流のCMP(裁断・縫製・包装)
魅力で、
「ミャンマーは人材を定着させられれば伸びる」 の請け負いを、原材料調達などを含めてミャンマーで行
うFOB型に転換していくことも課題だと指摘した。
と期待を示した。
最低賃金を日額 3,600 チャット(約 360 円)に設定す MGMAの新規加入企業数は今年1月を直近ピーク
る動きについては、「最低賃金だけで考えると判断を誤 に低調になっているとし、「投資家は(総選挙を控えた
る。よく情報収集し、実質支払い賃金を見ることが大 ミャンマーの)政治状況を踏まえ、様子見に入ってい
切」と指南。3,600 チャットを以前の為替相場で月額・ る」との見方を示した。
米ドルに換算すると 133∼155 米ドル(約1万 7,000∼1 矢野経済研究所アジア・グローバルグループ・マネジ
万 9,000 円)になるとした上で、チャットが急落してい ャーエキスパート、小野寺晋氏は、ミャンマーの製造業
「豊富な労働力」
「低廉かつ教育レ
る最近の為替相場に触れ、
「3月時点の1米ドル= 1,035 のプラス要因として、
ベルの高い労働力」
「近年の政府による製造業促進」の
チャットから、現在は 1,240 チャットと2割下落した。
11 月までに 1,500 チャットまで下落すると想定して換 3つを挙げ、「特にインフラが整備された経済特区の開
算すると、100 米ドル程度になる」との見方を示した。 発が大きい」と指摘。ヤンゴン北部のミンガラドン工業
実際の賃金は「最低賃金ではなく、労働力の需給で決ま 団地が唯一、インフラが整った工業団地と言われてきた
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[2]The Daily NNA ミャンマー版【Myanmar Edition】 第 00458 号
2015 年(平成 27 年)8 月 7 日(金)
ものの、開業を控えるティラワ経済特区に多くの製造業
の進出が見込まれていると期待を示した。
HIDAは、海外技術者研修協会(AOTS)と海外
貿易開発協会(JODC)が 2012 年に合併して誕生。
開発途上国の産業人材を対象とした研修および専門家
派遣などの技術協力を推進している。14 年度までに約
170 カ 国 の 37 万 人 の 産 業 人 材 に 対 し て 研 修 を 実 施 、
8,000 人以上の日本人専門家を派遣した。ミャンマーで
は約 7,000 人に研修を実施、約 190 人の専門家を派遣し
た。HIDA総合研究所は 13 年4月設置、経済技術交
流と相互理解の促進を図る目的で、海外調査やビジネス
交流、情報配信、日本語教育の4事業を展開している。
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