がん哲学の花 第17号

がん哲学の花
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一般社団法人「がん哲学外来」関西支部ニュースレター
第 17 号
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発行日:2015 年 7 月 15 日
一般社団法人「がん哲学外来」関西支部の website ができました。各カフェのスケジュールや連絡先を掲載しています。
http://azuma-clinic.wix.com/cancer-philosophy
「人生邂逅の 3 大法則
~良い先生、良い友、良い読書~」
大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまや / あずま在宅医療クリニック 院長
がん哲学外来の創始者
樋野興夫先生のお言葉に「人生邂逅の 3 大法則
東
英子(獅子舞:三女)
~良い先生、良い友、良い読
書~」というものがあります。本号では東の「良い友」をご紹介させていただきます。
東には「獅子舞」と称する友がいます。もともとは可憐な若草物語の四姉妹を思い浮かべていたのです
が、金沢がん哲学外来の西村元一先生(金沢赤十字病院)に「ししまい」と紹介したところ、私たち 4 人の
勇壮な印象から(!)
「獅子舞」と命名していただきました。つい先日、7 月 12 日に金沢でがん哲学外来市
民学会第 4 回大会が開催されましたので、第 4 回大実行会員長の西村元一先生命名の「獅子舞」をご紹介さ
せていただこうと思いつきました。獅子舞:次女
安東則子さんは、東に「がん哲学外来」を紹介してくだ
さった縁の方です。「獅子舞」は、大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまやにもたまに参上してくれま
すので、以後お見知りおきを!
「出会い」は宝物
市立砺波総合病院
看護師
安東則子(獅子舞:次女)
2012 年 5 月、輪島のナース中村悦子さん(獅子舞:長女)から、東先生を紹介していただいて、「なんか、久しぶりにすっきり
する女性医師に会ったな~」という印象を持ったのは今でも忘れません。東先生が訪問診療をしておられることや、どんな時間も
さっそうと往診に伺われることを聞き、そのちょっと前に私が出会った「がん哲学外来」がふっとよぎった。がん哲学外来は「そ
のとき、そこに行ったらいつでも誰かがいてくれる」その安心感と、東先生が実直に行っておられる医療が私はどうしても重なり、
再会した機会に「あずみん(こう呼ぶのが好きなんです)にはがん哲学が似合うんじゃないかな~」と問いかけました。
彼女は今でもその縁を大切にしてくれていて「あんどん(私のこと)が、がん哲学すすめてくれたんで~」と言ってくれます。
行動したのは彼女です、その行動力にまた私が力をもらっているのです。どんなことでも「言うは易し、行うは難し」ですよね。
先月大阪で開催された「がん哲学外来コーディネーター養成講座」に伺ったときに、ますますがん哲学に熱意を持っている彼女
がそこにいました。ただ熱いのではなく、医師として冷静に患者さんお一人おひとりのことを考え、決して気を抜かない、やはり
医療者と患者さんの前には、必然的にひとりの人間とひとりの人間なのです。
養成講座の特別講演や教育講演の中には、
「向き合うこと」と「寄り添うこと」というお話がありました、どっちも強くなりすぎ
てもだめであり、そのコントロールはまだまだ出来ないと講演を聴きながら胸にしみた場面もありました。看護師である私が、今
そこにおられる患者さんにどのように言葉をかけ、看護できるか、そう考えていくこともそのまま哲学に通ずると考えます。これ
からもがん哲学から教えてもらえることを自身の看護に生かしていこうと思っており、このような会に参加できたことに感謝しま
す。当院にも先月樋野先生にお越しいただき講演をしていただきました。砺波でもがん哲学の根がはってくれるよう、努力する次
第です。
<<編集後記 by あず>>
「己に如かざる者を友とするなかれ」と論語にある。さらに孔子は「益者三友、損者三友」とも言っている。自分を成長させるう
えで、友人の影響は非常に大きい。
※本号の<<お知らせ>>は別紙カフェの連絡先一覧に掲載されています。
大切な居場所としてのあずまや
杏林大学保健学部看護学科
柴崎美紀(獅子舞:四女)
親愛なる東英子先生が、
“大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまや”をオープンすることになり、大阪に駆け付けたのが 3 年前。
それ以来、毎年何かしらのイベントに参加させてもらっている。自宅のある東京から 500 キロも離れた大阪のカフェになんで通っ
ているのか改めて考えてみた。ひとつは「おもてなしの心を学べるから」。カフェをしているお部屋はごく普通のワンルームマンシ
ョンであり、ふかふかの私好みの固さのクッションがある。友達の家に遊びに行ったような感覚になれるあのお部屋を、私は一瞬
で大好きになってしまった。1 周年 2 周年のイベントで準備されていた手作りの座席カード、バンドの生演奏や自主上映の映画の
セレクト、そのセンスの良さにいつも魅了されている。オトコマエな仕事をして、お酒を呑むとオッサンのようになる東先生が実
は大変に女子力の高い人だという事を知り、ただのオッサン女子である私は悔しくて地団太を踏んでいる、というのは冗談で(笑)、
暖かな場作りやおもてなしの心を学ばせてもらう最高の場であると認識している。もうひとつは「あずまやだから会える仲間がい
るから」。私は 40 歳を過ぎてから大学院に進学した変わり者の看護師で、学生の特権を駆使して参加する色々な講座でちょいちょ
い顔を合わせる―獅子舞(4 姉妹)―のお姉さま方に出会えた。恐ろしくパワフルな向学心に溢れるメンバーで、それぞれの興味
や方向性は違うのだけれど、毎年一度はあずまやで4人揃って再会できることが大変嬉しい。
医療専門職の一人としてがん哲学外来の考え方から学ぶことは多く、これからも勉強させても
らいたいと思っている。でもそれ以上に、あずまやだからこそ会える仲間がいるという理由が
一番大きい気がする。ここで元気と勇気をチャージして1年また頑張ろうと自分の褌を締めな
おすのである。―好きな人たちと会える、居心地の良い空間―そんな大切な居場所であるあず
まやが大好きで、来年 1 月の 3 周年記念カフェに参加するのを今から楽しみに待っている。
地域の中で「あったらいいな」をコツコツと
あずまや 2 周年の打ち上げ↑
一般社団法人みんなの健康サロン海凪
代表
中村悦子(獅子舞:長女)
私と東英子先生が、とある在宅医療関係の ML(メーリングリスト)で知り合ったのは7年前。その後は年に数回食事をしたり、
学会等に参加したりして交友を深めてきました。この間、私は栄養サポート室の専従として院内外の栄養障害を有する皆様と関わ
っていましたが、その中には当院がかかりつけではない「がん」の方や「難病」を抱えた方もいらっしゃいました。体力のある方々
は専門医のいる大病院に通院されているわけです。しかし、通えなくなると地元の病院を紹介されます。見捨てられた感を持って
転院される方も少なくなかったでしょう。月に1度は大病院に受診していても、日頃生活している地元でおおらかに病気のことを
語れる空間が必要ではないか?そして、病気に関係なく「こんな時どうしてる?」とか「こんなのあったらいいね」と、見通しの
明るいお喋りができる空間があればいいなと考えていました。2 年前からは職域を超えた関係作りを目指して「ケアカフェわじま」
を開催しました。しかし、私が栄養サポート室で関わってきた患者さんの多くは「誤嚥性肺炎」でした。がん患者さんとの関わり
は決して多くありませんでした。それはがん患者さんの数が少ないのではなく、地元の病院をかかりつけにしているがん患者さん
が少ないだけであることが段々わかってきて、私の中に「病院以外の場所でのがんサロン」構想が生まれていました。そんな時に
金沢にある「がん安心生活サポートハウス」との出会いもありました。昨年はがん哲学外来メディカルカフェあずまや1周年記念
イベントのお手伝いに参加させていただき、初めて樋野先生のご講演を拝聴しました。そのイベントの日が私の誕生日ということ
で東先生が友人たちと誕生日を祝ってくれました。メディカルカフェあずまやにも参加させていただき「能登にもあったらいいな」
と切実に感じました。そんな私は今年 3 月で 31 年間勤めていた公立病院を退職し一般社団法人を立ち上げました。地域の中で「あ
ったらいいな」を散りばめた法人の名前は「みんなの健康サロン海凪」。「海の凪のように全てをおおらかに受け入れる」そんな思
いを込めたネーミングです。そして、先日は念願のがんサロンみなぎを開催することができました。ずっと気になっていた卵巣が
んの術後の女性が来てくれました。目をキラキラさせて皆の話を聞いている彼女を見て「やってよかった」って自己満足かもしれ
ないけどそう思いました。初めてのがんサロンのメニューは玄米スープと玄米クリームの試食と、口腔外科の先生による「がん治
療と口腔ケア」の講義でした。皆さん、とても熱心に聞き入っており、その風景は「奥能登初のがんサロン」として新聞にも報道
されました。その後、健康体操、男性介護者の会、認知症カフェ、健康フェアとイベントを開催しています。今後も皆さんのお知
恵を拝借しながら地域の中での「あったらいいな」を模索していきたいと思います。能登は北陸新幹線の開業、NHKの朝ドラ「ま
れ」の効果で盛り上がっております。能登にお越しの際は「みんなの保健室わじま」にも足をお運びください。