第18回eco検定試験総評

第18回eco検定試験総評 (2015.9.30)
記:白石 遼
2015年7月26日に行われたeco検定試験の公式な回答が9月4日に公開されました。当社で公開していた解答速報
の内容に誤りはありませんでした。また、第18回の回答関連ワードとその公式テキスト該当ページをホームページ上
で公開しております。それと合わせまして、下記に第18回eco検定試験の総評をまとめます。
■受験者数
受験者数
実受験者数
合格者数
合格率
第17回
14,642
13,059
6,342
48.6
第18回
13,264
11,871
7,390
62.3
実受験者数は第17回に若干増加していたものの、合格率の厳しさの影響か、第18回で改めて減少しました。合格
率は62%まで上昇しましたが、実受験者数は過去第2回の9,817人に次ぐ少なさとなりました。
■昨年に続く公式テキストの改訂
eco検定の公式テキストはこれまでおおよそ2年(4回の試験)に1度のペースで改訂されてきました。2014年の第4版
への改訂では、章立ての枠組みの見直しや震災関連の章が作られるなど大きな改訂がありました。その改訂から1
年で第5版への改訂が行われました。これは最新情報の更新という理由だけではなく、第4版に誤植が多かった点、
改訂に伴い一部の用語がテキストから削除されているものがあることから、専門的な内容を噛み砕いた表現に直す
ことで、試験の難易度を調整する意図もあったのではないかと思われます。
■出題傾向の変化
問題
第二問2-1 ウ
第三問 コ
第六問 イ
第七問 エ
出題傾向の変化
これまでになかった、数字を直接暗記していなければならない出題がされた。
公式テキスト内のグラフをそのまま用いた出題。ただし、グラフの暗記より一般知
識といった要素が強い出題のされ方をしている。
配点や問題数などに関する大幅な傾向の変化は見られませんでした。その中でこれまでとの変化があった点とし
ては、「数字」を直接問う出題がされたことだと言えます。これまでeco検定では環境問題のメカニズムや環境に関わ
る用語、世界の取組み等の内容を問う出題方法でした。(○○条約は何年にできたか?という出題ではなく、○○条
約とはどのような条約か?を問うような出題)
しかし、今回の出題は世界環境デーの日付や気温上昇が何℃上昇したかという数字を暗記していなければ解けな
い出題がありました。とはいえ、他の選択肢と比較して消去法でもある程度選択が絞れたり、環境に関心を持つ者と
して知っておきたい常識の範囲の出題とも言えます。
また、グラフの読み取り問題は前回に続いての出題なので、今後1つの出題方法として定着すると思われます。
■今後のeco検定
これまで、eco検定では公式テキストの範囲内の出題に加え、時事問題が数問出されるというのが通例でしたが、
今回のテキスト外の出題と言えるものは時事的なものというよりは、気温の上昇や環境デーなど環境を意識する者
として知っておきたい基本知識といった出題となっていました。今後も時事的な問題に加え、このような基本知識を問
うテキスト外からの出題があると思われます。
また、第17回は若干増加していたとはいえ、全体として受験者数の減少が続いていることが気がかりではあります
が、私の周りの企業様では新たに対策セミナーをご依頼いただくなど、eco検定に対する認知度、関心はいまだ高い
ように感じています。事業を継続的に発展・拡大していくことは、どのような業界の企業でも共通の目的と言えると思
います。トリプルボトムラインの考え方の通り、その「持続的に」という部分に経済・財政的な部分だけでなく環境とい
う視点も持って取り組むことは今後、事業規模に寄らず企業により一層求められると言えます。
今後のeco検定には、そのための基礎知識獲得のツールとして、また一度受験された方がその知識の維持・更新
のために繰り返し活用されるような問題作りや取り組みに期待します。