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平成27年10月
6日
福津市立津屋崎中学校
3年生を対象に、本年4月21日(火)に実施された全国学力・学習状況調査(国語 A・B 数学 A・B
理科 生徒質問紙)の本校の結果と今後の取組をお知らせいたします。本年度は国語・数学だけでなく、
理科も実施されました。
問題の類型
国語・数学 A
基本的な知識理解を問う問題。設問形式は、選択式や短答式が多い。
国語・数学 B
獲得している知識を活用する力(応用力や表現力等)を問う問題。文章や表、グラフ等を見て答える
記述式の設問が多い。
理
科
国語・数学のように A と B の区別はないものの、前半に基本的な知識理解を問う問題。後半に応用力
等を問う問題の構成になっている。
生徒質問紙
学校や家庭での生活の様子や国語・数学・理科の興味関心等を選択式で問うアンケート。
全国調査の目的
この調査により測定できるのは、学力の一部分であり、学校での教育活動の一側面です。そのため、
この調査の結果については、生徒が身につけるべき学力の特定の一部分であり、学校での教育活動の一
側面にすぎません。だから正答率に注視することで終わるのではなく、現状の分析と今後の取組の大切
な資料として活用します。
1
生徒は、調査の結果をもとに、学習理解力の状況(得意分野と不得意分野)を知り、日常の学校
や家庭での学習を充実させる。例えば、日常的に取り組んでいる「自学ノート」の内容改善につな
ぐ。
2
教師は、生徒個々の学習理解度の状況を土台に、生徒全般の学習理解度を把握する。そして学力
向上の効果的な授業改善策等に反映する。例えば、反復練習によって理解が深まる分野と、日常の
授業内容や試験問題の改善等で理解が深まる分野に分けて改善に取り組む。
3
家庭でも、正答率のみに注視することなく、家庭学習の現状を振り返り、充実した学習ができる
ように努める。まずは、家庭学習の定着のために、生徒が主体的に家庭でルールをつくり、確実に
学習に取り組む環境を生み出す。
本校の結果
本校の平均正答率と全国の平均正答率を比べると、「国語A・B」では、全国とほぼ同じであり、
「数学A・B」と「理科」は、やや下回る結果となっている。
分析と改善点
(全体として)
全国・県の平均正答率をみると出題の形式や難易度により A 問題よりも、B 問題の正答率が低い。
本校の結果は、国語 A・B の平均正答率は、全国・県をやや上回ったものの、数学 A・
B・理科の平均正答率は、全国・県よりも下回るという結果が出ている。
今回は昨年度の内容と異なり、各教科での全般的な傾向を記述するのではなく、基礎
基本の力を問う問題(国語・数学では A 問題)での、無解答率(無解答率10%は、
解答していない、何も書いていない生徒が13人以上いる)ワースト2の課題をあげ、
その改善のための取組を考える。
無解答率 14.4%
①
問題概要〈
「成否」という言葉を、聞いて分かりやすい表現に直す〉
無解答率 12.1%
②
問題概要〈地図のシュクシャクを漢字にする〉
無解答率 12.1%
問題概要〈古典の作品名を漢字4文字で書く〉
分
析
国
①は、条件が与えられた文字数の比較的少ない(20字未満)論
述式の問題である。②の2つは、書き取りと文学作品の知識を問う
問題である。
①は、聞き手が理解できるように、わかりやすい語句を選択して
話すことができるかどうかをみる問題であり、文脈に沿ってわかり
語
やすく言い換えることができていない。自らの考えを聞き手に伝わるような、語感や語彙が
豊かに育っていないことがわかる。
②では、それぞれ反復練習で定着することが大切になる。特に、漢字習得の場合は、漢字
のみの練習ではなく、同音異義語の区別や一連の文の中での漢字活用ができるかが大切とな
る。
・授業のユニバーサルデザイン化を進める中で、生徒全員が授業に参加するために、交流の
改
善
点
時間を設ける授業が多くなった。そこで、この交流の時間での学習プリントを活用し、生
徒が文章で自らの考えを表わす工夫を取り入れる。
・小テストや定期考査の問題に、記述式の問題を復習内容としてではなく、全国や県での学
力調査の問題を活用して組み入れていく。
無解答率 28.0%
①
問題概要〈比例のグラフから、x の変域に対応する y の変域を求める〉
無解答率 20.5%
②
問題概要〈連立方程式を解く〉
分
全般的に数学に対する苦手意識が強い(下段にある「生徒質問紙結果」の質
析
問項目⑬より)
。代表的には、関数や証明問題にその傾向が強い。また、数学的
な表現(変域や中央値など)の正しい理解が十分ではなく解答できていない。
関数の変域については、グラフを用いて変域を視覚的に捉える活動を通して、x の変域か
ら対応する y の変域を考える学習が必要である。
数
連立方程式を解くためには、解法に必要なプロセスのみを覚えるのではなく、解き方の良
学
さを実感して理解することが大切である。
・方程式等の基本的内容を定着させるために、繰り返し学習が効果的と考える。
・関数の取り扱いでは、最初から抽象的な文字やグラフを使うのではなく、日常での出来事
をヒントに抽象物へ移行するなど、生徒の関心を引き付ける工夫も必要である。
改
善
点
・通常授業で小テストの場を設け、全国調査や県の問題の活用を通して、基本的事項や技法
の習得を目指す。
・授業での交流の時間に、自らの考えを相手に伝える(表現する)教え合い活動を活用する。
・数学の苦手意識を減少させる。そのために、数字や抽象的な文字のみで考えるのではなく、
日常生活から引き出した問題を引用して興味をひきだす。また、授業外での質問教室や「自
学ノート」の活用を工夫する。
無解答率 26.0%
①
問題概要〈濃度 5%の塩化ナトリウム水溶液の塩化ナトリウムと水の量〉
無解答率 26.0%
問題概要〈水上置換法では、二酸化炭素の体積を正確に量れない理由〉
分
析
水溶液の問題は、正解にたどり着くのが難しい典型的な問題のひとつ
である。数学での時間・距離・速さの関係の問題や、同じ理科での電圧・電流・抵抗の関係
の問題にも当てはまる。繰り返し学習を活用し定着させる工夫が必要である。
理
二酸化炭素の問題は、物質の基本的性質を理解する必要がある。そのためには、繰り返し
科
学習とともに、実験の工夫も必要である。
・数字や文字だけの学習ではなく、日常での出来事を例に身近な問題として取り組み、体験
に基づいた理解ができるような工夫をする。
改
善
点
・授業での実験では、仮説を立てて問題解決型の学習を進めている。生徒の「なぜ」を大切
にした内容に取り組む。
・元素記号や物質の基本的性質等、授業での小テスト等で繰り返し学習に取り組む。
・少しでも理科の苦手意識を減少させるために、授業外での質問教室や「自学ノート」の活
用を工夫する。
生徒の生活の一側面
(生徒質問紙結果からの一部抜粋)※は、10 ポイント以上の開き
質
問
項
目
本校(%) 全国(%)
① 毎朝朝食を食べている。
97.0
93.5
② ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがある。
93.9
94.2
③ 自分にはよいところがある。
64.9
68.1
④ 将来の夢や目標を持っている。
67.1
71.7
⑤ 平日、学校の授業以外で1時間以上勉強している。
※
54.9
69.0
⑥ 休日、2時間以上勉強している。
※
27.6
41.7
⑦ 家庭で学校の授業の復習をしている
55.7
52.0
⑧ 家庭で学校の授業の予習をしている
33.6
35.3
⑨ 学校に行くのは楽しいと思う。
83.9
82.1
⑩ 学校の規則を守っている。
93.9
94.4
⑪ 人の役に立つ人間になりたいと思う。
95.4
93.7
76.3
60.5
⑬ 数学の勉強は好きですか。
47.3
56.0
⑭ 理科の勉強は好きですか。
61.1
61.9
⑫ 国語の勉強は好きですか。
※
今後の取組
二つの結果を今後一層改善させるために、学校・家庭・地域三者の立場から考えます。
最も大切なことは、三者が成果と課題を共有し、それぞれの立場で改善のための具体的な取組を起こ
し、徹底させようとすることです。
学校では、ほぼ落ち着いた生活が定着しています。その環境で、子ども達の学習理解力
を向上させようと、今後も「わかる授業」を目指します。その内容は、後日お知らせす
る「2学期の授業をこうします」で発信します。
家庭では、今後、家庭学習の充実が必要です。学校と家庭とが連携し、子どもたちのよ
り良い教育環境づくりを進めるとともに、
「学習の手引」や「自学ノート」の活用の工夫が
必要です。PTA 本部役員の皆さんとともに、具体的な情報を発信します。
地域では、年々学校外でのボランティア活動の場が増え、
「中学生は地域の力になる」と見直されてい
ます。この好機に、CSA 運営協議会から、学校と連携した取組を発信します。
そして、三者が子ども達を相互に育んでいくために、まずは9年間のスパンで展望を持つために、小
学校との連携の重要性を実感します。津屋崎中校区での連携推進委員会で、共通して取り組めることを
実施していきます。
コミュニティ・スクールの充実が、子ども達の学習理解力や生活の改善に具体的な姿で向上すること
を目指していきます。