みなとオアシスに期待する 所長からのメッセージ 駿河湾のみなとオアシス 中部地方整備局 清水港湾事務所長 加賀谷 俊和 (はじめに) 「みなとオアシス」に期待するメッセージの執筆の お話を千葉港湾事務所の有本所長(その前の執筆者が 決めていたという説もあるようですが)から頂いた時 に、大変不思議なご縁を感じました。前回、ご紹介の あった2港(館山港、木更津港)の指定に整備局の担 当者として関わっていたからです。その当時は、関東 地域で初めての「みなとオアシス」登録に向けて、地 元の状況も詳しく承知せずに、手続きありきで、関係 者の皆様に大変ご迷惑をおかけしました。登録にご尽力いただいた当時の自治 体の担当者や事務所他関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。 現在は、自分が所長となって、おかげ様で在任期間中に2港の認定に立ち会 い、今般、ご紹介する機会を頂きました。地元関係者と顔が見える関係だから こそ、以前の立場とは違った見方、関わり合い方ができるようになりました。 「みなとオアシス」登録を契機として、整備局と各みなとの関係者が身近な存 在になれること、そして、このネットワークが、みなとの振興のための様々な 機会に活かされていることを強く感じています。 ここでは、最近登録されたばかりのみなとオアシスも含め、駿河湾で登録さ れている3港の「みなとオアシス」についてご紹介させて頂きます。 (みなとオアシス沼津) 沼津港は、静岡県東部に位置する県内有数の海産物などを取り扱う流通拠点 となっています。平成12年に「特定地域振興重要港湾」に指定され、平成14年 に策定された沼津港港湾振興ビジョンに基づき、観光交通、にぎわい、防災拠 点等の機能が官民の役割分担のもとで整備され、平成19年にみなとオアシスに 登録されました。近年は、道路ネットワーク整備等により首都圏からのアクセ スも便利になり、新鮮な地魚、生産量日本一を誇るアジの干物などの海産物を 求めて、県内外から年間145万人の観光客が訪れる県内有数の観光拠点となって います。 沼津港の中には、大型展望水門「びゅうお」、マーケットモール「沼津 み なと新鮮館」、水産複合施設「沼津魚市場INO(イーノ)」、「沼津港深海水族 館」、地元の新鮮な魚介類を楽しめる飲食店街などが多数立地し、エリアを回 みなとオアシスに期待する 所長からのメッセージ 遊しながら楽しむことができます。 施設の整備が進められる一方で、地元の方々による「沼津水産祭」、ジャズ を聴きながら食べ歩き、飲み歩きを楽しむ「ぬまづ港バル」、焼きサンマを振 る舞う「ライジングサンマフェスティバル」など多彩なイベントが年間を通じ て開催されています。また、夜の賑わい演出のためのライトアップも行われて います。 沼津水産祭状況 ぬまづ港バル状況 更に、港の関係者や来訪者の人命を守るために市場関係者による避難訓練の 実施や津波避難ビルへの誘導看板の設置など官民一体となった取り組みが進め られています。 今年の5月には、中部地方整備局の浚渫兼油回収船「清龍丸」を同港に派遣し て、国、県、市等が連携して物資輸送訓練、油回収訓練などの防災訓練を実施 しました。 防災訓練状況「びゅうお」 「清龍丸」油回収訓練状況 (みなとオアシス大井川) 大井川港は、静岡県中部の大井川河口の左岸を掘り込んで整備された焼津市 の管理する港湾で石油製品、セメント等の配分基地として、更には、駿河湾の 特産品であるサクラエビ・シラス等の水産物取扱拠点としての役割を果たして います。 昨年、開港50周年を迎えたことから、みなとオアシス制度を活用し、新たに みなとオアシスに期待する 所長からのメッセージ 交流・賑わいの拠点として発展したいという地域の願いが結実し、みなとオア シスに認定されました。主な施設としては、港湾管理事務所と大井川港コミュ ニティ防災センターで構成されている大井川港港湾会館、大井川港漁業協同組 合、大井川河口野鳥園等があります。 港内では、毎年、海の日に公共北荷捌き地を会場にして開催される市民総参 加の踊りの祭典「踊夏祭(おどらっかさい)」や静穏な水域の港内を水泳競技 の会場にも利用するトライアスロン大会、大井川港で水揚げされるシラス、サ クラエビなどの特産品の販売を行う「大井川港朝市」をはじめ、地域の資源や 港を活用した様々なイベントが開催されています。 ブース展示の様子 踊夏祭開会イベントの様子 (みなとオアシス御前崎) 御前崎港は、駿河湾の湾口部に位置し、静岡県中西部のものづくり産業を支 える物流拠点としての役割を果たしています。また、近隣の風光明媚な海岸は、 海水浴、磯遊び、ウィンドサーフィンなどの海洋レジャーの拠点として注目を 浴びています。 今般、みなとを拠点とした地域振興と情報発信を進めるため、また、沼津港、 大井川港の県内のみなとオアシスと連携して実施する取り組み等にも期待でき ることから県内3番目のみなとオアシスとして認定されました。 主な施設としては、御前崎の観光物産会館である「なぶら館」、地元海産物 などを販売する「御前崎 海鮮なぶら市場」、海水 浴やキャンプが可能な御 前崎マリンパークなどか ら構成されています。 認定式は、毎年開催さ れている本年8月の御前 崎みなと夏祭りの開会式 に併せて行われました。 認定式の様子 御前崎みなと夏祭りの様子 みなとオアシスに期待する 所長からのメッセージ 花火の見物客も含めて大勢の市民が見守るなか、石原御前崎市長からは、「こ れから『みなとオアシス』に恥じないように、情報発信できる港として、御前 崎市民一丸となって取り組みたい。」との 決意の言葉が述べられました。 また、みなとオアシスに認定されて間も ない8月14日~8月18日の間に、独立行政法 人航海訓練所の練習船「海王丸」が、5年ぶ りに御前崎港に来航し、帆をはる訓練「セ イルドリル」や一般公開が催され、大勢の 市民が同港に来訪しました。 海王丸セイルドリルの様子 (さいごに) 「みなとオアシス」が生まれてから、12年。みなとオアシスに求められる 役割も時代とともに変わり、進化を遂げています。今後も、みなとオアシスを 核にして人が集まり、そして、人の輪が育まれ、更に結びつきを強めていくこ とを期待してやみません。制度を活かすのは、人の想い次第です。ハートtoハ ート、ポートtoポートの絆の証としての「みなとオアシス」の輪が、静岡県内 各港に、そして、他の地域へと益々広がっていけるように微力ながら協力して 参る所存です。 次のメッセージの執筆は、隣の湾の三河湾で魅力あるみなとづくりに奮闘さ れている三河港湾事務所の鈴木所長に託したいと思います。
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