機関誌ダウンロード/3.7MB - 財団法人・日本データ通信協会

ISSN 0386-7889
No.
202
2015.3
March
topics 1
急速に高度化・複雑化する通信網に対応した安全管理体制の実現に向けて
topics 2
電気通信主任技術者に対する講習の開始について
special issue
LTE、LTE-A、無線LAN等の現状と今後の展開
interview
お客様に信頼される「エキスパート工事担任者」の育成をめざして
challenge
•近畿地区における「工事担任者教育講演会及び指導研修会」に参加して
•工事担任者教育講演会「長崎県立長崎工業高等学校における「工事担任者」DD3種への取り組み」に関して
column
個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン改正の背景について
Japan Data Communications Association
CONTENTS
2015.3 March
No.202
foreword─ ─────────────────────────────────────────── 1
ソーシアルネットワークサービスと交流マナーの教育
日本データ通信協会 理事長 齊藤
忠夫
topics 1 ─ ──────────────────────────────────────────── 2
急速に高度化・複雑化する通信網に対応した安全管理体制の実現に向けて
●安全管理体制の強化と電気通信主任技術者の役割
総務省 総合通信基盤局電気通信事業部 電気通信技術システム課 課長補佐 川崎
光博
topics 2 ─ ──────────────────────────────────────────── 8
電気通信主任技術者に対する講習の開始について
日本データ通信協会 事業推進部 電気通信主任技術者講習担当
special issue 1─ ────────────────────────────────────── 10
LTE、LTE-A、無線 LAN 等の現状と今後の展開
【特集 1】
(一財)情報通信振興会 理事長/早稲田大学大学院 客員教授 竹田
義行
interview─ ────────────────────────────────────────── 20
お客様に信頼される「エキスパート工事担任者」の育成をめざして
●工事担任者スキルアップガイドライン委員会発足10年
工学院大学 名誉教授 淀川
英司 /
神奈川工科大学 学長 小宮
一三
【司 会】日本データ通信協会 工事担任者スキルアップガイドライン委員会事務局長 安部 清治
challenge ─────────────────────────────────────────── 26
・近畿地区における「工事担任者教育講演会及び指導研修会」に参加して
・工事担任者教育講演会「長崎県立長崎工業高等学校における「工事担任者」
DD3種への取り組み」に関して
日本データ通信協会 事業推進部 担当部長 階 有良
column─ ──────────────────────────────────────────── 28
【第 16 回】個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を
対象とするガイドライン改正の背景について
電気通信個人情報保護推進センター・P マーク審査部 課長代理 田中 裕
report────────────────────────────────────────────── 30
1. 迷惑メール相談センター
2. テレコム・アイザック部
3. タイムビジネス部
4. P マーク審査部
5. 電気通信国家試験センター
6. 事業推進部
※本誌に記載されている会社名・製品名・サービス名等は、TM、® 等が付されていない場合でも、一般に各社の商標、登録商標または製品名です。
本誌はこれら各社の権利を尊重いたします。
foreword
ソーシアルネットワークサービスと交流マナーの教育
日本データ通信協会 理事長 齊藤
忠夫
人と人との情報のやり取りは、文字の発明以前には、そこにいる仲間の間の声による伝
達が唯一の方法であった。仲間同士で、声によって複雑な情報の授受ができる動物は人だ
けである。その能力を使って人は他の動物には作れない大きな社会を作って、地球を支配
する種となった。文字の発明と文字による通信は、定住民族が遊牧民の略奪から防衛する
軍隊のために、紀元前 3000 年頃、中東のシュメール人により作られたとされている。こ
のような通信で円滑に情報を伝えられる範囲が共通の言語を持つ国であり、国の存在意義
が明確になった。現在の世界秩序は国を前提として成り立っている。情報伝達の前提とし
て、国ごとに情報を扱うマナーがあり、社会を安定させる知恵が生まれ、社会秩序を形成
して来た。
近年には、交通手段の発達によって、人が属する社会も変化が激しくなっている。国を
超えて移動するときには、異なる社会の言語を理解することは重要であるが、人間関係を
円滑にするために、社会のマナーを共有しなければならない。人は子供のころには小さい
社会でのコミュニケーションのマナーを身に着け、成長するにつれより大きな社会でのマ
ナーを学ぶ。その能力がその人の社会的地位を決定づけると言っても過言ではない。
最近のネットワーク技術は情報が伝わる範囲を大きく変化した。ソーシャルネットワー
ク技術は文字によるグループの情報共有の手段であり、情報を共有する手段として有効な
機能を多様に備えている。たとえば、ネットワークサービスの中には、メンバーが発した
情報を、そのネットワークの他の構成員が見た時刻が記録され、メンバー共通の情報とな
るようなサービスもある。組織によってはこの機能を使ってメンバーに情報を伝えること
が有用であることもあり、警察が職員に対してこの機能で命令を発するような使い方もあ
ると聞く。たとえば、しかしこれがマナーを十分に学んでいない少年の間に広がるとネッ
トいじめと言われるような、問題を発生する可能性があることが認識されている。
このようなデータネットワーク技術に基づく新しい社会環境を形成するサービスは技術
の発展とともにさらに多様に広がるに違いない。同時にそれを扱う社会との整合性につい
ての十分な検討が不可欠になっている。社会のマナーは国によって異なり、また年齢によっ
てその理解も異なる。ネットワークを活用して自分の活動する社会を広げ、多様な知識を
学習することは今後ますます重要になる。ネットワークを通して仲間の間でコミュニケー
ションする場合には、人類が長い歴史の中で培ってきたマナーをネットワーク上で実現す
ることが重要である。家庭でも学校でも社会における情報交流のマナーは当然のこととし
て教育されている。ネットワークを通しての交流についても同じような教育がなければな
らない。システムによるサービスもこのような教育と整合しなければならない。
ネットワーク技術とその社会的役割の大きな変化を前に、交流のマナーについての理解
が共有されることが重要であり、データ通信にかかわる多くの専門家は社会人の情報交流
マナーを自分たちの問題として理解することが求められている。
日本データ通信 No.202
1
foreword
topics
1
急速に高度化・複雑化する通信網に
対応した安全管理体制の実現に向けて
― 安全管理体制の強化と電気通信主任技術者の役割 ―
総務省 総合通信基盤局電気通信事業部 電気通信技術システム課
課長補佐 川崎
光博
ICT の進展に伴い、その基盤となるネットワーク環
行い、本年 4 月より施行することとなりました。ここで
境は、
絶えず変化を続けております。ここ数年を見ても、
は、新たに強化される電気通信事業者の安全・信頼性
LTE などの普及により、携帯電話などの移動通信も高
対策を中心に説明します。
速なインターネットに接続できるようになり、いつで
も、どこでも、インターネットを活用した多様なサービ
(1)
「管理規程」
の実効性の確保
スやビジネスが展開できる時代になりました。駅や電
これまでも、回線を設置する電気通信事業者には、
車で多くの人がスマートフォンを眺めている様は、ラ
事故防止の取組みを含む事業用電気通信設備の「管理規
イフスタイルさえ変わったような感もあります。一方、
程」を自ら作成し、総務大臣に届出をする義務を課して
通信インフラを提供する電気通信事業者側も、急速に
いました。しかし、従来の管理規程では、設備管理の
変化する技術やサービスに常に対応することが求めら
専門化・細分化が進む中で、設備毎など縦割りに管理
れ、既存の回線交換網と進化を続ける IP 網など、全く
される傾向にあり、設備全体を把握することが難しく、
異なる技術の管理や、日々登場する様々な通信制御方
今日の多様化したネットワークにおいて、設備間の誤
式への対処など、絶えず新たな技術や課題への対応が
求められております。
管理規程に追加される主な事項
設備管理の「方針」に関する事項
電気通信事業者の安全・信頼性対策の見直し
急速な通信技術やサービスの変化は、従来の電気通
○設備管理の基本的な方針に関する事項
○「管理規程」の遵守に関する事項
信回線設備の管理では対応できない事象も引き起して
おります。一例をあげると上位層で提供される通信サー
ビスに起因する急激な需要変動等が電気通信事業者側
で想定できず、通信設備の容量が追いつかないことに
等
設備管理の「体制」に関する事項
○経営責任者の責務に関する事項
○電気通信主任技術者等の設備の管理をする者の職務及び組
織体制に関する事項
よる事故や、複雑化する技術に対応し設備管理が専門
化・細分化したことにより、一担当・一部門だけでは
復旧できず長時間に及ぶ事故など、近年、連携体制の
不備に起因する重大事故が頻発しました。こうした状
況を踏まえ総務省では、安全・信頼性対策の抜本的な
見直しを行うため、昨年 6 月に電気通信事業法の改正を
日本データ通信 No.202
2
設備管理の「方法」に関する事項
○設計容量に関する基本的考え方に関する事項
○ソフトウェア開発における信頼性確保のための取組に関す
る事項
○適切なデータ設定のための取組に関する事項
topics 1
等
設定や設備全体の不整合性などに起因した重大事故の
し、「管理規程」等に基づく事故防止の取組の実効性を
発生を防ぐには充分とは言えませんでした。今回の改
確保するため、改正電気通信事業法では、経営レベル
正では、全社的、横断的な「設備管理の方針・体制・方法」
の設備管理の責任者として、 新たに「電気通信設備統括
等を管理規程に明確に記載することが必要となり、設
管理者※ 1」の選任※ 2 を義務付けております。
備管理の全体像を把握した上での対応が求められます。
※ 1 電気通信事業法第 44 条の 3
※ 2 電気通信事業法施行規則第 29 条の 2 及び第 29 条の 3
(電気通信事業法施行規則第 29 条)
電気通信設備統括管理者の要件
また、設備容量の過小評価に起因した重大事故への
1 事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあること
対策として、管理規程に「通信量の変動を踏まえ適切な
2 電気通信設備の管理に関する一定の実務経験を有すること
設備容量の確保に関すること」の記載が求められ、3 万
(電気通信設備の設計、工事、維持又は運用に関する業務
に 3 年以上従事すること等)
人以上利用者を有する場合には、半期毎に設備容量の
報告が必要になります。
(電気通信事業報告規則第 7 条
の 6)
(3)
「電気通信主任技術者」による監督の実効性の確保
電気通信事業者が選任する電気通信主任技術者につ
「毎半期最初の日」及び「毎半期末日」
において、
「利用者が3万以上」
きましても、電気通信事業者の設備管理体制の強化の
報告提出
中で、その役割や責任、権限が強化されております。
トラヒック監視
10月1日
毎半期最初の日
報告提出期間
(3月以内)
3月31日
毎半期末日
6月30日
報告提出期限
(電気通信事業法第 45 条、第 49 条)
①「職務内容」の明確化
これまで電気通信主任技術者の職務は、法令上、設
なお、法令では、ネットワーク環境や技術動向を踏
備の「工事、維持・運用」の監督とのみの規定されてい
まえ電気通信事業者が自律的・継続的に「管理規程」を
ました。改正施行後は、監督の実効性の確保、現場の
見直すことにより、事故防止の実現を図ることを目的
監督機能の強化を目的に、電気通信主任技術者の具体
としておりますので、事故等が頻発する電気通信事業
的な職務内容が総務省令※に明確に規定されます。
者の管理規程が適切に見直されていない場合には、総
務大臣が変更命令や遵守命令による是正措置を求める
(※電気通信事業法第 45 条、電気通信主任技術者規則
第 3 条第 4 項)
ことになります。(電気通信事業法第 44 条の 2)
電気通信主任技術者の職務内容
(2)経営レベルの安全管理責任者として「電気通
信設備統括者」の導入
設備の高度化やサービスの多様化による設備構成の
複雑化に伴い、設備管理に関する社内部門の細分化や
ソフトウェアの外部委託等が進む中で、社内・社外の
全体調整を含めた設備管理体制が必要になっており
ます。
1 工事、維持及び運用に関する業務の計画の立案及びその計
画に基づく業務の適切な実施
イ 工事実施体制(工事実施者と設備運用者による確認を
含む。)及び工事手順
ロ 運転又は操作の運用監視に係る方針、体制及び方法
ハ 定期的なソフトウェアのリスク分析及び更新
ニ 適正な設備容量の確保
2 事業用電気通信設備の事故発生時の従事者への指揮及び命
令並びに事故収束後の再発防止に向けた計画の策定
前述の設備容量の過小な評価による事故を一例にて
イ 速やかな故障検知、故障箇所の特定のために取るべき
対応
考えますと、設備管理部門において、設備容量の許容
ロ 定型的な応急復旧措置に係る取組、製造業者等や接続
事業者との連携
値自体を把握していたとしても、サービスや顧客数の
急増などによる情報量の変動に対して、設備を増設す
るのか、接続相手先や顧客などに制限をかけるのかな
ハ 障害の極小化対策
3 その他事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関し必
要と認められる事項
た課題があります。
イ 選任された事業場における事業用電気通信設備の工事、
維持及び運用を行う者に対する教育及び訓練の計画の
立案及び実施
このため、設備管理への経営陣の主体的関与を強化
ロ 日常の監督業務を通じた管理規程の実施状況の把握及
び見直し
ど、設備管理部門のみでは容易に判断できないといっ
日本データ通信 No.202
3
topics 1
(ア)電気通信事業者が選任する電気通信主任技術者の
② 職務遂行上の地位の強化
電気通信主任技術者は、専門的な知識をもって設備
講習受講条件
を監督する現場の責任者であり、社内の役職や権限に
原則、
「電気通信事業者は、電気通信主任技術者
特段の規定がない中で、安全管理に係る重要な職務を
を選任後、1 年以内に受講させること」となってお
担っておりました。こうした中、設備管理の現場の責
ります。また、施行年の本年は、現在選任してい
任者である電気通信主任技術者の職務遂行上の地位を
る電気通信主任技術者は、本年 4 月 1 日に改めて選
強化するため、電気通信事業者および事業用電気通信
任したとみなして講習の受講対象とすることから、
設備の工事、維持または運用に従事する者に対して以
電気通信事業者は、選任している電気通信主任技
下を義務付けました。(電気通信事業法第 49 条第 2 項及
術者を平成 28 年 4 月以降も選任を続ける場合は、
び第 3 項)
平成 28 年 3 月末までに登録講習機関が開催する講
習を受講させ修了させることが必要になります。
職務遂行上の権限
(イ)電気通信主任技術者を取得して 2 年未満の者を選
電気通信事業者は
任する場合
電気通信主任技術者に対し、その職務の執行に必要な権限を
与えなければならない。
電気通信主任技術者のその職務を行う事業場における事業用
電気通信設備の工事、維持又は運用に関する助言を尊重しなけ
ればならない。
電気通信主任技術者資格を取得しその資格者証
の交付から 2 年未満の者を選任している場合は、
交付の日から 3 年以内に受講させることとしてお
事業用電気通信設備の工事、維持または運用に従事する者は
ります。これは、資格を取得し間もない者は、直
電気通信主任技術者がその職務を行うために必要であると認
めてする指示に従わなければならない。
近の技術や法令を含めた知識を習得している点を
考慮し、資格の取得から最初の講習受講までの期
間を規定するものです。
③「講習制度」の導入
講習制度は、ネットワークを取り巻く環境の急速な
(ウ)講習受講の有効期間
変化に対応するため、電気通信主任技術者が設備の監
講習受講の翌月の 1 日から 3 年以内に講習を受講
督に必要な専門知識を維持・向上できるよう、登録講
する必要があります。また、電気通信事業者の採
習機関が行う講習を受講させることを電気通信事業者
用や人事異動などにより講習受講済みの者を選任
に義務付け、事業場等に選任される電気通信主任技術
する場合を考慮し、講習を受けてから 2 年未満の
者による設備の監督機能の強化を目的とする制度です。
場合、交付の日から 3 年以内に受講させる旨の規
(電気通信事業法第 49 条第 4 項)
定を設けております。
また、講習は、選任を問わず電気通信主任技術者の
電気通信事業者が選任する
電気通信主任技術者の講習受講条件
資格保有者であれば、誰でも受講することが可能です。
今後、電気通信事業者に選任される電気通信主任技
術者は、講習制度の導入により、新しい技術や法令、
事故対応等の知識を有することとなり、新しい知識を
取得した者が責任をもって事業用電気通信設備の監督
1 電気通信事業者が電気通信主任技術者を選任後、1 年以内
に受講させる。
(既に電気通信主任技術者を選任している場合は、平成 27
年 4 月 1 日に専任したとみなす。⇒平成 27 年度中に講習
の受講が必要)
を行うことになります。講習受講の概要は、次のとお
2 電気通信主任技術者資格証の交付から 2 年未満の場合又は
講習を受けてから 2 年未満の場合の交付の日から 3 年以内
に受講させる。
りです。
ア 登録講習機関
総務大臣の登録を受けた講習機関
3 講習終了からの有効期間
受講の日の翌月の 1 日から 3 年以内に受講
講習を受けてから 2 年未満の場合、交付の日から 3 年以内
に受講
一般財団社団法人 日本データ通信協会
(平成 27 年 1 月 16 日登録)
イ 選任に必要な講習受講の要件と有効期間
(電気通信主任技術者規則第 43 条の 3)
日本データ通信 No.202
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topics 1
(イ)指定基準
④ 電気通信主任技術者の選任対象範囲の変更
近年の事故の傾向として、メール・SNS など上位レ
イヤーサービスの事故が増加するとともに、サーバー
系の事故が事故全体の 63%※を占めていること等から、
電気通信主任技術者の選任対象範囲の見直しを行って
おります。
指定基準(電気通信事業法施行規則第 27 条の 2)
利用者数が 100 万以上であること。
電気通信役務の対価として料金の支払いを受けるものである
こと。
(ウ)回線設置事業者と同様の事故防止の規律の適用
(※「多様化・複雑化する電気通信事故の防止の在り方
指定された電気通信事業者の指定後に発生する
手続の比較および期限
について(2013 年 10 月 31 日)
」
報告書より)
事故防止の規律
ア 回線非設置事業者への規律の適用
インターネット接続サービス(ISP サービス)など、 回
※
線非設置事業者に起因する重大な事故 の件数・割合
ともに増加してきています。このため、社会的影響力
が大きく、利用者保護を図る必要性が高いサービスを
提供する回線非設置事業者に対しては、回線設置事業
者と同様の事故防止の規律を適用することといたしま
技術基準適合維持・
自己確認
管理規程の作成・
届出
電気通信設備統括
管理者の選任
電気通信主任
技術者の選任
事故報告
指定前
×適用外
×適用外
×適用外
×適用外
指定後
○適 用
(指定の日から 3 月以内に自己確認)
○適 用
(指定の日から3月以内に届出)
○適 用
(指定の日から3月以内に選任)
○適 用
(指定の日から3月以内に選任)
○適 用 ○適 用
(エ)指定された回線非設置事業者に準ずる電気通信事
した。
業者の報告義務の適用
※ 重大な事故:電気通信役務の提供を停止又は品質を
利用者数により指定が適用されるため、指定さ
低下させた事故で、影響利用者数 3 万以上かつ継続時
れた回線非設置事業者に準ずる電気通信事業者の
間 2 時間以上のもの
利用者数の報告義務の適用
(ア)回線非設置事業者の指定
「利用者の数が 80 万以上」かつ「電気通信役務の
対価として料金の支払いを受ける場合、利用者数
国民生活に重要な役割を果たすサービス(有料か
※
つ大規模なサービス) を提供する回線非設置事業
の報告を義務付け(報告規則に基づき既に報告して
者を回線設置事業者と同様の事故防止の規律の適
いるものを除く。)
用対象として、総務大臣が指定する制度を規定。
イ 電気通信主任技術者の選任要件の規律の緩和
小規模な無線 LAN 基地局の回線設備により公衆無線
(電気通信事業法第 41 条第 3 項)
※ 国民生活に重要な役割を果たすサービス:法律
上、
「内容、利用者の範囲等からみて利用者の
アクセスサービスに係る電気通信役務を提供する場合
や同じ事業場において他の電気通信事業者が選任する
利益に及ぼす影響が大きいものとして総務省令
電気通信主任技術者がいる場合など、事業場や都道府
で定める電気通信役務」と規定。
県の選任要件の緩和を行っております。
(事故件数)
(割合)
(電気通信主任技術者規則第 3 条の 2 第 4 号∼第 6 号)
(ア)無線 LAN 基地局のみを設置する電気通信事業者の
選任要件の緩和
技術基準適合認定等を取得している無線 LAN 基
地局のみを設置し公衆無線 LAN アクセスサービス
を提供する場合、電気通信主任技術者の都道府県
選任義務を免除。
【回線非設置事業者による重大な事故件数と割合】
日本データ通信 No.202
【改正前】
【一部緩和】
無線 LAN 基地局(アクセス
ポイント(AP))のみを設置
する電気通信事業者において
も、その設備が小規模である
場合等を除いて、電気通信主
任技術者の選任を義務付け
端末機器の技術基準適合認定
等を取得している設備のみを
設置する場合において、電気
通信主任技術者の都道府県選
任を免除し、事業者の負担を
軽減。
5
topics 1
【無線LAN事業におけるAPの位置づけと電気通信主任技術者の選任の関係】
(1)AP のみを設置して (2)AP 及び電気通信回線設備を
行う無線 LAN 事業 設置して行う無線 LAN 事業
ア AP の設置場所が「一の部分の設置の場所が
他の部分の設置の場所と同一の構内
(これに準ずる区域を
AP の位置付け
含む。)又は同一の
建物内」
主任技術者
端末設備
(判断ない)
不 要
必 要
イ AP の設置場所が上記アでない場合
登 録
届 出
AP の位置付け
主任技術者
登 録
※1
登 録
※1
※1
電気通信回線設備
(判断ない)
都道府県選任を
必要※ 2 ⇒ 免除
必 要
※ 1 施行規則第 3 条第 1 項で規定する一定の規模・区域を超えない場合は、届出
※ 2 電気通信主任技術者は、「事業用電気通信設備」
(=事業法第 41 条第 1 項又は第 2 項の規定に基づき自己
確認の対象となる電気通信回線設備 )の工事、維持及び運用に関する事項を監督させるために選任され
るものであるため(事業法第 45 条第 1 項)、AP が電気通信回線設備と位置付けられ、自己確認の対象と
なる場合は、AP のみの設置であっても選任が必要となる 。
(イ)他電気通信事業者の電気通信主
任技術者が選任されている場合
の選任要件の緩和
【改正前】
【一部緩和】
電気通信主任技術者の
選任を義務付け
事業用電気通信設備が他の電気通信事業者により設
置され、当該電気通信事業者により電気通信主任技
術者が配置されている場合
事業用電気通信設備自体を借
用して電気通信役務を提供する
その事業者の電気通信主任技術者の選任状況を報告※
することで、事業場選任、都道府県選任を免除。
場合や、事業場に他の電気通信
※事業者の名称及び電気通信主任技術者の氏名
事業者が選任した電気通信技術
者がいる場合などは、その選任
状況を報告することで、事業場
選任、都道府県選任を免除する
ことが可能となりました。
日本データ通信 No.202
6
topics 1
現行様式
新たな設備管理体制の構築に向けて
4 月の電気通信事業法の施行では、安全管理体制の構
「2 電気通信設備の概要」に次の事項を追加
(3)伝送設備以外の電気通信設備に関する事
築に向けて様々な見直しが実施されますが、主にどの
設置の区域
(都道府県単位)
ような手続きが発生するかについて説明します。
種類
(役務の種類)
記載例
(1)電気通信事業の変更の届出
設置の区域
東京都、神奈川県、千葉県
伝送路設備以外の電気通信設備の概要の届出がが規
定※され指定後 1 か月以内の届出が必要になります。ま
た、既に電気通信設備の概要を提出している事業者に
種類
携帯電話用設備
法施行後
1 月以内に
新様式での
届出が必要
つきましても、伝送路設備以外の電気通信設備の概要
の届出
(施行後 1 月以内)
が必要となります。
(※電気通信事業法施行規則第 9 条 8 項)
(2)電気通信主任技術者の講習の受講
おわりに
現在、電気通信事業者に選任されている電気通信主
任技術者のほとんどは、4 月から 1 年以内に講習を受講
ICT が急速に進展する中、電気通信事業者の安全管
することが必要※となります。講習は、登録講習機関
理は、自社の回線設備の物理的な損傷や機器の故障対
として現時点で登録のある機関として、
(一財)
日本デー
応から、多様な階層レイヤーの異なるサービス提供者
タ通信協会が講習受付を 4 月より開始する予定です。講
や他の事業者間の通信需要全般まで考慮した設備許容
習機関のより詳しい情報が出ている頃と思いますので、
量の設定やセキュリティリスクの検討まで特定分野の
最新の情報をご確認いただければ幸いです。
専門知識だけでは対処が困難な管理へと変化しました。
(※電気通信主任技術者を取得して 2 年未満の者を選任
4 月より電気通信事業者に導入する設備の新たな安全管
は除く。
(P-4「イ 選任に必要な講習受講の要件と有
理は、責任の所在が明確化され、総合的でかつ幅広い組
効期間」参照。)
)
織全体の対応が必要な時代に入ったことを意味します。
本誌発行者であります(一財)日本データ通信協会様
(3)その他必要な手続の時期と届出先等
直近の手続等につきまして次のとおりまとめます。
必要な手続
時期
に関係します電気通信主任技術者の役割につきまして
も、経営者への助言など、現場におけ
届出先等
法施行後 1 月以内
地方総合通信局または沖縄総合通
信事務所(全国事業者の場合は総
務省総合通信基盤局事業政策課)
管理規程の作成・届出 法施行後 1 月以内
地方総合通信局または沖縄総合通
信事務所
電気通信設備統括管理
法施行後 1 月以内
者の選任・届出
地方総合通信局または沖縄総合通
信事務所
電気通信事業変更の
届出
法施行後 1 月以内
電気通信主任技術者の (資格者証交付後 2 年未満であれ
講習の受講
ば、交付日から 3 年以内)以後3
年以内に再受講
を担う極めて重要な役割となります。
日々発展し続ける技術や拡大する
新たな利用者ニーズに対して、電気
な知識と対応が求められます。安全
─
管理体制の向上により信頼性が高く
有料かつ年度末において利用者が
総務省総合通信基盤局電気通信技
80 万以上である場合に、当該年
術システム課
度経過後 1 月以内
有料かつ 100 万以上の利用者を有するサービスを提供する事業者(指定される事業者等)については、指定
後一月以内に事業変更の届出を、指定後33 月以内に技術基準適合自己確認、管理規程作成、電気通信主任技
術者及び電気通信設備統括管理者の選任並びにこれらを届出。
日本データ通信 No.202
気通信事業者の設備管理体制の中核
通信事業には、今後、ますます高度
毎半期の最初の日及び末日におい
設備容量の確保状況の て利用者が 3 万以上である場合 地方総合通信局または沖縄総合通
報告
に、当該半期後 3 月以内(最初の 信事務所
報告は平成 28 年 6 月末まで)
契約数の報告
る設備管理の監督責任者として、電
7
topics 1
誰もが安心して高度なサービスを受
けられるよう発展することを期待し
ます。
(注:
「4 月の法令施行後の条文で記載して
おります。
」
)
topics
2
電気通信主任技術者に対する
講習の開始について
日本データ通信協会 事業推進部 電気通信主任技術者講習担当
電気通信事業法改正により、電気通信事
主任技術者を選任している電気通信事業者
業者が電気通信主任技術者に登録講習機関
については、4 月 1 日に選任したとみなし
による講習を受講させることが義務化され
て講習を受けさせることが規定されており
ました。
ます。このほか、電気通信主任技術者証の
平成 27 年 1 月 16 日に日本データ通信協
交付を受けている方も講習を受講すること
会が電気通信主任技術者の登録講習機関と
ができます。
して、総務省に登録されました。
本講習は、事業法に定められた要件を満
電気通信主任技術者規則により「電気通
たした講師によって行い、講義内容と講義
信事業者は、電気通信主任技術者を選任し
時間は総務大臣が定めたものとなっていま
たときは、その電気通信主任技術者資格者
す。講義は講習の科目に応じ総務大臣が定
証の種類に応じ、当該電気通信主任技術者
める事項を含む適切な内容の教材を用いて
に当該電気通信主任技術に選任の日から一
実施されます。講義終了後に修了考査を行
年以内に事業用通信設備の工事、維持及び
います。また、講習修了者には後日、次回
運用に関する事項の監督に関し登録講習機
の受講期限が記載された修了証を交付しま
関が行う講習を受けさせなければならな
す。なお、講師には一般社団法人電子情報
い。」と規定されております。また、経過措
通信学会等のご支援を頂いております。
置として、省令の施行の際、現に電気通信
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8
topics 2
総務省告示に基づく講義内容及び講義時間
講義内容
講義時間
一 伝送交換設備(線路)に関する最新の事項
二 設備管理一般
30 分
ア 設備管理の概要
イ 通信品質
ア 工事計画
三 工事管理
イ 工程管理
ウ 品質管理
エ 安全管理
ア 維持・運用
四 維持・運用管理
1
イ 予防安全
2 時間
ウ 安全・信頼性対策
伝送交換設備(線路設備)
及びその管理に関する科目
ア セキュリティ管理手法
イ セキュリティ管理技術
セキュリティ管理・
五
ウ 物理的セキュリティ対策
対策
エ ネットワークセキュリティ対策
オ その他情報セキュリティ対策
六 電気通信事故の現状
ア ネットワークを巡る環境変化及びそれに伴うリスク
イ 近年の重大事故の傾向
ア 事故対応の社会的責任及び義務
1 時間
30 分
七 電気通信事故の防止 イ 事故対応手順
ウ 事故再発防止の取組
一 電気通信主任技術者に関する法令
電気通信事業法その他
2
関係法令に関する科目
二 電気通信主任技術者の職務の遂行に関する法令
1 時間
40 分
三 電気通信事故の防止に関する制度整備その他の法令の制定又は改廃
※ この他講義終了後、
「修了考査」
があります。
※ 講習には
「伝送交換」・「線路」
の種類があり資格者証の種類により受講する内容が異なります。
※ 講習期間は各 1 日間となります。
●平成 27 年度は以下の都市と時期で予定しています。
東京 全 4 回:7 月、9 月、10 月、12 月
名古屋 全 2 回:9 月、11 月
大阪 全 2 回:8 月、10 月
福岡 全 2 回:8 月、11 月
申込の受付開始は 27 年 4 月中旬から当協会ホームページ上で可能となります。ただし、各回とも定員となりしだい
締め切りとなります。受講料は 38,000 円
(税込)
の予定です。
受講希望者は当協会電気通信主任技術者のホームページを逐次ご参照ください。
●お問い合わせ 協会 電気通信主任技術者講習担当 03-5907-7575(平日 10 時∼ 16 時)
HP:http://www.dekyo.or.jp/jinzai/ メールアドレス:[email protected]
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topics 2
special issue
特集
LTE、LTE-A、無線 LAN 等の
現状と今後の展開
( 一財)情報通信振興会 理事長/早稲田大学大学院 客員教授 竹田
義行
本稿では、携帯電話事業が抱えている課題や将来に向けてのビジネスモデルの変化
などの世界及び日本の移動通信の最新動向について詳しく解説した後、LTE(3.9G)、
LTE-A(4G)、無線 LAN 等の技術と考え方、そして今後の展開について紹介します。
1 世界の移動通信の動向
最初に図 1 を見てください。これは MWC2013 という
また、図 3 に携帯電話などの通信手段の普及率を示しま
展示会で F5 ネットワークス社が展示したパネルの 1 つで
す。これは 100 人中何人使っているかで表現したもので、
す。写真に写っているのはケニア・タンザニアに住んでい
一番上の曲線が携帯電話を示しており、世界の人口比率で
るマサイ族で、彼らの最も大切な財産は牛であり、スマホ
換算すると 67 億人が使っていることになります。図 3 か
を使って牛の売買を行っている様子を紹介しています。マ
らわかるように、一番下の曲線は固定のブロードバンドで
サイ族における携帯電話の普及率は 70 %に達しており、
あり、固定から移動へ、そしてモバイル・ブロードバンド
M-PESA というボーダフォンが開発した携帯電話 SMS に
へと世界は変化しています。
よる送金システムが活用されています(図 2)
。このシステ
ただし、一口に世界といっても大変広いので、地域別に
ムでは、キャッシュカードも銀行口座も作る必要がありま
移動通信の状況を確認してみると図 4 のようになっていま
せん。
図1 MWC2013 F5Networks のPanel
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図2 携帯電話を使った送金の仕組み(M-Pesaの例)
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special issue 1
図3 固定から移動へ、そしてモバイル・ブロードバンドへ
図4 地域別移動通信加入者数(単位:100万加入)
す。棒グラフの右側が成長率、左側が全体比を表していま
世界の携帯通信事業者ランキングについても触れておき
す。この図から、成長率が高いのはアフリカとアジアであ
ましょう(図 5 参照)。まず、加入者数でのランキングで見
り、先進諸国では市場はもう飽和状態になっていることが
ると、1 位はチャイナモバイル、2 位はボーダフォングルー
わかります。
プ、3 位はアメリカモービルグループで、NTT ドコモは
日本データ通信 No.202
11
special issue
18 位です。一方、売上高でのラン
図5 世界の携帯通信事業者ランキング 2013年第1四半期 (上位20グループ)
キングで見ると、1 位はチャイナ
モバイル、2 位はベライゾンワイ
ヤレス、3 位は AT&T モビリティ
で、NTT ドコモは 6 位です(2013
年第 1 四半期での順位)
。
次に、通信方式の動向について
説明します(図 6 参照)
。携帯電話
のデジタル化は、1990 年代の第 2
世代から始まり、2000 年代に第 3
世代へ、そして 2010 年代に 3.9 世
代又は第 4 世代へと進化していま
す。消費者にとっては、データ伝
送速度の高速化が買換需要を加速
していると考えられます。
第 2 世代では日米欧とそれぞれ
地域デファクト標準の競争でヨー
図6 デジタル移動通信システムの進化
第 2 世代
第 3 世代
第 4 世代
ロッパの GSM 方式が世界を制し、
現在でも一番利用されている方式
と言えます。日本と韓国は GSM
サービスを提供しておらず、特異
な国です。携帯電話の世界的な普
及にともない、通信方式や使用周
波数への標準化の要請が高まり、
ITU では IMT2000 として標準化
活動が進められました。最終的に
は、日欧方式である W-CDMA 方
式と米方式である CDMA2000 方
式の 2 方式が国際標準となりまし
た。3.9 世 代 又 は 第 4 世 代 で は、
LTE そして LTE Advanced へと世界統一方式が実現しま
インターネットが普及したことが挙げられます。
した。
さらに、LTE の必須特許は Qualcomm 社が 1 位で 14%
参考までに、世界の 3G/4G 化率の一覧を図 7 に示しま
で す が、ZTE 12 %、Ericsson 9 %、Inter Digital 9 %、
す。これを見てわかるように、現時点で 4G 化が進んでい
Samsung 8 %、NTT docomo 8 %と、世界標準としてよ
るのは日本、韓国、米国の 3 ヵ国だけです。ヨーロッパで
いバランスの分布になっています。通信事業者によっては、
は 10%未満の国が沢山あります。
3G への投資を控えて、LTE の投資を加速する方針を出し
なお、W-CDMA 方式の必須特許の 1/3 は Qualcomm 社
ています。
が所有しており、CDMA2000 方式では 2/3 を Qualcomm
このほか、主な携帯通信事業者の次世代方式の採用動向
社が所有しています。日本で第 3 世代が急速に普及したの
を見ると、国際標準化を受け、LTE 又は TD-LTE へと向
はオークションを実施しなかったことと、i-mode で携帯
かい、WiMAX は劣勢となっています。WiMAX 採用事業
日本データ通信 No.202
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special issue
special issue 1
図7 世界の3G/4G化率
者も TD-LTE 互換の道を探ってい
図8 通信事業者の次世代方式採用動向
ます(図 8)
。
ここで、移動通信システム(携
帯電話・BWA)の発展イメージを
図 9 に紹介します。移動通信シス
テムは、携帯電話・広帯域無線ア
クセスの進化と共に、無線 LAN
の進化に支えられています。無線
LAN も IEEE802.11n が 標 準 化・
実用化され、さらに 1Gbps を伝送
可能な 11ac の標準化が進められ
ています。無線 LAN は携帯電話
のトラフィック増に対処するため
のオフロード手段として各社がア
クセスポイント整備に積極的に対
応しています。
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図9 移動通信システム(携帯電話・BWA)の発展イメージ
2 日本の移動通信の動向
次に、日本の移動通信の動向に
図10 日本の携帯電話加入数の推移
ついて説明します。日本の場合、
移動通信が固定通信の加入契約数
を追い越したのは 2000 年のこと
です。図 10 に日本の携帯電話加入
数の推移を示します。1999 年に i
モードが登場して大きなインパク
ト を 与 え ま し た。 そ の 後、IMT-
2000 サービスが急速に立ち上が
りました。LTE サービスは 2011
年から始まりました。
一方、携帯電話の進化を振り返
ると、その機能は、音声電話から
デ ー タ 通 信 に よ る メ ー ル、 イ ン
ターネット、そしてカメラ機能の
具備による画像伝送へと進化し、
「携帯電話」からゲーム、テレビ電
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話、ナビゲーション、音楽
図11 広がる携帯電話の世界
ダウンロード、SNS、非接
触 IC カ ー ド に よ る 電 子 マ
ネー、ワンセグテレビと小
さな端末のなかに多機能を
盛り込み、生活に欠くこと
のできない「ケータイ」に進
化しました。また、従来型
のフィーチャフォンからス
マートフォンへの移行が急
速に進んでいます(図 11 参
照)。
3 LTE(3.9G)、 LTE-A(4G)、 5G
現在、日本の携帯電話事業に使われている周波数は、図
の普及に伴い増加する加入者を収容するため利用周波数帯
12 に示すように、800MHz 帯、1.5GHz 帯、1.7GHz 帯、
の追加が行われています。近年では第 2 世代(2G)から第 3
2GHz 帯、2.5GHz 帯と多様な周波数が使われています。
世代(3G)への移行のため、800MHz・900MHz 帯の周波
日本で最初に使われたのは 800MHz 帯ですが、携帯電話
数再編成、1.5GHz 帯の周波数再編成が行われました。
図12 第3世代移動通信システムへの追加周波数割当
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special issue
これと平行して、新たな 2GHz
図13 日本の割当周波数幅と利用状況大胆予測
帯(IMT-2000 バンド)の追加割
当、1.7GHz 帯の追加割当、広帯
域移動無線アクセス(BWA)のた
めの 2.5GHz 帯の追加割当が行わ
れ、既存事業者への追加割当およ
び新規参入事業者への新規割当が
行われています。我が国ではオー
クションが導入されていないの
で、周波数供給に対し多くの事業
者が申請した場合には比較審査
により事業者の決定が行われてい
ま す。800MHz・900MHz 帯 の
再編成による新たな 900MHz 帯
と放送のデジタル化による新たな
700MHz 帯については、既存システムの周波数移行に要
ドコモがやや余裕のない状況です。換言すればドコモはよ
する費用を事業者が負担する制度が導入されいわゆるプラ
り周波数の有効利用をしないといけない状況にあります。
チナバンドの割当が行われました。
直近の契約数増加率を加味して、2015 年 9 月末における
また、周波数スペクトルは移動通信事業の顧客収容基盤
予想契約数から各グループの 1MHz 当たりの契約数を試
になるので割当が事業環境を反映したものでないと公正な
算すると、ドコモ 42 万、KDDI グループ 39 万、ソフトバ
競争が促進されません。日本の各事業者への割当周波数幅
ンクグループ 32 万となり、ソフトバンクグループが一番
と契約数に基づき、1MHz 当たりの契約数を単純に算出し
余裕があるという結果です(図 13 参照)。
てみると、ドコモ 38 万、au33 万、ソフトバンク 34 万と
4 無線 LAN、 近距離無線通信システム
3G の高度化、LTE(3.9G)の
導入によりネットワークの高度
図14 ネットワークの高度化
ネットワークの高度化、高速大容量化を推進
化が実現されています(図 14 参
照)
。 今 後、 自 動 ネ ッ ト ワ ー ク
最適化(SON)
、VoLTE(Voice
over LTE)、超小型基地局の導入、
LTE-Advanced(4G) に お け る
新たな周波数(3.4 ∼ 3.6GHz)対
応、更なる広帯域化、アンテナ技
術(MIMO)の高度化といった高
速・大容量・低遅延技術の導入に
加え、低コスト・低消費エネルギー
といった面からも高度化が進めら
れます。
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special issue 1
ここで、SON とは、Self Organizing Networks の略称
活用等のネットワーク負荷の軽減に加えて、新料金プラン
で、移動通信の分野において、運用中の端末や基地局から
の導入による速度制限、段階型プランの導入を行って対処
データを収集・分析し、自律的にネットワークを最適化し
しています。
ていくシステムのことです。自己組織化ネットワーク、自
LTE の料金プランについては、従来の定額制から、新
己最適化ともいわれ、LTE ネットワークで採用されてい
しい制限つき定額制に移行しています(図 16)
。例えば、
ます。ネットワークの品質向上とともに、基地局やネット
ひと月 7GB を超えるまでは定額を適用し、それ以降は速
ワークの運用管理のコスト削減を可能にします。
度を 128kbps に制限するか、2GB 毎に追加料金を払うか
SON に は、 基 地 局 が 自 動 で 隣 接 す る 基 地 局 を 認 識
の選択制としています。これは大容量を使う特定ユーザに
し、ハンドオーバーの調整やカバーするエリアの最適化
有利とならないようトラフィックを制限する目的をもって
を す る「Self-Configuration( 自 動 設 定 )
」
、各基地局か
おり、世界的な動向です。
ら収集したデータを元にネット
ワ ー ク を チ ュ ー ニ ン グ し、 ト ラ
図15 増大するトラフィックへの対応 NTT docomo 中期ビジョン 2015
フィックの負荷を分散する「Self-
Optimization(自動最適化)」、大
規模なトラブルに対応する「Self-
Healing(自動修復)」などの機能
があります。
測定した情報の分析や最適化
は、基地局によって分散的に実施
する場合と、ネットワーク全体を
統括するシステムで集中して実施
する場合があり、前者は単純で短
期的な対応に優れ、後者は中長期
的な対応に適当とされるが、双方
の特徴を融合したハイブリッドの
方式も取り入れられています。
一方、スマートフォンの急速な
普及により増大するトラフィック
への対応が急務となっています。
図16 Xiパケット定額サービス例
ドコモでは 2011 年度から 2015 年
度にかけてのトラフィック予測を
約 12 倍と予想しています(図 15 参
照)
。このため、無線アクセス容
量 対 策 と し て、LTE へ の マ イ グ
レーション促進、新周波数の活用、
小ゾーン化・セクタ細分化による
ネットワーク容量の拡大、ヘビー
ユーザに対する通信速度制御の導
入によるトラフィックコントロー
ル、公衆無線 LAN、宅内 WiFi の
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special issue
図17 LTE 2011年3月期第1四半期 docomo決算資料より
LTE の特徴としては、3G の HSPA に比較して約 10 倍
図18 LTE-Advanced、LTE、W-CDMAの比較
の高速、約 3 倍の大容量、約 1/4 の低遅延が挙げられます(図
17)。特に加入者容量の 3 倍への拡大は利用者にとっても
事業者にとっても大きな導入のメリットとなり、低遅延は
ネットワーク側での AR や自動翻訳のようなクラウドサー
ビスの実現の提供を可能とします。
なお、参考までに、LTE-Advanced、LTE、W-CDMA
の比較を図 18 にまとめておきます。
最後に、4G について説明します。4G とは光ファイバ並
みの高速通信を実現する第 4 世代の移動通信システムのこ
とで、最大 1Gbps の超高速通信が可能です(図 19)
。4G で
はキャリアアグリゲーションという技術が使われていて、
通信波 A と B を束ねて高速通信を実現しています。
では専用の装置を用意することの多かったルータやゲート
4G で導入される可能性が高い新技術については図 20 に
ウェイ、ファイアウォール、ロードバランサなどのネット
まとめておきます。
ワーク機器の機能を、汎用の OS 上で動作するアプリケー
また、NFV(Network Function Virtualization)とは
ションソフトとして仮想化されたサーバ上で実行すること
ネットワーク機能仮想化のことで、ネットワークを制御す
で、専用機器を代替します。その結果、異なる種類の機器
る通信機器の機能をソフトウェアとして実装し、汎用サー
をすべて汎用のサーバコンピュータで置き換えることがで
バの仮想化された OS 上で実行されます。つまり、サーバ
き、特定の機能に対する突発的な需要の増減や構成の変更
の仮想化をネットワーク機器に応用したもので、これま
に柔軟に対応できるようになります。
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special issue
special issue 1
図19 4Gの概要
そのほか、VoLTE と VoPI アプリとの比
図20 LTE、LTE-A 新技術の導入可能性
較については図 21 に示しておきます。
以上、ここまで説明したように、移動通信
の世界も新しい技術の登場で、通信事業者は
システムの更改を進めていかなければなりま
せんが、2001 年に 2G から 3G に移行したと
きに、新しい 3G 端末は 2G の機能を持って
いませんでした。このため 3G への本格的移
行は 3G のエリア拡大を待たなければ実現し
ませんでした。2010 年の 3G から LTE への
移行において、新端末は LTE と 3G のデュ
アル機能をもっているため、LTE エリア外
では 3G で通信をすることができます。この
ため、大都市から順次エリアの拡大が可能と
なっています。4G(LTE-Advenced)にお
図21 VoLTEとVoPIアプリとの比較
いてもこの手法が導入されます。
日本データ通信 No.202
19
special issue
interview
インタビュー
お客様に信頼される
「エキスパート工事担任者」の育成をめざして
……工事担任者スキルアップガイドライン委員会発足10 年……
■ 理想とする工事担任者像は顧客のニーズにワンストップ対応できること
■ 資格取得後に最新の知識・技術を継続して体系的に修得出来る取り組み
「エキスパート工事担任者」の育成をめざした「工事担任者スキルアップガイドライン委員会」は今年度で発足 10
年目を迎え、「情報通信エンジニア資格」の累計申請者数は 10,000 人を超えるまでに成長しました。また、年間の
更新研修修了者は約 3,000 人で累計の修了者数も 20,000 人を突破しています。そこで、今回はガイドライン委
員会の初代委員長である淀川英司氏と、現在の委員長である小宮一三氏に、委員会発足時の趣旨やこの 10 年の取
組に対する評価と今後への課題などについてお話をお聞きしました。
●工学院大学 名誉教授
工事担任者スキルアップガイドライン委員会初代委員長
(2005年度から2007年度)
●神奈川工科大学 学長
工事担任者スキルアップガイドライン委員会委員長
(2008年度から)
淀川 英司 氏
小宮 一三 氏
《プロフィール》
《プロフィール》
昭和45年4月
日本電信電話公社(電気通信研究所)入社
昭和61年4月
株式会社ATR視聴覚機構研究所 代表取締役社長
平成 5 年4月
日本電信電話株式会社NTT基礎研究所 主席研究員
平成 5 年7月
工学院大学工学部電子工学科 教授
平成14年4月
学校法人工学院大学 常務理事
平成18年4月
工学院大学情報学部情報デザイン学科 教授
昭和46年
早稲田大学大学院修士課程修了(電気工学専攻)
平成 5 年
神奈川工科大学工学部電気工学科(現 電気電子情報
平成17年
同大学副学長・情報学部長及び情報ネットワーク
平成21年
同大学学長、現在に至る
日本電信電話公社(電気通信研究所)入社
工学科)教授
工学科教授
【司 会】●日本データ通信協会 工事担任者スキルアップガイドライン委員会事務局長 安部 清治
日本データ通信 No.202
20
interview
interview
1
つに分けて、お客様からの要望にワンストップで対応
工事担任者スキルアップガイドライン
委員会発足の趣旨
できることを目標としました。
安部 初年度版(2005 年度)スキルアップガイドラインは
どのようなものになったのでしょうか。また、当時は
安部 最初に淀川先生からスキルアップガイドライン発足
の経緯や趣旨、初年度(2005 年度)に議論された内容
どのような課題があったのでしょうか。
淀川 ガイドラインは、本文と 2 つの分野別要件整理表
についてお話していただければと思います。
淀川 1990 年代終わりから 2000 年代の始めにかけて、情
(ビジネスとホーム)から構成されており、タイムリー
報通信の分野は非常に目覚ましい進歩を遂げたわけで
な情報提供ができるように、毎年委員会で議論して改
すが、特にインターネット技術の発展ぶりはご承知の
訂を実施していくことになりました。私は初年度から
通りです。また、メタル回線から光回線へ大きくシフ
3 年間委員長を務めさせて頂きましたが、最初の頃の
トして FTTH が普及し、無線 LAN も整備され現在に
課題を振り返ってみると、工事担任者の資格ごとに努
至っています。こうした大きな変化に伴い、工事担任
力目標を明確にすべきだという意見が強く出されまし
者の資格制度を見直そうという機運が高まり、2005
た。また、努力を重ねている工事担任者にどのような
年 8 月、工事担任者資格制度の大幅改正が行われまし
形で報いるか、努力義務に対して何かメリット(イン
た。その中で、「工事担任者は知識及び技術の向上を
センティブ)を与える必要があるのではないかという
図るよう努めなければならない」という努力義務規定
議論が多くありました。
が新たに制定されました。努力義務規定の制定を受け
て、工事担任者は継続的にどのような知識及び技術を
2
修得すべきかを提示するための具体的指針としてのガ
イドラインの作成が急務という意見が多数出されたこ
情報通信エンジニア資格創設の
経緯と概要
とから、有識者、関係団体、関係各企業等から選出さ
安部 続いて、情報通信エンジニア資格創設の経緯と概要
れた 11 名のメンバーからなる「工事担任者スキルアッ
についても淀川先生からお話していただければと思い
プガイドライン委員会」が 2005 年 8 月に発足し、同時
ます。
に 11 名からなるワーキンググループもスタートした
淀川 委員会では、工事担任者が修得すべき知識及び技術
をガイドライン(2005 年度版)と要件整理表として策
のです。
淀川 ワーキンググループでは、スキルアップに役立つ項
定したわけですが、この次のステップとしてガイドラ
目をすべて洗い出し、工事担任者が修得すべき分野を
インで規定した要件を修得した工事担任者に「情報通
5つ
(情報通信、コンピュータ、電力・電気、情報セキュ
信エンジニア」という称号を与えて委員会として認定
リティ、設計・施工管理)に整理して、分野別要件整
することにしました。要件の修得のため、ガイドライ
理表として公表しました。
ンに準拠した「情報通信エンジニア更新研修テキスト」
を 2007 年版から毎年作成しています。因みに、
「情報
安部 求められる工事担任者像についても議論されまし
通信エンジニア」という称号に決まるまでいろいろな
たね。
称号が提案され、最終決定するまで予想以上の時間が
淀川 そうです。委員会では、求められる工事担任者像に
ついて明確にしなければならないという観点から、工
かかりました。
事担任者を主に大規模工事に従事するビジネスユース
情報通信エンジニアという資格は工事担任者が最新
と、主に一般家庭の工事に従事するホームユースの 2
の IP 及びブロードバンドネットワークの技術を身に
日本データ通信 No.202
21
interview
つけていることの証明になります。工事担任者は国家
レポートを作成して提出して頂きます。
資格で永続的なものですが、情報通信エンジニア資格
安部 当時はどのような課題があったのでしょうか。
には有効期間を設けました。資格認定の維持運営に関
淀川 努力義務の認定方法をどのようにするかという議論
しては日本データ通信協会が行うことになりました。
がありました。また、資格の名称に関する議論もあり
安部 情報通信エンジニアの資格の種類と条件についてお
ました。更に関連資格に関する議論もありました。資
話していただけますか。
格取得のインセンティブに関する議論では資格を取り
淀川 情報通信エンジニアは、新工事担任者資格(DD 種
たくなる仕組みの必要性が指摘されました。
/AI・DD 総合種)を取得後に、申請を行うことで、書
類審査により DD 第 1 種または AI・DD 総合種保有者
3
は〈ビジネス〉
、DD 第 2 種または DD 第 3 種保有者は
〈ホーム〉の「情報通信エンジニア資格者証」が交付され
工事担任者スキルアップガイドライン
改訂の取組
安部 小宮先生には委員会発足 4 年目の 2008 年度から委
ます。
なお、今回の認定資格「情報通信エンジニア」は毎年
員長に就任して頂きましたが、就任された時のご感想
の更新を義務付け、継続的な知識・技術の修得を促す
は如何でしたか。
ことで資格取得者の質を維持することとしました。更
小宮 この委員会は社会的に意義があり委員長への就任は
新時には「更新研修」の受講を必須としています。工事
大変光栄なことです。これまで前委員長、委員、事務
担任者資格者証が交付されてから 10 ヶ月以上経過し
局の皆様が築き上げてきた基礎を発展させていかなけ
た場合、認定研修を受講することにより、情報通信エ
ればならないという責任を感じました。
安部 スキルアップガイドラインや分野別要件整理表の改
ンジニア資格を取得できます。
工事担任者資格を交付された直後に申請する場合、
訂と情報通信エンジニアの普及に取組まれています
書類審査を経て情報通信エンジニア資格を取得できま
が、最新の知識技術を追加していくと要件項目が多く
す。認定研修は更新研修と同じで、ご自宅でできます。
なり、受講者の負担が増加するという課題があります。
事務局よりテキストをお渡ししますので、これを元に
そこで、要件項目改訂の基本的考え方についてお話し
日本データ通信 No.202
22
interview
interview
て頂けますか。
小宮 改訂の基本的考え方は、最新技術動向に併せて、追
加修正等の見直しを行うこととしていますが、おっ
しゃるように、要件項目はどんどん増えてしまいます
ので、使われなくなった技術については基本的には削
除して記載しないことにしています。しかし使われな
くなった技術であっても現在の技術につながる技術は
記載を残すようにしています。また、研究レベルで実
用化されていない技術については記載しないといった
考え方で改訂を行っています。
4
更新研修テキスト作成に対する取組
5
更新研修テキストへの受講生の評価
安部 更新研修テキストは、最新の知識・技術を体系的に
修得するとことを目標に毎年作成されていますが、更
安部 更新研修テキストについては、受講生からのアン
新研修テキスト項目に関する基本的な考え方について
ケート結果も参考とされていますが、受講生からの評
お話して頂けますか。
価についてお話して頂けますか。
小宮 研修テキスト項目に関する基本的な考え方ですが、
小宮 更新研修テキストについては良い評価を得ていま
ガイドラインに新たに追加した項目は、テキストの新
す。
「新しい情報が詳しく解説されていてじっくり読
規項目として入れています。基幹となる重要な項目
める。
」「テキストはその時のトレンドにあった内容に
は、継続してテキストの項目に入れます。なお、前年
なっていると思う。
」「テキストは重要な技術がまとめ
度に入れなかった項目は優先的に入れることにしてい
られていて、とても参考になった。
」「電気通信主任技
ます。情報セキュリティについては、基礎から幅広
術者の学習テキストとしても役立った。」などの意見が
く、とくに最新の被害状況等についても取り上げてい
寄せられています。合わせて「専門用語の説明付一覧
ます。
があると便利」「PBX・ビジネスホン・SIP に関する
受講者が修得すべき最新の知識・技術の例を示し
記載が不足」
「セキュリティ技術の記述を増やしてほし
ますと、「2009 更新研修テキスト」では情報セキュリ
い」などの要望も受け取っています。
ティの被害状況等変化の激しい技術情報を中心に見直
し、
「2010 更新研修テキスト」ではネットワーク技術
6
の最新動向として IPv6、NGN を掲載しました。また、
情報通信エンジニア資格普及の取組
160 ページ程度の読みやすいページ数に抑える努力も
しています。情報通信エンジニアが知っておくべき項
安部 スキルアップのために研修を受講する情報通信エン
目が広がっていくのに対応して CATV 業界や携帯電
ジニアが増えることが重要だと思いますが、情報通信
話会社からも執筆委員として参加して頂くようになり
エンジニア資格を普及させるための取組についてお話
ました。
していただけますか。
日本データ通信 No.202
23
interview
可の 3 段階で評価していましたが本人に対する通知を
行っていませんでした。モチベーション向上のために
2010 年度から優秀評価の人に「優秀」と通知すること
としました。
7
今までの取組の評価と今後の課題
安部 こうした取組により、「情報通信エンジニアゴール
ド」となる 5 年以上の連続修了者が 3 分の 2 以上になっ
ています。最後に、今までの取組の評価と今後の課題
について淀川先生と小宮先生にお話していただければ
と思います。
淀川 工事担任者の累積取得者数が 60 万人を超えている
現在、もっと情報通信エンジニアを増やして頂きたい
小宮 いくつかの取組を紹介しますと、情報通信設備協会
と感じています。そのために、例えば女性も工事担任
の LAN 認定制度(2009 年 7 月創設)では、認定要件の
者の資格を取りたくなるアプローチも必要ではないか
一つとして情報通信エンジニア(ビジネス)資格を持つ
と考えています。
小宮 10 年経過してようやく定着してきたと思っていま
社員が在籍していることとされています。また、優良
団体表彰(情報通信エンジニア資格を多数保有し、資
す。我国の情報通信技術が社会に普及していくために、
格取得に対し積極的に支援されている企業や学校)を
現場にしっかりとした知識と技術をもった情報通信エ
2009 年度から実施しています。2011 年度から 5 年連
ンジニアが存在することは、非常に重要です。その点
続の更新研修修了者に対して表彰を実施することとし
から資格を取得された皆さんは自覚を持って研修を継
ましたが、2012 年度からは表彰するだけでなく、上
続しスキルアップに取り組んで欲しいと思います。情
位資格を創設し、情報通信エンジニアゴールドという
報通信エンジニアの社会的認知度をさらに高め、益々
称号を与えてその努力を評価することとしました。
増やしていく努力も必要です。この点で最近の傾向と
さらに、工事担任者資格者証の交付後すぐに情報通
して、高校生の工事担任者の受験生が増えています。
信エンジニアの申請をしなかったがやはりスキルアッ
こうした若い人たちのインセンティブを考えていく必
プのため情報通信エンジニアに認定されたいという人
要もあると思います。
のために認定研修を用意しまし
た。2 年分の更新研修を修了すれ
「ワンストップで対応できる」とは?
ば情報通信エンジニア資格者証
が交付されます。
更新研修レポートについての
取組ですが、レポート内容と模
工事に際してお客様のご要望を理解し、必要により問題点の指摘、改善
提案などができる知識・技術を保有し、かつ、適切な対応、処置が自己完
結的にできること。
範 解 答 と を 比 較 し て 優 秀・ 良・
日本データ通信 No.202
24
interview
interview
安部 この取組みは資格取得後の工
情報通信エンジニアと工事担任者の修得範囲の違いは?
事担任者をフォローする唯一の
取 組 で す。 工 事 担 任 者 資 格 取
得後、時間が経過した場合でも
認定研修を修了すればいつで
も情報通信エンジニア資格が取
得できます。今後も更新研修テ
キストについて一層の充実を図
り、 エ キ ス パ ー ト 工 事 担 任 者
の育成を行い、工事担任者のス
テータス向上に貢献したいと思
い ま す。 本 日 は ス キ ル ア ッ プ
ガイドライン委員会に関する
お話、誠にありがとうございま
した。
情報通信エンジニア 2015 年更新研修テキスト
2015 年 更新研修テキストの目次
第Ⅰ部 ネットワークの技術課題に対する総務省の取組み
1章 電気通信事業法改正
第Ⅱ部
情報通信分野
<ネットワークの技術>
1章 インターネットの基本
2章 伝送技術の基本 ※
3章 モバイルネットワークの基本
4章 ネットワーク技術の最新動向
5章 CATV 通信技術
<端末設備の技術>
6章 無線 LAN の技術
7章 通信機器の雷害対策
<接続工事の技術>
8章 ホームネットワーク接続工事の技術
第Ⅲ部 情報セキュリティ分野
1章 情報セキュリティの基本と対策
第Ⅳ部 設計・施工管理分野
1 章 工事管理
〈※光アクセスネットワーク PON、GE-PON の概要等について解説〉
日本データ通信 No.202
25
interview
challenge
近畿地区における
「工事担任者教育講演会及び指導研修会」に参加して
日本データ通信協会 事業推進部 担当部長 階 有良
「工事担任者教育講演会及び指導研修会」が行われた、
大阪府立藤井寺工科高等学校
熱心に講演を聴講される先生方
平成 26 年 12 月 8 日大阪府立藤井寺工科高等学校に
野の教育に強い熱意で取り組まれている九州地区より、
おいて、
「工事担任者教育講演会及び指導研修会」
(主催:
長崎県立長崎工業高等学校情報技術科松尾一孝先生の
大阪府電気教育研究会 後援:近畿地区電気教育研究
「工事担任者 DD 第 3 種への取り組み」が、第二部は指
会)
が開催されました。
導研修会として、「電気通信工事担任者の会」の講師に
近畿地区より 26 校 51 名、中国地区より 3 校 3 名で合
よる工事担任者試験の傾向と対策がそれぞれ講演され
計 54 名の工業高等学校において、第一線で工事担任者
ました。講演終了後も、日頃生徒への工事担任者の受
試験指導を行う、電気科、電子科等の学科の先生方が
験指導に熱心に取り組まれている先生方による熱い情
集まりました。
報交換が時間いっぱいまで行われており、このような
第一部は工事担任者教育講演会として、情報通信分
場が今後も必要であること強く感じました。
工事担任者教育講演会「長崎県立長崎工業高等学校における
「工事担任者」DD3種への取り組み」に関して
長崎県立長崎工業高等学校
長崎県立長崎工業高等学校は 1937 年(昭和 12 年)に
が掲げられており、その中の資格取得の一環として情
開校した生徒数 952 名の歴史のある学校です。長崎工
報技術科では工事担任者受験指導が行われています。
業高等学校においては 3 つのキーワードとして
平 成 25 年 度 に お い て DD3 種 69 名、AI3 種 68 名、 さ
多様な進路
らに AI・DD 総合種に 2 名の合格者を輩出しており、
ものづくり
今回の講演においても近畿、中国地区の先生方がその
資格取得
指導方法に関して強く関心を示されました。
日本データ通信 No.202
26
challenge
各種資格試験の受験指導の内容を資格間において関
連性を持たせることで、効率の良い学習が可能である
ことと、卒業後に就職や進学したあともこれらの取得
した資格を十分に生かして行けるのではないかと考え
ます。
また、具体的な教育指導方法は以下のように行われ
ています。
第 1 学年の DD3 種の受験に際しては 9 月から 11 月
の朝の補習 40 分合計 65 時間を
情報技術科においては、以下のような計画で各資格
基礎 20 時間
取得が行われています。
▶ 1 年次
技術 20 時間
4 月∼ 7 月
第 2 種電気工事
法規 5 時間
6月
計算技術検定 3 級
練習問題 20 時間
9 月∼ 11 月
工事担任者 DD3 種
12 月∼ 2 月
危険物取扱者乙種 4 類
の配分で学習させています。
1月
情報技術検定 2 級
到達目標は過去に出題された問題を 3 年∼ 5 年分を
85 点以上とれるまで指導しますが、生徒のやる気を引
▶ 2 年次
4 月∼ 5 月
工事担任者 AI 第 3 種
10 月
工業英語能力検定、
き出すため、1 単元が修了するごとや試験前 3 週間の
練習問題の演習期間においては毎回小テストを行い点
数が一定以下の場合は居残りをさせて繰り返し学習を
基本情報処理技術者
させます。居残りの場合よく課題となるのはクラブ活
また、この他に難関である AI・DD 総合種、応用情
動との兼ね合いがよく指摘されていますが、長崎工業
報処理技術者、IT パスポートなども下位資格を取得し
高等学校では「朝は補習、放課後はクラブ」というルー
た生徒に対しては、受験指導をおこなっています。
ルを設け、居残りは土曜に補習を行うこととなってい
ここで特筆する点としては、入学当初より、保護者、
ます。
生徒を含めこれら各種の試験に関して全員受験である
これらの指導によって生徒のやる気が喚起され、平
ことを徹底し、1 人の未受験者を出さない方針で進め
成 25 年度は全国工業高等学校校長会のジュニアマイス
られています。これは 1 人でも受験しない生徒がいた
ター制度において、ゴールド 167 名、シルバー 101 名
場合、全員のモチベーションが下がるためこのような
合計 268 名(延べ人数)が顕彰されています。
方針で行われています。
今回の工事担任者教育講演会に参加された近畿地区、
この各種資格に中で工事担任者に関しての取組と資
中国地区の先生方も、長崎工業高等学校の生徒指導方
格取得の意義としては、以下があげられます。
法にあるように他の資格(電気工事士や基本情報処理)
・電気工事士資格とセットで取得すること有利(資格取
との相乗効果や情報処理関連の基礎知識としての「工事
得や就職)
担任者」資格の必要性に関して改めて興味を示され、今
・工事担任者資格試験の勉強内容が基本情報処理試験
後の生徒指導に生かせて行きたいと考えられています。
に役立つ
今後ともこのような教育講演会を強く希望されている
・情報関連科目の勉強にも役立つ(情報処理関連におけ
ようでした。
るネットワークなど)
日本データ通信 No.202
27
challenge
column
第
16 回
個人情報の保護に関する法律についての
経済産業分野を対象とする
ガイドライン改正の背景について
電気通信個人情報保護推進センター・P マーク審査部 課長代理 田中 裕
経済産業省では、平成 26 年 12 月 12 日に「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガ
イドライン」の改正を行いました。今回コラムでは、経済産業省のガイドラインの改正の背景についてご紹介します。
個人情報保護法施行後は状況の変化を踏まえ、毎年見
経済産業分野を対象とするガイドラインの
改定の背景
直すよう努めることが定められており、それまで過去
我が国の個人情報保護法制度の体系は、平成 15 年に
三回の改正が実施されていました。今回、来るべきパー
成立した個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情
ソナルデータ ii の利活用時代を踏まえた「消費者向けオ
報保護法」という。)を基本法とし、平成 16 年に閣議決
ンラインサービスにおける通知と同意・選択に関する
定された「個人情報の保護に関する基本方針」を踏まえ、
ガイドライン iii」
、その他、ポイントサービスを提供す
各事業分野で主務大臣制によるガイドラインを定めて
る大手事業者の共同利用の議論等から、同省は平成 26
います。基本法である個人情報保護法は、個人情報を
年 5 月に 4 回目の改正のため、広く一般に意見を求め
取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めることによ
る「パブリックコメント」を募集しました。当初、
「
(1)
り、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益
新たな脅威に備えたセキュリティ対策手法の例示を追
を保護することを目的としたものです。しかし、個人
加」、「(2)
「共同利用」制度の趣旨の明確化等」
、
「
(3)そ
情報保護法はあくまで基本法のため、法解釈をそのま
の他、消費者に対する分かりやすい説明のための参考
ま専門性の高い各事業分野に当てはめることはできま
事項追記」の三点について、同ガイドラインに盛り込む
せん。そこで、各事業分野を所管する分野で事業者等
形での改正を行う予定でした。しかし、その改正作業
が行う個人情報の適正な取り扱いの確保に関する活動
最中に別の大規模な個人情報漏えい事案が発生します。
を支援する具体的な指針を担当大臣が定めたものがい
わゆる「ガイドライン」と言われるものです。
経済産業分野を対象とするガイドラインである『個人
大手通信教育事業者における
顧客情報外部漏えい事案
情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対
その個人情報漏えい事案は大手通信教育事業者にお
象とするガイドライン(以下、
「経済産業省ガイドライ
ける顧客情報外部漏えい事案で平成 26 年 7 月に発覚し
i
ン」)』は、厚生労働省大臣、経済産業大臣が共同で平
たものです。延べ約 2 億件以上の顧客等の個人情報が
成 16 年に策定し、平成 21 年の改正を最後にこれまで
漏えいしました iv。この事案に対し経済産業大臣は、当
特に変更はありませんでした。同ガイドラインでは、
該事業者に対して、個人情報の安全管理措置義務違反
i
ii
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/1212guideline.pdf
パーソナルデータとは、「個人情報保護法に規定する「個人情報」に限らず、位置情報や購買履歴など、広く個人の行動・状態等に関する情報」
(経済産業
省 10/17 ニュースリリース)とされている。
iii このガイドラインは「消費者の同意を得る様々な場面(個人識別可能情報の取得時、サービス利用開始時、サービス利用中等)において、組織が、消
費者に提示すべき情報を消費者に誤解を与えることなく分かり易く提示するために求められる事項についての指針」
(P.1)を示すもの。http://www.
meti.go.jp/press/2014/10/20141017002/20141017002a.pdf
iv http://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/m/2014/09/25/docs/20140925 リリース .pdf
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28
column
( 法第 20 条 ) 及び委託先の管理監督義務違反(法第 22
告書 viii によれば、不正競争防止法違反の容疑で逮捕さ
条)であると認定し、個人情報保護法第 34 条 1 項規定
れた元従業員は漏えい事業者のグループ会社(子会社)
v
による再発防止のための勧告を行いました 。そのため、
の業務委託先であったことから「(1)委託先の監督の拡
今回の大規模な個人情報漏えい事案は、ガイドライン
充」では、委託先の監督について、契約に盛り込むこと
の見直し作業にも影響を与えることになります。同省
が望ましい事項の追加と、再委託等を実施する場合の
は、個人情報保護ガイドライン検討委員会での有識者
委託先の監督のために望まれる事項を追記する等の修
の意見を踏まえ、個人情報を消費者から預かる事業者
正が行われました。また、元従業員は個人所有のスマー
に対して、
「安全管理措置」と、
「委託先・再委託先の監督」
トデバイスを使って個人情報を取得したとされていま
についてガイドラインを強化することにしました。ま
す。そのため、「(2)安全管理の強化」では「組織的安全
た、事業者が消費者以外の第三者から個人情報を取得
管理」、「物理的安全管理」、「技術的安全管理」等の各措
する場合に対しても個人情報保護法の遵守状況を確認
置 ix が旧経済産業省ガイドラインよりも強化されてい
するような対応の強化も盛り込んだ改定案を作成しま
ます。加えて、元従業員は不正に領得した個人情報の
した。そして、予定では 1 度だったパブリックコメン
全部又は一部を複数のいわゆる「名簿業者」に売却した
トに追加し、2 度目のガイドライン改正のためのパブ
とされていますので「(3)適正取得のための措置の追加」
vi
リックコメントを実施しました 。同省は取り纏めの上、
では、これらを踏まえ、事業者が第三者から個人情報
厚生労働省と共同で、結果の公示と合わせ改正を実施
を取得する場合に、適法に入手されていること等を確
し、同日平成 26 年版経済産業省ガイドラインを 12 月
認することや、適法に入手されていることが確認でき
12 日に告示しました。
ない場合は取引を自粛することを含め、慎重に対応す
ることが望ましいとされました。
他にも、
「(4)新たな脅威に備えたセキュリティ対策
旧経済産業省ガイドラインと違い
手法の例示を追加」、(5)
「共同利用制度の趣旨の明確化
vii
同省発表の資料 によると今回の経済産業省ガイド
等」、(6)
「消費者に対する分かりやすい説明のための参
ラインの主な改定点は次の通りです。
考事項追記」については当該事案発生以前の第 1 回のパ
ブリックコメントで改正検討されていたものが反映さ
表 経済産業省ガイドラインの主な改正点
れています。
(1)委託先の監督の拡充
(2)安全管理の強化
(3)適正取得のための措置の追加
まとめ
(4)新たな脅威に備えたセキュリティ対策手法の
ガイドラインとはあくまで、「法解釈」のための基準
例示を追加
(5)共同利用制度の趣旨の明確化等
です。一旦個人情報が漏えいした場合、その事業者は
(6)消費者に対する分かりやすい説明のための参
社会的信用の毀損や損害賠償等の様々なリスクを背負
うことになります。基本法、ガイドライン等は事業者
考事項追記
が守るべき最低限の基準であることを踏まえ、各事業
出典: http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/
downloadfiles/gaiyo1212.pdf
者がそれぞれの事業分野のガイドラインの順守を徹底
することが望まれます。
当該事案発生事業者公表の事故調査委員会による報
v http://www.meti.go.jp/press/2014/09/20140926002/20140926002.html
vi http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595114087&Mode=0
vii http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/downloadfiles/gaiyo1212.pdf
viii http://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/m/2014/09/25/docs/20140925 リリース .pdf
ix 「人的安全管理」については「従業者」の範囲を「個人情報取扱事業者の組織内にあって直接間接に事業者の指揮監督を受けて事業者の業務に従事して
いる者をいい、雇用関係にある従業員(正社員、契約社員、嘱託社員、パート社員、アルバイト社員等)のみならず、取締役、執行役、理事、監査役、
監事、派遣社員等も含まれる」とした。
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column
report
Report
1
迷惑メール相談センター
●「撃退!迷惑メール」
「撃退!チェーンメール」を配布します
迷惑メール相談センターでは、ホームページで迷惑メール・チェーンメール対策資料とし「撃退!迷惑メール(迷惑メール
対策 BOOK)
」
、
「撃退!チェーンメール
(チェーンメール対策 BOOK)」の無償配布を受付けています。
「撃退!迷惑メール」は、迷惑メールを受け取らないための工夫や受け取ってしまった場合の適切な対処法などをわかりや
すく説明するとともに、最近急速に普及しているスマートフォンのセキュリティやインターネットを利用する際の注意点な
ども紹介しています。
「撃退!チェーンメール」は、チェーンメールの実態などを詳細に説明するとともに転送してはいけない理由をわかりやす
く解説しています。
どちらも配布は無償です。お申し込みは、次の迷惑メール相談センターホームページでお願いいたします。
http://www.dekyo.or.jp/soudan/
「撃退!迷惑メール(迷惑メール対策 BOOK)」
「撃退!チェーンメール(チェーンメール対策 BOOK)」
(イメージ)
Report
2
(イメージ)
テレコム・アイザック部
●平成 26 年度サイバー攻撃対応演習開催
今年度のサイバー攻撃対応演習を 1 月 23 日に東京で開催いたしました。
テレコム・アイザック推進会議の会員企業および重要インフラ企業 14 組織 173 名が参加し、サイバー攻撃発生時の事業
者間の連携、対応の課題を確認しました。
Report
3
タイムビジネス部
●タイムビジネス協議会普及促進セミナー(福岡 11/ 21)の開催
名古屋での開催に引続き、タイムスタンプの知的財産保護への活用を中心としたセミナーを開催しました。
〈セミナーのプログラム〉
講演 「知財保護におけるタイムスタンプの動向」
タイムビジネス協議会普及促進 WG 主査 市川 桂介 氏
講演 「これからの知財戦略とタイムスタンプ」
特許業務法人 第一国際特許事務所 所長・弁理士 関 和郎 氏(前 特許庁 特許審査第四部長)
講演 「タイムスタンプを活用した知財デ−タ管理の取組み」
NEC プラットフォームズ株式会社 知財渉外部 知財グループ シニアマネージャー 宮田 光太郎 氏
講演 「効率的な、証拠保全に向けて ∼タイムスタンプの導入∼」
日清オイリオグループ株式会社 知的財産管理室 特許グループ リーダー 生稲 淳一 氏
講演 「タイムスタンプの証拠力 ∼民事訴訟における電子文書の扱い∼」
五番町法律事務所 弁護士 宮内 宏 氏
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report
●タイムビジネス信頼・安心認定制度の運用規約及び認定基準(審査基準)の一部改正
手数料の消費税を外税とする運用規約の一部改正及び電子政府推奨暗号リストの改正に対応した認定基準の一部改正を、
2014 年 12 月 18 日及び 2015 年 1 月 2 日にそれぞれ施行しました。
Report
Pマーク審査部
4
●プライバシー(P)マーク認定事業者が 1,066 社になりました(平成 27 年 1 月 19 日現在)
認定事業者一覧は、P マーク審査部のホームページよりご覧ください。
http://www.dekyo.or.jp/pmark/ninteijigyousha/a.html
Report
電気通信国家試験センター
5
●電気通信主任技術者試験(26 年度第2回)の実施結果
平成 26 年度第2回電気通信主任技術者試験
(1 月 25 日実施)
の結果が 2 月 16 日に発表されました。
今回試験の受験者数は、3,906 名で、そのうち 776 名が合格(合格率 19.9%)しました。
合格率については、前回試験(平成 26 年度第 1 回)
に対し、4.7 ポイント上回っています。
なお、次回試験(平成 27 年度第 1 回・7 月実施予定)の申請受付は、4 月 1 日からですが、受験申請書用紙類は 3 月から頒
布します。
Report
事業推進部
6
●電気通信主任技術者定期講習の登録講習機関として総務省に登録されました
平成 27 年 4 月より実施される、電気通信主任技術者定期講習の登録講習機関として、平成 27 年 1 月 16 日に登録講習機関
第 001 号として一般財団法人日本データ通信協会が登録されました。また、担当・連絡先を以下と設定しました。
電気通信主任技術者講習担当
電話:
03-5907-7575
メールアドレス: [email protected]
ホームページ:
http://www.dekyo.or.jp/jinzai/
●第 35 回 ICT セミナー開催
「総務省における情報通信政策の最新動向」
をテーマとした第 35 回 I CT セミナーを開催
日時:平成 27 年 3 月 6 日(金)
午後 1 時 15 分∼午後 4 時 35 分
会場:ベルサール神保町
講演テーマと講師
1.「平成 26 年の電気通信事業法の改正について ∼電気通信主任技術者に関する新たな制度等∼」
総務省総合通信基盤局 電気通信事業部 電気通信技術システム課
課長 塩崎 充博 氏
2.「電気通信サービスに関する消費者行政の最近の動向 ∼個人情報保護関係制度の見直しを中心に∼」
総務省総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政課
課長 吉田 正彦 氏
3.「総務省における情報セキュリティ政策の最新動向」
総務省情報流通行政局 情報流通振興課 情報セキュリティ対策室
室長 赤阪 晋介 氏
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report
編集後記
スマホやタブレットが私たちの日常生活で様々な目的を果たす重要な役割を担って来てい
ます。特に、通信販売、施設予約、TV・ラジオの代替、音楽や映画などのメディアプレーヤー等、
に利用され、家庭内では、情報ツールとして電力モニター、ドアホン端末、ゲーム機、照明
器具や空調設備の操作、玄関ドアの開閉までやってのける多機能な情報ツールになってい
ます。
しかしながら、どうしても納得の出来ない点があります。それは、多くの場面で「ID」や「パ
スワード」が必要なことです。セキュリティを確保して安心して使うことが重要ではあります
が、もっと人に優しいユーザーインターフェイスで簡単に、そして安心して使うことは出来
ないのでしょうか。
心の中で「人と機械をつなぐ優しい技術開発」に期待しているのが、昭和アナログ世代の編
集員だけでは無いことを祈るばかりです。
さて、本 3 月号では、電気通信事業法の改正と電気通信主任技術者講習制度について解説
しています。また、「LTE、LTE − A」等の超高速・大容量の無線通信技術の動向を取り上げ
ています。次号 5 月号では、「総務省における情報通信政策の最新動向」を特集する予定です。
(吉)
日本データ通信【通巻 202 号】
[禁無断転載]
発行所:一般財団法人 日本データ通信協会
発行人:大島 正司
平成 27 年 3 月発行
〒 170-8585 東京都豊島区巣鴨 2-11-1 巣鴨室町ビル 6F・7F
☎ 03-5907-5139
© 2015 Japan Data Communications Association
制作協力:株式会社スペック/EDIX/QUARTER
印刷製本:三美印刷株式会社
一般財団法人 日本 データ通 信 協 会
http://www.dekyo.or.jp/