グラウンドカバーで庭をより美しく ぐっと明るく、完成度高く

見ための美しさだけでなく、
乾燥防止や雑草対策にも有効
ガーデニングでよく耳にする﹁グラウ
ンドカバープランツ﹂とは、地面を覆う
植物の総称です。草丈の低い植物を主と
して、つる性植物や地面を覆うように広
がる匍匐性の植物などが含まれます。殺
風景なむき出しになっている地面を植物
で覆うことで、ナチュラルで美しい景色
になるうえ、土の乾燥や日差しの照り返
しをやわらげたり、雨による泥はねの防
止や雑草対策も期待ができます。
住宅まわりの庭は、アプローチや花壇
のコーナーなど、小さなすき間がたくさ
んありますが、こうしたスペースもグラ
vol.18
●スミレ科 ●花期:10∼5月
●草丈:10∼20㎝
黒みがかった葉に淡い紫の花がシック。花は秋か
ら翌年の初夏にかけて繰り返し開花する。草丈は
あまり伸びずに横に広がる。
●サクラソウ科 ●花期:5∼6月
●草丈:5∼10㎝
暑さ寒さに強く、丈夫でよく広がる。落ち着いた
葉色はコーナーの引き締め役に最適。初夏に咲く
黄色の花とのコントラストが鮮やか。
ぐっと明るく、完成度高く
リシマキア「ミッ
グラウンドカバーで庭をより美しく
ドナイトムーン」
リカ
ビオラ ラブラド
たくさんの花が咲いても、その足元の地面が見えていると、土の色が目立って庭全体が暗く見えがちです。
ィーブルート」
ベロニカ「ミッフ
そこで今回は、地面を植物で美しく覆うグラウンドカバーの技をご紹介します。
大きな飛び石のステップが花壇との境界にもなっている。すき間にさまざまな這性の植物
を植え、花壇と一体化したナチュラルな景色に。横に広がるタイプをいくつか組みあわせ
る場合は、ほかの植物の生育の妨げにならないよう、伸びすぎたらこまめにピンチをする
ことが大切。飛び石の輪郭をしっかり見せることですっきりとする。
庭全体をよりナチュラルに印象づけ、ワンランク上の美しさをもたらすために、ぜひ試してみてください。
飛び石の隙間に植物を植え込むと
景色がぐっとナチュラルに
●ゴマノハグサ科
●花期:4∼5月 ●草丈:約10㎝
ふ
斑入りの細かな小葉が美しく、地面を覆
うように横に広がり、春にブルーの小花
を咲かせる。花後は切り戻し、直射日光
の当たらない場所に植えると夏越ししや
すい。
2014.12
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オオバジャノヒゲ
●ユリ科 ●観賞期:周年 ●草丈:10∼20㎝
黒くつやのある葉がとり
わけ目を引き、細長い葉
形がシャープな印象。暑
さ寒さに強く、丈夫で育
てやすい。地下茎で広が
る。
チューリップなどが最盛期の
春の花壇。秋に植えたシレネ
も株をしっかり茂らせ、ぷっ
くりとした愛らしい白花を咲
かせた。斑入り葉に白花がい
っそう明るく、花壇を華やか
に見せる。どんな花ともあわ
せやすく、全体のまとめ役に。
アプローチガーデン
東側の小径
小径は目線が下りやすいので、植
栽を効果的に見せることができる。
歩きながら目線が動くことを意識
して、草花も均一に植えずに少し
ランダムに、数種を繰り返し用い
ると、リズミカルな印象に。
北
西
に
こんな場所!
て
け
植え付
32
小径の際や飛び石などの隙間は、小
さな庭では大切な植栽スペース。特
に人の往来の多い玄関周りは目につ
きやすいので、さりげなくまわりの
景色にあわせて花や葉の美しい品種
を選ぶと一層華やかに。
南
東
2014.12
花壇を区切る石のステップの目
地にリシマキア「リッシー」や
アジュガ、境界に 「黒竜」 やヒ
ューケラを植栽。葉の色みをブ
ロンズやブラックのダークな色
あいに統一することで、葉の形
の違いが際立つ。落ち着いたリ
ーフは、花壇のチューリップや
ビオラなどの赤花をいっそう引
き立ててくれる。
ウンドカバープランツの特性を生かせば、
●ユキノシタ科
●
●
●観賞期:周年
●
●草丈:15∼40㎝
黒みがかったブロンズリ
黒
ー
ーフが美しく、葉色が楽
しめる。春∼初夏に咲く
花
花は小花だが存在感があ
る
る。
ーラ
シレネ ユニフロ
エガータ」
「ドレッツ バリ
●ナデシコ科
●花期:4∼6月
●草丈:10∼20㎝
葉の外側に入る斑が美
しく、花がない時期で
も楽しめる。横に広が
りながらこんもりまと
まる。乾燥ぎみを好む
ので、水のやりすぎに
注意する。春に咲く白
い花も愛らしい。
緑豊かなナチュラルなスペースへと生ま
れ変わります。
選ぶポイントとしては、ほかの草花が
育てにくい小さなスペースに植えること
も多いので、丈夫であまり手のかからな
い品種であることが大切です。コンパク
春の花壇を斑入り植物でカバーして
より華やかに
スパープル」
ヒューケラ「パレ
トにまとめたい場合は、オオバジャノヒ
ゲ 黒
「竜 や
」ヒューケラなど、こんもり
まとまるタイプを。ある程度の面積を覆
いたい場合は、ビンカやリシマキアなど、
横に広がるタイプがおすすめです。アジ
ュガやベロニカ﹁ジョージアブルー﹂な
ど、花も美しい種類も多いので、ほかの
東京農業大学地域環境科学部造園科学科
卒業後、愛知県豊田市にある「ガーデニ
ングミュージアム 花遊庭」の植栽・メ
ンテナンスを担当するほか、個人邸の植
栽デザインも担当。植物に対する豊富な
知識と抜群のセンスのよさからメディア
でも活躍。NHK「趣味の園芸」の講師
としても人気。著書に「一年中美しい 手間いらずの小さな庭づくり」「小さく
てもセンスのよい庭づくり」がある。
●「ガーデニングミュージアム 花遊庭」
http://www.kayutei.co.jp
植物と組みあわせ、彩りあるシーンを演
出してみましょう。
天野 麻里絵
ダ ー ク な カ ラ ー リ ー フ で 覆 う と、
花色がさらに引き立つ
「黒竜」
!
いい
花もかわ カバー
ド
グラウン ンツ
ラ
プ
き
向
ドロン
ラミウム ガリオブ
ジアブルー」
ベロニカ「ジョー
●シソ科 ●花期:5∼6月
●草丈:10∼30㎝
シルバーがかる葉で、春∼初夏にかけて黄色の
花を咲かせる。生育旺盛なので広く地面を覆い
たい場所に最適。茎を伸ばして横に広がるので、
伸びすぎたらその都度切り戻す。
●ゴマノハグサ科 ●花期:4∼5月
●草丈:10∼20㎝
細い茎に小葉をふんわりと広げ、春にブルーの
花を株一面にびっしり咲かせる。暑さ寒さにも
強く、冬の寒さに当たると葉がブロンズ色にな
り美しい。花後は切り戻す。
ロン)
源平小菊(エリゲ
ス
アジュガ レプタン
●シソ科 ●花期:4∼5月 ●草丈:10∼20㎝
黒みがかった葉は周年楽しめ、春に一斉に花穂を立ち
上げる姿は見事。花後にランナーを伸ばして新しい株
を殖やしていくので、広がり過ぎたものは切り取る。
●キク科 ●花期:5∼10月 ●草丈:20∼40㎝
白やピンクの小花を繰り返し咲かせる。生育旺盛でど
んどん広がるので、花が咲き終わったら、その都度切
り戻す。ナチュラルな雰囲気ですき間に植えると優し
い景色に。
グラウンドカバー✚春咲き球根で晩秋から春まで美しさを楽しむ
レア」
リシマキア ヌンムラリア「オー
晩秋
Idea
翌春
●サクラソ
●サクラソウ科 ●
●観賞期:3∼12月
●草丈:5∼10㎝
ライムイエローの葉色が
鮮やかで、密に茎葉を茂
らせるので一層美しく、
日陰を明るく見せる効果
がある。半日陰で、やや
湿り気のある土を好む。
ベロニカ「アズテックゴールド」
寒さに強く常緑性のグラウンドカバープラ
ンツは、冬枯れして寂しくなる庭を明るく
彩るのに欠かせません。さらに秋植え球根
●ゴマノハグサ科 を加えると、春の開花期はいっそう華やか
●観賞期:3∼12月
に。草丈の低いムスカリのような小球根は、
●草丈:10∼15㎝
ライムイエローの細かな 地面を覆うグラウンドカバープランツが背
葉が密につき、マット状 景となって美しい景色を作り出します。互
に広がる。花つきもよく、 いに植えたままにできるので、長期間楽し
初夏に咲かせる花と葉と めます。
のコントラストも美しい。
2014.12
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石のボリューム感と質感を
上手に利用したロックガーデン
ナーとして楽しむことができます。なかなか植
草花を植えてみると、印象の違った新しいコー
小径の際や傾斜地のすき間など、デッドスペ
ースになりがちなエリアに石材や砂利を用いて
ながります。
っかり楽しめるうえ、ローメンテナンスにもつ
せてポイントに植物を配すると、石の素材もし
ょう。すべて植物で覆わずに、石材と組みあわ
をイメージして、石材の色や形を選んでみまし
がありナチュラルな印象になります。仕上がり
栽しにくい傾斜地でも砂利を敷くことで土止め
コーナーになります。
植栽する植物は、彩りあるカラーリーフを主
体にすると、手間もかからず、長期間楽しめる
の効果があり、ナチュラルな石材は景石として
庭のアクセントになります。白っぽく丸みのあ
げ
げげげげげげげげげげげげげげげげげげげ茶や黒みがかった角ばったものは、落ち着き
イギリスで見かけた緩やかな傾斜で全景が見渡せるロックガーデン風の前庭。
各所に配された石が植物となじんで自然な景色に。
るものは、明るくスタイリッシュな印象に、こ
るるるるるるるるるるるる
◀◀◀この記事でご紹介の一部品種はp.57で販売。
2014.12
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自然石を不定形に切り出した砕石を組みあわせて囲み、土を盛れば簡
易の花壇ができる。不揃いな石はスペースにあわせて置きやすく、仕
上がりもナチュラルに。
とがった砕石と角の丸い砂利で色と形に変化をつけると、石の素材がしっかり楽しめる。
カラーリーフのみですっきりと。グラスのような風でそよぐ植物が入ると動きが出る。
こんな庭が欲しい!
憧
憧れのガーデンスタイル
アタリ
大振りの石をポイントに用いるとどっしりとした落ち着きが生まれる。石のサイドに植物を植えると
石となじみやすい。大きめの石で境界を囲んで、コーナーの区切りの役目も。