制御システム設計 第4回 ~過渡応答と安定性~ 東京都市大学 工学部 機械システム工学科 野中謙一郎 http://www.cl.mse.tcu.ac.jp/lab/edu/dcs/ 3 3 Pole: -1.00 Pole: 0.00 Pole: 0.10 2.5 0.1 2 0.2 2 1.4 Pole: -1.00+-1.00 Pole: 0.00+-1.00 Pole: 0.20+-1.00 0 1 1 0.8 1 0.6 1.5 0 1 0 0 2 4 0.4 0 0.2 0 1 0.5 1 -1 0 Poles: -1.00+-0.00 Poles: -1.00+-1.00 Poles: -1.00+-2.00 2 1.2 -2 -0.2 6 8 10 -3 0 2 4 6 8 10 -0.4 0 2 4 6 8 10 過渡応答と安定性 振動無・収束と発散(左),振動有・実部の影響(中央),振動有・虚部の影響(右) 第4回 制御システム設計 1 伝達関数の極と零点(p.39) 伝達関数 ⋯ ⋯ 極 分母多項式 0の根 例 2 零点 2 分子多項式 0の根 プロパー 2 2 1 の極は 1 1 ,零点は2 プロパー の次数 の次数 プロパーな伝達関数の例 1 非プロパー の次数 の次数 現実に存在しない 第4回 制御システム設計 非プロパーな伝達関数の例 2 2次系の極と応答の関係(p.48) 2次遅れ系の伝達関数(3.23) 0 2 1の場合の極s , 1 1 極 の関係 確認 の実部 と虚部 減 1 確認 極s , は,複素平面の 原点から半径 ,角度が tan 減 1 0 の円上に存在 第4回 制御システム設計 3 2次系の極と応答(前回課題) 配布したプログラムで表示さ れる6種類のグラフは,右図 の6個の極 ~ のいずれ かに対応した2次系( ) のステップ応答である.シ ミュレーションにより,6個の 伝達関数の定常ゲイン , 減衰係数 ,自然角周波数 を推定し,極 ~ を求 めよ. 極 ~ について,複素 平面上での位置と応答の関 係の考察をwordファイルに 纏め, WebClassで提出する. 第4回 制御システム設計 4 2次系の極と応答(課題の解答概要) 4 Reference(2) Reference(5) 3.5 3 5 3 2.5 振動大 2 2.5 1.5 2 1 1.5 2 1 0 2 4 4 3 0.5 0 0.5 0 Reference(3) Reference(6) 6 3.5 4 6 8 0 2 4 6 8 10 10 Reference(1) Reference(4) 3.5 3 2.5 収束早い 4 2 1.5 2 の極で 2.0 0.2 1.0 1 1 0.5 0 0 2 4 4 6 8 4 Reference(4) Reference(5) Reference(6) 6 3.5 10 3 3 2.5 2.5 5 2 3 2 2 1.5 1.5 4 1 0.5 0 Reference(1) Reference(2) Reference(3) 3.5 0 振動大 1 1 0.5 2 4 6 8 10 0 0 第4回 2 4 6 8 制御システム設計 10 時間 に関する相似 減衰係数 と振動 5 第4回 過渡応答と安定性 極と応答の関係(3.4.1節) ステップ応答の部分分数展開 極の位置と応答の関係 安定性(3.5.1節) 極と安定性の関係 演習 ステップ応答の計算 課題 フィードバック系の安定性(例8.1) 第4回 制御システム設計 6 システムの収束・発散・振動 システムの出力の収束・発散・振動は伝達関数の極で決まる. 伝達関数 の分母の因数分解 ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ の極 0 を解いて, 0 を解いて, ⋅ 収束・振動 , が負なら( , 0なら)収束,正なら発散 の大きさで振動成分の周波数が決まる. の極の実部 の極の虚部 第4回 制御システム設計 7 ステップ応答の部分分数展開(p.50) 伝達関数 のステップ応答のラプラス変換を部分分数展開 1 ⋯ ⋯ ⋯ (3.35) 逆ラプラス変換 sin 3 3 Pole: -1.00 Pole: 0.00 Pole: 0.10 2.5 0.2 2 0.1 2 (3.36) 1.4 Pole: -1.00+-1.00 Pole: 0.00+-1.00 Pole: 0.20+-1.00 0 1 1 0.8 1 0.6 1.5 0 1 0 0 2 実部 4 0.4 0 0.2 0 1 0.5 1 -1 0 Poles: -1.00+-0.00 Poles: -1.00+-1.00 Poles: -1.00+-2.00 2 1.2 -2 -0.2 6 8 10 に対する応答の変化 -3 0 実部 2 4 6 8 に対する応答の変化( 10 -0.4 0 2 4 6 8 10 1) 虚部 に対する応答の変化( 1) 収束・振動 の極の実部 の極の虚部 第4回 , が負なら( , 0なら)収束,正なら発散 の大きさで振動成分の周波数が決まる. 制御システム設計 8 2.5 2.5 Poles: -3.00+-4.00 振 的 振動的 3 Poles: -1.00+-3.00 次回小テスト Im 図3.9 極の位置とインパルス応答 30000 Poles: 0.00+-3.00 Poles: 1.00+-3.00 20000 2 2 2 10000 0 1.5 1.5 1 -10000 1 -20000 1 0 -30000 0.5 0.5 0 -0.5 -50000 2 4 1.4 6 8 10 -1 -70000 0 2 4 6 1.4 Poles: -2.00+-2.00 1.2 1.2 1 1 8 10 -3 0 2 4 6 2 Poles: -1.00+-2.00 8 3 -80000 10 0 2 4 6 60000 Poles: 0.00+-2.00 1.5 50000 1 40000 0.5 30000 0 20000 8 10 Poles: 1.00+-2.00 0.8 0.8 0.6 0.6 0.4 0.4 -0.5 0.2 0.2 0 -0.2 -60000 -2 -0.5 0 -40000 -1 0 0 2 4 6 8 10 10000 0 -1 0 -0.2 -1.5 -10000 -2 -20000 -0.4 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 2 0.9 0.7 Poles: -2.00+-1.00 0.8 1 Poles: -1.00+-1.00 Poles: 1.00+-1.00 5000 0.6 0.5 0.4 0.5 0.4 0.3 0.3 0.2 0 0.4 0.6 0.2 -5000 0 -10000 -0.2 -0.4 0.2 0.1 0 0 2 4 6 1.2 8 0 -0.8 -0.1 -1 10 0 2 4 6 1.2 Pole: -2.00 -15000 -0.6 0.1 -0.1 10000 Poles: 0.00+-1.00 0.8 0.6 0.7 8 10 -20000 0 2 4 6 -25000 10 0 2 4 6 8 10 1 250000 1.2 Pole: -1.00 8 1 1 1 0.8 0.8 0.8 0.6 0.6 0.6 0.4 0.4 0.4 0.2 0.2 0.2 0 0 0 Poles: 1.00+-0.00 Pole: 0.00 200000 150000 100000 収束早い 発散 50000 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 2 10 0 0 2 4 6 8 10 0 2 4 6 8 10 1 1 第4回 Re 制御システム設計 9 3.5.1 安定性 任意の有界な入力(| | ∞)に対し,出力が有界(| | ∞)になる場合,そのシ ステム は安定であるという. システムが安定である条件は,伝達関数の極の実部がすべて負であること. 3.43 の2つの伝達関数 と の極 3 1 1 0.1 0.5 1 0.8660 安定 2 1.5 1 0.05 0.9987 不安定 伝達関数 1 0.5 0 ⋯ ⋯ 極は, 伝達関数 Step res. of 1/(s^2 + s + 1) Step res. of 1/(s^2 - 0.1s + 1) 2.5 ,⋯, , のステップ応答 -0.5 ⋯ 0 2 4 6 8 図3.14 ,⋯, 1 出力 が発散しない条件は, の極の実部( ,⋯, , ,⋯, )が全て負 sin 第4回 制御システム設計 10 10 演習 次の伝達関数を持つ系について,以下の問1~3に答えよ. 2 2 2 1 1. 2. 3. 伝達関数の極を求めよ. システムの安定性を判別せよ. 部分分数展開して,ステップ応答を計算せよ ヒント:部分分数展開 2 1 1 2 1 2 2 2 伝達関数の極 1, 1 実数部は全て負なので,安定 部分分数展開とステップ応答の計算(p.65 演習問題【7】(d)) 1 2 1 2 1 1 1 1 1 1 逆ラプラス変換 1 2 cos sin 第4回 1 1 制御システム設計 11 ステップ応答の定常値の計算(p.44) システムが安定な場合は,ラプラス変換の最終値の定理を用いて 出力の定常値を計算できる. 最終値の定理 lim → lim → 特にステップ応答の定常値は,伝達関数 lim → lim → lim に 1 0 を代入した 0 になる. 0 → 0 を直流ゲインと呼ぶ. 例:1次系と2次系で 0 は共に,定常ゲイン になる. 2.5 0 Step res. of 0.5/(s^2 + Step res. of 1/(s^2 + Step res. of 1.5/(s^2 + Step res. of 2/(s^2 + 2 0 s s s s + + + + 1) 1) 1) 1) 2.0 1.5 1.5 1 1.0 0.5 0 第4回 制御システム設計 0.5 0 2 4 6 2次系の単位ステップ応答 8 10 12 フィードバック制御系のシミュレーション課題 下図のフィードバック制御系で制御ゲイン を調整して,目標値と制御量の誤差 の定常偏差を可能な限り小さくする.ただし,オーバーシュートは生じさせない. 下記手順でゲイン の範囲を求め,Matlabのシミュレーションで確認せよ. 1. 2. 3. 4. 5. 目標値から制御量までの伝達関数 を求めよ.(表2.2の変形を用いる) 伝達関数 の極から安定な の範囲を求めよ.(3.5.3節または3.5.4節の安定判別) 定常偏差を最終値定理から計算せよ. の分母多項式から,オーバーシュートを生じない の範囲を求めよ. 伝達関数 様々なK に対して,目標値をステップ入力としたフィードバック系のシミュレーションを行 い,1~4の結果に一致することを確認せよ. Wordのレポートにまとめて,WebClassで提出する. 1.2 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 1 フィードバック制御系のブロック線図【例8.1】 0.8 10.0 0.6 1.0 定常偏差 0.4 0.2 0 0 1 2 3 4 制御量の応答のグラフ 第4回 制御システム設計 13 5
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