Topics「 Topics「投信コストは二極化の流れ」 投信コストは二極化の流れ」 平成 27 年 10 月 23 日 □ ニッセイアセットマネジメントは 11 月にネット販売向け投信のコストを大きく引き下げるとの報道が出た。 きっかけは三井住友アセットマネジメントが 9 月に DC(確定拠出型年金)向け低コストの投信を ネット証券向けに販売を開始したことで、新たなコスト引下げ競争につながる可能性もある。 □ ネット取引の拡大と確定拠出型年金へのシフトもあり、 「貯蓄から投資へ」の流れが進んでき たが、個人投資家の投資知識が高くなると投信を見る目も養われ、パフォーマンスが劣る高 コストの投信は敬遠されるのは確実だ。 □ アクティブ型投信には、インデックス型投信を上回る長期パフォーマンスが必要とされるだけでなく、 インデックス型にはない「ロング・ショート」や「ファンド・オブ・ファンズ」等のヘッジファンドに近い運用 スタイルも増加していくだろう。 ■ 7 月に米モーニングスターは、世界 25 カ国の投信市場を評価した「グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス」 を公表したが、日本の評価は「C-」でイタリアと並んで下から 2 番目に低い評価となった。2 年に 1 回発表される同レポートは「規制・税金」、「情報公開」、 「手数料・費用」、 「販売・メディア」という 4 つの項目で各国の投信市場を評価。日本は「規制・税金」が「B」、「情報公開」が「C」、 「手数 料・費用」が「D+」、「販売・メディア」が「B-」となり、総合では「C-」となった。 ■ 今回のコスト引き下げの主導が、証券系でない三井住友アセット M、ニッセイアセット M というのも理由がある。 前者は銀行預金を自社グループの低コストのインデックス型投信にシフトさせたい戦略で、後者は年金運用に自 社の投信を積み上げたいところだ。 ■ 投信業界は大手証券系が純資産残高で上位を占める。将来的に米国のような低コストのインデックス型が主 流となれば、2 社は時流を先取りして、純資産残高を積み上げる経営戦略に転換したということか。 対象は既に個人取引の大部分を占めるようになったネット販売で、若年層やネット取引に慣れた熟年層が ターゲットである。 ■ 将来的に「貯蓄から投資」への流れが加速し、個人投資家の目が養われてくると、パフォーマンスの劣る 高コストの投信は確実に敬遠されるだろう。以前はアクティブ型投信でしか買えなかったような 1349「ア ジア債券インデックス」、1361「米国ハイイールド債券」 、1313「サムソン KODEX200(韓国株) 」等の ETF は、 既に残高が 3000 億円を越えてきた。これらは従来のアクティブ型投信の手強い競争相手となっている。 ■ とはいえ、アクティブ型投信が今後衰えるということではない。様々な運用スタイルを持つヘッジファンドの残 高は増加が続いており、パフォーマンス次第で残高を増やすことは十分可能だろう。 「バリュー型株式投信」、 低コストの ETF やインデックス型を組み込んだ「ファンド・オブ・ファンズ」が有効に機能する期間もあるはずで、 運用会社の「腕次第」であろう。 このレポートは投資の参考となる情報等を提供するもので、投資勧誘は意図しておりません。投資の決定はご自身の 判断でお願いします。記載内容は作成時点のもので、正確性・完全性を保障するものでなく、予告なく変更する可能 性もあります。内容に関する権限は Quantsworks.com にあり、事前の承認なく複製・転送等はご遠慮ください。
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