Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド - Screen OS 5.4.0 版 - 2007 年 1 月 ソフトバンク BB 株式会社 Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 本書の目的 本書では Juniper Firewall 機器における基本的な透過モードの設定方法を解説します。また 機能の詳細を知りたい場合は Juniper 社のマニュアル(Concept & Example) や Web UI のヘル プなどをご参照ください。 目 次 1. はじめに.............................................................................................................- 3 1-1 はじめに.................................................................................................................... - 3 1-2 透過モード 機能概要................................................................................................. - 3 - 2. 透過モード 基本設定 .........................................................................................- 4 2-1 はじめに.................................................................................................................... - 4 2-2 本ガイドでの設定例 .................................................................................................. - 4 2-3 透過モード インターフェイスの設定 ......................................................................... - 5 - 3. 透過モードでのトラフィックの転送 ................................................................ - 11 3-1 本ガイドでの設定例................................................................................................- 11 3-2 透過モード ポリシーの作成 .................................................................................. - 12 - 4. 透過モード設定に関する FAQ .........................................................................- 15 4-1 FAQ ......................................................................................................................... - 15 - -2- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 1. はじめに 1-1 はじめに Juniper Firewall 機器では、透過モードの設定を行うことにより、既存のネットワークトポ ロジに変更を加えないで Juniper Firewall 機器の Firewall 機能と VPN 機能をただちに配置す ることが可能です。 本ガイドでは、その具体的な設定方法を説明します。 1-2 透過モード 機能概要 ・ 透過モード 【 Transparent Mode 】 インターフェイスが透過モードである場合には、Juniper Firewall 機器を行き来す るパケットを、IP パケットヘッダーのソースや宛先情報を一切変更せずにフィルター します。そして Juniper Firewall 機器がレイヤ 2 スイッチやブリッジのように動作す るので、同じネットワークの一部分であるかのように動作します。また透過モードでの インターフェイスの IP アドレスは ”0.0.0.0” に設定され、Juniper Firewall 機器の存 在をユーザーに「不可視」、 または「透明」にします。すなわち、既存のネットワーク 環境を変更せずにセキュリティを導入することが可能です。 ・ レイヤ-2 セキュリティ ゾーン 【 Layer 2 Security Zone 】 Juniper Firewall 機器には、V1-Trust、V1-DMZ、V1-Untrust の 3 つの定義済みレ イヤ 2 ゾーンがあります。V1 ゾーンは、Juniper Firewall 機器で他のゾーンと共存で きますが、存在する他のゾーンから切り離されています。 また、ユーザー定義の L2 ゾーンを作成できます。その際、L2 ゾーンの名前は”L2”で 始まる必要があります。 V1 ゾーンと L2 ゾーンは機能的に同じです。唯一の違いは、V1 ゾーンは定義済みの L2 ゾーンであることです。 ・ VLAN1 インターフェイス 【 VLAN1 Interface 】 Juniper Firewall 機器が透過モードであるならば、その管理に VLAN1 インターフェ イスを使用します。VLAN1 インターフェイスはどの透過ゾーンからもアクセスできる 論理インターフェイスです。VLAN1 インターフェイスは、VALN ゾーンに存在し、透 過ゾーンのインターフェイスを介してのみアクセスを可能とするため、V1 ゾーンに接 続された他のデバイスと同じサブネットにある IP アドレスを使って設定される必要が あります。 また Manage-IP に対応しています。 -3- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 2. 透過モード 基本設定 2-1 はじめに Juniper Firewall 機器では、CLI 及び Web UI を用いて透過モードの設定を容易に行うこと ができます。 本ガイドでは、基本的なインターフェイスの設定手順を CLI、管理サービス及び ポリシーの設定手順を WebUI にて説明します。 2-2 本ガイドでの設定例 ・ ・ ・ ・ ・ Juniper Firewall 機器の Trust 側 Zone 名 Juniper Firewall 機器の V1-Trust 側 IP アドレス V1-Trust 側の管理サービスの設定(許可サービス) 管理者ユーザ名(= Admin Name) 管理者ユーザのパスワード(=Password) Juniper Firewall 機器の Untrust 側 Zone 名 Juniper Firewall 機器の V1-Untrust 側 IP アドレス 動作モード VLAN1 インターフェイス IP アドレス VLAN1 インターフェイス Manage-IP アドレス V1-Untrust 側の管理サービスの設定(許可サービス) : : : : : : : : : : : V1-Trust 0.0.0.0 WebUI、Ping admin password V1-Untrust 0.0.0.0 transparet mode 192.198.1.100 192.168.1.101 Ping 注 意 ! ........... ※ 本ガイドでは、Juniper Firewall 機器の初期設定が完了していることを 前提に手順をご案内させていただきます。 ※ VLAN1 インターフェイスの IP(Manage-IP も含む)アドレスは、 VALN ゾーンに存在し、透過ゾーンのインターフェイスを介してのみアクセスを ......................... 可能とするため、V1 ゾーンに接続された他のデバイスと同じサブネットに ある IP アドレスを使って設定される必要があります。 -4- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 2-3 透過モード インターフェイスの設定 (1)Juniper Firewall 機器の後部(または前面)パネルにある「Console」ポートに「DB-9 ピン ・シリアルケーブル」を接続します。 (2)次に、Windows クライアント PC のシリアルポートに「DB-9 ピン・シリアルケーブル」 を接続します。 ⇒※ 万一、クライアント PC にシリアルポートが無い機種の場合には、お手数ですが別途「USB シリアル変換アダプ ター」等を最寄りの量販店等にてご購入ください。 (3)次に、Windows クライアント PC にて「ターミナル・エミュレーション・プログラム (=ハイパーターミナル、Tera Term Pro 等) 」を起動し、 [ファイル]→[新しい接続]を 選択します。 ⇒※ 今回の例では、「ターミナル・エミュレーション・プログラム」として”Tera Term Pro”を使用します。 (4) 続いて、Windows クライアント PC と Juniper Firewall 機器と接続しているシリアルポート 番号を選択し、【OK】ボタンをクリックします。 ⇒※ 今回の例では、使用しているシリアル ポートを ”COM 2” とします。 ⇒※ Windows クライアント PC と Juniper Firewall 機器と接続しているシリアル ポート番号の確認は、「デバイス マネージャ」にてご確認をお願いいたします。 -5- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (5)次に、「Tera Term Pro」のメインウィンドウが立ち上がったら、Enter キーを押下し、 Juniper Firewall 機器のログインプロンプトが表示されることを確認します。 Enter キーを押下し、ログインプロンプトが 表示されることを確認 (6)次に、ユーザ名、パスワードを入力しログインします。 ⇒※ 今回の設定例では、「Admin Name」は ”admin” 、「Password」は ”password” となります。 (7)次に、“get interface”コマンドを入力し、現在のインターフェイスの設定状況を確認します。 ⇒※ 今回の設定例では、「Trust 側 IP Address / Netmask」は ”192.168.1.1 / 24” 、「Untrust 側 IP Address / Netmask」は ”25.20.193.8 / 32” 、となります。 ⇒※ インターフェイスの設定状況確認のコマンドは下記の通りになります。 get interface -6- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (8)次に、“get system”コマンドを入力し、現在の動作モードを確認します。 ⇒※ 今回の設定例では、透過モード設定前の動作モードは ”NAT / route ⇒※ 動作モードの状況確認のコマンドは下記の通りになります。 mode” 、となります。 get system 各インターフェイスの IP アドレスが削除されたこと を確認 “NAT / route mode” であることを確認 (9)次に、 “unset interface ~” コマンドにて、現在設定されている各インターフェイスの IP アドレスを削除します。また、削除されたことを “get interface” コマンドで確認します。 ⇒※IP アドレス削除時のコマンドは下記の通りになります。 unset interface <インターフェイス名> ip 各インターフェイスの IP アドレスが削除され たことを確認 -7- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (10)次に、 “set interface ~” コマンドを入力し、現在設定されている各インターフェイスの ゾーンを”透過モード用” のゾーンに変更します。 また、ゾーン変更後には “get interface” コマンドにて設定内容を確認します。 ⇒※ 今回の設定例では、変更後の「Trust 側 zone」は ”v1-trust” 、「Untrust 側 zone」は ”v1-untrust” 、となります。 ⇒※ zone 変更時のコマンドは下記の通りになります。 set interface <インターフェイス名> zone <ゾーン名> 各インターフェイスの zone が変更されたことを確認 (11)次に、“get system” コマンドを入力し、変更後の動作モードを確認します。 ⇒※ 今回の設定例では、透過モード設定後の動作モードは ”transparent mode” 、となります。 transparent mode へ変更 されたことを確認 -8- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (12)次に、 “set interface ~ ”コマンドを入力し、vlan1 インターフェイス(※透過モード時の Juniper Firewall 機器の管理用インターフェイス)の設定を行います。 また設定後には、 “get interface” コマンドにて設定内容を確認します。 ⇒※ 今回の設定例では、vlan1 インターフェイスの「IP Address / Netmask」は ”192.168.1.100 / 24” 、「manage-IP」 は ”192.168.1.101” 、となります。また「Manage-IP」は WebUI、Ping、telnet などの宛先アドレスに使用します。 ⇒※ VLAN1 インターフェイス設定時のコマンドは下記の通りになります。 set interface vlan1 ip <IP アドレス / サブネットマスク> set interface vlan1 manage-ip <IP アドレス> vlan1 インターフェイスが 設定されたことを確認 (13)次に、 「Juniper Firewall 機器 の VLAN1 インターフェイスの manage-IP アドレス」へ アクセスし、Juniper Firewall 機器へログインします。 ⇒※ 今回の設定例では、URL は “http://192.168.1.101” となります。 ⇒※ 今回の設定例では、「Admin Name」は ”admin” 、「Password」は ”password” となります。 -9- Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (14)正常にログインできたら、 [Network]→[Interfaces]より、設定した"透過モード"の インターフェイス設定内容を確認します。 ⇒※ 以上で、「透過モード インターフェイスの設定」作業は完了となります。 注 意 ! ※ V1-Untrust ゾーンは、デフォルトで管理サービスが全て” 無効“ となって います。 ※ 万一、V1-Untrust ゾーン側でも、WebUI や Ping 等の管理サービスを ”有効” にされたい場合には、 [Network]→[Zones]より管理サービス設定 を変更してください。 ■V1-Untrust ゾーン側の管理サービス設定例 ①“Ping”にチェックを入れ ます ②【OK】ボタンをクリック - 10 - Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 3. 透過モードでのトラフィックの転送 セキュリティデバイスをレイヤ 2 で動作させた場合、適切なポリシーを設定しない限りゾー ン間でトラフィックが行き来することはありません。 ポリシーとは、Juniper Firewall 機器経由での通信の許可や拒否、または VPN のトンネリン ...................... グを定義します。また、明示的にゾーン間のポリシーが定義されていない場合には、通信は全 て ”Deny(=拒否)” されます。 注 意 ! ※ 詳細なポリシーの設定方法に関しては、別紙『Juniper firewall 機器 クイ ック スタートアップガイド 2 章』を参照してください。 ※ VL 今回の設定例では、「 From:V1-Trust To:V1-Untrust」の方向の 通信は全て” 許可” 、 「From:V1-Untrust To:V1-Trust」方向の通信は 全て” 拒否” とします。 3-1 本ガイドでの設定例 ・ V1-Trust ゾーン → V1-Untrust ゾーンへの通信 V1-Untrust ゾーン → V1-Trust ゾーンへの通信 - 11 - : すべて許可 : すべて拒否 Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 3-2 透過モード ポリシーの作成 (1)ブラウザの URL に、VLAN1 で設定した Manage-IP にアクセスし、ログインします。 ⇒※ 今回の設定例では、URL は “http://192.168.1.101” となります。 (2)次に、 [Policies]をクリックし、下記の画面が表示されたら、上部にあるプルダウン メニューより「From:V1-Trust To:V1-Untrust」を選択し、【 New】ボタンをクリックします。 ⇒※ 透過モードはデフォルトでのポリシーは作成されておりません。 ①プルダウンメニューより 「From:V1-Trust To:V1-Untrust」を選択 ②【OK】ボタンをクリック ... (3)次に、下記の画面が表示されたら、任意のポリシー設定情報を設定し、【OK】ボタンを クリックします。 ............. ⇒※ 今回の設定例では、全てのサービスを許可するので、ポリシー設定情報は、「Source Address」は ”Any” 、 「Destination Address」は ”Any” 、「Service」は”Any” 、「Action」は ”Permit” となります。 ⇒※ 「Logging 」設定に関しましては、お客様のご利用環境に応じて、採取する/しないをご判断ください。 ①”Any”を選択 ②”Any”を選択 ③”Any”を選択 ④”Permit”を選択 ⑤ログの採取(適宜) ⑥【OK】ボタンをクリック - 12 - Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (4)次に、作成したポリシー(= ID 1)内容を確認します。 ........... ⇒※ 設定内容を間違った場合 には、[Edit]にて再度ポリシー設定を行ってください。 (5)次に、上部にあるプルダウン メニューより「From:V1-Untrust To:V1-Trust」を選択し、 【New】ボタンをクリックします。 ①プルダウンメニューより 「From:V1-Untrust To:V1-Trust」を選択 ②【OK】ボタンをクリック ... (6)次に、下記の画面が表示されたら、任意のポリシー設定情報を設定し、【OK】ボタンを クリックします。 .............. ⇒※ 今回の設定例では、全てのサービスを拒否にするので、ポリシー設定情報は、「Source Address」は ”Any” 、 「Destination Address」は ”Any” 、「Service」は”Any” 、「Action」は ”Deny” となります。 .. ........ ⇒※ 「Logging 」設定に関しましては、お客様のご利用環境 に応じて、採取する/しないをご判断ください。 ④”Deny”を選択 ⑤ログの採取(適宜) ⑥【OK】ボタンをクリック - 13 - Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド (7)次に、作成したポリシー(= ID 2)内容を確認します。 ........... ⇒※ 設定内容を間違った場合 には、[Edit]にて再度ポリシー設定を行ってください。 (8)最後に、設定したポリシーの内容とおりにネットワーク疎通が行えるかを確認します。 ⇒※ 以上で、「透過モード インターフェイスの設定」作業は完了となります。 - 14 - Juniper Firewall 透過モード 設定ガイド 4. 透過モード設定に関する FAQ 4-1 FAQ 【Q1】 ブロードキャストやマルチキャストを通すことはできるのでしょうか? [A1] はい、できます。Juniper Firewall 機器では透過モードの場合のみ、ブロードキャ スト、およびマルチキャストを通すことが可能です。 【Q2】 透過モードで冗長構成は可能でしょうか? [A2] はい、可能です。ただし、Active-Passive 構成のみの対応となります。 【Q3】 透過モードで VPN 通すことはできるのでしょうか? [A3] はい、できます。その場合には vlan1 IP(= system-ip)に固定のグローバルアドレス を割り当てる必要があります。 以上 = 本書に関するお問い合わせ先 = ソフトバンク BB ジュニパー サポート E-Mail: [email protected] ※ 問い合わせの際には、事前にユーザ登録が必要となります。 あらかじめご了承ください。 本ガイドの著作権はソフトバンク BB 株式会社に帰属します。 また、掲載内容の無断転載は固くお断りいたします。 Copyright(C) SOFTBANK BB Corp. all rights reserved. - 15 -
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