民主党 - 全国手話通訳問題研究会

聴覚障害者福祉施策に関する公開質問状に対する回答
来たる7月の参議院選挙への関心が高まっています。制度改革推進新潟県本部では、県内の各政党の
取り組みについて公開質問状を出しました。6月26日までに回答をいただいた政党・候補予定者につ
いてここに掲載いたします。内容はいただいた回答のまま掲載しております。
なお、他県の情報等は制度改革推進中央本部ウェブサイトにもアップ予定です。
【質問1】障害者総合支援法について
障害者福祉は利用者負担なしで、全国共通の仕組みを作るべきだと思います。この度、成立した障害者総合
支援法には「意思疎通支援事業(旧コミュニケーション支援事業)」が含まれましたが、地域間格差や不十
分な予算措置等の問題は依然として残ったままです。障害者総合支援法は施行後 3 年以内に検討事項と附帯
決議の具体化を決めています。
今後の障害者総合支援法の見直しや拡充に対する貴党のご見解をお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
抜本的な見直しが必要です。見直しにおいては、
①応益負担はすみやかに廃止し、利用料は無料にすること。
②支給決定においては、障害者の希望を反映させるしくみとすること。
③グループホームとケアホームは、安心して暮らせる場にふさわしく、体制や条件整備を保障すること。
④「新体系」を見直し、柔軟に利用できる支援体系とすること。
⑤地域支援事業の自治体間格差を解消すること。
⑥日額払いを月額払いに戻し、正規職員の配置を中心とした雇用形態ができるよう、報を底上げするこ
と。
など、
「基本合意」の完全実施の立場にたち、障害者が求める「障害者総合福祉法」を実現すべきと考え
ます。
●社会民主党
渡辺
英明
様
総合支援法の制定過程において、障害者制度改革推進会議の下に設置された「総合福祉部会」で、障害
当事者を含め、広範囲な関係者の議論によって、「障害者総合福祉法」の骨子が取りまとめられました。
しかし当時の民主党政権は、この骨子を全くと言っていいほど蔑にし、問題を多く孕んでいた「障害者
自立支援法」の延長法として、この総合支援法を制定しました。
このような制定過程と法案の内容に多くの問題があるとして、我が党は反対しました。今後の見直しに
あたっては、総合福祉部会で出された有意義な意見を反映できるよう努力して参ります。
【質問2】障害者総合支援法における都道府県・市町村等の意思疎通支援事業について
今回、厚生労働省の補助事業として、厚生労働省と全日本ろうあ連盟をはじめとする関係者等で協議を
重ね、意思疎通支援者の派遣に係るモデル要綱およびガイドラインを作成しました。
しかし、「手話通訳設置事業」については、すでに多くの都道府県が行っているにもかかわらず、都道
府県の必須事業とはなりませんでした。
また、設置される手話通訳者の身分、労働条件等が市町村によって異なっている状況です。
その現状と照らし合わせ、施行後3年以内の見直し検討に向けて、手話通訳者および要約筆記者の養成・
認定事業や設置事業、そして盲ろう者通訳・介助者の養成、派遣事業のモデル要綱およびガイドライン
を作成していく必要があります。これについて、貴党のご見解をお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
地域支援事業の自治体間格差の解消が求められます。
地域生活支援事業の予算を抜本的に拡充し、利用料やメニューの地域間格差をなくすこと。移動支援事
業、意思疎通支援事業などの利用料を無料化し、国の制度として位置付けることが必要です。
身体障害者手帳をもたない聴覚障害者など、必要とするすべての人に手話通訳や要約筆記の派遣をうけ
られるようにします。
高い専門性に見合った手話通訳者やコーディネーターの身分保障を求めます。
●社会民主党
渡辺
英明
様
聴覚障害者あるいは盲ろう者の方々にとって手話通訳などの派遣制度の確立は、社会生活を送っていく
上での欠かせない情報保障の手段です。
ご指摘のように、今後の見直しにあたって、聴覚障害者をはじめとする関係者の方々の意見を反映した
ガイドラインを作成する必要があり、その実現のために力を尽くしていきます。
【質問3】行政サービスのアクセシブルな利用について
身体障害者手帳を持たない聴覚障害者、聴覚に障害のある者と意思疎通の必要のある者など、誰もが自由
に利用できる制度には至っておりません。また、聴覚障害者が自分の希望するコミュニケーション手段を
使ってのサービス提供を受けるに至っていない現状があります。
国民である以上、障害の有無にかかわらず行政のサービスを受けられるべきであり、それを提供する義務
が行政機関にはあると考えます。
例えば、情報アクセスのバリア解消のため、都道府県市町村の福祉事務所等に手話で相談できるケースワ
ーカー等の相談員の配置や地方自治体の窓口における筆談対応の職員研修、手話のできる職員の配置等を
推進する必要があります。
行政機関のアクセシブルな利用促進について、貴党はどのようなご見解をお持ちですか。
●日本共産党
西澤博
様
障害のある方が、希望するコミュニケーション手段を使ってサービス提供を受けられる体制整備が必要
だと考えます。ご指摘のように、福祉事務所等に手話で相談できるケースワーカー等の相談員の配置や、
自治体窓口における筆談対応の職員研修、手話のできる職員の配置などは、積極的に推進すべきと考え
ます。
●民主党
かざま直樹
様
質問1・2・3について
改正障害者基本法、障害者総合支援法において国および自治体に意思疎通支援のため必要な施策を講じ
ることが含まれたが、自治体における情報の利用におけるバリアフリー化の取り組みは未だに差異があ
る現状である。取り組みの遅れている自治体への支援など、民主党の各級議員が一丸となって取り組み
を促していきたい。障害者総合支援法の3年後の見直しに向けては、他の項目も含め検討し、必要な見
直しを行っていきたい。
●社会民主党
渡辺
英明
様
自治体によっては、手話通訳者を窓口に設置している所があることは承知していますが、全国的にはそ
の整備がまだまだ不十分と認識しています。
この度成立した「障害者差別解消法」や「総合支援法」の趣旨を踏まえ、国として各自治体での整備が
進んでいくよう協力していきます。
【質問4】インターネット選挙運動(以下、「ネット選挙」とする)について
4-1)今春の法改正でネット選挙が認められるようになって、初めての国政選挙となります。
これまで、FAXやメールでの選挙運動等は認められなかったことを鑑みると、選挙に関するアクセシビ
リティとしては大変有効であると考えます。しかし、電話の出来ない聴覚障害者の候補者がFAXやメー
ルで投票依頼をすることは現在も認められておりません。上記について、貴党はどのようなご見解をお持
ちですか。
4-2)障害者総合支援法の意思疎通支援事業において、自治体の裁量で、選挙や政治活動への手話通訳お
よび要約筆記の派遣が可能となりましたが、自治体の派遣要綱では派遣を不可とするところが多い現状に
あります。上記について、貴党はどのようなご見解をお持ちですか。
●日本共産党
西澤博
様
4-1)選挙権と選挙の自由は、主権者である国民の基本的な権利です。
日本共産党は、今回の法改正に賛成しましたが、さらなる改善が必要であると考え、
①ネット選挙運動を政党、候補者、有権者個人に解禁する
②メール送信先の規制緩和を行う
③ネット以外での選挙運動自由化も検討する
という3点の修正案を出しました。ご指摘のように、聴覚障害者にとって、電話に変わるFAXでの投
票依頼など、さらなる法改正、選挙の自由化が必要と考えます。
4-2)自治体は、必要な手話通訳および要約筆記を派遣すべきです。それを財政的に保障するために、国
の予算を増やすことが不可欠です。
●民主党
かざま直樹
様
4-1)電話であれば行うことのできる投票依頼を、メールなどでできないのは理屈に合わず、民主党はメ
ールでも投票依頼が行えるよう法案提出をしてきた。ただちにメールによる投票依頼を解禁すべきと考
える。ファクスはいわゆる「文書」にあたると思われ、党としてはメールと異なる扱いをしてきた。文
書の扱いについては公職選挙法全体のなかで議論していくべきと考える。
4-2)自治体における情報の利用におけるバリアフリー化の取り組みは未だに差異がある現状である。取
り組みの遅れている自治体への支援など、民主党の各級議員が一丸となって取り組みを促していきたい。
●社会民主党
渡辺
英明
様
4-1)ご指摘の点については、「合理的配慮」という点から問題があると考えます。今回初めてインター
ネット選挙が実施され、そのあり方などを引き続き検証していく必要があると考えますので、その中で
聴覚障害者の候補者としての選挙活動についても一つのテーマとして検討してきます。
4-2)選挙や政治活動に関わる手話通訳などの派遣については、各政党は政党交付金も受けているので、
一義的には各政党が対応すべきと考えます。
【質問5】政見放送への手話通訳・字幕付与の義務化、選挙時の情報保障について
5-1)別紙①の通り、政見放送への手話通訳・字幕付与について、衆議院・参議院共に統一されておりま
せん。同じ国民でありながら候補者を選ぶ権利、参政権を行使するための情報の入手が制限されている
状況を、貴党はどのようにお考えか、見解をお聞かせ下さい。
5-2)また、このたびの選挙において、政見放送、個人演説会、選挙公報など貴党の政見を訴える場面に
おいて、手話通訳、字幕、要約筆記、盲ろう者向け通訳・介助等の聴覚障害者・盲ろう者に対する情報
保障を実施されますか?
●日本共産党
西澤博
様
5-1)聴覚障害者の参政権を保障するため、手話や字幕をすべての政見放送に義務づけるべきと考えます。
5-2)演説会などでは、すでに手話通訳をお願いしています。街頭での宣伝においては、現状では政策を
書いた政策パンフをお配りしておりますが、手話通訳をお願いすることも今後の課題です。
●民主党
かざま直樹
様
5-1)少なくとも政見放送には手話通訳をつけることができるようにするなど、高いレベルで情報入手の
統一が図られるべきと考える。
5-2)参議院選挙では、別紙にも示されているとおり、手話通訳、字幕ともに入れることができない。個
人演説会ではできるだけすべての会場で手話通訳をつけられるよう努力する。
●社会民主党
渡辺
英明
様
5-1)これは民主主義の根幹に関わる問題であり、
「差別解消法」の趣旨にも関わることと考えますので、
速やかに是正できるよう力を尽くします。
5-2)これまでも行ってきましたが、今回についても政見放送に手話通訳を付けます。
【質問6】障害者差別解消法について
本年4月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
(障害者差別解消法)が国会に提出され
ました。障害者差別解消法における、情報アクセスやコミュニケーションの保障への「合理的配慮」、
紛争解決にあたる機関の在り方等について、貴党のご見解をお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
「障害者差別解消法」は不十分な点はあるものの、障害者の切実な願いを踏まえて暮らしを一歩でも前
進させるため、日本共産党は賛成しました。先送りせず順次実施するよう求めます。
差別についての定義や、
「必要かつ合理的な配慮」は障害者権利条約の合理的配慮と同様であること、合
理的配慮の不提供が差別であることなどの明記を求めていきます。
さらに、事業者による合理的配慮の提供は「努力義務」とされましたが、「義務」とすべきです。
●民主党
かざま直樹
様
障害者差別解消法は民主党が主導してきた。まずは実効ある運用をめざしたい。合理的配慮や紛争解決
にあたる機関のあり方については、国連障害者権利条約の早期の批准をするため、国際的な潮流にのっ
とって議論していくべきと考える。
●社会民主党
渡辺
英明
様
「差別解消法」の趣旨を踏まえ、情報アクセスやコミュニケーションの保障に関する適切な合理的配慮
について、その制度設計を関係者の方々の意見を伺いながら、できるだけ早く作り上げていけるよう取
り組んでいきます。
【質問7】障害者雇用促進法改正法について
本年4月、「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」(障害者雇用促進法改正法
案)が閣議決定、国会に上程されましたが、日本における企業の法定雇用率に対する取組みや、ハロー
ワークにおける手話協力員制度および雇用・労働分野における聴覚障害者専門の相談支援のための職
場適応援助者(ジョブコーチ)事業を拡充させるために、貴党のご見解をお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
法定雇用率の厳守を徹底し、さらに法定雇用率を引き上げが必要と考えます。
ご指摘の、ジョブコーチ制度なども充実させ、職業訓練や資格取得の支援制度を拡充すべきです。
また、労働条件の切り下げやパワーハラスメントなどを防止するためのしくみを構築し、障害者のはた
らく権利を守ることも必要と考えます。
●民主党
かざま直樹
様
障害者雇用促進法改正については民主党政権のもとで議論されてきた。法定雇用率を引き上げるなど、
企業にさらなる取り組みを促してきた。「働くことを軸とする安心社会」や「誰にでも居場所と出番が
ある社会」をこれかれも目指し、財源も確保しつつ、具体策に一つひとつ取り組んでいきたい。
●社会民主党
渡辺
英明
様
障害者の雇用の機会の拡大は、政治はもとより、大きな社会の責任として進めていかなければならない
ことと認識しています。
各場面に応じた環境の整備と、聴覚障害者の方の職域を拡大するためにも、新たな職業訓練プログラム
の開発などにも取り組んでいきます。
【質問8】情報・コミュニケーションを保障する法律・制度の必要性について
障害者福祉以外に医療、福祉全般、教育(高等教育含む)、司法、就労、放送・通信など社会のあらゆ
る分野で障害者の情報アクセスやコミュニケーションを権利として保障する法制度は、すべての障害
者の生命や社会参加を保障するという重要性にも関わらず、確立していません。情報アクセシビリテ
ィを確立させる為の環境整備(機器・システム・サービスの標準化・規格化、放送・映像への手話通訳
および字幕の付与等)を諮るとともに、情報アクセスやコミュニケーションを保障する法制定に向け
て、貴党はどのようにお考えか見解をお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
ご指摘のように、アクセシブルな情報通信技術の調達を政府に義務づけると同時に、
「新技術」の開発段
階からの障害者の参加保障が必要と考えます。
障害者対応の ATM の普及や、窓口対応の改善、公的機関などでの代読・代筆情報支援員の配置、災害時
にも有用なテレビとラジオが聴取できる携帯用の製品の開発・普及、テレビの解説放送の拡充など、積
極的な取り組みが求められます。
●民主党
かざま直樹
様
情報アクセスやコミュニケーションを保障することは社会全体として大変重要である。障害者にとって
住みよい社会は、すなわちすべての人にとって住みよい社会であるからである。法制化することによっ
て具体的な取り組みが進むのであれば前向きに取り組みたいが、まずは新法を含む現行法の確実な運用
を目指したい。
●社会民主党
渡辺
英明
様
「障害者差別解消法」や「総合支援法」の趣旨を踏まえ、まずは情報アクセスやコミュニケーションの
保障のための制度や施策を充実させていきます。
その上で、聴覚障害者を取り巻く状況をよく見据え、新法の必要性を検討していきます。
【質問9】その他
聴覚障害者福祉施策について、貴党が特に取組みたいとされていることをお聞かせください。
●日本共産党
西澤博
様
いま、安倍政権は、かけがえのない生活や平和をおびやかす憲法改悪を維新の会やみんなの党と一緒に
すすめています。社会保障では、とんでもない医療・介護・年金などの改悪を「成長戦略」
「骨太方針」
などで打ち出し、暴走しています。日本共産党は、社会保障を拡充するための対案、財源の見通しをし
めす改革を提案し、きっぱりと安倍政権とたたかっている政党です。
私は、総合支援法の見直しをすすめながら、
「基本合意」と「骨格提言」にもとづいた「障害者総合福祉
法」の制定をめざします。障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の整備をすすめていきます。
障害者が安心して暮らせる社会は、すべての人に生きやすい社会です。改憲を許さず、生存権が保障さ
れる社会をつくるために全力をあげる決意です。
●民主党
かざま直樹
様
雇用促進、就労支援、ユニバーサルデザインによるまちづくり、など。
●社会民主党
渡辺
英明
様
聴覚障害者の方々にとって、社会生活を送る上で最も基礎となる情報保障の制度を確立していきます。
そして雇用など、社会のあらゆる分野で聴覚障害者の方々が自分の能力を十分に発揮し、活躍できる社
会環境を整えていきます。
●自由民主党新潟県支部連合会
様
党本部との協議の結果、貴団体より頂戴いたしました個別の設問の回答は差し控えさせて頂き、設問に
関わらず包括回答として回答させて頂きたいと存じます。
自民党では総合政策集にて、次の通り障害者政策について記載し、党としての障害者施策の方向性を明
確にしております。
これまで同様に、今後とも関係の皆様のご意見を伺いながら、共に検討を進めて参りたいと考えており
ますので、引き続きご指導ご鞭撻ならびに自民党へのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
【参考】総合政策集(抄)
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障害者の方への施策の推進
自民党は、障害程度区分から障害支援区分に修正するなど『障害者自立支援法』の改正に精力的に取
り組み、『障害者総合支援法』を成立させました。その着実な推進を図りつつ、国と地方の適切な役割
分担の下、地域の実情を踏まえながら、計画的なサービスの基盤整備を図ります。
また、自民党が主導した『障害者優先調達推進法(ハート購入法)』を着実に実施する等雇用の促進
に努めます。
さらに、精神障害のある人が地域で安心して暮らすことができるよう、『精神保健福祉法』の改正を
はじめとした精神保健医療福祉施策の改革に取り組むとともに、障害福祉サービスの利用の観点から、
成年後見制度の活用をさらに進めます。
自民党は、障害の有無にかかわらず、国民の誰もが相互に人格と個性を尊重し支えあう社会を実現す
るため、『障害者基本法』の改正に主導的に取り組みましたが、さらにその具体化を図る観点から、『障
害を理由とした差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法)』の制定と『障害者雇用促進法』
の改正に取り組み、法案を成立させました。今後、幅広い国民の共感と理解を得ながら、これらの法案
の成立、施行の推進を図ります。
引き続き、障害のある人の自立と社会参加のための施策を積極的に推進してまいります。