エネーボ配合経腸用液について

第 28 号
茨城県立こども病院NST広報誌
2015 年 6 月 30 日発行
企画・編集
NST編集委員
発行責任者
連 利博(副院長)
今年度より新しく NST メンバーとして参加させて頂くことになりました。
2B 病棟では、様々な疾患や原因により摂食・嚥下に問題のある患児が多く入院してきます。以前プラ
イマリーだった患児への摂食支援では医師、ST、栄養士さんなど様々な職種の方々と連携し支援を行
いました。しかし、乳児から哺乳を行えなかった患児への摂食支援は困難で、「食べる事」の大切さ、
重要性を改めて感じました。
また、私は病棟で褥瘡係として活動しており、創傷治癒の面でも栄養管理の重要性については日頃か
らひしひしと感じております。
今後は、入院患者さんに最良の栄養療法が提供できるように NST メンバーの一員として活動していき
たいと思います。若輩者ではございますが、ご指導・ご鞭撻のほど宜しくお願いします!
2B 病棟 藤田 枝里
前任者より引き継ぎ、4月から NST メンバーとなった手術室の横倉です。
私は手術室勤務の中で、患者がよりよい状態で手術に臨み、早期回復をしていただくことを目指して、
手術室スタッフと共に日々努力しています。
職種の違う専門職のメンバーが力を合わせて患者に適切な栄養管理を行うことで、QOL の向上及び医療
の質の向上を目指し、活動を通して栄養評価やサポートについての学びを深め、手術室看護の中に活か
していきたいと考えています。わからないことや不安なことなどたくさんありますが、皆様のサポート
を頂きながら努力していきたいと思います。よろしくお願いします。
手術室 横倉 由香里
今年度から NST のメンバーになりました外来の桑名です。
外来に移動して3年目になります。外来には様々な疾患、年齢の子どもたちが通院しております。偏食
や疾患や病態により食事に制限のため貧血傾向にある子どもたちが少なくありません。外来という特殊
性から限られた時間の中で外来看護師として何が出来るか?栄養状態が改善、維持できるようにサポー
トしていきたいと考えています
外来 桑名 仁美
経腸栄養剤
今年度より NST の一員として参加させていただくことになりました、新生児科の永藤元道です。4 月に
入職して間もない自分が NST のメンバーに加わらせていただくことに大変有難く思っております。
新生児では栄養の基本は母乳ですが、様々な病態、疾患により母乳やミルクが与えられない方々もた
くさんいます。特殊ミルクや経静脈栄養、成分栄養などを使用していく中で、成長の問題や電解質、
微量元素などの不足による症状など様々な問題が出てくることがあり、その度に栄養の難しさを感じ
ます。新生児期にいかに過不足なく栄養を与えていくかがその後の良好な成長や発達に繋がるため、
栄養管理の重要性を最近改めて再認識しております。成長をみていく上で欠かせない栄養管理につい
て勉強させていただきながら、皆さんと一緒に子ども達の為に頑張りたいと思いますので、どうぞ宜
しくお願い致します。
新生児科 永藤 元道
本年度より NST のメンバーとして参加させていただくことになりました、薬剤科の山野辺です。薬
剤師としてもこの春になったばかりの新人として当院に入職し、業務上も勉強しなければならないこ
とが多くあります。栄養のことのみならず、そこに関わる輸液等のことも一からの勉強になります。
NST のメンバーに入るこの機会をいただけたことに感謝しながら、栄養面での薬剤師としての知識を
習得していければと考えております。
薬剤科としては、主に TPN の調整や TPN のカロリー計算を行い、NST の活動に関わっています。経口
での栄養摂取が出来ない児たちや特定の栄養素が不足している児たちの調剤、薬剤管理にも関わって
おり、薬を介しての参画となることがほとんどです。少しでも子どもたちの栄養状態の改善に関わっ
ていければと考えています。
知識、経験不足ですので、ご迷惑をお掛けすることがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願い致
します。
薬剤科 山野辺典子
エネーボ配合経腸用液について
薬剤科 山野辺典子
4月23日に当院でも採用のあるエネーボ、エンシュア・リキッド、エンシュア H について NST 主催
の勉強会が行われました。その中のエネーボについてご紹介致します。
エネーボは経口、経管両用の半消化態経腸栄養剤です。本剤は医薬品経腸栄養剤として初めてセレン、
モリブデン、クロムといった微量元素が配合されており、これは今回の勉強会でも取り上げられたエンシ
ュア、エンシュア H などの医薬品経腸栄養剤と異なる最大の特徴の一つであるといえます。また、カルニ
チンやタウリンといった栄養素も同様に、医薬品経腸栄養剤として初めて配合されています。これら微量
栄養素などは欠乏症が問題となりますが、欠乏症リスク回避の手助けになるものと考えられます。特にカ
ルニチンは他に配合されている医薬品経腸栄養剤はありません。カルニチンはアシル CoA がミトコンドリ
ア内膜へ通過する際に使われ、脂肪酸のβ酸化に必要な捕因子です。バルプロ酸(デパケン)の投与によ
りカルニチン欠乏のリスクが高まることも考えられます。当院ではレボカルニチン塩化物(エルカルチン)
が投与されていることが多いですが、エネーボ使用によりカルニチン欠乏症が改善されたとの症例報告が
あり、小児での欠乏症リスク回避に対しても期待が持てるのではないでしょうか。
エネーボはフラクトオリゴ糖を含んでおり、腸内細菌の改善を図ることが期待出来ます。フラクトオリ
ゴ糖に関しても医薬品経腸栄養剤としては初めて配合されました。エンシュア・リキッドと比べ約 1.5 倍
タンパク質が増えており、1缶あたりでは 13.5g と多い組成となっています。また、1缶あたりではエネ
ーボが 300kcal、エンシュア・リキッドが 250kcal、エンシュア H が 375kcal となっており、3剤の中で
はちょうど中間のエネルギー量です。しかし、副作用としては下痢の割合が多いため、初期投与や患者さ
んによっては薄めて使用するという工夫は必要になってくるかと思います。
エネーボ、エンシュア等の保存方法ですが、1 回で全量使用しない場合、開封後はラップなどで密閉を
し、冷蔵庫で保存して48時間以内であれば使用可能です。
今回の勉強会では、エンシュア H の試飲が行われました。エンシュア H はバニラ味、コーヒー味、メロン
味、黒糖味、バナナ味の 5 種類があります。実際に試飲すると味に関して賛否両論あるようですが、こど
もたちが飲みやすい味を選べる工夫の必要性を感じた一時でした。