閉じこもり傾向にある地j痴生住高齢者の抑うつの程度と QOL

奈良看護紀要 V
0L
1
1
.2
0
1
5
│研究報告│
閉じこもり傾向にある地j
痴生住高齢者の抑うつの程度と Q
O
Lの関連性
奥田淳橋本顕子上平悦子鳥塚亜希軸丸清子
奈良県立医科大学医学割渚護学科
鈴木佑典
奈良県立医科大学附属病院
R
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kiTorituka KiyokoJ
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l
キーワード:閉じこもり
地 域 在 住 高 齢 者 抑 う つ QOL
1
. はじめに
生労働省により高齢者の介護予防の必要性や
5年 (
2
0
1
3年) 1
0月
内閣府によると平成 2
その考え方が示され、介護予防とは高齢者の
5歳以上の人口が 2
5
.1
協を占
現在、総人口の 6
生きがいや自己実現のための取り組みを支援
2年 包0
6
0年)には 6
5歳以上人口
め、平成 7
して、生活の質 (
ωL)の向上を目指すものと
の割合(高齢化率)が 39.9%に遣すると発表
0
1
4
)。
されている(厚生労働省, 2
0
1
3
)。全国の 6
5歳以
されている(内閣府, 2
高齢者の ωLに関連する要因を検討した研
上の高齢者について、認知症有病率推定値
0
0
5
;久保田
究では、性差・年齢(早坂ら, 2
15~も、認知症有病者数約 439 万人と推計され
ら
, 2
0
0
7
) や、身体機能(村田ら, 2
0
0
9
)に
ている(厚生労働省, 2
0
1
0
) ことから、高齢
よる影響が報告されている。谷口ら (
2
0
1
3
)
化率が高まることで、認知機能障害の高齢者
によると、地域在住高齢者の ωLの低下要因
が今後増加していくことが予測される。そし
として抑うっとの関連が示されている。一方、
て、認知機能の低下している高齢者は、 ωL
閉じこもりは生活体力の低下(山崎ら, 2
0
0
8
)
(
q
u
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l
i
t
yofl
i
f
e
) の有意な低下があったと
や ADL (
a
c
t
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v
i
t
i
e
sofd
a
i
l
yl
i
v
i
n
g
) に対
0
0
2
)と
する自己効力感の低さ(蘭牟田ら, 2
報告(小長谷ら, 2
0
0
9
) されている。
高齢者の中でも閉じこもり傾向にある者に
関連性があると述べられている。さらに、閉
ついて、厚生労働省 (
2
0
1
2
) は必身両面の活
じこもりは抑うっとの関連性があることも報
動力を失っていく結果、寝たきりに進行する
0
0
5
;渡辺ら, 2
0
0
3
) されてい
告(新聞ら, 2
との考えを述べている。そして、閉じこもり
O
Lに影響を及ぼ
ることから、閉じこもりは Q
は認知症発症のリスクを高める(厚生労働省,
すことが予測される。そこで、本研究では閉
2
0
1
2
) と言われており、閉じこもりは高齢者
O
Lにも影響を及ぼすことが考えられる。
のQ
じこもり傾向にある地域在住の高齢者におけ
O
Lとの関連について検証
る抑うつの程度と Q
そこで、わが国では高齢化率が高まることに
し、閉じこもり傾向にある高齢者の ωLにつ
伴い、介護予防が重罰見されてきている。厚
いて考察する。
戸
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υ
00
奈良看護紀要
V
O
L
l
l
.
2
0
1
5
l
l
. 用語の定義
(
l
)
G
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cD
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p
r
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s
s
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o
nS
c
a
l
e簡易版
1.閉じこもり傾向
0
0
9
) の基本
使用した生活機能評価(鈴木, 2
(
G
D
S
1
5,高齢者抑うつ尺度)
G
D
S
1
5は 1
5項目からなるうつ評価スケー
ノレで、あり、項目毎に「はしリ「し、いえ」で回答
チェックリストにある「閉じこもり」の項目、
し
、 1間 1点で計算され、 1
5点満点である。 5
本研究において研究対象者を選定する上で
「週に 1回以上外出していますか」と「昨年
0点以上でうつ状態と評
"
"
'
9点はうっ傾向、 1
と比べて外出の回数が減っていますカサの 2
9
9
9,p
p
4
3
5
0
.
)。また、
価される(小津ら, 1
ポジ、ティブ感情の低下J 1
エ
「うつ気分J 1
つの質問のうちどちらかに該当した場合とし
た
。
ネルギー減退」の 3因子から成り立つ(矢冨
2
.Q
O
L
1
9
9
4
)。
(
2
)P
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il
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l
e
主観的割高感を測定する尺度 (
P
h
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l
a
d
e
l
p
h
3
S
c
a
l
e(
P
G
C
)
P
G
C は主観的幸福感を測定するスケールで、
1
1項目からなり、項目毎に「はしリ「し 1いえ」
1点満点で
で回答し、 l間 1点で計算され、 1
i
aG
e
r
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cC
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n
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l
eS
c
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l
e:
P
G
C
)と
主観的健康感尺度は、健康に関連した Q
O
Lの
ある一面に焦点をあてたものとされている
(小津ら, 1
9
9
9,p
p
5
1
5
8
.
)。本研究では、
'
"
'
'
7点は平均、 8点
ある。 3点以下は低い、 4
Q
O
Lを P
G
Cと主観的健廉感尺度を用いて評価
以上は主観的幸福感が高いと評価される(小
した主観的幸福感と主観的健康感とすること
津ら, 1
9
9
9,p
p
5
1
5
8
.
)。また、「孤独感・不
とした。
老いについての態度J1
心理的動揺J
満足感J1
の 3因子から成り立つ(古谷野ら, 1
9
8
9
)。
(
3
)主観的健康感尺度
盟.研究方法
主観的健康感尺度は Q
O
Lを測定するスケー
1.研究対象者
u
r
o
Q
o
l (日本語版 E
u
r
o
Q
o
l開発委員会,
ルE
A村在住の高齢者に対して、 A村の介護予
防事業への対象者を選定するスクリーニング
において、生活機能評価(鈴木, 2
0
0
9
) の基
1
9
9
8
) の一部であり、 7項目からなる。 V
A
S
(
V
i
s
u
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lA
n
a
l
o
gS
c
a
l
e
) を用いf
こ評価ツーノレ
本チェックリスト(以下、基本チェックリス
0
0
聞の線分の左端を最も悪い健康状態、
で¥1
トと略す)が毎年実施されている。基本チェ
右端を最も良い健康状態としている(小津ら,
ックリストにおける「閉じこもり Jの項目を
1
9
9
9,p
p
5
1
5
8
.
)。
2項目中 1個以上チェックした高齢者を研究
4
. 分析方法
実践者の条件とした。研究対象者を選定する
ために、研究期間とした 2
0
1
2年 3月と 2
0
1
3
閉じこもり傾向にある対象者の抑うつの程
年 3月に基本チェックリストによるスクリー
度と QOLの関連を分析するために、抑うつの
ニングを実施された高齢者のうち、本研究の
D
S
1
5を用い、 Q
O
Lの言判面は P
G
C
程度の言判面は G
文橡者の条件に当てはまる高齢者に対して、
と主観的健康感尺度を用いた。 P
G
CとG
D
S
1
5
研究の趣旨を説明し研究参加への同意が得ら
は名義尺度であり、各尺度の得点の付け方に
れた者を研究対象者とした。 2
0
1
2年の対象者
準じてダミー変数化を行った。なお、統計処
と2
0
1
3年の対象者に霊譲はなかった。
理は全ての分析において、 S
P
S
S
2
2
.
0
2
. データ収集方法
S
t
a
t
i
s
t
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c
sB
a
s
eを使用した。
(
1
)G
D
S
1
5とP
G
Cの関連
ブースを設けて評価尺度を用いた聞き取り調
G
D
S
1
5とP
G
Cとの相関関係を分析するため
e
a
r
s
o
nの積率相関係数を求めた。 G
D
S
1
5
に
、P
査を行った。評価尺度は以下の尺度を用いた。
は因子別の得点と合計得点を用い、 P
G
Cは因
研究者と対象者が 1対 lとなり、対面式の
-86-
奈良看護紀要
V
O
L
1
1
.
2
0
1
5
子別の得点と合計得点を用いた。
は3
人であり、うつ状態と判定される 1
0点以上
(
2
)G
D
S
1
5と主観的健康感尺度の関連
G
D
S
1
5 と主観的健康感尺度との相関関係
は0
人で、あった。
を分析するために、 P
e
a
r
s
o
nの積率相関係数
2
. 閉じこもり傾向にある対象者における抑
D
S
1
5は因子別の得点と合計得点
を求めた。 G
O
Lの関連
うつの程度と Q
1
)GDS-15と PGCの関連
を用い、主観的健康感尺度では下位項目別の
G
D
S
1
5の合計得点と P
G
Cの合計得点と因子
得点と合計得点を用いた。
別における第 2因子「老いについての態度」
5
. 倫理的自由意
において、有意な負の相闘が認められた。ま
基本チェックリストによるスクリーニング
た
、 G
D
S
1
5の因子別における第 3因子「エネ
を実施し、研究対象者の条件を満たした者に
ルギーの減退J と P
G
Cの合計得点と因子別に
研究の趣旨と内容、得られたデ}タは研究の
おける第 2因子「老いについての態度Jにお
目的以外には使用しないこと、個人情報の保
)。
いても、有意な負の相聞が認められた(表 2
護に注意することについて説明し,理解を得
2) G
D
S
1
5と主観的健康感凡度の関連
た上で協力を求めた。また、研究への参加は
G
D
S
1
5 の合計得点、と主観的健康感尺度の
自由意志であり、対象者にならなくても不利
下位項目「毎日の気分はし泊ミがですか」の間
益にならないことを口答と書面で説明し、書
に、有意な負の相関が認められた。また、
面にて同意を得た。本研究は、奈良県立医科
G
D
S
1
5の第 3因子「エネルギーの減退」と主
大学の医の倫理委員会の承認を得て劫包した。
観的健康:感尺度の下位項自「毎日の気分はい
かがですか」との簡にも、有意な負の相関が
認められた(表 3
)。
表 1 対象者の属性と尺度の評価結果
男
年齢
女
全体
GOS-15
4点 以 下
5-9点
1
0点 以 上
主観的
健康感尺度
mean土 S
O
8
2.7土 7
.
6
4
8
0
.
8
:
:
!
:
5
.
6
2
8
1
.
1士 5
.
7
8
V. 考察
地域在住高齢者の Q
O
Lの低下要因として抑
0
1
3
) されて
うっとの関車が報告(谷口ら, 2
いる。本研究では、閉じこもり傾向にある高
。
O
Lの関連を分析し、
齢者の抑うつの程度と Q
D
S
1
5とQ
O
Lを測定
抑うつの程度を測定する G
全体
1
8
1
8
全体
1
8 5
5
0
.
3
9土 8
6.
41
全体
PGC
n
3
1
5
1
8
1
5
3
2
.
7
8土 1
.
8
0
8
.
0
6土 1
.
3
0
G
Cや主観的健康感尺度において、有意
する P
2
0
1
3
)
な相関が認められたことから、谷口ら (
の研究と同様の結果が得られた。また、本研
[注]
D
S
1
5、P
G
C、主観的健康感尺度の合
究では、 G
GDS-15:4 点以下でうつなし、 5~9 点でうつ傾向、
計得点や一部の因子、一部の下位項目とも、
1
0点以上でうつ状態と判定。
有意な相関が認められたため、関連性があっ
た尺度や尺度の因子、尺度の下位項目の詳細
I
V
. 結果
1
. 研制象者の属性と各尺度の評価結果
について述べてして。
G
D
S
1
5の合計得点と P
G
Cの合計得点、において、
名
、
閉じこもり傾向のある対象者は、男性3
有意な負の相関が認めら、抑うつの程度が改善
5
名、平均年齢はで81
.1
歳 (
S
D:5
.
7
8
)で
女性1
することで、主観的幸福感が高まることが示唆
あった(表1)。閉じこもり傾向にある対象者の
された。主観的幸福感を測定する P
G
Cは、「満足
に示した。対象者
各寺刊面尺度の評価結果を表l
安定した居場所がある J i
老
感を持っている J i
の鞘教として、う叶項向と判定される 5点以上
いていく自分を受容している」としづ側面を図
-87-
奈良看護紀要
V
0L
1
1
.2
0
1
5
表 2 GDS-15とPGCの栂関関係
GDS-15
うつ気分
ポジティブ感
情の低下
エネルギー
減退
合計得点
PGC
神
孤独感"
不満足感
.
0
1
2
.
1
0
1
老いについて
の態度
一.
2
3
7
一.
0
5
5
心理的動揺
.
0
2
2
.
0
6
8
.
3
0
4
一.
1
6
4
合計得点
一.
2
3
4
.
0
1
1
.
5
5
3
*
ー
一.
4
1
3
一
.
73
7
紳
一.
2
3
2
一.
5
9
0
榊
.
4
7
0
*
:
pく.
0
1 :
p
<
.
0
5
本
表3 GDS-15と主観的健鹿感尺度との相聞
うつ気分
GDS-15
エネルギー
ポジティブ感
情の低下
減退
合計得点
主観的健康感尺度
特
自分の健康状態をどのへんだと思
いますか
.
1
0
9
毎日の気分はいかがですか
一.
1
5
6
一.
0
2
2
夫婦や家旗、子供、孫との仲はうま
くいってますか
一.
1
5
8
.
1
5
4
一.
3
4
5
.
2
7
9
友人や親戚との人間関係には満足
されていますか
一.
3
8
0
一.
0
6
0
一.
1
7
7
.
3
1
5
ご自分の経済状態は、今の収入で
充分ですか
.
0
3
9
ー.
0
1
8
.
1
1
1
.
0
9
2
現在の生活に満足されていますか
一.
2
0
6
一.
0
1
4
一.
0
5
7
一.
0
8
0
すべてを総合して、今自分がどのく
らい幸福だと思いますか
.
1
0
2
.
0
1
7
.
0
6
1
.
0
9
7
合計得点
.
0
9
9
.
1
0
9
.
2
0
9
.
1
6
9
:
pく.
0
1*
:p
く.
0
5
-88ー
2
8
2
目
.
3
4
4
ー.
6
2
9
材
.
1
1
1
一.
4
7
4
キ
奈良看護紀要 V
0L
1
1
.2
0
1
5
る尺度
ω呼宰ら,
1
9
9
9,p
p
5
1
5
8
.
) とされてい
いても、有意な負の相聞が認められた。すなわ
ち、抑うつの程度が改善されることで、「毎日
る。すなわち、抑うつの程度が改善するに伴し¥
閉じこもり傾向にある高齢者は満足感が高め
の気分」を改善する可能性があることが示唆さ
られ、安企感を持つことができ、老いを受容し
れた。抑うっとは気分が落ち込んだ状態である
ていくことができると考えられる。抑うつは高
ことから、抑うつの程度と「毎日の気分Jに関
齢者の精神的健康を強く規定する心的状態で、
感情、意欲、思考、行動に強く影響を及ぼす 、
連があったことは、当然の結果と言えよう。
G
D
S
1
5の第3
因子「エネルギーの減迅は、
ω
P
G
Cの第2
因子「老し、についての態度Jと主観的
0
0
5
) とされており、意欲や行動力の低
川ら, 2
下は閉じこもりを助長させ、 Q
O
Lを低下させる
i
ことにもなりかねない。高齢者は喪失体験や身
体機能の変化から、うつに陥りやすい状態にあ
ることから、閉じこもり傾向にある高齢者の
Q
O
Lを低下させないためには、抑うつの程度に
目を向けることも必要となり、高齢者がうつ傾
向・うつ状態にあれば、それを改善する介入が
必要となるであろう。
G
D
S
1
5の合計得点は、 P
G
Cの第2因子「者l.t¥に
ついての態度Jとも負の相関関係にあった。「老
いについての態度j は下位項目「年をとって前
毎日の気分はいかがで
健康感尺度の下位項目 f
すか」との聞に、有意な負の相闘が認められた。
「エネノレギーの減退」は、下位項目の「外に出
"
自
かけるよりも家にいるほうが好きですかJ [
分が活力に満ちていると感じますカりなどを含
んでいる。すなわち、「エネルギー減退」は意
欲が低下していることと考えられ、意欲の低下
に伴って、老いを肯定的に受け入れることが困
難になったり、「毎日の気分」が良く思えなく
D
S
1
5の因子
なったりすることが示唆された。 G
「エネルギーの減退」は下位項目「外に出かけ
'[
"
若
よりも役に立たなくなったと思いますかJ
るよりも家にいるほうが好きです州を含んで
いときに比べて、今のほうが幸せだと思います
か」などから成り立っている。これらの下位項
おり、閉じこもりの意味合いもあると考えられ
目の得点が高くなることは、老いを肯定的に受
る。閉じこもりの程度が蔚どすることで、抑う
つ状態に陥る一因になることも推論される。従
け入れることができていることを意味すると
考えられ、自分を大切に思うことができること
と言えるであろう。老年期の発管品題において、
って、閉じこもりを助長させない介入が、老い
を肯定的に受け入れることや、「毎日の気分」
を良くする一助にもなり得るかもしれない。
統合性があげられている佃賠~, 2
0
1
4
)。統合
本布究では、閉じこもり傾向にある蝿或在住
性とは、自我の統合を図ることであり、自分の
生き方や価値観を大切に守り、自分を受容する
Lの関係性を検証し
高齢者の抑うつの程度と ω
たが、研究対象者の鞘敷として、 G
D
S
1
5におけ
0
1
4
) である。従っ
ことができること明良部, 2
て
、G
D
S
1
5とP
G
Cの因子「老いについての態度」
人、うつ状態と
るうつ傾向と判定される者が3
判定される者が0
人で、あった。そのため、 G
D
S
1
5
に関連性が認められたことは、抑うつの程度が
で正常判定される者が 1
5
人と多く、対象者に偏
悪化することで、閉じこもり傾向にある高齢者
りがあったことが考えられる。今後は、うつ傾
の発音品題の達成を限害することにもつなが
向やうつ状態の対象者を増やし検証すること
が必要である。また、本研究では先行研究にお
ると考えられる。老年期の発音品題である自我
の統合を達成させるには、うつ状態に陥らせな
いことが必要である。すなわち、閉じこもり傾
Lは、発道課題の観点から
向にある高齢者のω
も、抑うつの程度を悪化させないことが必要と
言えるであろう。
G
D
S
1
5の合計得点と主観的健康感尺度の下
位項目「毎日の気分はし、かがですかJの間にお
ける閉じこもりと抑うつの関連性(新聞ら s
2
0
0
5;渡辺ら, 2
0
0
3
) をもとに、閉じこもり傾
Lについて考察した。従っ
向にある高齢者のω
て、本研究の対象者において、抑うつの程度と
閉じこもりとの関連性を検証していないため、
閉じこもりを測定する尺度を用いて言判面し、閉
じこもりと抑うつの程度の関連性を検証する
-89ー
奈良看護紀要 V
O
L
11
.2015
9(
6
),
社会的要国から.日本公衆衛叫臨, 4
ことが必要になるであろう。
4
8
3
4
9
6
.
V
I
. 結論
厚生労働省.介護予防マニュアル改訂版(平
閉じこもり傾向にある士出筋在住高齢者の抑
成2
4年 3月)• h
t
t
p
:
/
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w
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.出 l
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.
g
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.j
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うつの程度と Q
O
Lの関連性について検証した
i
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2
0
0
9
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0
5
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d
l
/
t
p
0
5
0
1
1
_
1
.
p
d
f(参照 2
0
1
結果、 G
D
S
1
5と P
G
Cにおいて、負の相闘が認
5年 1月 8日検索)
められた。この結果から抑うつの程度が改善
厚生労働省.認知症高齢者の現状(平成 2
2
することで、接見的幸福感が高まることが示
年). h
t
t
p
:
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.由 l
w
.
g
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.
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D
S
1
5は
、 P
G
Cの因子「老
唆された。また、 G
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凶o
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k
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2
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1
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d
l
/
1
3
0
6
0
7
0
1
.p
d
f (参照 2
0
1
4年 1
1月 2
8日)
古谷野亘,柴田博,芳賀博,須山靖男 (
1
9
8
9
).
P
G
Cモラール・スケーノレの構造最近の改
いに対する態度」や主観的健康感尺度の下位
項目「毎日の気分はし泊ミがですカヨの聞にも、
負の相関関係、にあった。さらに、 G
D
S
1
5の第
3因子「エネルギーの減退」は、 P
G
Cの第 2
訂作業がもたらしたものー-社会老年学,
園子「老いについての態度」と主観的健康感
2
9,6
4
7
4
.
尺度の下位項目「毎日の気分はし 1かがですか」
久保田晃生,永田順子,杉山異澄,藤田信,高
田和子,太田喜城 (
2
0
0
7
) .高齢者における
と負の相関が認められた。
Q
u
a
l
i
t
yo
fL
i
f
eの縦陣柏句変化に関する研究
抑うつ状態は気分が憂うつで落ち込み、意欲
が低下し、悲雛句な思考や思考停止などに苦し
一静岡県高齢者保健福祉圏別の検討を中心
む状態で、高齢者の心身の働索状態に強い影響
として一.厚生の指標, 5
4(
7
) ,3
2
ー
4
0
.
を及ぼし、高齢者が日常生活を円滑に営むこと
村田伸,大田尾浩,村田潤 (
2
0
0
9
) .地域在住
を困難にする心的状態である。その心的状態の
高齢者の転倒と身体・語、知・心理機能に関す
程度により、閉じこもり傾向にある高齢者の
る前向き研究.理学療法科学, 2
4(
6
),8
0
7-
Q
O
Lにも影響が及ぶことが明らかになった。そ
8
1
2
.
して、閉じこもりと抑うっとの関係性が報告さ
内閣府.平成 2
6年版高齢者白書概要.h
t
t
p
:
/
れていることから、関じこもり傾向にある高齢
/
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8
.
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1
4
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f
/
1
s
1
s
.p
d
f (参照 2
0
1
4年 1
1
月2
8日)
小川 l
耕平,佐藤親次位0
0
5
) .老年期の不安と
6(
4
) ,4
8
9
抑うつ.老年精神医特臨, 1
7
9
6
.
者のQ
O
Lを低下させない、あるいは、市出寺・向
上させるために、抑うつの程度に着目していく
ことが必要と考えられた。
文献
服部祥子 (
2
0
1
4
) .1
0 成人後期
6
5
歳"'"'生
小長谷陽子,
渡遺智之,太田審城
3
高田和
護人開発達論人間への深し噛軍と愛情を
子 包0
0
9
) .地欄主住高齢者のQua
l
i
t
yo
f
育 む た め に 第2
版
, 1
7
7
1
9
3,東京:医学書
L
i
f
e
C
ω
L
)と認知機能の関連性.日本老年医
学会雑誌, 4
6,1
6
0
1
6
7
.
院
早坂{言哉,後藤康彰, 中本拍子一位0
0
5
) .日常
新聞省二,藤田幸司,藤原佳典,熊谷修,天野
賓貴旺 (
2
0
0
5
) .地域高
生活の関心の志向性と主観的生活の質が高
秀紀,吉田裕人,
齢者の識見的健康感に及ぼす影響一地域,性,
齢者におけるタイプ日J
I
閉じこもり発生の予
年齢別の検討一.厚生の掛票,
5
2(
7
) ,3
2
3
8
.
測因子 2
年間の追朗研究から.日本公衆衛
生雑誌, 5
2(
1
0
) ,8
7
4
8
8
5
.
龍牟田洋美,針ず誠司,阿彦忠之,深尾彰 (
2
0
0
2
). 鈴木隆雄 (
2
0
0
9
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自立および準寝たきり高齢者の自立度の変
評価に関するマニュアノレ(改訂版).東京都
化に影響する予測因子の解明身体・心理・
老人総合研究所.
-90ー
奈良看護紀裏切L
1
1
.
2
0
1
5
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者の生活機能5
刑面ガイド,東京:医歯薬出
版.
谷口奈穂,桂敏樹,星野明子,日井香苗 (
2
0
1
3
).
地域在住の前期高齢者と後期高齢者におけ
O
L関連要因の比較.日本農村医学会雑誌,
るQ
6
2
(
2
),9
1
1
0
5
.
ー渡辺美鈴,渡辺丈員,松浦草麿,樋口由美,河
村圭子,河野公一 (
2
0
0
3
) .基本的日常生
活動作の自立している地域高齢者の閉じこ
もり状態像とその関連要因.大阪医科大学医
2, 144~152.
学会雑誌, 6
山崎幸子,橋本美芽,蘭牟田洋美,繁田雅弘
芳賀博,針す誠司 (
2
0
0
8
) .都市前主住高
齢者における閉じこもりの出現率および住
環境を主とした関連要因.老年社餅学, 3
0
(
1
) ,58~68.
矢冨直美 (
1
9
9
4
).日本老人における老人用う
G
D
S
)短縮版の因子構造と項目
つスケール (
6(
1
),2
9
3
6
.
特性の検討.老年社会科学, 1
n同 d