人の命が懸かる安全最優先の医療機器でも 満足できる高

人の命が懸かる安全最優先の医療機器でも
満足できる高精度ツール
組み込み(エンベデッド)ソフトウェア開発において、最も重視されるのがその品質。不具合の発見が下流になればなるほ
ど時間と労力のロスは大きくなり、万が一、製品が市場に出てから発見された場合、被害は甚大なものになるからだ。まして
や、製品の不具合が人の命に関わる医療機器においては、ソフト品質が何にも増して重要。ソフトの不具合を早期発見する
ため、2012 年に静的解析ツール「Coverity 」を導入した医療機器のトップメーカー、テルモの事例を紹介する。
先端医療機器分野でも検出率の高さと使い勝手の良さが
高評価
程度あったのと動的な確認を試してみたかったため、他のチームが
テスト的に使用していたコベリティのツールを試してみると、今まで
かつて日本が世界をリードしていたテレビやビデオといった民生用
見逃されていた不具合も検出されたので、品質向上に役立つと思
電子機器分野において、韓国、中国にその地位を逆転されて既に久
い決めた」と採用の経緯を明かす。 具体的には「メモリーやリソー
しいが、こうしたデジタル家電とともに組み込みソフトの大きな需
スのリーク、オブジェクトの消去などいわゆるC++の書き方で問題
要先だった携帯電話やカーナビなどの分野においても、日本メー
ないと思っていたところや、コピーペーストミスのような簡単な間違
カーの活躍の場は徐々に少なくなってきているのが現状だ。
いであるが、見つけるのに手間がかかるところを検出してくれること
これらに代わって、今後のわが国の産業を牽引していくと期待さ
が有難い。あとは、コードレビューのミスにつながるので、できれば
れている分野が医療機器とロボット。 医療機器の進歩に伴い、国
見つけて欲しいと思っていた If 文などのネスト(Nest)も見つけてくれ
民の高齢化は先進国のみならずBRICs等巨大な人口を抱える
るのが、非常に助かる」(鈴木氏)としている。
国々まで広がっており、これにより介護ロボットをはじめとする様々
同社では、2001 年頃から他社の静的解析ツールを使用してい
なロボットのニーズが高まる、生活者の負担が減ることで高齢化
るが、その目的はコーディング規約を守っているかどうかの確認が中
社会が進む、高齢者の増加でさらに医療機器ニーズも高まる、と
心となっている。それが、
「Coverity」の導入以降は、その解析
いう循環が生まれつつある。 健康・長寿は人類の根本的な願いで
精度に比例しレビューの範囲を限定できることから、コスト=時間
あり、医療機器市場は今後も安定的な成長が見込まれている。
が、大幅に圧縮されるようになったという。
その医療機器分野で国内売上高トップを誇るのがテルモ。 一般
開発現場で実際に使用している鈴木聖研究員からも、「他社の
消費者にとっては体温計が馴染みのある製品だが、体温計は売り上
静的解析ツールだと、対応しなくてもいいような誤検出が多く、そ
げの1%であり、注射器や注射針、輸液関連用具や心臓病の手術
の場合に『直さない』という履歴を残すことで品質が保つために
で使用するデバイスといった、医療を支えるさまざまな製品群を取り
解析結果に対する管理を別に行ってきた。それがコベリティのツー
扱っている。メディカルエレクトロニクス(ME)機器の領域にお
ルは履歴管理がしっかりしているので、例えば『今はプロトタイプ
いては家電量販店で販売されている電子体温計から、PCPS(経
だから無視しておくけど、製造段階になったら見る』といった使い
皮的心肺補助装置)まで広範囲にわたる。特に、血管を内側から
方ができ、非常に便利」と好評だ。
治療するカテーテル治療に使用される OFDI 血管内画像診断装置
や、点滴などに使用される輸液投与システムなど、精密性と安全性
の両立が求められる高性能医療機器分野に強みを持っている。
同社がコベリティの「 Coverity 」を導入することになったきっか
けについて、研究開発本部 ME 開発の石川皇部長代理は「当
社は、事業領域の拡大とともに対応するメディカルエレクトロニクス
(ME)機器の領域も広げてきたが、最近はコードが数十万行オー
ダーにもなる多機能な機器の開発が増えている。それらの品質を
担保する必要が出てきたので、様々なツールを試してみることにし
た」と語る。また、研究開発本部 ME 開発の井上耕一主任研究
員は「従来使用していた他社の静的解析ツールは、誤検知がある
テルモ株式会社
ME センター
システムアーキテクトグループ
部長代理
石川 皇 氏
テルモ
ケーススタディ
ME 機器ソフトウェアの安全性をシステマティックに
把握出来るツール
コード行数は年々増えており、「10 年前に比べれば数倍になって
同社では、電子体温計から手術用の装置まで手がけているが、
いる。その安全性がテルモの評価だといえる一方、膨大になりつ
大型装置で導入のメリットがさらに大きいとしている。「手術で
つある最終段階の評価工数を如何にシステマティックに短縮出
使用されることもある装置や輸液システムなどは、直接人の命に
来るかというのもメーカーの使命」(石川部長代理)という。
関わるものなので、安全機構の分析をハード・ソフトの全てで
導入の効果について石川部長代理は「また製品が年々複雑
行っており、安全機構に対する仕様(コード)が全体の規模に
になってきていることを考慮すれば満足できる効果が得られてい
対して大きな部分を占めている。 具体的には、作って確認する、
る。また我々の製品は、最悪のケースである市場からのリコール
という作業が非常に多く、 Coverity により事前のチェックが
ということになれば、薬事法に則って、回収しなければならない
高精度で行えることのメリットは大きい」
と、石川部長代理は語っ
ので非常に高額の費用がかかり、ユーザーにも多大な迷惑がか
ている。
かる。このことを考えれば導入コストに見合うくらいの価値はある
国内で 6 割程度のシェアを持つ輸液システムを例に取ると、
と思う。」と高い評価を与えている。
液が人体に入る分量が綿密に関わってくるシリンジ(注射器)の
制御、輸液を押し出すポンプ圧力の制御などを細かく行わねばな
らず、システムとしてのリスクは非常に高い。「見た目には簡単
な装置のように見えるが、
シリンジは劇薬を使用することもあるの
で、より細かくチェックしている」(井上氏)という。さらに、輸
液の流量や気泡の発生、バッテリーの状態等も細かくチェックし
なければならないので、モーター制御だけでなく様々なセンシン
グ技術を組み合わせて安全機構を万全にしている。また、ポン
プ自体の多機能化も進んでおり、最新機種では使う薬ごとに患
者に与える量の上限・下限を設定することが可能。このために
グローバル市場で求められる詳細な履歴管理を実現
さらに今後について、上記のような実績があるため、
「基本的
には新開発の製品には使用していく考えだ」
(石川部長代理)と
いう。「問題点があった時に、どう判断してどう改善するか、と
いう履歴は、医療機器を開発するうえで実はとても重要なこと
で、米国や欧州に製品を出す場合には、日本以上にそのプロ
セスがきちんとしているかどうかが問われる。コベリティのツール
は、これがシームレスにできるので引き続き活用していきたい」
(同)と語っている。
製品無料トライアルをご希望の方は、
http://softwareintegrity.coverity.com/request-a-free-trial-cov-jp.html でお申し込みください。
担当からご連絡させていただきます。
シノプシスについて
Synopsys, Inc.(Nasdaq 上場コード :SNPS)は、我々が日々使用しているエレクトロニクス機器やソフトウェア製品を開発する先進企業のパートナーとして、半導体設計か
らソフトウェア開発に至る領域(Silicon to Software)をカバーするソリューションを提供している。電子設計自動化(EDA)ソリューションならびに半導体設計資産(IP)の
グローバル・リーディング・カンパニーとして長年にわたる実績を持ち、ソフトウェア品質 / セキュリティ・ソリューションの分野でも業界をリードしており、世界第 15 位のソフト
ウェア・カンパニーとなっている。シノプシスは、最先端の半導体を開発している SoC(system-on-chip)設計者、最高レベルの品質とセキュリティが要求されるアプリケー
ション・ソフトウェアの開発者に、高品質で信頼性の高い革新的製品の開発に欠かせないソリューションを提供している。
日本シノプシス合同会社 営業本部 ソフトウェア インテグリティグループ
www.coverity.com/html_ja
〒158-0094 東京都世田谷区玉川2-21-1二子玉川ライズオフィス
TEL: 03-6746-3600 Email: [email protected]
©2015 Synopsys, Inc. All rights reserved. Coverity は Synopsys, Inc. の登録商標です。
その他の会社名および商品名は各社の商標または登
録商標です。