平成 27 年 9 月 9 日 校長講話 中野 潔 絵本「いのちをいただく」を朗読しました 9 月 7 日から 11 日は「給食週間」でした。校長講話で 「いのちをいただく」という絵本を朗読しました。食育で はよく知られている絵本です。 《あらすじ》 小学3年のしのぶ君のお父さんの坂本さんは食肉解体の仕事をし ています。ある日、1頭の牛が食肉解体センターにトラックで運ばれ て来ました。すると、同乗していた10才くらいの女の子が荷台に上 がって、牛に話しかけている声が聞こえてきました。 「みいちゃん、ごめんねぇ。みいちゃんが肉にならんとお正月がこ んて、じいちゃんのいわすけん。みいちゃんを売らんと、みんながく らせんけん。みいちゃん、ごめんねぇ」といいながら、いっしょうけ んめいに、牛の腹をさすっていました。 女の子が悲しんでいる姿を見て、坂本さんは、 「あした牛のみいち ゃんを肉にすることは出来ないから、仕事を休もうと思っている」と仕事から帰ってしのぶ君に話しました。その夜、し のぶ君は坂本さんとおふろに入ったとき、 「心のなか人がしたら、牛が苦しむけん。やっぱり、お父さんがしてやんなっせ」 といいました。 翌朝、しのぶ君は坂本さんに、 「きょうは行かないけんよ!」といって、学校に向かいました。坂本さんはしぶしぶ仕事 に行きました。そして牛舎にいるみいちゃんに、 「みいちゃん、ごめんよう。みいちゃんが肉にならんと、みんながこまる けん。じっとしとけよ。うごいたら急所をはずすけん」といいきかせました。みいちゃんを解く(殺す)ときがきました。 そのとき、ちょっとも動かないみいちゃんの大きな目から涙がこぼれ落ちてきました。坂本さんは牛が泣くのをはじめて 見ました。 後日、女の子のじいちゃんが坂本さんにしみじみといいました。 「あの肉ばすこしもらってかえって、みんなで食べまし た。孫は泣いて食べませんでしたが、みいちゃんのおかげで、みんながくらせるぞ。みいちゃんに、ありがとうといって 食べてやらな、かわいそかろ?というたら、孫は泣きながら、 『みいちゃん、いただきます』 『おいしかぁ、おいしかぁ』 いうて食べました」 坂本さんは、もう少しこの仕事を続けようと思いました。 物語に登場する坂本さんは実在の方です。この方は、自分の経験を伝えるために講演をしておられま す。この講演を聴いたのが、この本の作者の内田美智子さんです。内田さんが講演で聴いたことが下敷 きになってこの物語が誕生しました。 「いのちをいただく」ということは、とっても大切なことですが、伝え方がなかなか難しい内容です。 子どもによっては、受け容れがたいこともあるのかと思います。絵本の絵をスライドにして映しで朗読 し、教訓的なことを余り言わないでおしまいにしようと考えました。 5 年生の子どもたちが書いてくれた感想を記します。 □今日は「いただきます」の意味について教えてくれました。ぼくたちは、いのちをいただいて、ごは んを食べています。ぼくはいつもごはんを残してしまいます。このお話を聴いて、残さず食べようと 思いました。後は、このお話をきっかけに、いつも朝食、昼食、夕食を米一粒も残さずに食べきりた いです。いつもぼくたちは、必ず米、野菜、お肉を食べています。野菜も生きているので、残さず食 べたいです。ぼくは特に、緑の野菜が苦くてきらいです。だから好き嫌いをなくして、食べられるよ うにしたいです。 □動物は人間のために命を落とすと聞いて、命のありがたみを感じました。私たちはいつも、給食を残 したりすることが多いです。その中、おなかかすいても、何も食べられなく、命を落とす人もいます。 その人たちの気持ちを考えて、食べ物のありがたみを感じて、残さず食べきりたいです。命をいただ くことで、私たちが生きていける。動物が命を落とすことによって、私たち人間たちが生きていける。 とってもありがたいことだと思いました。なので私は、これからは食べ物は残さないようにして、牛 やぶた、鳥などの命の大切さを感じていきたいと思っています。 □お話で一番心に残っていることは、坂本さんみたいな仕事をしてくれる人がいるから、私たちは生き ていられるので、坂本さんみたいな仕事をしている人に感謝したいです。私は今まで、給食のときに 平気で残していました。しかしお話をお聴きして、今日の給食、夕飯から、残さずに食べようと思い ます。命をもらっている牛さんやぶたさんに、感謝しなければいけません。 □一番心に残ったことは、小さい女の子が、 「みいちゃんいただきます」と言ったことです。みいちゃん を殺したとき、とても悲しい気持ちで泣いていたと思います。でも、今日ぼくは、牛やぶたや魚から 命をいただいていて、 「いただきます」という理由がやっと分かってよかったです。 □私は、 「いただきます」 「ごちそうさまでした」という言葉を言わなかったり、食べ物を残したりする ことがあります。でもこれからは、ちゃんと言ったり残さずに食べたりしようと思った理由。それは、 坂本さんは本当は牛を殺したくないのにがんばっていること、みいちゃんという牛のお世話を一生け んめいした女の子の牛との分かれ、病気でご飯が食べられない人たち、病気でもないのにご飯がない 世界中の人々の悲しさ。そんなことを思うと、私はとても幸せなんだなと思ったからです。なので、 今日のご飯はできるだけ残さず、感謝の気持ちを込めて「ありがとう」 「命をありがとう」と思いなが ら、これから食べたいです。 □一番心に残ったことは、坂本さんのせつなさです。坂本さんは、牛のみいちゃんを殺してしまうとな って、仕事を休もうとしたけれど、しのぶ君の言葉を聞いて仕事に行ったところです。ぼくだったら、 本当に行きたくありません。ぼくはいままで、こんな話を聞いたことはありませんでした。しかし、 このお話を聞いて、いのちの大切さが分かりました。これからも、命を大切にしていきたいです。お 話ありがとうございました。
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