自殺対策行動計画

自殺対策行動計画
第3編
部門別計画
自殺対策行動計画
自殺対策行動計画
第1章
1
計画策定の背景および趣旨
計画策定の背景
わが国の自殺者数は、平成 10 年以降年間の自殺者数が3万人を超える水準で推移し
ています。その大きな増加要因としては、経済・生活問題に起因する自殺者の急増があ
り、個人の問題では片づけられない社会的要因がその背景に潜んでいることから、自殺
対策は社会全体で取り組まなければならない問題となっています。
そうした中、平成 18 年6月には「自殺対策基本法」が制定されるとともに、平成 19
年6月には国において「自殺総合対策大綱」が閣議決定されています。
宮崎県では平成 21 年2月、
「宮崎県自殺対策推進本部」と「宮崎県自殺対策推進協議会」
が共同により、
「自殺対策基本法」
(平成 18 年 10 月)や「自殺総合対策大綱」(平成 19 年
6月・閣議決定)
、
「宮崎県における総合的自殺対策に関する提言書」
(平成 18 年8月・宮
崎県自殺対策協議会)等を踏まえ、県並びに多種多様な分野の団体・機関が取り組む施策、
方策を盛り込んだ「宮崎県自殺対策行動計画」(第1期行動計画)を策定し、平成 25 年 3
月にこれまでの取組みの実績や課題を評価し、「自殺のない地域社会づくり」を推進してい
くため、第 2 期行動計画を策定、推進しています。
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計画策定の趣旨
宮崎県は、国内でも自殺率が高く、この対策を図るために様々な事業を展開している。
本町においても、この問題への打開策を講じる必要がありますが、単に自殺率の低減を
図るということでなく、その原因となる事象の把握、それを相談・ケアする体制づくり、
一般町民の意識を高めていくための行動計画を策定します。
こうしたことから、本計画では、自殺対策における現状と課題を明らかにするととも
に、自殺対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的方向を定め、
「みんなが
づき・つなぎ・見守りができる町
気
みまた」をめざすします。
3 計画の位置づけ
(1) 本計画は、自殺対策基本法第4条(地方公共団体の責務)の規定に基づき、本
町の状況に応じた自殺対策の施策を策定するものです。
(2) 本計画は、三股町における自殺対策を推進していくための総合的な計画で、宮崎県
の「宮崎県自殺対策行動計画(第2期)
」を踏まえたものです。同時に町の最上位計画
である「第五次 三股町総合計画」等と整合性を持ち、自殺対策に関連する他の計画と
連携を図るものです。
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4 計画の期間
本計画の推進期間は、平成26年度から平成30年度までの5年間とします。
なお、計画は、必要に応じて見直しを行うこととします。
5 計画の推進体制
(1) 計画の推進に当たっては、
「自殺対策協議会」を構成する各機関・団体が中心となっ
て、各々の役割を果たすとともに、相互に緊密な連携、協力を図りながら、各種施
策を総合的かつ効果的に推進します。
(2) 計画の推進に当たっては、自殺対策に関係する機関・団体をはじめ、企業や地域の関
係団体、町民各位の協力を仰ぎながら、各種施策の取組を推進します。
(3) 「自殺対策協議会」において、随時、計画の推進状況等について点検、評価し、その着実な
推進を図ります。
6 計画の数値目標
平成29年までに、自殺死亡率10%以下にするということを目標とします。
区分
平成17年
平成24年
平成30年(目標年)
全
自殺死亡率
24.2%
21.0%
-
国
自殺者数
30,553 人
26,400 人
-
宮
崎
県
自殺死亡率
30.6%
24.5%
-
自殺者数
252 人
275 人
-
自殺死亡率
48.9%
15.7%
10.0%以下
自殺者数
12人
4人
2人以下
三
股
町
※自殺死亡率は、人口10万人に補正して計算。 ※自殺者数は実数。
自殺対策行動計画
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基本理念
自殺の多くは、個人の自由な意思や選択によるものではなく、失業、長時間労働、多
重債務など様々な社会的要因により心理的・精神的に追い込まれた末の死であり、自殺
を図った人の多くはうつ病等の精神疾患にかかっているといわれています。
ストレス過多の現代社会の中で、自殺は、特定の人だけの問題ではなく、すべての町
民に起こりうる問題あり、また、遺族や周りの人々に、深い悲しみと生活上の困難をも
たらすほか、社会全体にも大きな影響を及ぼします。
このため、本町では、町民一人一人がうつ病等の精神疾患を正しく理解し、かけがえ
のない命を守ることの大切さを認識し、さらに、様々な社会的要因の見直し等に関係機
関等が連携して取り組むことなどにより、町民が生きる喜びを共有できる社会の実現を
目指し、計画の理念を次のとおり設定します。
「みんなが
気づき・つなぎ・見守りができる町
3
みまた」
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施策推進の基本的な考え方
自殺対策の推進にあたっては、基本理念のもと、
「連携・協働の視点」を中心として、
「世代に応じた視点」
、
「自殺の各段階に応じた視点」を加えた3つの視点を基本的な視
点として、総合的に取り組みます。
また、地域での取組が困難な制度の見直し等については、他の関係機関等との協同に
よる国等への働きかけなどによって、その見直し等を促進します。
【世代に応じた視点】
青少年
中高年
高齢者
《基本方針》
◆ 心の健康づくりをすすめます
◆ 町民一人ひとりの気づきと見守りを促します
◆ 社会的な取り組みで自殺を防ぎます
【分野別に
応じた視点】
児童生徒
高齢者
労働者
多重債務
未遂者・
遺族
【自殺の各段階に応じた視点】
◆ 自殺予防の体制づくりをすすめます
(連携・協働の視点)
○ 町民一人一人が自殺について理解
し、専門家につなげる
○ 自殺を考えている人を関係者が連携
して包括的に支える
事前予防(一次予防)
危機対応(二次予防)
事後対応(三次予防)
自殺対策行動計画
第2章
アンケート調査の概要
※集計結果修了後、記載します。
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第3章
1
計画の推進
施策体系
施策の体系
施策の体系
【基本方針】
◆ 心の健康づくりをすすめます
◆ 町民一人ひとりの気づきと見守りを促します
◆ 社会的な取り組みで自殺を防ぎます
◆ 自殺予防の体制づくりをすすめます
【基本的施策】
1 自殺予防に向けた
普及啓発の充実
2 自殺予防のための
相談・支援の充実
(1) 自殺に関する情報の提供
(2) 普及啓発活動の推進
(1) 自殺に関する相談窓口の充実
(2) 各種相談機関ネットワークの強化
(3) 相談従事者等の資質の向上
3 心の健康づくりと
心の病気の早期発見・
(1) 心の健康づくりの促進
(2) 心の病気の早期発見の促進
早期治療の促進
4 自殺未遂者、遺族等
への心のケアの充実
(1) 自殺未遂者等のハイリスク者への対応
(2) 遺族等への心のケアの支援
自殺対策行動計画
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具体的な取組み
(1) 自殺に向けた普及啓発の充実
自殺は、個人の自由な意思や選択の結果と思われがちであるなど、未だ十分な理
解が得られない状況にあります。
多くの自殺は、様々な悩みにより心理的に追い込まれた末の死であり、早期の相
談や支援などの社会的な取り組みにより自殺は防ぐことができるということを普
及啓発していくことが重要となります。
① 自殺に関する情報の提供
広報、ホームページ等を活用し、自殺予防に関する総合的な情報を誰もがわかり
やすいように提供します。
また、自殺の要因となる健康問題や経済・生活問題などに関する情報や各種相談
窓口等の情報を一元的に提供します。
内容
対象者
関係課
自殺予防コーナーの
設置
一般町民
福祉課
広報、ホームページ等
による啓発
一般町民
福祉課
相談体制の強化
一般町民
福祉課、総務課
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主な協力関係機関等
都城保健所
② 普及啓発活動の推進
命の大切さの理解を深めるとともに、市民一人ひとりの気づきと見守りを促すた
め、全国自殺予防週間(9月10日~16日)等における各種啓発活動を展開しま
す。
また、自殺や精神疾患に対する偏見を取り除くため、こころの相談員等を通じて
正しい知識の普及を図ります。
内容
対象者
自殺予防週間に
あわせた普及啓発活動
一般町民
福祉課
自殺対策強化月間に
あわせた普及啓発活動
一般町民
福祉課
小・中
教育課
学校生徒等
福祉課
各種学校への啓発
企業への啓発
労働者
関係課
産業振興課
主な協力関係機関等
三股町商工会
自殺対策行動計画
(2) 自殺予防のための相談・支援の充実
近年の自殺者数の増加の背景には、社会的要因である経済・生活問題に起因する
ケースの増加や働き盛りの男性の自殺があります。
早急に、失業者や多重債務者問題に関する専門窓口の充実が求められており、町
では平成22年度より福祉・消費生活相談センターを開設しております。
① 自殺に関する相談窓口の充実
誰もが相談しやすい体制づくりに努めるとともに、関係機関や団体等と連絡しな
がら相談窓口の充実に努めます。
内容
対象者
関係課
主な協力関係機関等
三股町相談窓口の周知
一般町民
福祉課
健康相談(こころとか
らだ)の推進
一般町民
福祉課、町民保健課 都城保健所
各種相談窓口の開設
一般町民
福祉課
社会福祉協議会
ハローワーク
多重債務・経済問題等
の相談・支援
一般町民
福祉課、総務課
消費者相談センター
南部福祉こどもセンター
高齢者の介護等につい
ての相談・支援
一般町民
福祉課
包括支援センター
② 各種相談機関ネットワークの強化
民生委員児童委員協議会、三股警察署、宮崎県精神保健福祉センター、都城市消
防局等と連携して、地域における見守りや相談体制の充実を図ります。
内容
相談機関との連携
対象者
関係課
庁内関係課
関係機関・団体との
連携強化
庁内関係課との情報共
有の強化、相談活動の
充実
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主な協力関係機関等
③ 相談従事者等の資質の向上
メンタルヘルス対策を推進する関係機関等と連携し、研修等の充実を図ります。
内容
各種研修会の開催
対象者
相談
従事者
関係課
福祉課、町民保健課
主な協力関係機関等
精神保健福祉センター
都城保健所
(3) 心の健康づくりの病気の早期発見・早期治療の促進
心の健康づくりについては地域、職域等において講演会や研修、勉強会等を実施
し、心の健康の保持・増進について普及啓発をしていく必要があります。
また、自殺未遂で病院に搬送された方の多くがうつ状態などの精神的な病気の状
態にあり、本人自身がうつ病の状態にあることに気づいていない方が少なくないと
いう報告があります。
このため、こうしたうつ病などの心の病気の早期発見・早期治療は、自殺対策を
進めるうえでも、極めて重要な課題であるとともに、自殺の原因となる様々なスト
レスの対応など、心の病気にならないための心の健康保持・増進を図る必要があり
ます。
① 心の健康づくりの推進
地域において、講演会や教室等を開催し、心の健康づくりを推進します。心身の
健康増進への取り組み、ストレスの対処法や自殺、精神疾患等についての正しい知
識の普及に努めます。
内容
対象者
関係課
うつやアルコール依存
症等、知識の普及
一般町民
福祉課、町民保健課
心の健康教育の推進
一般町民
福祉課、町民保健課
メンタルヘルス勉強会
や講演会等の開催
一般町民
福祉課、町民保健課
主な協力関係機関等
精神保健福祉センター
都城保健所
精神保健福祉センター
都城保健所
精神保健福祉センター
都城保健所
自殺対策行動計画
② 心の病気の早期発見の促進
状況に応じて適切な支援を行うために、こころの健康度チェック票等を活用し、
うつ病の早期発見に努めます。
内容
対象者
関係課
こころの健康度チェッ
ク等の実施
一般町民
福祉課、町民保健課
こころの相談等の充実
一般町民
福祉課、町民保健課
主な協力関係機関等
精神保健福祉センター
都城保健所
精神保健福祉センター
都城保健所
(4) 自殺未遂者、遺族等への心のケアの充実
自殺未遂者等に対する心のケアを、県や医療機関と連携を行いながら実施しま
す。
遺族等へのケアについては、県との連携のもとに実施していきます。
① 自殺未遂者等のハイリスク者への対応
自殺未遂者等のハイリスク者の支援については、県、医療機関等と連携のもと、
適切な介入を行い、心のケアをしていきます。
内容
対象者
自殺未遂者等に対する
対応
自殺
未遂者等
関係課
主な協力関係機関等
福祉課、町民保健課 病院、消防署、警察
一般町民
一般町民
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② 遺族等へのこころのケアの支援
宮崎県内では、大切な方を自殺で亡くされた方同士がお互いの悩みや体験などを
分かち合う場としての交流会「自死遺族のつどい」が開催されています。
本町では、遺族に対する支援機関と連携をとりながら、遺族等に対し相談窓口や
勉強会や講演会等の情報提供に努めます。
内容
対象者
関係課
心のケアに向けた
勉強会や講演会等の
開催
一般町民
福祉課、町民保健課
宮崎県等との遺族の集
い等の情報提供
一般町民
福祉課、町民保健課
※ 三股町自殺対策における連携体制
主な協力関係機関等
精神保健福祉センター
都城保健所
精神保健福祉センター
都城保健所
図作成後挿入