保育士給料表新設問題 第2回団体交渉議事録

議事録
市側
保育士給料表の新設については、11 月 12 日に大枠の内容をご提案して以降、小委員会交
渉において具体の考え方を説明のうえ、協議を重ねてきたところであるが、条例改正等の
手続きを考慮するとギリギリの日程となってきたため、本日はこの間の協議内容を踏まえ
た修正を行ったうえで、給料表の詳細についてご提案をし、皆様方にご判断をいただきた
いと考えているのでよろしくお願いいたしたい。
修正提案配布
提案内容であるが、
「1 給料表の新設」に関しては、この間の協議内容を踏まえ、1 級
の最高号給水準について改善を行ったものとしている。
次に「2
級及び号給の切替」及び「3
給料月額の経過措置」に関しては、水準の低
下に対して配慮を行う必要があることから、制度改正がなかったとした場合における実施
日の級号給から切替えを行い段階的に引き下げることとしている。また、号給の切替表、
及び、給与制度改革の経過措置適用者にかかる取扱いについても水準低下に対し最大限に
配慮した内容としている。
また、
「4 昇格基準」から「7 初任給基準」については、当初提案どおりとしている
が、
「8 再任用職員」以降については、昨日の市労連との交渉内容を踏まえた内容として
いる。
提案内容については以上である。
組合
この間、昨年 11 月 12 日に保育士給料表新設についての提案を受けて以降、小委員会交
渉を重ね、内容理解とともに、問題点を指摘してきた。
また、1 月 8 日の小委員会交渉においては、市側より「1 級の最高号給の設定」「切り替
え対応」
「経過措置」について修正するとの考え方について説明があり、先ほど修正提案が
された。
この間の交渉等において明らかにしているとおり、今回の新給料表の提案は、市政改革
プランにあるとのことであるが、地方公務員法における「均衡の原則」の一部、いわゆる
民間との均衡のみを根拠としたものであり、生計費や国及び他の地方公共団体の職員の事
情を考慮されたものとなっていないと考えるところである。
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さらに、現行主務相当に加えて、格付けを伴う「主任保育士」のポストを新設するとい
う新たな昇格制度が提案されたが、民間の職員構成や業務内容の実態を反映したものとな
っていないばかりか、加えて、現在の行政職の昇格制度とも均衡を失しているものであり、
市側がこの間繰り返してきた「職務給の原則」等に基づいた設計に鑑みても、十分な検討
がなされていないのではないかと考える。
新給料表においては、一般保育士とされる新 1、2 級の最高号給の設定は組合の考えから
はなお大きな隔たりがあり、行政職給料表からの切り替えにあたっても経過措置は講じら
れるものの、現給保障を行わないなど、すでに 2012 年の『給与制度改革』によって、給与
水準自体が総じて大幅に切り下げられている中で、保育士職員の生活を鑑みない提案であ
る。
また、新 3 級については現時点でも 155 人の枠とされることで、多くの保育士が新 2 級
に切り替えられることとなるが、これまで、現場において経験を積み、大阪市の保育行政
に貢献してきたことが否定をされるかのようなものであることなどを、この間指摘をして
きた。
今回提案の背景である、大阪市人事委員会の 2013 年 12 月の報告では、
「本市側と民間側
で人員構成等の組織・人事の構造が大きく異なること」、「保育士及び幼稚園教員の職務の
重要性、処遇確保の必要性等」、
「待機児童の解消など、本市保育所及び幼稚園運営への影
響」に留意することとしたうえで、
「その職務の重要性を考慮し、給与面に限らず、より一
層意欲と能力を発揮し、職務に邁進できるような環境整備、処遇等を検討していく必要が
ある」と言われているが、なんら提案では言及されていない。
加えて、本市の保育行政の質やその内実について、継続性や今後も求められる役割につ
いて何ら明らかにされない中では、保育士が将来にわたって安心して、大阪市で保育に携
わることができないのではないかと考えるものである。
改めて、市側に提案された制度全般について、再考を求めておきたい。
市側
ただ今、委員長から様々なご指摘をされたうえで再考するよう求められたところである。
まず、地方公務員法におけるいわゆる「均衡の原則」に関してであるが、この原則の運
用としては、給料表構造や手当の種類などについては国家公務員の給与制度を基本としつ
つ、給与水準については、地域の民間給与をより重視することとされていることから、こ
れを踏まえた提案であるものと考えているところである。
また、主任保育士の昇格制度に関しては、民間の主任保育士業務を本市保育士の業務内
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容に照らして十分に検討を行ったものであり、一般保育士である新2級の最高号給水準に
関しては、組織・人事構造の違いも踏まえ、単に民間水準に合わせるのではなく、一般的
な民間従業員の給与上昇率も参考に設定したことや、新1級の最高号給水準に関しても提
案で触れたとおり一定の改善を行っていることについて申し上げておきたい。
なお、今回のご提案は、本市が「職員基本条例」などでも掲げている、民間の同一職種
の給与水準を参考にするといった課題に対して行うものであり、保育士の皆様が本市の保
育行政に貢献されてきたことを否定するものでも、保育行政の質を低下させるために行う
ものでもないことをご理解いただきたいと考える。
私どもとしては、今回の取組みによって保育所の運営に支障をきたすことがないよう、
経過措置等に十分配慮したところであり、再考の余地はないものと考えているところであ
る。何卒よろしくお願い申し上げる。
組合
ただいま再考の余地がないという市側回答があったが、本日の団体交渉には保育現場か
らも代表が参加をしているので、意見を申し上げる。
民生支部の保育士を代表して、一言、こども青少年局長に申し上げる。
いま、子どもたちがおかれている環境は、
「子どもの貧困」問題としていわれるほどに厳
しいものがある。とりわけ福祉的ニーズの高い子どもたちが通所しているのが、公立保育
所であり、それぞれのケースを受け止め、対応しているのが公立の保育現場の実態である。
長期間のフォローが必要なケースも少なくなく、継続した対応をしてきた。
民間の保育所がそうした点を十分には対応しきれていないのは、予算や補助金の問題、
さらには人材の問題があるからではないか。
保育現場並びに保育士の代表として、申し上げる。これまで人権保育を基点にした保育
を目指せ、としてきた大阪市の保育観に応え、公立保育所保育士が保育に思いを込めて積
み重ねてきた保育の質について、局長の考えを示していただきたい。今回の新給料表の提
案では、民間の給料と比べて公立は高いから下げる、という内容になっているが、保育の
レベルはどのようになると考えているのか。
一方で、今回の調査によって民間保育所の保育士の処遇が悪いことが数字として明らか
になっている。公立保育所の保育士給料が下がることで、民間保育士の給料に関わる影響
については、どうお考えなのか。また、民間保育所への行政的補助は、どう変わるのか。
今後どのように取り組もうとしているのか、示していただきたい。
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市側
これまで公立保育所においては、障がいのある児童、家庭的支援を要する等、配慮を要
する児童、医療的ケアの必要な児童など、民間保育所では対応しきれない児童の受入れに
ついても、積極的に行ってきていただいたものと認識しております。
本市として、人権保育の視点に立って、これまで児童1人1人の人権を大切にした保育、
障がいのある児童とない児童が共に育ちあう共同保育を実践してきたものであり、まさに、
セーフティネットの役割を果たしてきたものであります。
この点につきましては、公立保育所の保育士が長年にわたり、積み重ねてきた実績であ
り、その功績は大きいと評価いたしております。そのことにより、公立保育所において、
高い保育の質が維持されてきており、公立保育所の重要な役割であると認識いたしており
ます。
この保育の質を維持するために保育士が果たす役割は重要であり、保育士給料表の新設
があったとしても、士気を低下せず、大阪の子どもたちのため、引き続き、維持していか
なければならないと考えております。三年前から私や理事・部長が、すべての保育現場を
巡視しており、引き続き実施するとともに保育現場の実態の把握に努め、職員の士気の維
持に努めてまいります。
また、民間保育士の給料に関わる影響についてですが、民間保育士の人件費は、本市か
ら支給する保育所運営費によってまかなわれております。
保育所運営費は定員、児童の年齢等に応じ、国基準で保育単価が設定されているため、
今回の保育士給料表の新設が、直接民間保育士の給与水準に影響することはないと考えて
おります。
民間保育所への行政的補助についてですが、民間保育士の処遇改善が喫緊の課題である
ことは国も十分認識しており、給与処遇を引き上げるため、平成 25 年度より保育士等処遇
改善臨時特例事業を実施し、民間保育士の処遇改善をしております。
また、国においては、平成 27 年 4 月 1 日に予定されている「子ども・子育て支援新制度」
の施行に向けて、職員の定着・確保の観点から、民間保育所の運営経費を増額するという
考え方が示されています。
本市においても、保育士の定着・確保は重要な課題であると考えており、
「子ども・子育
て支援新制度」の施行にあたっても、国に対して処遇改善に必要な財源措置がなされるよ
う引き続き要望してまいります。
組合
いま局長から、回答において公立保育所の保育士の担ってきた役割についてふれられた
が、私たちは自らが担う業務について、主体的にこれまで取り組んできた。絵本やビデオ
を購入して保育士たちに貸し出し、遊びやゲームの研修を行うなど、豊かな育ちのために、
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保育所で育つ子どもたちのために昼夜を問わず歯を食いしばって頑張ってきた。ひとり親
家庭などの環境の子どもに対しては、親とのコミュニケーションを積極的にとるなど親と
も寄り添ってきた。障がい児が入所したときには、卒園までの間、関係機関との連携によ
り子どもにとって最良の方法をとってきた。
このような地道な保育の取り組みは、今日、昨日でできるものではない。長年にわたっ
て積み重ねられてきた経験、人権保育の実践のなかでのみ実現できるものである。
給料表が新設されても士気を低下させず、維持していかなければならないとあったが、
ではそのためになにをするのか。なにをしなければならないと考えているのか。
また、民間保育士の処遇改善について国における処遇改善策、さらには必要な財政措置
への要望について考えが示されたが、私たちが求めているのは全国でも待機児童が多いと
されている大阪市としてのとりくみである。大阪市における民間保育所が保育士を集める
のに苦労しているのは、労働条件、とりわけ賃金が低いことにあると認識しているはずで
ある。大阪市における主体的な取り組みの必要性に対する認識を再度示すよう求める。
市側
先ほどの保育所巡視については、私たちが保育所職場を理解することで、保育士の業務
に対する意欲の向上が図られていると所長からも聞き及んでおります。職場を視察すると
ともに保育士職員からの意見を聴くことで、より一層保護者対応の難しさなど現場で働く
保育士業務の課題を把握できるよう努めております。
また、職員が士気の低下をきたさないよう、ブロック代理を中心に保育所の抱える課題
について丁寧に対応するとともに、適宜報告を受けるようにし、組織的に対応してまいり
たい。
保育士の確保についてでございますが、大阪市に限らず全国的に確保が困難な状況であ
ることは十分認識しております。本市は、保育士人材確保対策事業として、保育士資格を
有しているが現在保育所に勤務していない方などを対象に、大阪市内の認可保育所への就
職支援に取り組んでおり、保育士の確保に努めてまいります。
財政状況が厳しいなか、待機児童の解消や保育士の確保等に向け本市の重点施策として
取組みを進めておりますので、ご理解賜りますようお願いいたします。
組合
局長から、改めて回答があった。保育現場では、さきほど申し上げたように極めて厳し
い中にあっても、目の前の子どもたちのために最善を尽くしている。新給料表は、その思
いに全く応えないばかりか、そうした思いを踏みにじるものであり、現場の保育士は怒り
とやり切れない思いでいっぱいである。私たちは、公立も民間も、質の高い保育環境を整
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える、それが保育行政の責任者であるこども青少年局長の責任である、と考えている。そ
の期待に応えるよう、現場の声を代表して求めておく。
いま、まさに日夜保育行政の最前線で奮闘していただいている声を聴いていただいた。
市職は、組合員とその家族の権利と生活を守る立場とともに、この間の保育をめぐる施策
と関連して大阪における保育や子育てが守られるのかという視点からも、今回提案につい
て市側に姿勢を質してきたところである。
この間、大阪市は大阪府に追随して、「民間社会福祉施設職員給与改善費」を廃止した。
廃止の際の理屈は、本市職員の給与減額によって「本市職員の給与と措置費が均衡してき
たため」とし、待機児童の解消や人材確保による子育て環境の改善が全国的な課題となる
中で、民間の保育士らの処遇を悪化させるものであった。その上で、今回市側が提案にあ
たって、公立保育所の保育士給与は民間実態からかい離していると主張していることは、
まさに本末転倒しており、自ら施策の不整合や矛盾を拡大させるものと断じざるを得ない。
今回明らかとなったことは、賃金センサスを大きく下回る民間保育士の給与水準であり、
そのことに対して、何らの考え方を持っていない大阪市の姿勢については、憤激するばか
りである。賃金・勤務条件の低さが離職の原因と理解し、課題が明らかになっているにも
かかわらず、別途の施策を積極的に推進している中にあっても、次年度予算において今回
の人事委員会の報告に対する措置を講じない市側姿勢は驚きを禁じ得ず、全く理解できな
いものである。
市職は、今回の「保育士給料表」新設提案は、人事委員会の報告はあるものの、大阪市
における子どもたちの保育や教育行政の総合的な検討を行わないままに、単に保育士の給
与水準を引き下げるものであると考えるところであり、市側に対して強く再考を求める。
市側
冒頭にも申し上げたが、私どもとしては、本日の交渉をもって条例を提案してまいるの
でよろしくお願いする。
組合
これまでの労使慣行からも、労使合意なき市会への条例提案については認められないも
のであり、絶対に行わないように求め、引き続き交渉を継続するようあわせて求めて本日
の団体交渉を終える。
市側
重ねてよろしくお願いする。
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