(事業) 材料技術力の強化 (PDF形式、689kバイト)

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日立化成の価値創造プロセス
マテリアリティ報告
事業
材料技術力の強化
基本的な考え方
日立化成は、
「時代を拓く優れた技術と製品の開発
内部からの技術革新だけではなく、社会の潮流を取り
を通して社会に貢献する」
という企業理念に基づき、新
こんだ外部との協働も重要であると考えています。そ
製品開発の基礎である材料技術力の強化に取り組ん
うしたオープン・イノベーションへの取り組みを含め、
でいます。中期経営計画では、ハイエンド分野におけ
次世代の新製品開発に必要な、特徴ある材料技術の
る材料技術力を強化し製品の差別化を図ることを成長
強化に取り組んでいます。
戦略の1つとしており、その戦略を実行するためには、
日立化成の特徴
日立化成は、4 つの源流製品開発で培われた有機・
適な特性を導き出す「プロセス技術」、的確なデータ
無機化学にまたがる深い材料ノウハウと、製品を進化
分析により次の一手を導き出す「評価技術」、求められ
させる過程で生み出された多彩な技術をボーダーレ
る機能を実現する「設計技術」。材料技術をはじめとし
スに組 み 合わせることで、価 値を提 供してきました。
たこれら 4 つの基盤技術において、技術革新型企業と
材料開発の基本となる精製、抽出、配合、合成などか
しての企業価値を社会に提供しています。
らなる「材料技術」、さまざまなニーズに合わせて最
基礎技術と事業領域
基盤技術
重点事業領域
情報通信・ディスプレイ
源流製品
絶縁ワニス
積層板
材料技術
精製、抽出、配合、有機・無機合成、精密重合、
有機無機ハイブリッド
プロセス技術
表面・界面制御、
粒子分散、
含浸、
塗工、
コンポジット化、
積層、
焼結、成形加工、バイオテクノロジー
評価技術
材料特性評価、実装プロセス評価、実装信頼性評価、
分析、解析
設計技術
分子・粒子設計、機能性樹脂設計、デバイス設計、
高周波回路設計、熱設計、CAE
環境・エネルギー
カーボンブラシ
絶縁ガイシ
ライフサイエンス
自動車・交通インフラ
研究開発体制の強化
社会インフラ、未来技術、基盤技術)
ごとに開発センタ
日立化成では、将来を担う先端技術の研究をいっそ
を設けています。
う強化するため、重点事業領域にシフトした研究開発
さらに、急速に変化する市場環境や次世代のニーズ
体制を構築するとともに、売上高の 5% 超を研究開発
に迅速に対応するため、研究開発部門にマーケティン
費に投入し、新製品・新事業の創出に努めています。
グの役割も持たせています。マーケティング力の強化
また、研 究 所については、独 立した部 門ではなく、
を目的とした研修を関係者に受講させ、日立化成の技
新事業本部に所属させて「事業化促進を支援する機
術とお客さまのニーズを効果的に結び付けられるよう
能」
として位置付け、重点研究分野(情報通信、電池、
努めています。
Annual Report 2015
日立化成の価値創造プロセス
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2014年度の取り組み
太陽電池の変換効率向上に貢献する
L I B は、大容量で小型・軽量である特性を活かして、
波長変換粒子を発売
ノートパソコンや携帯電話などのモバイル機器、近年
日立化成は太陽電池の封止シート向けに、発電効率
ではハイブリッド自動車・電気自動車、再生可能エネル
を向上させることができる波長変換粒子を開発し、販売
ギー向け蓄電池などにも使用されており、ますます用
を開始しました。この波長変換粒子はアクリル樹脂粒子
途が広がっています。
内に蛍光体粒子を含有させたものであり、これまで発電
に利用できなかった短波長の光(紫外線)
を長波長の光
(可視光)
に変える機能を持っています。この粒子を使
(2)
微細配線形成材料で「第 10 回 JPCA 賞 ( アワード)」
を受賞
用した封止シート( 波長変換フィルム ) を用いた太陽電
日立化成は、「セミアディティブ対応微細配線形成
池モジュールでは、変換効率が最大で 2.2% 向上※する
材料」
で、「第 10 回 JPCA 賞 ( アワード)」
を受賞しまし
ことが確認できました。また、この粒子は耐久性に優れ
た。審査は学術界、電子回路業界、専門誌編集者など
たアクリル樹脂に分散させていることから、太陽電池モ
の委員で構成される選考委員会にて行われ、①製品・
ジュールの耐久性を損なうこともありません。加えて、
技術の独創性(独自性・オリジナリティ)、②産業界で
封止シートメーカーがこの粒子を封止シートに混合させ
の発展性・将来性、③信頼性、④時代の適合性が選考
る際、封 止シートメー
基準となります。今回は、応募テーマ総数 18 社 22 件
カー側でのプロセス変
の中から 6 件が本賞を受賞しました。当社は 6 度目の
更の必要はなく、生産
受賞となります。
性には影響を来たさず
本製品は、次世代のさらなる微細配線化に対応す
に変換効率を向上させ
るため、極めて低 粗 化でめっき銅 および 絶 縁 樹 脂と
ることができます。
蛍光灯下
紫外線下
※ JIS C 8919に準じた屋外試験により、従来の封止シートを用いた
太陽電池モジュールと比較した結果
(JIS C 8919:結晶系太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法)
の 密 着 性に優れたセミアディティブ 対 応 微 細 配 線 形
成 材 料です。本 製 品をガラスクロス入り基 材と組 み
合わせて用いること
で、セミア ディティ
材料技術力に関する受賞
(1)
「高性能なリチウムイオン二次電池用炭素材料の
ブ 工 法に対 応でき、
高 剛 性と微 細 配 線
発明」で平成 26 年度全国発明表彰 朝日新聞発明賞、
化 ( L / S = 5 / 5μm
発明実施功績賞を受賞
以 下)を 両 立 す る
日立化成は、平成 26 年度全国発明表彰において、
パッケージ基板など
「 高 性 能 なリチウムイオン二 次 電 池 用 炭 素 材 料 の 発
明」( 特許第 3325021 号 ) で特別賞
「朝日新聞発明賞」
および「発明実施功績賞」
を受賞しました。
リチウムイオン電池(LIB)
用炭素材料とは、当社が開
発、生産しているLIB 用負極材です。今回の発明はその
を製造できます。
KPI 売上高研究開発費比率
*
(売上収益研究開発費比率)
(%)
6.0
製品の材料・製造方法に関する特許です。粒子の内部
4.0
に細孔を形成した擬似等方性の球塊状黒鉛粒子にする
2.0
ことで、従来の負極材に比べ、エネルギー密度や大電
流特性などを飛躍的に高めることに成功し、高性能 LIB
の実用化に貢献したことが高く評価されました。
微細配線化を実現 (L/S=5/5μm)
0
5.3
5.4
5.5
5.3
4.8
2010 2011 2012 2013 2014
日本基準
5.4
5.1
2013 2014(年度)
IFRS
*() 内は IFRS に準じた表記
Annual Report 2015