担い手育成指導(潜水士の育成及び潜水事故防止の取り組み)

普及項目
漁業種類等
対象魚種
対象海域
担い手育成
青年部活動
漁協青年部
日本海中部
担い手育成指導(潜水士の育成及び潜水事故防止の取り組み)
北海道後志北部地区水産技術普及指導所(担当者:小笠原 和重)
【背景・目的】
当地区では近年、増養殖事業の衰退や青年部活動の低迷もあって、青年部世代において、
「潜
水士免許取得」を目指す者が殆どいない現状にあり、水産高校出身者なども、卒業後に再受験
する例は希で、浜では合格が難しい「憧れの資格」という位置付けであった。
青年部活動の活性化や新たな活動を模索する際、「免許を取りたい」との要望が多かったこ
とから、潜水士育成及び潜水事故防止研修を、活性化の一助として取り組むほか、前浜資源管
理・有効利用を担うリーダー的人材の育成を目指している。
【成果・普及の内容・特徴】
平成 14 年度から、資格及び試験の情報提供を行うとともに、簡易版資料を作成した他、平成
15 年度に、有資格の普及指導員が講師となって「勉強会」を開催した結果、受験者 16 名中 12
名が合格した。以後、勉強会を適宜開催し、平成 16 年度は6名中3名、平成 18 年度は6名中
5名の受験者が合格した。また、平成 18 年度には、他地区からも勉強会の依頼があり、4名中
4名の受験者が合格、
平成 20 年度は7月に5名が受験し5名全員が合格している
(勉強会には、
これまで合計 37 名が参加、新たに 29 名の潜水士が誕生)。
免許試験に合格したからといって、未経験者や未熟者、器材等に不慣れな場合、パニックに
陥り易く、生命の危険があることから、指導所では、免許取得者には、最低限の実技と潜水事
故防止を兼ねた実習が責務と考え、平成 15 年秋、独自に研修会を計画したが、器材不足等によ
り断念した。そこで、施設や器材を備え、研修実績があった道立漁業研修所に相談したところ、
平成 16 年3月「潜水事故防止研修」が実現し3名が参加した。その後も毎年、研修を申込み、
平成 16∼18 年度は各6名、平成 19 年度は2名が参加し、平成 20 年度は新たな地区の参加を予
定している。インストラクターが初級から上級まで適切に指導するため、高度な潜水技術が習
得できると好評を得ており、自身の安全確保の他、地域での潜水事故防止意識の向上にも貢献
している(潜水事故防止研修には、延べ 23 名が参加)。
【成果の活用】
現在、勉強会や潜水事故防止研修は、青年部活動として事業計画に盛り込まれ、全員合格を
目標とする地区も現れ、青年部活動活性化の一助となった上、免許取得は、各自の自信に繋が
り、ベテラン漁業者からも一目置かれる効果が得られた。潜水士が増え、新事業の可能性が開
け、潜水器漁業への布石として期待される他、指導所では、現在、漁業や関係機関との更なる
連携と事故撲滅を目指し、管内で唯一、潜水施設を併設する道立小樽水産高等学校での研修実
現に向け、地区漁協青年部連絡協議会などと協議を進めている。
【その他】
当地区は、潜水愛好者が多く密漁被害も発生していることから、度々、潜水排除論も聞かれ
るが、資源管理・有効利用を図る上で、潜水が効果的な一手段であることの認識を深めるため、
関係部会との協議・連携に向けた働き掛けを進める計画である。
写真1 テキスト
写真2 自作の問題集及び解説資料
写真3 勉強会の状況
写真4 勉強会の状況
写真5 基礎トレーニング
写真1 勉強会
写真6 要救助者の救護実習
写真1 勉強会
写真7 水中での潜水器脱着実習
写真8 浮遊障害物クリア実習