2015 年 10 月 10 日 共同宣言 (日本語仮訳) 世界死刑廃止デーに寄せて、我々外務大臣は共同で、人間としての尊厳を尊重する世界を求める。複 雑な問題である死刑制度は、我々の社会の基本的な価値観を疑い続け、刑事司法に対する我々の理 解に挑戦し続けている。 我々は死刑制度の存続を支持する人々の意見を尊重し、また、すべての人が凶悪犯罪から守られる権 利を有していると信じている。しかしながら我々は、国家による死刑執行は、21 世紀にはもはやふさわし いものではないと考える。現代の司法制度は懲罰を超えるものを目指すべきである。 死刑制度に反対の根拠は言うまでもない。一般的な考え方に反して、今年の死刑廃止デーのテーマで ある麻薬に関する犯罪を含め、死刑執行が犯罪を抑止する、あるいは防止するとの主張を裏付ける証 拠はない。いかなる司法制度も決して誤りから免れることはできず、それゆえ死刑判決は無実の人を死 に追いやりかねない。しばしば、死刑宣告は貧しく、弱く、そして社会の隅に追いやられた人々に偏って 宣告され、社会でもっとも弱い立場の人々への差別を助長する。また、死刑宣告は犯罪被害者やその家 族に相応の償いも、精神的救済も、もたらすことがない。死刑執行は、現代の司法制度が目指すべきも のとは正反対の、憎しみと暴力を増すだけである。 全世界に向けて我々が呼びかけるこの共同宣言は、死刑廃止国と死刑存置国の外務大臣によって発 せられた。より効果的でより人道的な司法制度に向けて共に歩むためには、交流と協力が必要であるこ とを我々は認識している。我々は、力を合わせ、死刑を過去の刑罰に変える経験と意欲をもっている。す でに大半の国が世界的な死刑廃止を支持している。我々はすべての国がすぐにもこの趨勢に加わるこ とを切望する。 以下の国々の外務大臣が署名: Héctor Marcos Timerman (アルゼンチン共和国), Julie Bishop (オーストラリア連邦), Saliou Akadiri (ベナ ン共和国), Mauro Vieira (ブラジル連邦共和国), Moussa Bédializoun Nébié (ブルキナファソ), Manuel González Sanz (コスタリカ共和国), Ratu Inoke Kubuabola (フィジー共和国), Lener Renauld (ハイチ共和 国), Edgars Rinkēvičs (ラトビア共和国), Béatrice Jeanine Atallah (マダガスカル共和国), Claudia Ruiz Massieu (メキシコ合衆国), Lundeg Purevsuren (モンゴル国), Børge Brende (ノルウェー王国), Albert Ferreros del Rosario (フィリピン共和国), Grzegorz Schetyna (ポーランド共和国), José García-Margallo y Marfil (スペイン), Didier Burkhalter (スイス連邦), Feridun Hadi Sinirlioğlu (トルコ共和国)
© Copyright 2024 ExpyDoc