TASC Monthly(た ばこ総合研究センター≧J昌 理畳□艶匡』 nl Tへ SC ン ﹂ ﹂ ノ グ イ アセ テ モ 随想 一 ピケ MONTHLY no4ア 塩 沢 由典 大 阪市立大学名誉 教授 経済 に関す る分厚 い本 が相次 いでベ ス トセラー クス は資 本 主 義 の長期 傾 向法 則 を 唱 え たが、 そ にな ってい る。 アセモ グル とロ ビンソンの『 国家 れ らは指針 として まちが っていて人 々を惑わ した。 は衰退す る』 (草 思社、 上下、 2013年 6月 、全 718 ピケテ ィ も同様 だ、 とい うのだ。 この見立 ては公 頁)と ピケ テ イ の『21世 紀 の 資 本 』 (み す ず 書 房、 正 な ものではな いが、 かれ らの 「法則理解」 その 2014年 12月 、全706頁 )の 2冊 である。 もの もまちが つてい る。 と くに リカー ドについて この よ うな大部 な本が世界 的に読 まれ る ことは、 経済 に関す る人 々の関心 の高 ま りであ り、経済 問 題の深亥」さの表れで もあろ う。 ピケテ ィ とアセ モ グル は、 よ く似て い る。 二 人 は丸で分 か つていない。 リカー ドは長期 には地主階級 の所得 シ ェアが増 大す る と論 じたが、それ は穀物法 が継続すれば と い う仮 定 の も とで の予 想 で あ つた。 か れ の死 後、 とも若 く、 まだ40歳 台。 1993年 か ら 2年 間、 とも にMITの 若 い教 員だ つた。本 も長期 デー タに基 づ 穀物法 は廃止 され、国民所得 に 占め る地代の シ ェ アは低下 した。 アセモ グル とロ ビンソンは、 これ いて経済の大 きな変化を主題 としてい る。 を リカー ドの 「一 般 法 則 Jの 反 証 と してい るが、 経済学 が長 いあいだ短期 の経済変動 に注 目 して きたの に対 し、成長や分配 とい う経済学 の古 い関 事実 は正反対 で、 これ は リカー ド理論 が妥 当 した 心 に も ういち ど火を点 けた とい う意味 で も、二 著 はよ く似 てい る。 しか し、根本 の ところで二 人 の 理論 は しば しば反事実 的推論 を用い る。 二 人 は リカー ドの結論 を条件 な しの長期法則 として捉 え、 考 えには大 きな違 いがあ る。 ピケテ イが主流 の経 事実 に反す る とした。 しか し、仮定が異な るのだ 済学 に懐疑 的なの にたい し、アセ モ グル は主流派 か ら、結論 が異 な るのは当然 であ る。 この ことは、 経済学思想 の伝道者である。 例 である。 将来 ノーベル賞 を もらうか も しれな い とい うよ う 『国家 は衰退 す る』 でス ター ダムに上 った アセ な経済学者 で も、 ときに理論的思考 が まった くで モ グル だが、後 に 出 た『21世 紀 の資 本 』 に追 い きな い こ とを意味 してい る。 これ はアセモ グルー 越 された。 とうぜ んお も しろ くな い感情 もあ ろ う。 昨年暮 れ、 アセモ グル とロ ビンソンが『21世 紀 の 人の特殊事例 だろ うか。 資本』 の批判 を公 開 して、それ が また反響 を呼ん でいる。 わた しも読 んでみ たが、 よい勉強 にな った。批 判 を書 く こ とは、本 を書 く以 上 に著 者 の考 え方 く (の 問題 点)を 明 らか にす る。 しば しば批判 を書 ゎた しも自戒せね ばな らない。 二 人 の批判 の骨子 は、表題 「資本 主義 の一般法 マル 則 の興 隆 と衰退 Jに 集約 され る。 リカー ドと プロフィール ……… ………… …………………………… しおざわ・よしの り 理論経済学 1943年 、長野県 生 まれ。京都大学 理学部数学科卒 業。 フランス留学 中に 経 済 学 に転 向、京 都大 学助 手 を経 て、大 阪市立 大 学 助教授・ 同教授。 2008年 、中央大学 教授、昨年3月 定 年退職。現在、 大阪市立大学名誉教 授。 F市 場 の秩 序 学』 でサントリー学芸賞。昨年『 リカー ド貿易問題 の最 終解決』 を出したc 3
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