不安定な動きの中、戻りを探る - しんきんアセットマネジメント投信

しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp
投資環境
2015 年 10 月 2 日
不安定な動きの中、戻りを探る
1.落ち着くまでの時間
中国発の世界経済の減速懸念や米金融政策の不透明感などから、内外の金融市場は不安定な動きが続いてい
ます。米国の金融政策については、12 月の利上げ開始がメインシナリオですが、シカゴ連銀のエバンズ総裁
は「利上げを遅らせるべき」、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は「10 月に利上げに踏み切る可能性
ある」と述べるなど、決め打ちはできません。
恐怖指数とも呼ばれるVIX指数(シカゴ・オプション取引所SPXボラティリティ指数)はやや低下して
きていますが、不安が大きいとされる 20 ポイントをまだ上回っています(図表 1)。また国内株についても、
日経平均株価のボラティリティー・インデックス(日経平均VI)は 30 ポイントを上回っており、依然とし
て高水準にあります(図表 2)。
米国でも日本でも、ボラティリティ指数が 40 ポイントを超えると、市場が落ち着くまでには時間がかかり
ます。2010 年以降のVIX指数は、

2010 年 5 月 20 日に 45.79 まで上昇し、安定的に 20 を下回ったのは 10 月 11 日以降

2011 年 8 月 8 日に 48.0 まで上昇し、安定的に 20 を下回ったのは 2012 年 1 月 19 日以降
と、落ち着くまで 5 か月から 6 か月程度かかっています。
また、日経平均VI(標準的な水準がVIX指数より高いため、安定の目安を 25 ポイントとする)では、

2010 年 5 月 21 日に 44.0 まで上昇し、安定的に 25 を下回ったのは 9 月 17 日以降

2011 年 3 月 15 日に 69.88 まで上昇し、安定的に 25 を下回ったのは 4 月 20 日以降

2011 年 8 月 9 日に 42.69 まで上昇し、安定的に 25 を下回ったのは 12 月 1 日以降

2013 年 6 月 13 日に 46.19 まで上昇し、安定的に 25 を下回ったのは 9 月 20 日以降
と、落ち着くまで 1 か月から 4 か月程度かかっています。
最近では、VIX指数は 8 月 24 日に 40.74、日経平均VIは 8 月 25 日に 47.01 まで上昇しました。これ
までは、不安の少ない状態に戻る前に、米国株、日本株ともに底打ちしていますが、しばらくは不安定な動き
が続きそうです。
図表1. 米株とVIX指数
(ポイント)
(ドル)
(円)
20,000
70
18,000
60
16,000
50
14,000
40
16,000
30
12,000
30
14,000
20
10,000
20
12,000
10
8,000
10
10,000
6,000
0
VIX指数(左目盛)
NYダウ(右目盛)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
47.01
18,000
日経平均VI(左目盛)
15/7
15/1
14/7
14/1
8,000
13/7
(年/月、日次)
13/1
15/7
15/1
14/7
14/1
13/7
13/1
12/7
12/1
11/7
11/1
10/7
10/1
0
46.19
42.69
12/7
40
44.00
12/1
40.74
11/7
48.00
45.79
11/1
50
22,000
69.88
20,000
10/7
60
10/1
70
図表2. 日本株と日経平均VI
(ポイント)
(年/月、日次)
日経平均株価(右目盛)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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2.日銀の金融政策も不透明要因
加えて、国内では日銀の追加緩和観測がくすぶっています。日銀が、
“2015、16 年度の物価見通しを下方
修正する方向で検討に入った”と、報じられています。8 月の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、前年同月
比 0.1%下落と、28 か月ぶりのマイナスになりました。低インフレが継続していることから、日銀は 30 日の
金融政策決定会合で、
「経済・物価情勢の展望(展望レポート)
」の物価見通しを引き下げる方針のようです。
市場では、物価安定の目標の 2%が一段と見通せなくなったことから、物価見通しの引き下げに合わせて、
追加の金融緩和に踏み切るとの観測がくすぶります。また、政府が補正予算による景気対策を打ち出すのに合
わせ、日銀が追加金融緩和に踏み切るとの見方も出ています。
もっとも、黒田日銀総裁は、「生鮮食品を除く消費者物価の前年比はこのところ 0%程度で推移しており、
直近でマイナス 0.1%になっているが、当面 0%程度で推移するとみている。しかし、生鮮食品とエネルギー
を除いた物価上昇率でみるとプラス 1.1%まできており、物価の基調はしっかりと改善してきている」と、強
気の姿勢を崩していません。ただ、日銀は、昨年 10 月末に、サプライズとなった追加の金融緩和(黒田バズ
ーカ第 2 弾)に踏み切った実績がありますから、今月 2 回予定されている金融政策決定会合で追加緩和に踏
み切る可能性は否定できません。
直近の日経平均株価の予想株価収益率(PER)は、14 倍程度と割安な水準ですが、不安定な値動きが株
価の上値を抑えている格好です(図表 3)
。しばらくは、不安定な動きの中、日米の金融政策や、4-9 月期の
企業業績を確認しながら、戻りを探る展開となりそうです。
20
図表3. 日経平均株価とPER
(倍)
(円)
19
22,000
20,000
18
18,000
17
16
16,000
15
14,000
14
12,000
13
予想PER(左目盛)
15/10
15/7
15/4
15/1
14/10
14/7
14/4
10,000
14/1
12
(年/月、日次)
日経平均株価(右目盛)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
(シニアストラテジスト 鈴木和仁)
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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