第44回研修会案内 (2015.6.10発行)

2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
HSCCP
2015.6
44
HYOGO SOCIETY OF CERTIFIED CLINICAL PSYCHOLOGISTS
兵 庫県臨床心理士 会
No.
ニュースレター
「心理臨床家 (実践者・トレ-ナ-・教育者) であることと、
反知性への誘惑」
兵庫県臨床心理士会会長 羽下
大信
私事に亘るが、新聞・テレビなどとの接点はか
画面は、ある40代の主婦の服装を変えたいとの要望
なり狭く限定し、疎遠にしている。パソコンも、
をかなえる、といった取材番組だった。女性のスタ
最小限のメ-ルと、すぐには会えない遠方・国外
イリスト (別の職業名を言ったかも) が登場した。
の人たちとのFacebookくらいで、他にはまず使わ
この段階での僕の予想は、この人が依頼者の要望
ない。世間嫌いなわけではない。ア-ト・イヴェ
を聴いて、当人に合う服を選び出し、組み合わせを
ントや音楽ライヴ、 (ハリウッド以外の) 映画には
考え、足りなければショッピング、といった展開か
出かける。
な、だった。
自分にとって必要と思われる情報は、一次情報
以下は、放映の概略。このスタイリストさん
(直接情報) か、信頼できる個人からのものに限り、
が、依頼者手持ちの服と組み合わせ・着方が、今
二次情報 (間接情報) や誰が出したか不明のもの
のようなった事情を尋ねた。当人、とりあえず答
は、△かキャンセル扱いにする。たとえば、「○
える。かのスタイリストは「似合う」と「好き (馴
○さん、○○らしいで」のような、いわば人づて
染んでいる) 」は違うと説明し、似合うものを選
の情報は、全て消去にするか棚上げにする。
別し、着てらもう。結果は、僕が見ても、似合わ
これらは自分に時間をつくるための手段であ
ないことはないけど、なんかヘン、だった。当人
る。これらの作業は気持ちにスペ-スを確保する
も、どこか着心地が悪そうでモジモジ、納得しが
ことと、確かな情報を残すこと、つまり、自分な
たい様子。
りのお片付けなわけである。
では、と、次の提案。当人のいつもの格好で
こうしてできたスペ-スを使い、心理系ではない
街に出て、全くの他人にはどう見えるか訊いて
知人や彼らに繋がる人たちと会ったり、Facebook
みる、だった。ようやく幾つか意見を貰うが、当
を介して、ときには動画付きで、やり取りをする。
人、それらには全く同意せず。
発信者の気配が見えたりするリアルな一次情報を
打つ手なし。が、ここで、かのスタイリストは
もとに、質問や個人の見解が交わされ、その展開
場を移し、涙ながらに、初めて、という自己開示
も互いに見る。
をする。20代の頃の難病治療で荒れた肌、自他共
この作業は、自分として「そのこと」を考えて
に「かわいそうな人」。が、ある転機を得て、服
みようとする時、とても助けになる (そして、日
装が変わると自分が変わり、他人の見る目が変わ
本には、良く見て、良く考え、時には行動する個
る、それがわかった、と語る。
人が、国内だけでなく世界のあちこちにもいる
さて、ふたりで外出予定の日、当人の出で立ち
なー、と思う) 。
には、「似合わない」と却下されたアイテムが
先日、ホテルの部屋で簡単な朝食の間、何か音が
・・。スタイリストは気を取り直し、その理由を尋
欲しくてテレビをつけた (ときどき、そうする) 。
ねる。この質問によって、こうならざるを得ない
1
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当人の事情と歴史と、さらには、アシスタントの
耐えがたさ、わからないことへのいら立ち、シン
リ-ドによって、なぜ変えたいのかに踏み込んだ
プルに理解したい熱望、と見える。
話しが語られ始める。ここから事態は大きく展開
こうして、流れが狭められ加速された情熱は、
・・ (後略) 。
人を、自らの限られた理解・知識・技術の中に閉じ
僕は、自分の安直な想定を恥じた。同時に、こ
込め、そこからモノを見させてしまうことになる。
のプロセスの展開のし方は心理療法一般のそれと
その結果、相手への説明・手続きの煩雑さ・不確
良く似ているな、相似形だなと思った。また、こ
かさの不安・摩擦は、省略・回避される。その代わ
こでの語りはnarrativeになっていることに気づい
りのように、断定と非妥協とが登場する。その小さ
た。「服装と (不可分) の自分を変えたい!」と当
い例が、先程のテレビの前の僕で、本当はよく知り
人が思っていても、「こうでしかなかった自分」
もしないことが目の前に来て、つい、チャチャッと
が一方にいて、その抵抗はなかなかしぶとい。こ
片付けたくなってしまったのである。
れを越えるには場への仕掛けが必要で、ある局面
では、この未知や、不確かさが、もっと大き
ではnarrativeの部分も不可欠である。この場合、
く、しかも長く続いたとしたら、どうなるか?先
場面や流れをリ-ドする仕掛け・セッティング
程描いた事態、「ある熱心さ」が起動されるはず
は、その場に生きるものでなければ意味がない。
だ。それは、この事態を一言で説明し、一気に動
そして、そのヒントはその場面の中にある。
かしたい (してほしい) 誘惑の形をとって現れる。
この、変化が起きる時の、必要にして十分な条
僕の見るところ、一旦、生まれると、この誘惑は
件のセッティングや場のリ-ドは、このスタイリ
なかなかに執拗なようだ。
ストが、たぶん自力で体得したものだろう。立派
いや、自分にはそれはないし、あってもそれほ
である。大したもんだ!
どではない、と思っただろうか。「知性的」スタ
僕の番組冒頭の想像は、横柄な予想、つまりは
ンスを維持する訓練は、一方の負の面として、
勝手な断定だった。その意味で小さな「反知性
「自分はそれを知らない、それがわからない」こ
的」態度と言えるだろう。
とに怯え、怖れるという条件づけもしてしまうよ
われわれは、心理臨床という「相手」と「自分」
うだ。同時にまた、自分が持った、その知識や理
と「関係の場」の三者が絡み合う、複雑さの3乗の
論や技術によって相手を支配する欲望を刺激する
ような事態に参入するために、理論や知識や技術
面もある。入り組んだ事態を一気に、丸ごと説明
を身につけるべく、訓練をする。関係の場を創り展
してくれる理論が欲しい。快刀乱麻・一刀両断。
開するためのツ-ルとして、 (情・意を含む) 自分
胸のすくようなそれ。自分もそうしたり、他者に
を使えるようになること。そこを目指す。その意味
そうされたいという願望。それも同時に学んでい
で、これ「知性的」であるための訓練である。
るはずだ (忘れているかも) 。「知」は、ある面で
知性とは、自分の知・情・意の在り方、その振
自分や他者を支配し、また、そのようにする快で
る舞いについて、無限に自己更新することと言え
もあるから。
る。しかし、「知性的」スタンスを保持する訓練
この前提からすると、ここで挙げた「反知性
は、それを積むほど、人を事態の複雑さの藪へと
的」という情熱に火がつく危険から自由な人はい
導く。視野に入れ、また、かかわるべきファクタ
ないのではないか。逆にいえば、ある事柄・事態
-が増えるからである。それは、この自分が飽和
に関して、「私はそのことを知っているわけでは
する危険も増大させる。そして、飽和点に近づい
ない」とあっさり言えるのなら、とりあえずは、
た私は、やがて未知・新奇なものを受け入れるこ
自分をその危険から自由の位置に置くことができ
とが不可能になっていく。
る。断定したり、結論を押しつけたり、相手の話
一方、こうした事態は、かえって、私の臨床
を無視したりしないで済むからである。
と訓練と教育への、ある熱心さを加速するよう
ただ、われわれが心理臨床の場にいるときに
だ。自分のしていることの手応えを得たいという
は、実践者・トレ-ナ-・教育者のどのポジショ
欲望。それが、より強く刺激され、より沢山の反
ンであっても、「それを知らない」のなら、相手
応・応答、即座の「いいね」が欲しくなる。この
の言うこと・することに身を委ねればいいという
欲望ゆえに、「ある熱心さ」と言った。この熱心
ことにはならないだろう。われわれには、先程
さを加速するものは何か。私見では、複雑さへの
のスタイリストが体現したような、相手にかかわ
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り、そこに変化を起こす場面を創り出す役割があ
ちなみに、僕の実感では、たとえば、人が熱心
る。それゆえに、われわれは、再び訓練に帰る必
過ぎるとき、そのことが起きているようだ。もっ
要がある。「反知性的」熱心さが、いつの間にか
とも、この「熱心過ぎる」ことに気がつくのは、
発動されていないか、絶えず振り返りながら、自
多くの場合、その人の周りにいる他人のほうが先
己更新するために。
なのだが。
各種委員会より
にてお問合せください。
(3) メールアドレス、住所等の会員情報について
会員情報にメールアドレスが登録できますの
で、是非ご活用ください。メールアドレスは、自
1. 事務局より
事務局長 森 茂起
宅・勤務先の2種類が登録できます。登録の際に
(1) 総会のお知らせ
は、送信希望されるメールアドレスを選択してく
平成27年7月12日 (日) に、第44回研修会にあわせ
ださい。また、メールアドレスや住所等を変更さ
て、平成27年度兵庫県臨床心理士会総会が開催さ
れた場合にも、ご自身で登録内容を更新すること
れます。総会の議題として、平成26年度決算報告
ができます。兵庫県臨床心理士会ホームページに
及び事業報告、平成27年度予算案及び事業計画案
て、会員IDとパスワードを入力してご登録下さい
について、会員の皆様に審査いただく予定です。
ますようお願い致します。または、変更内容を事
ご参加お願いいたします。
務局までメールまたはFAXにてお知らせくださ
(2) 会費の払込みについて
い。メールエラーや宛先不明を防ぐため、ご協力
2015年度 (H27) の年会費につきましては、本年7
よろしくお願い致します。
月に (株) プロアクティブより払込み用紙が各会員
(4) 事務局の体制について
あてに送付されます (新入会員を除く) 。用紙がお
庶務 : 的場充憲、福原万希子、会計 : 速水香、前
手元に届きましたら、最寄のコンビニエンススト
川真美が担当しております。会員の皆様のお役に立
アから速やかに払込み下さいますようお願い申し
てるように微力ながら尽くしてまいりますので、今
上げます。
後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
2014年度 (H26) までの年会費が未納の会員におか
(5) 事務局の連絡について
れましては、払込み用紙の有効期限 (6月末) を過ぎ
事務局の連絡先は以下の通りです。担当者が常
ますとコンビニエンスストアからの払込みが不可
駐しておりませんため、電話でのお問合せは受付
能になります。業務を (株) プロアクティブに委託
ておりません。メールまたはFAXにてお問合せ下
しております関係上、払込み用紙の紛失や有効期
さいますよう宜しくお願い致します。
限を過ぎるなどした場合には、払込み用紙の再発
行1件につき324円の手数料が上乗せして請求され
**********************
ますので、ご理解下さいますようお願い申し上げ
兵庫県臨床心理士会事務局
ます。
〒658-8501神戸市東灘区岡本8-9-1
また、3年以上の会費滞納のある会員におかれま
甲南大学18号館
しては、兵庫県臨床心理士会規約第9条の規定によ
FAX専用 (078) 453-1922
り、会員の資格を喪失 (退会処分) しますのでくれ
ホームページ http://www.hyorinsin.gr.jp
ぐれもご注意下さい。
ご自身の会費納入状況につきましては、兵庫県
メール [email protected]
**********************
臨床心理士会のホームページにて、会員ID (半角8
桁の数字) とパスワードをご入力頂ければ確認する
2. 研修委員会より
ことができます。どうぞご利用ください。ご不明
委員長 佐伯 文昭
点がある場合には、事務局までメールまたはFAX
今回の第44回研修会は、前回同様、午前に全体
3
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会、午後に分科会を実施します。
い言葉で説明をして頂き、1度手を染めるとそこか
午前の全体会では、2013 (平成25) 年5月18日
ら抜け出すことが難しい依存症の病理について理
に世界保健機関 (WHO) による「International
解を深めることが出来ました。
Statistical Classification of Diseases and Related
第2回研修会は、3月15日 (日) に、「事例検討」
Health Problems、ICD : 疾病及び関連保健問題の
と題した1日研修会を実施しました。日頃臨床で出
国際統計分類」とともに、国際的に広く用いられ
会う患者さん達について、よりタイムリーで具体
ている米国精神医学会 (APA) の「Diagnostic and
的なスーパーバイズを受けたいと言う声に応える
Statistical Manual of Mental Disorders、DSM : 精
べく企画致しました。午前中は参加者一人一人が
神障害の診断と統計マニュアル」の第5版が出版さ
自己紹介し、現在抱えている課題について発表し
れ、その邦訳が2014 (平成26) 年6月30日に医学書院
ました。それに基づいて午後は「子ども」「発達
から出版されました。DSM-5は、19年ぶりとなる
障害」「高齢者」「精神病圏」「アセスメント」
マニュアルの主要な改定であり、どのような経緯
などテーマ毎にグループに分かれて活発な意見交
で、どのような点が改定されたのかを知っておく
換が行われました。医療保健分野に限らず、教
ことが、臨床に携わる臨床心理士にとって必要と
育、福祉等の領域からの参加者と共に、具体的で
思われます。今回、皆さんがよく御存じの田中究
且つ多面的な視点を持って検討を深めました。そ
先生 (兵庫県立光風病院院長) をお招きし、DSM-5
れぞれのグループに本多雅子先生 (神戸臨床心理の
の改定についてのご講演をしていただくことにし
会) 、岡田由美子先生 (加古川西市民病院) 、高橋年
ました。
道先生 (神戸市医療センター中央市民病院精神神経
また、午後の分科会では、学校現場で使える健
科) 、岩本直子先生 (神戸大学医学部精神科) 、中谷
康・安全教育、DV被害者支援、認知症・高次脳機
恭子 (兵庫県立光風病院) が入りディスカッション
能障害の3つの分科会を開催いたします。会員の皆
のスーパーバイザー的役割を致しました。
様の奮ってのご参加を願っています。
今後も希望の多かったテーマについて「臨床で
研修委員会では研修プロジェクトチームの協力
生きる」研修会を企画したいと思います。H27年度
を得ながら、研修会の企画・運営を行っていま
も2回~3回の研修会を実施できるものと考えてお
す。研修プロジェクトチームのメンバーを引き続
ります。
き募集していますので、関心のある方はご連絡く
平成26年度は、毎月第3水曜日に医療保健領域企
ださい (ニュースレター第43号参照) 。
画「HCPカフェ」を設営し、全部で11回開設しま
最後に研修に対するご意見、ご要望がございま
した。一人職場の多い病院臨床の心理士同士が、
したら、お気軽に研修委員あるいは事務局にお申
情報の共有や現状報告などが出来る顔なじみの同
し出いただければ幸甚に存じます。
業者を増やせる場として活用しております。平成
27年度も月1回のペースで続けていきたいと考えて
3. 医療保健領域委員会より
います。
委員長 中谷 恭子
まだご参加頂いていない会員の皆様にも、研修会
平成26年度の医療保健領域委員会は、研修ポイ
やHCPカフェを通じて是非お目にかかりたいと思
ントが獲得できる1日研修会を2回実施しました。
います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
どちらも一日研修だからこそ可能な内容の濃い研
修会になったと思います。
4
4. 福祉領域委員会より
第1回研修会は「addiction (アディクション) 」を
副委員長 高田 豊司
テーマに、明石こころのホスピタル心理療法室に
福祉領域委員会では、社会的養護、障害福祉、
勤務されている岩本真由先生から「アディクショ
高齢者福祉、女性福祉などの分野で働く臨床心理
ンの基礎知識」と題した講義を受けました。経験
士のスキルアップに貢献できるように、福祉に関
豊富な先生から具体的な事例を踏まえ、体系的に
連したテーマの研修会を企画開催しています。具
整理されたお話を伺うことが出来ました。午後は兵
体的には、主として社会的養護研修会、福祉領域
庫県立光風病院副院長 葛山秀則先生から「アディ
研修会、児童福祉施設心理職勉強会をそれぞれ年2
クションと私」と題した講義を受けました。様々
~3回程度、開催しております。
な「依存症」を生きる人々について、分かりやす
昨年度は、社会的養護研修会として、児童福祉
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施設における「家族再統合・家族再生支援」を
その概要を報告します。
テーマとした研修会を実施いたしました。また福
午前の部では、川畑直人委員長から「司法矯正
祉領域研修会としては、「感覚統合の視点を活か
領域の現状と課題」と題して、過去2年間における
した発達障害児への支援」、「DV被害者の支援」
活動報告などがありました。平成27年度に計画さ
を開催いたしました。広報期間が短かったにも関
れている「司法矯正領域心理臨床講師派遣」につ
わらず、それぞれ福祉のみならず医療や教育など
いての説明がありました。その後、5班に分かれ
様々な領域で活躍されている臨床心理士のみなさ
て、各都道府県の現状などを情報交換しました。
んが多数参加されていました。近年、複数の領域
午後の部では、法務省矯正局少年矯正課企画
にまたがって連携が必要となるケースが増えてお
官・小山定明先生による講演「少年院法の改正を
り、講師の先生方も臨床心理士、作業療法士、児
めぐって」、続いて同課補佐官・等々力伸司先生
童指導員、ソーシャルワーカーなど多彩な実践
による講演「少年鑑別所法の成立をめぐって」が
家・研究者をお招きしております。
ありました。いずれも本年6月に施行されることの
アル
また児童福祉施設心理職勉強会 (eL) では、児童
ことで、少年院や少年鑑別所のあり方が法律に明
福祉施設で子どもやその保護者に対する支援事例
定されるとともに、制度もかなり変わることなど
の検討を中心とした研究会を行っています。プレ
を知りました。
イセラピーや臨床動作法の事例、あるいはケース
ワークを視野に入れた支援等について事例検討を
(2) 司法・法務・警察領域委員会 (略称、CCP委員
行いました。また一人職場になりがちな臨床心理
会) 」は、原則として年2回、金曜日の夜間に、
士が横のつながりを築き、相互にエンパワーメン
「あすてっぷ神戸」にて、「CCP懇話会」を開催
トする機会にもなっているように思います。
しています。最近における話題提供者とテーマを
今年度も会員の皆様にとって実りのある研修会
掲げると、以下のとおりです。①通算第4回 (2012
を開催すべく、さまざま企画を行っていきたいと
年2月10日)
考えております。研修会の企画についてのご提案
村洋子「官民協働刑務所における受刑者の治療教
をいただければ、委員会で検討・実施していきた
育」/ ②第5回 (2012年8月24日) : 大阪少年鑑別所専
いと思いますので、ご意見をお寄せいただければ
門官 寺西晶「矯正と保護との橋渡しを考える」/
幸いです。今後とも、どうぞよろしくお願いいた
③第6回 (2013年2月22日) : 神戸少年鑑別所所長
します。
小板清文「最近の少年非行について」/ ④第7回
なお研修会に興味をお持ちの方を対象に、メール
(2013年9月6日) : 京都少年鑑別所専門官 河合弘靖
にて研修会の情報等をお送りしています。登録希望
「少年鑑別から見た発達障害」/ ⑤第8回 (2014年8
の方は、下記連絡先までお申し込みください。
月22日) : 兵庫県警生活安全企画課・警視 岡本圭
: 播磨社会復帰促進センターSV 今
司「兵庫県警察におけるストーカー、DV対策」/
福祉領域委員会研修等の案内の申込み :
⑥第9回 (2015年3月6日) : 神戸少年鑑別所首席専門
福祉領域委員長 : 八木修司 (関西福祉大学)
官 松永千広「少年鑑別所法の成立と少年法の改
副委員長 : 高田豊司 (児童養護施設 光都学園)
正等について」
事務局長 : 中村有生 (情緒障害児短期治療施設
兵庫県 立清水が丘学園)
お申込み・お問い合わせ : 事務局 中村まで
nakamurayou0830@yahoo.co.jp
(3) 次回は、以下により開催する予定で、調整中です。
話題 :「児童自立支援施設における指導と援助 (仮) 」
話者 : 神戸市立若葉学園心理士・樋口純一郎先生
日時 : 2015年8月28日18 : 30~20 : 00 (予定)
5. 司法・法務・警察領域 (CCP) 委員会より
場所 : あすてっぷ神戸セミナー室 (予定)
委員長 齊藤 文夫
CCP懇話会は、本会会員のほか、指定大学院の
(1) 去る2月15日 (日) 、大阪科学技術センター (大
院生、他府県臨床心理士会会員、日本心理臨床学
阪市西区) において「平成26年度都道府県臨床心理
会会員なども参加できます。参加費は無料。毎度
士会司法矯正領域担当者研修会」が開催され、当
開催が決まり次第、本会HPに掲載して広報してい
職が兵庫県臨床心理士会の代表として参加しまし
ます。皆さん、誘い合わせてお越しください。事
た。31都道府県から31名の代表が参加しました。
務局は、武庫川女子大学文学部・玉木健弘先生 (本
5
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会会員) にお願いしています。問い合わせや参加希
ます。
望のメールは、「[email protected]」へお願いし
第 2 0 回 学 校 臨 床 心 理 士 全 国 研 修 会 が 8 月 2 2 日
ます。件名として「CCP関係 (問い合わせ、参加希
(土) 、23日 (日) 武庫川女子大学で開催されます。
望、その他) 」と明記してください。
SCの皆様にはいろいろお世話になりますが、ご協
以上
6. 学校臨床心理士 (SC) 専門委員会
6
力をお願いします。
7. 被害者支援専門委員会より
委員長 馬殿 禮子
委員長 本多 修
公立学校にスクールカウンセラー配置事業が開
被害者支援専門委員会から若干のご報告をいた
始されて20年経過しました。
します。被害者支援専門委員会は、26年度になっ
同じ年に阪神淡路大震災が発生し、兵庫県は文
てその組織内の役割を明確化し、定期的に委員会
科省試行事業段階から、他府県3名の初年度に13名
を4回開催出来ました。近畿の他府県の臨床心理士
が加配され、教職員と共にさまざまな活動を続け
会と連携して、南海トラフ大震災が生じても臨床
てきました。
心理士が協働できるようにするため近畿ブロック
毎年スクールカウンセラーは増員され、被災学
連絡会を立ち上げました。近畿とは大阪、京都、
校に特別加配された復興担当教員と協働しながら
滋賀、奈良、和歌山と兵庫の6府県です。26年度か
努めてきた経緯があります。本年度も東北大震災
ら連絡会の準備を経て、27年の4月26日に大阪の北
地の依頼を受けて、本県のスクールカウンセラー
野病院のホールを借りて近畿ブロック臨床心理士
が派遣され活動を続けています。
会共催の合同研修会を開催しました。会場の関係
平成27年度の各学校におけるスクールカウンセ
で130名満席のため予約時に60名の方の参加をお断
ラーの活動も開始されています。全員臨床心理士
りすることになりました。この研修会で、防災の
です。配置校について、小学校の単独配置が4校増
視点から関西大学の林 能成先生、心のケアの視点
加されています。
から日本赤十字医療センターの填島敏治医師の講
兵庫県臨床心理士会員のスクールカウンセラー希
演してもらえたことは、近畿の臨床心理士会だけ
望者に対して、毎年登録名簿を作成し県教育委員会
でなく、防災研究者や日本赤十字医療センターの
に提出しています。会員外の採用はありません。
方々との今後の連携の第1歩のように思われます。
今年度も、締め切りまでの登録希望者は既会員
ひょうごHEARTの研修会は、9月21日に「災
で他領域経験者やSC復帰希望会員等57名に新臨床
害、事件・事故発生後の緊急対応」をテーマに、
心理士でSC希望17名ですが、補充は配置校増加分
「災害・事件後のシミュレーション訓練」を冨永
と辞退者分で毎年減少している状態です。但し、
理事に、「トラウマカウンセリングの実際」を高
事情により途中採用の必要が生じた場合も登録者
橋理事に講義していただきました。広島の豪雨災
名簿から採用されています。担当校数の多い会員
害の直後でもあり広島県の臨床心理士が多数研修
は学校からの強い希望もあるのですが、県教委と
に参加していただき、役に立ったと評価していた
して少し調整もされ、将来を見通し新人育成もと
だきました。
の意向を伺っています。
震災後の派遣SCの全体研修会は、兵庫県民会館
平成27年6月21日 (日) 武庫川女子大学で、県臨床
で2月8日に開催しました。講義では、県立松陽高
心理士会SC専門委員会主催の研修会を開催します。
校の諏訪清二先生が「防災教育」について自身の
関係する会員に別に通知が届いていると思います。
長い経験から語られて感銘を受けました。今年の
新スクールカウンセラーには、SCとしての専門
第1回全体研修会は、5月10日にあすってぷ神戸で
的実力の更なる成長を期待し、最低2年間は年10回
高橋理事による「遅発性のPTSDと防災教育のさら
程度の個別SVを奨励しています。記録 (日時・担
なる発展について」と題しての講義と兵庫からの
当SV名) を年度末に提出を依頼し教委に届けていま
石巻班、歌津班、志津川班の3つの派遣SCが活動報
す。希望するSCには、参考にとSV希望登録者名簿
告をおこない、本年度で最後になりそうな派遣SC
を渡します。
の働きをどう評価し今後に繋げるかが話し合われ
なお、経験者の活動にも学校側から様々な意見
ました。
があり、専門職としてのSVの必要性を痛感してい
また、犯罪被害者支援を行う、ひょうご被害者
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
支援センターは、公安委員会の早期援助団体の指
昨年度 (2014年度) は、東日本大震災の支援活動
定を受けただけでなく、公益社団法人になったこ
資金として250,000円を予算立てしていました。年
とで被害者支援のための働きに大きな期待と責任
度当初 (昨年6月) のニュースレター、総会 (昨年7
を負うことになりました。県内の刑事事件でマス
月) におけるアナウンス、特設ホームページでの募
コミをにぎわす重大犯罪の被害者の支援はもちろ
集 (随時) をとおし、会員の皆様による被災地もし
んのこと、記事にならない性犯罪の被害者の支援
くは県外避難者のための心理支援活動への人的も
も数多くなっています。電話相談による当事者か
しくは金銭的サポートの告知をさせていただきま
らの依頼だけでなく、警察からの紹介を受けて、
した。
直接支援員が警察署、弁護士事務所、検察庁そし
エントリーのあったチームはいずれも発災直後
て裁判所に被害者に同行して支えることをしま
から支援継続している活動で、昨年7月末にまず活
す。センターを支援する弁護士との連携によっ
動計画書と援助希望額を所定の様式で申請してい
て、被害者には心強い支えになっています。さら
ただきました。昨年9月の被害者支援専門委員会で
に心理面接が要請されると臨床心理士が面接を行
援助内容を審議、昨年同月の理事会で承認を得、
います。臨床心理士は、時間と場所の枠の中で
年度末 (今年3月) に各チームから活動報告書の提出
面接を行いますが、場所は被害者の自宅であっ
を求めるとともに、援助金を振り込ませていただ
たり、警察署の一室を借りたりもします。直接支
きました。
援員は、付き添い同行の時間にも被害者に接する
各チームの援助希望額、実際の援助額、援助金
ので話を聴く時間が長くあります。こうしたこと
の主な使途、広報や人員紹介サポート希望の有無
は、心理職の専門性とアウトリーチの問題を考え
は、表のとおりです。
させられます。直接支援は、具体的直接に被害者
を支えますが、心理面接では被害者は支えられて
いると容易に感じるわけではありません。被害を
受けただけなのになぜカウンセリングを受けなけ
ればいけないのと思われることもあります。そう
いう被害者の気持ちをしっかり受け止められる臨
床心理士であって初めて心理面接ができます。経
験を積む中でアウトリーチの心理支援、心理面接
の効果が被害者に実感されるようになります。
震災後の災害被害者への支援も同様だと言えま
すが、主訴から治療目標を共有したり、費用を払
うことで目に見える契約関係がつくられることが
なくても、支援者―被支援者の関係をどのように
対等な相互尊重の関係にすることが出来るかが、
心理支援の成功の鍵のように感じます。兵庫県の
臨床心理士の方で、犯罪被害者の心理面接をやっ
てみたい方は、本多までご連絡ください。不定期
で時間給5,000円の報酬です。
災害被害者の支援でも犯罪被害者の支援でも、公
活動チーム名
被 石巻訪問隊
災 関西援助職
地 ネットワーク
あしたの集い
避 ぷ ら っ と
難 ホ
ー
ム
者
避難サポート
ひ ょ う ご
代表者
希望額
阿部 昇 100,000 円
援助額
56,589 円
新林 智子 150,700 円 139,908 円
樋口純一郎
30,000 円
25,000 円
樋口純一郎
30,000 円
18792 円
6,000 円
2,000 円
樋口純一郎
計
主な
人員
広報
使途
紹介
交通費 ○
○
交通費
宿泊費
交通費 ○
○
交通費
印刷費 ○
備品代
交通費
○
316,700 円 242,289 円
また、ひょうごHEART (兵庫県臨床心理士会 被
害者支援専門委員会 緊急支援チーム) としての活動
である3チーム (あしたの集い、ぷらっとホーム、
避難サポートひょうご) の活動費 (備品代や賄い切
れなかった交通費) や支援対象児と遊ぶ際の玩具代
を、有志会員の皆様からのカンパ金のなかから表
のとおり使わせていただきました。
2013 年度 繰り越し
カンパ(1 口)
利息
玩具代
活動費
振込手数料
2014 年度 繰り越し
149,247 円
1,000 円
26 円
△ 12,404 円
△ 16,002 円
△ 216 円
121,867 円
的機関が被害者に代わって費用を肩代わりし、心理
被災地支援・県外避難者支援の現況を簡単です
面接者がその専門性を充分に発揮して、被害者支援
がお伝えしておきます。被災地では復興がなかな
の実を上げることができるように制度をより強固に
か思うように進まず、住環境の変わった生活が継
つくってゆく必要があると感じています。
続するにしたがって、被災者の方々のストレス (子
育てや介護、家族関係等) が膨らんできており、
8. 2014年度の東日本大震災における
いかに通常の相談窓口を整備していくか、われわ
支援活動の報告
れとしてはそこにつないでいくかということが課
被害者支援専門委員会 副委員長 樋口純一郎
題となっています。また、被災県外に避難された
7
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
方々は、放射線不安をいぜん強く抱えておられ、
講師 : 大島 剛 岡田由美子 (兵庫県臨床心理士
会子育て専門委員会担当理事)
地域、親族や夫婦間で考えが分かれて孤立してし
まうケースも散見され、まだまだサポートが必要
日時 : 平成27年6月21日 (日) 10時 ~ 12時
な状況といえます。
各チームの活動内容に関する詳細は、今年7月の
場所 : こべっこランド 4階 育成室
研修・総会時に小冊子やポスター掲示をさせてい
(受付 : 午前9時40分~)
(JR神戸駅下車徒歩5分)
ただく予定ですので、関心のある方はぜひご覧く
ださい。
そして、来年3月には恒例の子育て支援の会を開
チームの方々には大震災から4年が経過しても変
催予定でいます。またHP等をご参照ください。こ
わらぬ熱意と活動に敬意を表しますとともに、そ
れらの企画は、会員の皆様が安心して参加できる
れを下支えする会員の皆様にはこの場を借りて感
ように、すべて託児付きとなっています。子ども
謝を申し上げます。
に関わる臨床心理士として、乳幼児を持つ親とし
今年度 (2015年度) も、昨年度と同様、東日本大震
て、充実した活動ができるような支援をこれから
災における支援活動事業を企画しております。なん
も考えていきたいと思います。該当の方はふるっ
らかの活動を希望される会員の方は、7月末日まで
てご参加していただきたいと思いますが、すでに
に [email protected] へご一報ください。
育児期を終えた方、まだ始まっていない方の参加
詳細は、ひょうごHEART特設ホームページ http://
およびお手伝いを期待しております。子育てから
hyogoheart.web.fc2.com で案内しております。
心理臨床を考える会のような仲間が増えて裾野が
広がっていくことを願っております。
10. 産業・組織領域担当役員より
担当理事 森谷明日香
「第7回産業・組織領域ネートワークのつどい」
を8月1日 (土) 午後に開催します (会場は調整中で
す) 。今回のつどいのテーマは、「ストレスチェッ
ク※」です。内容としては27年6月末を目途に発
表予定の「ストレスチェック」の指針/マニュア
9. 子育て支援専門委員会より
委員長 大島 剛
ルの共有および意見交換と、これまでにストレス
子育て支援専門委員会では、今年も公私とも子
チェックを実施した事業所からの取り組み紹介を
育てに関わっている会員のための支援を行ってい
考えています。また、例年通り、産業・組織領域
きたいと思います。
での心理支援について、メンバー同士の情報交換
すでに終わりましたが、例年開催しております
の場としてもご活用ください。
子育て支援の会の参加者グループ (子育てから心
産業・組織領域ネットワーク (メンバーで所属・
理臨床を考える会) との共催で5月24日に「心理臨
氏名・メールアドレスを共有) 加入のご希望や、つ
床経験が子育てに与える影響について考える」を
どい参加のご希望など森谷までご連絡ください。
テーマにした研修会を開催いたしました。①地域
メールアドレスは、[email protected]で
とのつながり (心理士としての立場、親としての立
す。よろしくお願い致します。
場) ②こどもの発達についての見立てや知識 (役に
立つ面、そうでない面) ③親としての関わり (子を
※「労働安全衛生法の一部を改正する法律」がH27年
預けて働く罪悪感、子どもとの距離感) について討
12月1日に施行、50人以上の事業所では、年に1回
論いたしました。
のストレスチェックと面接指導の実施が義務付け
また、直近になりますが、乳幼児健診に携わる
られることになります (50人未満では努力義務) 。
臨床心理士対象に「乳幼児健診従事者のための研
8
ストレスチェックの実施目的は「労働者自身の
修会」を開催します。以下の予定ですが、詳細およ
ストレスへの気付きを促すこと、ストレスの原
び申し込みは兵庫県臨床心理士会HPを参照の上、
因となる 職場環境の改善につなげること」とさ
[email protected] にお申し込みください。
れています。
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
11. 資格問題委員会
(被災によって中断された地域の精神科医療の補完
委員長 冨永 良喜
となる活動) と一般住民への対応という支援の必
平成26年6月7日、臨時理事会を開催し、「第1案
要性、さらに、精神科領域の対象となるPTSDと
: 現法案のままでも医師の指示条項は今後通知など
PTSR (Post Traumatic Stress Reaction) の見立て、
で現実的対応をしてもらい、上程してもらう。第2
脳科学等の研究に基づくトラウマ記憶の基礎的な
案 : 医師の指示条項が変わらない限り上程を望まな
理解についても言及されました。
い。」の2案の議決を行いました。その結果、第1
東日本大震災で家族や経済基盤を失い、長期にわ
案に賛成、18名、第2案に賛成、4名、保留1名、連
たる仮設での生活や先行きの見えない不安の中で、
絡つかず2名。理事25名中、2/3以上で、第1案を議
心身のバランスを崩して鬱を発症する親、自傷行為
決しました。
に及ぶ子どもたちの存在が報道されています。
その後、秋の国会で、公認心理師法が成立する
冨永先生からは、急性期対応のガイドライン
見込みでしたが、突然の解散により廃案になりま
PFA (Psychological First Aid) 、さらには中長期的
した。
支援のガイドラインについても追加していく必要
そして、2015年3月30日に、自由民主党議連に
性を紹介していただきました。少しずつ支援の体
て、公認心理師法が無修正再提出が議決されまし
制が縮小し、“忘れられることが一番辛い”とい
た。3月29日には、心理研修センター2周年記念研
う被災された方々の声を耳にする中で、精神的健
修会が開催されました。この会報がお手元に届く
康を脅かす問題への対応と支援を長期的に丁寧に
頃に、国家資格・公認心理師法が国会にて成立し
行うことが必要であると改めて感じます。
ているかもしれません。
トラウマを体験した子どもたちの心と回復に向
けたケアの理解、津波で両親を亡くした子どもを
兵庫県臨床心理士会
第 43 回 研 修 会 報 告
見守る教員の活動、個々の子どもの支援のための
日常的な観察と見守り (健康観察チェックリストの
活用) 、支援するための情報の共有とそれを“つな
いでいく”きめ細かな活動、さらには呼吸法、リ
全体会 :「大震災から20年、
ラクゼーション体験、防災 (減災) 教育を含めた心
のサポート授業といった様々な実践活動を紹介し
臨床心理士が今学ぶべきこと」
講 師 : 高橋 哲 (芦屋生活心理学研究所)
て頂きました。
紹介して頂いたこれまでに蓄積された理論や方
冨永 良喜 (兵庫教育大学)
司会・コーディネーター :
法、これらは学校現場のSCとしての日々の活動と
大きく重なる貴重な内容であったと思います。
本多 修 (武庫川女子大学)
報告者 : 山田 叔子 (JA兵庫六甲カウンセラー、
十数年前、SCとして勤務していた中学校で緊
急事態が発生し、支援のための教員研修に来てい
兵庫県スクールカウンセラー)
ただいたのが冨永先生でした。大変お世話になり
大震災から20年となる今回の研修会について、
有難うございました。教員のメンタルヘルス悪化
羽下会長より「人災、天災に備えるための心覚え
は学校全体の機能低下にも影響を及ぼす問題であ
という意味合いがある」というお話でスタートい
り、教員へのサポートはSCの大きな役割となって
たしました。
いると強く感じます。
初めに高橋先生からは、心のケアをサポートす
冨永先生のお話しの最後に、地域支援活動の中心
る私たちの“言葉を扱う者”としての姿勢に触れ
となるべくDCHAT (災害後子ども支援チーム) の立
られました。お聞きする中で様々な感情が私の中に
ち上げの必要性を示していただきました。緊急支援
湧きあがってまいりました。心を理解することの難
に必要となる多くの知識や、援助技法の習得、問題
しさとともに、その人に寄り添い、それぞれの感情
をアセスメントする力、コンサルテーション等の力
の体験に関心を寄せるまなざしを注いでいくことの
を有することはもとより、地域の学校現場で日々活
大切さにあらためて深く思いを致しました。
動する臨床心理士として、心のケアの最前線である
被災者支援の取り組みの中では、DPAT (災害
学校を支援していく援助者として、より一層研鑚を
派遣精神医療チーム) との連携を図っていくこと―
積んでいかねばならないことを強く再確認させてい
9
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
ただきました。有難うございました。
の対応について話されました。面接中に「虐待か
な?」と思った際には、まずは現在の子どもの安
第1分科会 :「教育分野で働く臨床心理士のため
の虐待対応の基礎知識」
講 師 : 井上 序子 (神戸市スクールカウンセラー、
スーパーバイザー)
司 会 : 塩見 守 (兵庫県立清水が丘学園)
話題提供者 : 鈴木 絢
(児童家庭支援センターすみれ)
春原 千夏 (兵庫県スクールカウンセラー、
豊中市教育センター)
全状況を確認し、その上で事実の確認と加害者被
害者の気持ちを確認する。そして今後のリスクに
ついて見立て、次に起こりそうになった時にどう
するかを話し合う。虐待通告する際には、もし一
時的に子どもが保護されても地域にいずれ帰って
くる時のことを考えて対応することや、使えそう
な社会資源を伝えておくことが大切とのことでし
た。アセスメントとプランニングを瞬時にかつ丁
寧に行いつつ、「次は出会えないかも知れない」
報告者 : 山中 朋世 (アメニティホーム広畑学園)
という気持ちでできるだけ情報を漏らさず集め、
第1分科会では、虐待対応における市町の仕組み
くかというということが大切とのことでした。学
や制度を始め、具体的な支援やその視点のポイント
校現場で関われる限られた時間で臨床心理士がす
について、知識・情報がぎっしり詰まった実践報告
べきことを改めて整理できたように思います。
を通して、理解を深め学ぶ機会となりました。
最後には、鈴木先生より、児童家庭支援セン
まず、井上先生からは、虐待問題対応の困難さ
ターという子どもと家庭に関する問題に応じる機
として、子どもを取り巻く環境についての説明が
関の紹介とともに、虐待ケースでは、心理アセス
ありました。暴言を含めると4割を超える家庭に存
メントだけでなく社会診断する力の大切さを話さ
在するというDVの問題、少なくはない性的虐待の
れました。地域の社会資源の一つの機関としての
問題、医療ネグレクトや学校ネグレクトの問題、
理解を深めることができました。また、地域での
貧困等の経済的問題の影響など、介入や対応困難
見守りを考える際には、どんな人がどのような場
ケースが増加している現実が話されました。そう
所で関わっているかを把握しておくことが重要で
いった中で、児童虐待防止に求められる視点とし
あるとのことでした。
て、児童虐待は「特別」な問題ではなく、「虐待
教育現場における虐待対応として何が必要であ
があるのではないか」という視点が必要であり、
るか、短時間でしたが随分と整理ができた有意義
「虐待は家族メンバーが変わらない限り無くなら
な研修だったと思います。臨床心理士として、虐
ない」という視点をもつことの大切さを学びまし
待に対する知識を持つだけでなく、教師や関係機
た。また「見守る」だけでは「見捨てる」と同じ
関と協働して対応していく意識を持つことが大切
であり、「見守る」という限りは、誰がどうする
であることを改めて感じるとともに、今後の仕事
のかを必ず決めておくことが大切であるというこ
をしていく上で、重要な視点をたくさん学ぶこと
とでした。「虐待通告」では、「虐待」と判断す
ができました。
その上関係を絶たずにいかに信頼関係を築いてい
る必要はなく、むしろ「虐待」と判断してからの
通告では対応が遅く、その「疑い」の段階での通
告の大切さを学びました。また情報提供の際の注
意点として、幼稚園や保育園から小学校への引き
継ぎとして行われる個々の単独ケースの引き継ぎ
については、法律違反も含めて注意を要するとの
ことでした。そういった場合、市町に設置義務の
ある要保護児童の早期発見及び適切な保護や支援
10
第2分科会 : 「メンタルヘルス教育の進め方」
講 師 : 千葉 征慶 ( (株) フィスメック)
司 会 : 森谷明日香
( (株) 三菱日立パワーシステムズ)
報告者 : 髙橋美智子 (NPO法人【仕事と子育て】
カウンセリングセンター)
を図るための仕組みとしての要保護児童対策地域
メンタルヘルスケア教育の実施は厚生労働省の
協議会の仕組みの中で情報を関係機関と共有して
指針に示されているが、取り組んでいない事業場
いくことや、その仕組みを活用していく視点を持
も多く、職場のストレスで心身の不調に陥ったク
つことの大切さを話されました。
ライエントとのカウンセリングや、その上司と
次に、春原先生からは、教育現場における虐待
の話し合いの折りなどには、メンタルヘルスケア
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
教育の重要性をひしひしと感じさせられることが
る深呼吸とストレッチを何度か実施する」「聴き
少なくない。沢山の臨床心理士がさまざまな職場
合え、話し合えるようなワークを入れる」「時間
で実施できるようになる為にも、この研修の企画
管理、タイムスケジュール表、“傘”」「依頼者
は大変有難いと思った。私自身、医療や行政の職
と綿密に打ち合わせて内容を決定」「相談事例か
員を対象としたメンタルヘルスケア教育を何度か
ら、必要性を感じたことをテーマにとりあげる」
担当させていただいているが、織り込むべき内容
最後に、印象的だった講師の言葉・・・「ネット
や、研修の進め方、プレゼンテーションの仕方な
ワークとフットワークが大切です!」
ど、先達から是非学ばせていただきたいと思って
いたので、楽しみに参加させていただいた。
講師は、長年企業で臨床心理士をされ、現在は
EAP (従業員支援プログラム) で活動をされておら
れる千葉征慶先生。自己紹介でご自分の出身地や
言葉のなまりについてユーモアを交えて紹介され
た。会場の雰囲気がほんわかムードになり、さす
がのアイスブレイク!「本日の内容」と「メンタ
ルヘルス教育の意義」についての説明のあと、3枚
目のスライドには「心が健やかって?」としてし
か書かれておらず、参加者は3~4人のグループを
作り、自己紹介と「心が健やか」とはどんなこと
かの意見を述べ合うように指示された。グループ
第3分科会 :「性暴力被害者支援の最前線
~こころの専門家に知っておいて
ほしいこと~」
講 師 : 田口 奈緒
(性暴力被害者支援センター・ひょうご代表)
福岡ともみ
(性暴力被害者支援センター・ひょうご代表)
司 会 : 中村 経子 (兵庫県スクールカウンセラー
スーパーバイザー)
報告者 : 杉岡 央基
(兵庫県スクールカウンセラー)
ワークはこの後も時間をおいて2~3回取り入れら
第3分科会では「性暴力被害者支援の最前線~こ
れて、参加者同士のコミュニケーションと主体的
ころの専門家に知っておいてほしいこと」と題し
な参加を促す機会となっていた。その後の内容と
て、「性暴力被害者支援センター・ひょうご」の
しては、「1メンタルヘルス教育の意義」では労働
田口奈緒先生・福岡ともみ先生に講義をたまわり
安全衛生法や厚生労働省のメンタルヘルス指針の
ました。事例検討や質疑応答も含め、大変学びの
解説。「2メンタルヘルス教育の実際」ではセルフ
多い研修の機会となりました。
ケアとラインケアの解説とそれぞれのメンタルヘ
まず第Ⅰ部では「性暴力被害」=「本当はいや
ルス教育の具体的な内容、感情労働の職種への内
なのに (意に反して) 性的な行為を無理やり行われ
容の工夫、教材づくりの留意点。「3セルフケア研
ること」という定義のもと、様々な性暴力被害の
修実例」では、ストレス度チェックリストによる
実態について説明していただきました。加害者が
セルフチェックや、PIL (生きがい) テストを使って
知り合いや家族であることも多く、また誰しも被
のグループワークを実際の研修のように体験。ま
害を受ける可能性があります。被害者が警察や病
た生きる意味について千葉先生のご専門であるロ
院や身近な人にも相談できずに、一人で悩み苦し
ゴセラピーからの解説。「4ラインケア研修実例」
んでいるケースが多いという現実に、私自身も心
では他者評価のストレス度チェックリスト、部下
が痛んだしだいです。被害者の心身の負担や二次
の異変を見つけるポイント、事例を基にグループ
被害を最小限にとどめるために、「性暴力被害者
で討議、事例対応の進め方と留意点の解説。「5研
支援センター・ひょうご」は、各機関が連携して
修の準備について」ではその他の研修の種類、準
医学的・心理学的・法的・社会的支援を提供する
備の仕方、タイムスケジュール表の作成法の解説
ための中核的役割を果たしています。
などであった。
続いて第Ⅱ部では「急性期に必要な支援」とし
千葉先生の実践に基づいた大変充実した研修で
て、医師や支援員の役割について詳しく話してい
あった。中でも「教材づくりで心掛けてきたこ
ただきました。病院での診察や検査や治療に関し
と」として示された以下の点は、私も是非心掛け
ては、とまどいや抵抗を示す被害者への配慮が随
たいと思った。「分かり易くする」「ためになっ
所に感じられました。担当医が被害者にじっくり
たと言われる内容にする」「研修時間中にストレ
と説明や対話を行い、被害者の意思を尊重して理
ス解消ができるように。そのために、簡単にでき
解や同意を得ながら支援を進めることが、少しず
11
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
つ被害者の不安を和らげ、心身の健康の回復につ
前半は冨永良喜先生に、ストレスとトラウマの
ながります。また支援員も「あなたは悪くない」
心理支援として、ストレスマネジメントの模擬授
というスタンスで被害者に寄り添い、被害者の権
業「心のサポート授業」をしていただきました。
利や安全を確保して、心理教育をするという重要
導入に簡単なイメージトレーニングを用いて、
な役割を果たしています。自責の念や恐怖や不安
イメージしたように身体が動くことを体験した後
にさいなまれる被害者にとって、大変心強い存在
に、ストレスの仕組みと対処法、リラクゼーショ
だと感じました。
ンについて説明を受けました。
最後に第Ⅲ部の「支援の実際」では、2つの事例
心のサポート授業の目的は、ストレスやトラ
に関してどういった支援が必要なのか、ペアで意
ウマの知識と対処を学ぶことであり、ストレス
見交換を行いました。法医学的証拠採取や人工妊
チェックはストレスの高い子を見つけるためでは
娠中絶も、一定の時間内に行わないといけないと
なく、自分のストレスを知り自己コントロールす
いう切迫したケースがあり、判断の難しさを感じ
るスキルを身につけるために実施するそうで、同
ました。また中長期の支援としては、PTSD・自傷
時に教師やカウンセラーの教育相談をセットとし
行為などへの心理的サポートや、生活支援や被害
て行うとよいとのことでした。
者の集いなどでの社会的サポートなども検討しま
その後、災害事故・いじめのような強いストレ
した。質疑応答では、被害者と支援者の性別につ
スへの対応についてお話しされました。災害事件
いての質問がありました。加害者と支援者が同じ
後には3段階のこころのサポートモデルがあり、1
性別であれば、治療の際に被害のことを想起させ
段階の災害の急性期 (~3ヵ月) 、または事故直後期
ることにもなりかねません。理想を言えば被害者
は、日常生活を安定させることが最も重要で、2段
が、女性の支援者か男性の支援者かを選べるのが
階にトラウマ反応への対処、3段階に被災に伴う体
良いようです。
験の表現活動を行うという、段階の支援があるそ
医師や支援員の役割はあくまでも被害者の心や
うです。いずれトラウマに向き合うことは大切で
体のケアであり、加害者の処遇に関しては警察や
すが、人により体験も回復のペースも違うため、
司法に委ねることになります。これだけ被害者に
個別に合わせた支援が必要だと強調されていまし
重大な影響をもたらす性暴力被害が少しでも減る
た。先生の和やかな雰囲気とフロアと対話しなが
ことを願ってやみませんが、せめて被害者への適
ら進めていかれる授業は分かり易く、体験的にも
切な支援が提供されますように、私自身も今回の
学ぶことが多かったです。
学びを心に留めていきたいと思います。予防教育
後半は高橋哲先生に、東日本大震災後の東北の
や啓蒙活動としては、スクールカウンセラーの私
子どもたちの心理支援として、防災の授業「さい
は、下校途中の児童・生徒の安全の確保について
がいについて考えよう」をしていただきました。
も伝えてまいりたいです。
20年前に震災の被害を受けた神戸の様子を取り上
げ、防災について一緒に考えながら、「怖いこと
第4分科会 :「災害事件後の心理支援の実際」
講 師 : 冨永 良喜 (兵庫教育大学)
高橋 哲 (芦屋生活心理学研究所)
司 会 : 本多 修 (武庫川女子大学)
森 真之介
(被害者支援専門委員会理事)
報告者 : 島田麻美子
きる、生きる力を得るんだ」ということを学んで
欲しいと話されました。大震災の経験を教訓とし
て、防災教育と心のケアをどのように融合させて
いくのかとの提起がありましたが、地震や津波に
ついて科学的に学び、避難訓練で「備える」こと
と、被災した人が表現活動と語り継ぐことで、体
(兵庫県スクールカウンセラー)
験を整理し「生きる」ということを、考えていく
第4分科会は、「災害事件後の心理支援の実際」
その後、災害事故後のトラウマ体験事例をもと
をテーマに、阪神淡路大震災・東日本大震災など
に、高橋先生とフロアの先生方とロールプレイを行
の災害支援に関わってこられた先生方に、そのご
いましたが、他の先生方が普段行っているカウンセ
経験をもとに理論と支援方法についてご講義いた
リングを知る貴重な機会となりました。トラウマカ
だきました。
ウンセリングは、「つらかったね、こわかったね」
12
があっても少しずつ回復すると強くなることがで
必要があるとのことでした。
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
といった共感は当然ですが、心身に起こるトラウマ
[email protected]
反応は“誰にでも起こる自然な反応”であると心理
件名 : 兵庫県動作法研究会かふぇ
教育として伝え、同時に不安や緊張を軽減させるリ
第 回参加申し込み
ラックス法を伝えると安心するとのことでした。普
①氏名、②所属、③職種、
段のカウンセリングに加えて具体的なアドバイスが
④メールアドレス、⑤電話番号、
必要であり、そのためにもトラウマ対応への知識が
⑥動作法経験、⑦臨床心理士の方は番号
求められると思いました。
今回の分科会に参加して、学校の中で心理士と
Facebookページ「兵庫県動作法研究会かふぇ」
してどのような支援ができるのか、今後求められ
る防災教育と心のケアについて改めて考える良い
兵庫県スクールカウンセラー事例研究会 (HSC)
機会となりました。神戸の大震災から20年が経ち
ますが、この経験と教訓を生かして、心理士とし
これは、兵庫県スクールカウンセラー専門委員
て技術向上を目指していきたいと思います。
会とは別で、兵庫県スクールカウンセラーの有志
による自主的な勉強会です。
研修会紹介
年6回、事例研究会や研修 (不登校、発達障害、
コンサルテーション、事件・事故対応、職員研修
に関する研修) を行っております。
兵庫県動作法研究会かふぇ
案内をご希望の方は事務局までお申し込みくだ
さい。
動作法は臨床現場で実践的に利用できる心理療
法の技法です。
・平成27年度予定
兵庫県動作法研究会では、講義やワークを通じ
50回 4/5
て動作法を体験しながら学べる勉強会です。
51回 7月頃 職員研修
ぜひ、ご参加ください。
52回 9/5 事例研究会
新人さん向け企画 (一日)
53回 10/4 観察 コンサルテーション
・平成27年度年間 定例会
講師 : 阿部昇先生
第1回 平成27年 4月26日 (日) アスピア明石
54回 12/5
10周年記念企画
第2回 平成27年 5月24日 (日) アスピア明石
「自殺防止」企画 : 高橋哲先生
第3回 平成27年 6月14日 (日) アスピア明石
55回 平成28年2月頃事例研究会
第4回 平成27年 8月23日 (日) 第5回 平成27年 11月23日 (日) 事務局 : 中村有生 (兵庫県立清水が丘学園)
第6回 平成28年 1月31日 (日) 申込み・お問い合わせ : [email protected]
第7回 平成28年 2月28日 (日) 第8回 平成28年 3月27日 (日)
※参加費 : 各回 5,000円
・1DAY ワークショップ 平成27年10月25日 (日) アスピア明石
テーマ :「トラウマケースへのイメージ動作法」
講 師 : 冨永 良喜先生 (兵庫教育大学)
※臨床心理士ポイント申請予定
1、定例会に年間を通じて6回以上のご参加の方
2、1DAYワークショップにご参加の方
【申し込み】
兵庫県動作法研究会かふぇ 事務局
13
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
兵庫県臨床心理士会 第 44 回研修会のご案内
研修委員会
○ 研修テーマ
深めていきたいと考えます。
「DSM-5の改訂の基礎知識と課題」
「各領域での心理臨床の学び」
○ 午後の部 (分科会)
第1分科会 :「青少年の危険行動防止及びQOL向上
○ 日時 2015年7月12日 (日)
をめざすライフスキル教育」
9 : 30~
受 付
講 師 : 西岡 伸紀 (兵庫教育大学大学院)
10 : 00~12 : 00
午前の部
司 会 : 西井 克泰 (武庫川女子大学)
12 : 00~12 : 30
総 会
様々な事故や事件が発生している現在、子ども
12 : 30~13 : 30
休 憩
たちを危険から遠ざけるといった対処だけでは予
13 : 30~16 : 30
午後の部
防、防止することはできません。子どもたち自ら
が、課題や問題に適切に対処する能力、ライフス
○ 場所 甲南大学
キルを身につけることが求められています。どの
(神戸市東灘区岡本8-9-1)
ようなきっかけ、要因により危険行動へと発展し
受 付 : 1号館142講義室
ていくのか、どうすれば回避できるのか、現在の
全体会 : 1号館142講義室
子どもたちが置かれている状況も踏まえ、ライフ
分科会 : 第1分科会 : 1号館131講義室
スキル育成のプログラム開発、実践に取り組んで
第2分科会 : 1号館132講義室
こられた西岡伸紀先生をお招きして、ご講演いた
第3分科会 : 1号館133講義室
だきます。子どもたちの心身の健康問題や問題行
動について、ライフスキルの育成が一次予防や問
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○ 午前の部 (全体会)
題解決、QOLの向上とどのような関連があるの
「臨床心理士のためのDSM-5改定の
かについてもお話いただき、後半では、ライフス
基礎知識と課題」
キル教育の演習をしていただく予定です。皆様、
講 師 : 田中 究 (兵庫県立光風病院 院長)
奮ってご参加ください。
司 会 : 羽下 大信 (兵庫県臨床心理士会会長)
第2分科会 :「DV被害者の支援について-臨床
2013年5月、米国精神医学会 (APA) の精神疾患診
断基準であるDSMが13年ぶりに改定されました。
講 師 : 有園 博子 (兵庫教育大学大学院)
本邦においても、2014年6月に「DSM-5精神疾患の
司 会 : 調整中
診断・統計マニュアル」 (医学書院) が、同年10月
シンポジスト には「DSM-5分類と診断の手引き」 (いわゆる小冊
松原 裕子 (伊丹市配偶者暴力相談支援センター)
子Mini-D) が刊行されております。今回の改定にお
児玉 美幸 (兵庫県女性家庭センター)
いては、全体としても多軸診断の廃止や多元的診
西山みどり (社会福祉法人伊丹母子ホーム)
断の導入、各診断基準としても、自閉症スペクト
DV被害者の支援については多様な支援が必要と
ラムに代表されるように従来の診断カテゴリーの
され、支援の制度や仕組みを理解した上で対応す
大幅な改定が行われました。これらの改定は、医
ることが重要です。今回は、DV被害者支援の全体
療領域のみならず、さまざま領域で活動する臨床
の流れについての講義やDV被害者支援の各現場か
心理士にとっても、大きな関心を呼んでいるとこ
らの報告を行っていただきます。
ろです。
DV加害者への対応、安全の確保、生活の立て
そこで、本研修会では、県立光風病院院長の田中
直し、心理的なケアなど多様な支援が求められま
究先生をお招きし、DSM-5における変更の全体的
す。このような支援を有効に行うためには、各機
な傾向や具体的なポイントについてご講演いただ
関や他職種の役割をよく理解したうえで連携して
き、DSMの課題や臨床への影響等について理解を
いくことが必要です。
心理士の役割と他部門との連携-」
2015.6.10 兵庫県臨床心理士会ニュースレター 第 44 号
DVの問題は福祉領域で働く臨床心理士だけで
欄の「希望あり」を○で囲んで、ともに2015年6
なく、医療や司法、教育現場の臨床心理士も対応
月28日 (日) までに申し込んでください。
が求められます。各領域での連携が必要とされる
テーマですので、様々な領域の方にもご参加いた
なお、育児室の受け入れは定員10名先着順、子
だいて、皆さんとよりよい支援について考えたい
ども1人につき1日2,000円 (半日1,000円) を徴収させ
と思います。
ていただきます。利用費は当日受付にてお支払い
第3分科会 :「認知機能評価について学ぶ
ください。
-認知症・高次脳機能障害の方へ
の支援について-」
○ 参加費
講 師 : 梨谷 竜也
当日、受付にてお支払いください。
兵庫県臨床心理士会会員 3,000円
(社会医療法人ペガサス 馬場記念病院)
司 会 : 岩本 直子
他府県臨床心理士及び心理臨床学会会員
(含準会員) 4,000円
(神戸大学医学部付属病院精神科)
現在わが国は、急速な高齢化のなかにありま
(ただし、大学院生は3,000円)
す。また、医療の発展によって大きなけがや病
気から回復することも、以前に比べ増えてきまし
○ 研修ポイント
た。脳機能障害を評価する際、参考として用いら
全日程参加者には、研修ポイントを申請いた
れるのが神経心理学的検査です。これらの検査
します。研修についてのご希望ご意見を、研修
は、知能検査や人格検査と同様、臨床心理士が実
委員までお寄せください (佐伯、高橋年道、八
施し評価することの多い検査ですが、大学院など
木、塩見、中村経子、中村有生、高田、森谷)
の教育機関で触れられる機会は非常に少ないのが
現状です。そのため、現場に出てから手さぐりで
勉強し、悩みながら日々の業務に向かい合うとい
う方は意外と多いのではないでしょうか。そこで
今回は、総合病院で様々な患者さんと接する機会
の多い、馬場記念病院の梨谷竜也先生をお迎えし
て、認知機能評価をする際、出会う機会の多い認
知症や高次脳機能障害をメインに、心理検査の用
い方や評価の仕方についてご講義いただくことに
しました。後半には、それらを支援に活かすた
め、具体的にどのように考えていけば良いのかな
ど、いくつかの事例をもとに皆さんと学びを深め
ていきたいと考えています。全くこの分野に触れ
たことのない方にも、日々臨床で携わっている方
にも、ぜひ、ご参加いただければと思います。
○ 申し込み要領
別紙『参加申込書』に必要事項を記入し、兵庫県
臨床心理士会事務局「研修申込受付係」に、郵送、
FAX (078-453-1922) 、E-mail ([email protected].
ne.jp) のいずれかの方法でお申し込みください。
締め切り : 2015年7月3日 (金) 必着 早めのお申込み
にご協力お願いいたします。
※聴覚障害者の方で手話通訳を希望される方は、
お手数ですが手話通訳希望欄の「希望あり」を
○で囲み、また育児室希望の方は、育児室希望
兵庫県臨床心理士会
ニュースレター44号
発 行 : 兵庫県臨床心理士会
編 集 : 広報委員会
発行日 : 平成27年6月10日
事務局 : 〒658-8501神戸市東灘区岡本8-9-1
甲南大学18号館
F A X : 078-453-1922
ホームページ : http://www.hyorinsin.gr.jp
メールアドレス : [email protected]
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