りんご花咲く ……浅川小学校 校長室だより…… 9月の校長講話『伝記を読もう』 ~ 「読書の秋」に~ 2015/09/25(金) 全校の皆さんと先生方が心をそろえてがんばった運動会が立派におわりました。1人1人が 輝く、とてもよい運動会になりました。思い切り体を動かした運動会が終わって、今度は静か な気持で落ち着いて生活する時期が来ました。先週までが「スポーツの秋」だったので、これか らは「読書の秋」になるかもしれません。10月には読書旬間もあります。ですから、今日はみ なさんに本の紹介をします。今日みなさんに紹介する本は、1冊の本ではありません。ある種 類の本です。それは、「伝記」と呼ばれている種類の本です。 「伝記」という言葉を知っていますか?「伝記」というのは、昔の偉い人、有名な人が、生 まれてから亡くなるまでの一生の間に 、どんなすばらしい仕事をして世の中のために尽くし た のか、どんな努力をしてすばらしい生き方をしたのか、書かれた本です。図書館には 、その「伝 記」の本を集めた棚があります。 第1学習室の入り口を入ってすぐ左手の棚です。マンガ の伝 記も右側に並んでいます。図書館にある伝記の本は、例えば、キュリー夫人、ナイチンゲール、 ファーブル、ヘレンケラー、マザーテレサ、聖徳太子、 織田信長、二宮金次郎、坂本龍馬、福 澤諭吉などの本で、本棚に 並んでいます。1,2年生のみなさんに読めそうな伝記も、別の棚に 入っています。場所は、図書館の村松 先生に教えていただきましょうね。 さて、私が初めて伝記に出会ったのは、小学校1年生の時でした。夏休み前に図書館で本 を 借りました。 「エジソン」という本でした。小学校1年生の私は、エジソンというのが世界の発 明王と呼ばれた有名な人の名前だとは知りませんでした。大好きだったマンガの主人公で、天 才少年発明家の名前が「江地ソン太」だったので 、おもしろそうだなあと思って、本当に何と なく借りて家に持ち帰りました。さて、どんなお話だろうと ワクワクしながら本を開いてみて びっくりしました。その本の最初の方のページがごっそりなくなっていて、いきなり途中から 始まっていたのです。私はショックを受けてがっかりし、そのとたんにもう読む気をすっかり なくして、結局全然読まずに図書館に返してしまいました。 私が初めて伝記をまともに読んだのは小学校3年生の時でした。 私は3年生の4月の末に浅川小学校へ転校してきました。転校する 前の学校で仲良しだった、M君という友だちの家が本屋さんで、M 君のお母さんが転校する私に記念 として、「偉人の話 三年生」とい う本をプレゼントしてくれました。この本です。 「偉人」というのは 「偉い人」という意味です。この本の中には 10 人の偉い人の伝記 が載っています。カバーがかかっていたのですが、 破れてどこかへ 行ってしまいました。でも、よく覚えています。 (野口英世の写真を 提示) 「この人」がアフリカの人々の病気を直している場面が描かれ ていました。「この人」を知っていますか? そうです、1000 円札に顔が印刷されている「野口 英世博士」です。この本の中には 野口英世の伝記も載っていました。でも一冊の本の中に 10 人もの「偉い人」の伝記 が載っているので、当然 一人一人については、 あまりくわしくは書か れていませんでした。 私が次に「野口英世」の伝記を読んだのはこの本で、小学校5 年生の時でした。これは、家にあった兄の本です。読んでみて、 野口英世の人生がとても詳しく書かれて、引き込まれました。赤 ちゃんのころの手の大やけどに打ち勝って一心に勉強し、苦労し ながら医者になり、外国へ渡って熱心に毒蛇の毒や伝染病の研究 をし、多くの人々の命を救った野口英世の人生はすばらしいなぁ と、とても感動しました。 特に5年生だった私の心に残ったのは、 野口英世が新しい医学 を学ぶために、24 歳でアメリカへ渡った時のできごとでした。野 口英世は、実は、特にどこかの大学や 研究所に入れてもらえると いうあては何もなく、たった1人でアメリカへ渡って行ったのでした。アメリカに着いた野口 英世は、前に1回だけ会ったことのある、フレキスナーという 有名な博士の研究所を訪ねまし た。その当時、フレキスナー研究所では、毒蛇の毒の研究をしていました。フレキスナー博士 は野口英世に「君は毒蛇の毒について、日本で いったいどんな研究をしてきたのかね?」と尋 ねたそうです。野口英世は「私は毒蛇の毒については何も知りません。だから、ここ で研究し ようと思います。」と答え てフレキスナー研究所へ入ってしまった、ということが書いてありま した。5年生だった私は、 「なんだか、とんでもなくけた外れのすごい人だなぁ。自分には絶対 にこんなことはできないな~。」……もっと正直に言うと「なんてずうずうしい人なんだろう! 自分にはこんな度胸は絶対にないな~。 」と思ったことを、今でもはっきり覚えています。 ところで。みなさんには「尊敬する人」はいますか ?「尊敬する人」というのは、あんなふ うな立派な人になりたいな~と夢見たり、大きな目標にしたりする偉い人のことです。私が小 学生の頃に尊敬した人たちは、童話作家の宮澤賢治、植物学者の牧野富太郎、医学者の野口英 世、アメリカ大統領のリンカーン、発明王のエジソン、アメ リカの野球選手ベーブ・ルースな どの人でした。これらの人々は、みんな 伝記を読んで「すばらしい人だなあ。」と思った人たち でした。 これから大人になっていくみなさんにとって伝記を読むことは、 自分の将来に豊かな夢を描 き、大きな目標をもち、大人になって ゆくための勇気を抱くことにつながります。今まで伝記を読んだ ことのない人は、何か1冊、 だれかの伝記を読んでみましょう。 今までに伝記を読んだことのある人は、また違った別の人物の伝 記を読んでみましょう。そして、ある人物の伝記を読んですばら しい人だなあと感じたら、同じ人物の別のもっとくわしい伝記を 読んでみると、その人物の 知らなかった面や、また違った魅力 、 もしかするとその人物の弱さだって知ることが できるはずです。皆さん、「読書の秋」に伝記を 読んでみましょう。終わります。 運動会が終わり、いよいよ秋が深まっていきます。 子どもたちの生活も「スポーツの秋」か ら「読書の秋」へ。今日は私が子どもの頃に読んだ伝記の話をしてみました。伝記を読むこと で読書の幅が広がり、そして将来への夢や希望を持ち、勇気を持って前向きに生きようとする きっかけになれば、と願って話しました。 (文責 浅川小学校長 大久保 英幸)
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