平成27年12月の建設工事現場に対する一斉監督指導の結果

厚生労働省
Press Release
佐賀労働局
【照会先】
厚生労働省佐賀労働局発表
平成 28 年3月3日(木)
佐賀労働局労働基準部(監督課)
課
長
福田
剛之
監 察 監 督 官
井本
浩人
電話
0952-32-7169
佐賀労働局労働基準部(健康安全課)
課
長
木原 博徳
主任安全専門官
村山 友茂
電話
0952-32-7176
平成 27 年 12 月の建設工事現場に対する一斉監督指導の結果
~約5割の現場に労働安全衛生法違反~
佐賀労働局(局長:田窪丈明)は、平成 26 年に比べて労働災害の発生件数が増加
傾向にある建設業の更なる労働災害防止対策を推進するため、年末年始から年度末に
かけて労働災害発生件数の増加が懸念される建設現場に対して、昨年 12 月に、佐賀
県内の全労働基準監督署(佐賀、唐津、武雄、伊万里)で一斉に建設工事現場に対す
る監督指導を実施しました。
その結果をとりまとめましたので公表します。
〈一斉監督指導の結果〉
① 佐賀県内の全労働基準監督署(佐賀、唐津、武雄、伊万里)で一斉に114箇所
の建設工事現場に対して監督指導を実施
② 監督指導を実施した建設工事現場のうち56現場(49.1%)で、労働安全衛生法
違反が認められた。
③ 上記②の56現場については、再度の監督指導の実施又は事業主からの是正報告
により、法違反を完全に是正させた。
〈労働災害の発生状況〉
① 建設業における労働災害は、平成27年速報値(平成28年1月末現在)で178
件(昨年比+4.7%)
② 上記①のうち、死亡災害は3件発生(昨年比+2件)しており、全産業の死亡
災害(8件)の37.5%を占めている。
(添付資料)
① 建設工事現場一斉監督指導の結果
② ストップ・ザ・建設業労働災害
③ 建設業における労働災害の推移(平成15年~27年)と死亡労働
災害の概要(平成27・26年)
-1-
〈12月の建設業に対する一斉監督指導の結果等〉
1
佐賀労働局管内における労働災害防止に係る対策の一環として、労働災害の増加
が懸念される年末の12月に、佐賀県内の114の建設工事現場に対して、全労働基
準監督署(佐賀、唐津、武雄、伊万里)一斉の監督指導を実施した。
2
監督指導を実施した建設工事現場のうち56現場(49.1%)で、労働安全衛生法
違反が認められた。
① 監督指導した114現場の内訳は、
○ 国、県又は市町村が発注者である工事現場(公共工事)……75現場
○ 民間が発注者である工事現場(民間工事)……………………37現場
○ 公団が発注者である工事現場(公団工事)……………………02現場
となっている。
② 労働安全衛生法違反が認められた56現場の内訳は、
○ 公共工事………………………………………31現場(違反率41.3%)
○ 民間工事………………………………………24現場(違反率64.9%)
○ 公団工事………………………………………01現場(違反率50.0%)
となっている。
③ 56現場のうち、足場・作業床に係る墜落防止措置に問題が認められたものが
40現場(元請業者38件及び下請業者27件に違反。)と、最も多くなっている。
④
労働安全衛生法違反が認められた56現場のうち、労働災害の危険性が高いた
め、作業停止、変更措置等を命令した建設工事現場は16現場であった。
3
上記2の56現場については、再度の監督指導の実施又は事業主からの是正報告
により、法違反を完全に是正させた。
4
上記1の監督指導に加え、12月中に、労働局及び各労働基準監督署は、発注機
関、労働災害防止団体等(農林水産省九州農政局、建設業労働災害防止協会、佐賀
県建設労働組合連合会等)と合同で、安全パトロールを12回(40現場)実施した。
5
1、2月においても、労働基準監督署は県内の35現場に対して監督指導を実施
したほか、更なる労働災害防止の徹底を期すため、関係機関・関係団体と連携し、
以下の取組を実施した。
① 発注者
・ 安全大会 1回
・ 安全パトロール 11回
② 建設業労働災害防止協会
・ 安全パトロール 11回
・ 安全講習会 3回
・ 文書要請 2回
・ 安全指導員研修 1回
③ 佐賀県建設労働組合連合会
・ 安全パトロール 4回
④ 事業者団体
-2-
・
安全大会
1回
6
今後においても引き続き、建設現場に対する監督指導を実施するほか、発注機関、
労働災害防止団体等と合同で安全パトロールを実施するなど、労働災害の減少に向
けた各種取組を進めていくこととしている。
〈建設業に対する労働災害防止のための取組〉
1
佐賀県内の全労働基準監督署(佐賀、唐津、武雄、伊万里)一斉の監督指導の実
施(平成27年12月)
2
佐賀労働局建設工事関係者連絡会議において、公共工事発注機関に対し、実効あ
る安全対策を講ずるよう要請を実施(平成27年9月2日(労働基準部長要請))
3
各署別に監督指導を実施(平成27年4月~平成27年11月)
4
労働災害防止団体との安全パトロールの実施(年間)
5
年間安全衛生計画の策定支援による計画的な安全衛生管理の促進指導
-3-
添付資料①
建設工事現場一斉監督指導の結果
(単位:件) 工事種別
合計
土木工事
監督指導現場数
全体
114
違反現場
53
建築工事
(住宅建築工事を除く)
39
住宅建築工事
18
その他
4
56
(49.1%)
14
(26.4%)
30
(76.9%)
12
(66.7%)
-
(0.0%)
うち足場・作業床等に係る違反
40
(71.4%)
4
(28.6%)
26
(86.7%)
10
(83.3%)
-
(0.0%)
作業停止命令等に係る違反
16
(28.6%)
3
(21.4%)
11
(36.7%)
2
(16.7%)
-
(0.0%)
全体のうち公共工事
75
違反現場
31
全体のうち民間工事
37
違反現場
24
全体のうち公団工事
2
違反現場
1
50
(41.3%)
13
22
(26.0%)
2
(64.9%)
1
-
(77.3%)
17
(50.0%)
1
(50.0%)
17
1
13
-
(100.0%)
16
(76.5%)
(0.0%)
1
2
10
1
(0.0%)
2
(62.5%)
1
(0.0%)
-
-
(0.0%)
(100.0%)
-
(0.0%)
ストップ・ザ・建設業労働災害
添付資料②
1 佐賀県における建設業の労働災害発生状況 (平成15年~平成27年)
死傷者数
(単位:人)
250
200
死亡者数
229
196
203
208
190
165
150
100
50
0
10次防期間(H15~H19)
計983人(内死亡者18人)
4
1
172 178
162 151 145 157 160 204
170
157
1
設業における休業4日以上の死傷者数は178人
で、昨年同期と比較すると、+8人、率にして+
4.7%の増加。
15
増加
10
11次防期間(H20~H24)
計775人(内死亡者11人)
6
6
○県内における建設業の労働災害発生の推移をみ
ると、平成23年から3年連続で増加した後、平成
25
26年こそ一旦減少したものの、平成27年は再び
増加傾向。
20 ○平成27年速報値(平成28年1月末現在)で、建
死亡者数
(単位:人)
死傷者数
3
6
2
3
1
5
3
0
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
資料:労働者死傷病報告(休業4日以上)平成27年速報値(平成28年1月末現在)
2 建設業の事故の型別労働災害発生状況
平成27年速報値(平成28年1月末現在)
平成27年の建設業の労働災害(178件)を従来から発
生件数の多い事故の型でみると、、
①墜落、転落(30%)
②はさまれ、巻き込まれ(14%)
③切れ、こすれ(12%)
④転倒(9%)
となっており、いまだなお、これら4つの災害で全体の
6割以上を占めている。
○平成27年速報値(平成28年1月末現在)で、建
設業における死亡災害は3人(クレーン災害1
人、荷役災害1人、機械災害1人)。
全社的な安全衛生管理の徹底(特にリスクア
セスメントの実施)!
高温・低温の物と
の接触, 2人, 1%
踏み抜き, 1人, 1%
有害物等の接触,
1人, 1%
感電, 1人, 1%
崩壊、倒壊, 6人,
3%
その他, 1人, 1%
激突, 5人, 3%
交通事故(道路),
6人, 3%
激突され, 11人,
6%
墜落、転落, 54
人, 30%
飛来、落下, 13人,
7%
動作の反動、無理
な動作, 14人, 8%
○安全施工サイクルの徹底(特に職場巡視の徹底)!
はさまれ、巻き
込まれ, 25人,
14%
転倒, 17人, 9%
○危険予知活動、4S(整理・整頓・清潔・清掃)活動
等の自主的活動の促進!
切れ、こすれ, 21
人, 12%
○各責任者の持ち場持ち場での職務の励行!
3 建設業の経験年数別労働災害発生状況
平成27年速報値(平成28年1月末現在)
建設業の労働災害
178件=100%
41~45年, 7
人, 4%
4 建設業の年齢別労働災害発生状況
平成27年速報値(平成28年1月末現在)
46年以上, 7
人, 4%
1年以内, 21
人, 12%
36~40年, 10
人, 5%
31~35年, 9
人, 5%
26~30年, 11
人, 6%
建設業の労働災害
178件=100%
1~5年, 35
人, 20%
21~25年, 14
人, 8%
16~20年, 18
人, 10% 11~15
年, 18
人, 10%
6~10年, 28
人, 16%
~19歳,
10人, 6%
5年以内
56人
(31%)
60歳~,
49人,
27%
50~59歳,
35人, 20%
20~29
歳, 29人,
16%
30~39歳,
29人, 16%
40~49歳,
26人, 15%
建設業の労働災害
178件=100%
○平成27年の建設業における経験年数別災害発生
状況は、5年以内が3割と最も多く、そのうち、1年
以内は4割弱を占める。
・雇入れ時教育
・新規入場者教育
・職長教育
・送り出し教育 などの徹底!
○平成27年の建設業における年齢別災害発生
状況は、60歳以上が27%と最も多い。
高年齢労働者に配慮した
適正配置および、職場環境の改善!
厚生労働省 佐賀労働局 労働基準部
三大災害・急性中毒災害・交通労働災害防止のポイント
墜落・転落災害
≪一般・共通事項≫
■ 現場責任者による巡視・点検の実施
■ 開口部の養生、危険個所の表示
■ 防網の設置・取付設備を確保した上での安全帯使用の徹底
■ ヘルメットは墜落時保護用、あご紐はしっかり
■ ダブルフック・ハーネス型安全帯の導入
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪足場の安全の確保≫
■ 手すり先行工法等の「より安全な措置」の採用
■ 足場・作業床に手すり及び中さん等の設置
■ 作業開始前に、作業箇所の墜落防止設備
及び落下防止設備を点検、異常があれば補修
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪その他の墜落危険個所≫
■ トラックの荷台昇降時の確実な
足かけの徹底
■ 梯子の上端60cm以上の突出、転位
の防止
重機災害
≪車両系建設機械≫
■
■
■
■
■
■
■
コーン表示等立入禁止区域の明確化
立入禁止区域に立ち入る際の運転停止の徹底
誘導者の配置(接触防止・転落等防止)
主たる用途以外の使用禁止
運転手のシートベルト着用
計画作成による安全作業の確保
現場責任者による巡視の実施
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪移動式クレーン≫
■ 設置位置、能力、吊り荷の重量等を十分に検討した
作業計画 の作成
■ 軟弱地盤の補強
■ アウトリガー最大張出可能な設置場所の確保
■ 過負荷とならない適正な作業半径の設定
■ 適正な玉掛用具の選定等の実施
■ 安全装置の有効利用
■ 吊り荷の下を通らない安全通路の確保
■ クレーン機能付き建機の建機モードでの荷吊り禁止
崩壊・倒壊災害
≪土砂崩壊≫
■ 土質に応じた安定勾配の確保又は土止支保工の設置
■ 作業の開始前、終了時、大雨時等の地山の点検の励行
■ 作業主任者の直接指揮による作業の実施
■ 作業手順に基づく安全作業の確保
■ 現場責任者による巡視・点検の実施
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪倒壊≫
■ 工作物等の形状、き裂の有無、
周囲の状況等の調査及び作業計画
の作成
■ 作業手順の確立、控えの設置、
立入禁止区域の設定
■ 避難場所の確保
■ 作業構台・足場の最大積載荷量の
表示、周知徹底、遵守
交通労働災害
■
■
■
■
交通労働災害防止のためのガイドラインの遵守
交通ヒヤリマップの作成
後部座席を含めたシートベルトの着用徹底
運転者は疲労を考慮して作業を早めに切り上げる等作業
の軽減
■ 労働時間等の適正な管理による過労運転の防止
急性中毒災害
≪一酸化炭素中毒防止≫
■ 内燃機関を有する機械は屋外使用を原則とする
■ 屋内で内燃機関を有する機械及び練炭コンロ等を使用
する場合は
・作業開始前、再開時及び作業中の継続的なCO濃度等
の測定
・作業中の継続的な換気の実施
・作業責任者の選任及び作業手順書による作業の実施
・有効な呼吸用保護具の使用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪有機溶剤中毒防止≫
■ 臨時・短時間の作業にあたっても全体換気装置等の設置
により十分に換気すること
■ 送気マスク・防毒マスクの着用
■ 有害性の調査と関係労働者の教育
元請けとしての統括管理(現場巡視等)を徹底しましょう!!
添付資料③
建設業における労働災害発生状況 (平成15年~平成27年)
死傷者数
(単位:人)
250
200
死亡者数
229
196
203
165
162
151
145
157
204
160
10次防期間(H15~H19)
計983人(内死亡者18人)
6
6
1
H15
H17
H18
20
15
10
6
3
1
H16
178
増加
11次防期間(H20~H24)
計775人(内死亡者11人)
4
50
172
170
157
100
25
208
190
150
0
死亡者数
(単位:人)
死傷者数
H19
H20
3
2
H21
H22
H23
H24
H25
1
H26
3
H27
5
0
資料:労働者死傷病報告(休業4日以上)平成27年速報値(平成28年1月末現在)
○県内における建設業の労働災害発生の推移をみると、平成23年から3年連続で増加した後、平
成26年こそ一旦減少したものの、平成27年は再び増加傾向。
○平成27年速報値(平成28年1月末)で、建設業における休業4日以上の死傷者数は178人で、
昨年同期と比較すると、+8人、率にして+4.7%の増加。
○平成27年速報値(平成28年1月末)で、建設業における死亡災害は3人(クレーン災害1人、荷
役災害1人、機械災害1人)。
佐賀県内における建設業の死亡労働災害の概要
【平成27年(平成27年12月末現在)】 全産業8件中建設業3件
発生年月
起因物
事故の型
災害の概要
平成27年1月 動力クレーン等 激突され
道路路肩に照明灯を設置する工事現場において、重量約
1.84トンの荷を移動式クレーン(つり上げ荷重2.93
トン)で荷卸し中、移動式クレーンが横転し、地上作業員が
移動式クレーンとガードレールの間に挟まれた(8日後に死
亡。)。
平成27年1月 荷
激突され
ごみ処理施設建設工事現場において、台車に載せて運んで
きた制御盤(高さ約2.35m×幅約1.2m×奥行約0.
8m、重量約350㎏)を作業員4人で台車から降ろす作業
中、制御盤が転倒してその下敷きとなった。
平成27年8月 その他の建設機 はさまれ、巻
械等
き込まれ
下水道管布設工事現場の発進立坑内で作業中、横穴掘削推
進機のスクリューに上半身の一部が巻き込まれた。
【平成26年】 全産業7件中建設業1件
発生年月
起因物
事故の型
平成26年2月 動力クレーン等 激突され
災害の概要
クレーン塗装工事現場において、クレーンの塗装作業を
行っていた被災者が、他の作業者が運転した当該クレーンに
激突された。