添付資料③-1 シラバス作成例1:領域横断的な科目を自分で提案した場合の例 科目名 入門・地域 科目目的・到達目標 本講義は、Think planetary, act contrapuntally and poly/dis-phonically:「地域社会学」以前の「地域社会」/ 「地域社会」以前の「地域」/「地域」の母体である「地」として在る「惑星地球」も含めた “惑星社会の諸問題 を引き受け/応答する”ことをめざします。そこから“生存の場としての地域社会論”さらには“危機の時代の 総合人間学”を構想していきます。到達目標は、“探究/探求型社会調査の二つのメソドロジーである、(1) “コミュニティを基盤とする参与的行為調査(Community-Based Participatory Action Research(CBPAR))”と、 (2)“療法的でリフレクシヴな調査研究(Therapeutic and Reflexive Research(T&R))”の技法・作法と倫理、理 論と調査方法論による現実理解を、講義のなかで体感し、自らも実践してみることです。 授業概要 「3.11以降」、私たちは「見知らぬ明日」に直面しています。それでもなお、人間に“埋め込まれ/植え込ま れ/刻み込まれ/深く根をおろした”ものであるはずの“智”が、輝きを放つ瞬間があるとしたらそれは、いか なる条件・旅程をともなって“創起”するのか。日本の諸地域で生きる私たちの日々の暮らしが、いかに日本 の領土をこえて世界の諸地域と<かかわってきたか/かかわっているのか/かかわっていくのか>に注意 を払いつつ、日本・イタリア・ヨーロッパ・大西洋・南米・アジア・太平洋などのフィールドでの体験・知見と文 献、テレビ・新聞・インターネット等でアクセス可能な情報から、「地域社会をこえる地域」の現在を解読する ため、学問の方法(エピステモロジー)としての“フィールドワーク(Learning/unlearning in the field)” を“疑似 体験”していきます。 授業計画 第1回 地域社会の“生身の現実”にふれるために 第2回 地域社会学以前の地域社会 第3回 地域社会以前の惑星地球 第4回 惑星社会の中の地域社会 メルッチの惑星社会論 第5回 身体の中の地域社会 メルッチの“未発の社会運動”論 第6回 マクロトレンドと地域社会 第7回 移動民から見た地域社会 メルレルの島嶼社会論 第8回 受難民から見た地域社会 第9回 「生活」「いのち」「生存」から見た地域社会 第10回 市民・住民・民衆の生活世界 第11回 多声(ポリフォニー)の草の根のどよめき 第12回 “居合わせ”“追想しつづける”こと 第13回 “毛細管現象/胎動/交感/個々人の内なる社会変動/未発の社会運動” 第14回 地域社会学の歴史/地域社会の原理的考察 第15回 総括・まとめ “生存の場としての地域社会の学”へ 評価方法 授業への「参加の質」30% 小レポート30% 最終レポート40% 「参加の質」は授業への実質あるコミットメント(聴講姿勢)・小レポートと最終レポートへの積極的姿勢が成 績Cの条件となります。事前事後学習・小レポートや課題論文の執筆等に深くコミットしたひとは、AやBの評 価となります。その場にいるだけで講義や映像の内容を把握しようとせず、私語をやめない、化粧をする、ス マホをいじりつづける、大幅に遅刻してきて課題だけ提出するといった場合には、評価基準のひとつである 「参加の質」の観点から、不合格(E評価)となります。 テキスト・参考文献 《テキスト》 新原道信『境界領域への旅』(大月書店,2007年)。 《参考文献》新原道信編『うごきの場に居合わせる――公営団地におけるリフレクシヴな調査研究』(中央大 学出版部,2016年)/新原道信編『“境界領域”のフィールドワーク――惑星社会の諸問題に応答するため に』(中央大学出版部,2014年)/古城利明監修、新原道信他編『地域社会学講座 第2巻 グローバリゼー ション/ポスト・モダンと地域社会』(東信堂,2006年)/似田貝香門監修、町村敬志他編『地域社会学講座 第1巻 地域社会学の視座と方法』(東信堂,2006年)/岩崎信彦・矢澤澄子監修、玉野和志他編『地域社会 学講座 第3巻 地域社会の政策とガバナンス』(東信堂,2006年)/新原道信『ホモ・モーベンス~旅する社 会学~』(窓社,1997年)/新原道信他編『地球情報社会と社会運動』(ハーべスト社,2006年)/地域社会 学会編『キーワード地域社会学(新版)』(ハーベスト社,2011年)/A.メルッチ『プレイング・セルフ』(ハーベ スト社,2008年)。 授業外活動状況 授業前には、あらかじめ指示されたテキストの該当箇所を読み、授業後は配布されたレジュメを熟読してくだ さい。講義で提示された事実とその解釈に触発される形で、自らが想起した断片的な事実や理論をいっしょ に並べ、調べ、解釈し、多方向に対比し考察することを、講義時間外の「フィールドワーク/デイリーワーク」 としておこないます。授業時間内でクループディスカッションの時間を設けます。 その他特記事項 大切なのは、どのフィールドを選ぶかでなく、どうかかわるかです。みなさんの小さな行いが次の世代にむけ ての「一粒の麦」ともなり得ますし、それまでの蓄積をぶちこわす場合もあります。ひとつのフィールドにきち んとかかわれば、そこから、ほとんどあらゆる問題関心に応答する力を獲得できます。慎み深く、思慮深く、 臆することなく、きちんと外の世界に出ていき自分を試していってください。
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