2016 年 3 月 3 日 自治体向けソリューション市場に関する調査結果 2016 -マイナンバーを背景とした需要が拡大・自治体クラウドの普及も加速- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の自治体向けソリューション市場の調査を実施した。 1. 調査期間:2015 年 11 月~2016 年 2 月 2. 調査対象:自治体向けソリューション提供事業者、全国の地方自治体等 3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによるヒアリング、ならびに文献調査を併用 <自治体向けソリューションとは> 自治体向けソリューションとは、地方自治体で導入される情報システムのことであり、その市場規模には、ハードウェ ア、ソフトウェア、SI、サービスサポート、要員派遣などを含む。地方自治体側の費目で見ると、機器購入費、委託費、 安全対策費、各種研修費用などが該当するが、職員の人件費は含まない。 【調査結果サマリー】 2015 年度の自治体向けソリューション市場規模は 6,297 億円の見込、 マイナンバー制度対応需要により拡大 2015 年度は国民への社会保障・税番号制度(マイナンバー)通知に伴い、自治体・事業者(ベンダー) の双方がマイナンバー制度対応案件に優先的に取り組んでいる。また 2015 年 3 月に総務省から「地方 公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂版が公表され、それに対応した セキュリティ対策強化を進めている自治体も多いため、2015 年度の市場規模は前年度比 3.2%増となる 見込みである。 東京オリンピックに向けた公共インフラ対策、 観光関連やセキュリティ対策の強化などの需要を背景に、2019 年度は 6,093 億円を予測 2012 年度から 2019 年度の自治体向けソリューション市場の年平均成長率(CAGR)はマイナス 0.2%と ほぼ横ばいの推移であり、2019 年度には 6,093 億円になると予測する。 自治体クラウドは安価であり、且つ大幅なシステム運用コストの削減につながることから、市場全体とし ては縮小基調の可能性もあるが、一方で 2020 年東京オリンピックに向けた公共インフラ整備や老朽化へ の対策、訪日外国人客の増加による観光関連やセキュリティ対策の強化などの需要は増加していくと考 える。 マイナンバー制度活用における情報連携による新たなサービス創出に期待 現段階では未知数であるものの、2019 年度以降、マイナンバー制度活用における官民での情報連携 による新たなサービスの創出が期待される。 ◆ 資料体裁 資料名:「自治体向けソリューション市場の実態と展望 2016」 発刊日: 2016 年 2 月 25 日 体 裁: A4 判 322 頁 定 価: 150,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 3 日 【 調査結果の概要 】 1. 自治体向けソリューション市場概況 2012 年度は、住民基本台帳法の改正に伴うシステム改修が行われたものの、経費削減への取り組 みが進んだことなどから、前年度比 1.8%減となった。 自治体における経費削減の流れが継続するなか、2013 年度は、クラウド導入による改修コストや運 用コストの低下なども進み、前年度比 5.6%減と市場規模は縮小した。 2014 年度は、2016 年 1 月に全面施行となる社会保障・税番号制度(マイナンバー)への対応の必 要性から、各自治体では、既存システムの更新時期や予算、職員などの人的資源、IT 環境整備に 関する方針などの個別の状況に応じてマイナンバー制度への準備が進められ、前年度比 4.8%増と なった。一方、制度対応への方針が決まらないことなどによる対応の遅れや、システム設計の段階 で留まっている自治体も多かった。 2015 年度は、国民へのマイナンバー通知に伴い、自治体・事業者(ベンダー)の双方がマイナンバ ー制度対応案件に優先的に取り組んでいる。また、2015 年 3 月には総務省より「地方公共団体にお ける情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改訂版が公表され、それに対応したセキュリ ティ対策強化を進めている自治体も多いため、2015 年度の市場規模は前年度比 3.2%増となる見 込みである。 2. 自治体向けソリューション市場予測と展望 2012 年度から 2019 年度の自治体向けソリューション市場の年平均成長率(CAGR)はマイナス 0.2%とほぼ横ばいの推移であり、2019 年度には 6,093 億円になると予測する。 2016 年度は、2015 年度にマイナンバーに関連した住民情報系以外のシステム改修を先延ばしした 自治体が多かったことから、それらの改修案件が発生すると見込むことができ、2016 年度の市場規 模は前年度比 2.0%増になると予測する。 2017 年度から 2018 年度は、医療保険改革法案が成立したことで、国民健康保険の運営主体が 2018 年度以降、市町村から都道府県に移管されるため、それに伴うシステム投資が行われる可能 性はある。しかしながら、中小規模のみならず大規模自治体でもクラウド活用が検討されており、クラ ウド化が進むことでコスト削減がさらに進んでいくことが想定されるため、2017 年度、2018 年度はい ずれも前年割れを予測する。 総務省は自治体クラウド推進において、自治体のシステム運用コスト削減(3 割減目標)や業務負担 軽減、業務の共通化・標準化、セキュリティ水準の向上などのメリットを訴求し、様々な取り組みを行 っており、中小規模のみならず大規模自治体でもクラウド化の動きが見られる。自治体クラウドは安 価であり、且つ共同利用などに活用することで大幅なシステム運用コストの削減につながることから、 自治体クラウドの導入が進めば、自治体向けソリューション市場全体として見た場合には、市場規模 の縮小につながっていく可能性があると考える。 2019 年度以降は、マイナンバー制度活用における官民での情報連携による新たなサービスの創出 が期待できるが、現段階では未知数である。しかしながら、システム運用周辺の BPO 需要拡大や、 2020 年東京オリンピックに向けた公共インフラ整備や老朽化への対策、訪日外国人客の増加によ る観光関連やセキュリティ対策の強化などの需要は増加していくと考える。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 3 月 3 日 図 1. 自治体向けソリューション市場規模推移予測 (百万円) 矢野経済研究所推計 注1. 事業者売上高ベース 注2. 2015 年度は見込値、2016 年度以降は予測値 注3. 市場規模には、ハードウェア、ソフトウェア、SI、サービスサポート、要員派遣などを含む。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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