ビジネスニュースレター 2016 年3月号 日頃は「ビジネスニュースレター」をご愛読いただき、誠にありがとうございます。 今月号は、【「グローバルな経営基盤(グローバルガバナンス)」の 3 つの切り口】 と 【「スキャナ保存制度」 ~導入にあたっての留意点~】 をテーマにとりあげています。 「グローバルな経営基盤(グローバルガバナンス)」の3つの切り口 世界情勢が激動している今日、日系企業にとって「海外ビジネスをどう展開するか」は、非常に重要性 の高い課題となっています。 キーワードは、「グローバルな経営基盤(グローバルガバナンス)」です。日本という壁を越えた、全世 界的な企業価値向上の取り組みが求められています。 世界的な潮流は、 「壁と常識の崩壊」の方向に進ん 次の「運用」ステージにおいては、海外現法が赤字 でいます。いままで、日系企業は安い労働力を求 続きで、しかもその原因がよくわからないという めて「製造拠点」を海外に作ってきましたが、新 ケースが多く見受けられます。親会社からの調査 興国市場の発展が著しい現在、 「販売拠点」への重 が入っても、現地法人は「これは当国のやり方だ」 点シフトが進んでいます。 という言訳でかわし、改善が遅れるケースがあり 日系企業には、今までの常識にとらわれずに「グ ローバルな経営基盤(グローバルガバナンス)」の 視点から、海外ビジネスモデルを検討し直すこと が求められています。ステージごとの具体的な切 り口と検討テーマは、以下のとおりです。 ステージ 進出 運営 見直し 切り口 主な検討テーマ ます。海外現法を非難するのではなく、 「課題の見 える化を進めて、日本と海外と一緒に企業価値を 伸ばす方法を考えていこう」というスタンスが望 まれます。 最後の「見直し」ステージでは、それまでの経緯 をバックグラウンドとした明確な「判断」が求め 「稼ぐ」海外事業 製品・サービスの強み、適切 られます。赤字が改善しない場合には、日本の親 体制の構築 な販売ルートの構築 等 会社まで悪影響が及ぶ前に「撤退」を判断すべき 「見える化」の 海外現法の現状把握、将来 ケースがあります。撤退戦略の中には、適切な持 推進 への課題の明確化 等 分譲渡先を模索するという選択肢も含まれます。 「出口戦略」の 赤字の場合は終止符、拡大 さらに、このステージはゴールではなく、次の展 立案 の場合は追加投資 等 開のための新たな「進出」ステージへと繋がって きます。 最初の「進出」ステージでは、きれいごとではな く、 「稼ぐ」海外事業を作り上げるにはどうすれば 「日本」という枠組みから脱し、 「グローバルガバ よいか?というストレートな切り口が必要となり ナンス」の目線から、企業グループ全体の価値を ます。自社の製品やサービスがもつ強みを見つめ とらえ直す時代が到来しています。 なおし、FS(事業可能性の検証)をしっかり行って スタートを切ることが重要です。 「スキャナ保存制度」~導入にあたっての留意点~ 電子保存によるコスト削減等を図る観点から創設された「スキャナ保存制度」ですが、更なる利便性の向上を図 る目的で手続き要件の緩和が図られます。 平成 28 年 9 月 30 日以後に行う承認申請に適用される「スキャナ保存制度に関する見直し」について、その仕 組みと留意点を取り上げます。 ■「スキャナ保存制度」の内容及び手続き 「スキャナ保存制度」とは、税務署長の承認を受けた者が、領収書等について一定の手続きに従い、 スキャナにより記録された電磁的記録を保存することをもって、当該領収書等の保存に代えることが できる制度です。この制度を受けようとする事業者は、「スキャナ保存を開始する日の3カ月前まで」 に税務署に承認申請書を提出し、承認を受ける必要があります。 ■ 改正内容(手続要件の緩和)… 平成 28 年 9 月 30 日に行う承認申請に適用されます。 ①「原稿台と一体となったもの」という要件が廃止され、「スマートフォン」等を活用した電子保存 が認められることになります。 ② 受領等をする者が記録する際の手続き要件の見直しが図られます。 ③ 小規模企業者向けに事後検査を税理士等が行うことにより経理担当者の内容確認が不要になる特 例措置が設けられます。 ■ 留意点 スキャナ保存制度の活用に伴い、書類の保管スペースの省略化や領収書の電子化による経費精算のス ムーズ化及び小規模企業者向けの特例措置により事業者の負担が軽減化され、従業員の少ない会社で も導入が可能となりました。 ただ、スキャナ保存制度を利用するためには、タイムスタンプ(注)制度導入に係るランニングコスト(最 低年間 10 万円程度)の負担や電子データの改ざん防止施策等の運用方法の策定、電子データのシステ ム管理をする必要がありますので、注意が必要となります。 この内容の詳細は、下記 URL をご参照ください。税理士法人みらいコンサルティング作成『平成 28 年度 税制改正大綱速報 P41~P44』 http://www.miraic.jp/news/files/H28_tac.pdf (出典:経済産業省「平成 28 年度税制改正について」) (注) タイムスタンプは、電子文書の原本性立証のために使用され、タイムスタンプを 付すことで、電子署名者及び電子署名日時が証明されます。 不正を防ぐため、従業員等が領収書等を受領・スキャンした後、社内のパソコン 等に転送してから「3 日以内」にタイムスタンプを付すことが求められます。 認証番号等 SD9999(9) (出典:国税庁 HP) 弊社ビジネスニュースレターでは、毎号、ビジネスシーンで欠くことのできない ◆◆ ニュースレター編集委員会 ◆◆ 法制度や海外進出などの最新動向、及び対応手法などを発信しております。 大谷/松本(佑)/羽淵/矯/杉山/岡本/大塚 この内容についてのお問い合わせはこちらへ 本書がビジネスの最新情報入手のための一助になれば幸いです。 Address:[email protected]
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