社保協ニュースNo,16-09 - 神奈川県社会保障推進協議会

神奈川県社保協ニュース
神奈川県社会保障推進協議会
【NO.15-09】 2016 年 2 月 28 日発行
横浜市中区桜木町3-9平和と労働会館6F TEL045-201-3900・FAX045-212-5654
1/18「神奈川生存権裁判」始まる
当日は、雪により早朝から横浜線が止まるアクシデントも!
1/19付
神奈川新聞
(神生連・関美恵子事務局長)
1月18日、神奈川生存権裁判第一回口頭弁論が行われました。前夜から雪が積り横なぐりの雨
という悪天候の中、原告、弁護士、支援者等約100人が横浜地裁にかけつけ、84人の傍聴席が
溢れました。午前11時30分、全員が固唾をのんで見守る中裁判が始まりました。
はじめに、井上啓弁護団長が「急激な高齢化社会に対応する国の施策として、生活保護費用の切
り下げが許されるのか」と国の姿勢を厳しく追及しました。次に、原告で50代独り暮らしの加賀
敏司さんが、生活保護の引き下げの影響は食費で肉や魚類が取れなくなったこと。バイトをしても
差し引かれ、生活保護から抜け出せない実態を話し「健康で文化的な最低限度の生活」とはとても
言えないと陳述しました。
また、40代のAさんは、障害のある2人のお子さんを育てている母子家庭。今回の引き下げで
月一万円程保護費が下げられ、これまで使わなかった大根の葉っぱや皮も使い節約しているが厳し
い時は雑炊で我慢している。Aさん自身糖尿で食事に気を使いたいが出来ない。消費税が上がり生
活は苦しくなるばかりでせめて元に戻してほしいと陳述しました。原告の陳述に傍聴席から共感の
拍手が起こりました。
被告席から「原告の陳述は必要ない」趣旨の発言があり、井上弁護団長が「それでは裁判の中身
が見えなくなる」と反論しました。
12時でしたが、場所を移動して13時まで報告集会を開きました。
集会では、改めて原告の陳述の重要さが弁護士から話され、確認されました。また弁護士から「被
告席の顔は『なんでこんな裁判をしなくちゃならないんだ』と言いたげで嫌がっている」との発言
があり、闘う相手と初めて対峙して気持ちに引き締
まるものがありました。原告全員が話し、裁判への
思いが語られ、改めてその思いを共有して闘えるこ
とを確信しました。
最低賃金裁判、年金裁判を闘っている団体や日本
共産党から激励がありました。第2回口頭弁論も大
勢で成功させることが重要です。
裁判終了後の報告集会
次回日程
3 月 28 日(月)11:30~
横浜地裁(宣伝行動 10:30
/傍聴抽選 11:00/昼食後に
報告集会 13:00 波止場会館)
-1/4-
1/25「横浜地裁大包囲抗議行動
横浜地裁大包囲抗議行動
横浜地裁大包囲抗議行動」実施
年金違憲訴訟の原告団、
、弁護団、年金者組合神奈川
県本部は、1 月 25 日に横浜地裁前で大規模な抗議行
動を行いました。支援者も多数駆けつけ、
も多数駆けつけ、250 名を超
す規模で裁判所前や横浜公園側で
でも宣伝行動を行い、
東京地裁への移送をやめるよう、
、午後 1 時から横浜地
裁第 7 民事部への要請行動も行いました。
安倍政権の連続する年金給付削減に怒
給付削減に怒り、全国で年
金違憲訴訟が闘われていますが、神奈川で
金違憲訴訟が闘われていますが、神奈川でも昨年
7
月 25 日に原告 255 名が横浜地裁に提訴
横浜地裁に提訴し年金裁判が始まりました。本来であれば
本来であれば 1 月 25 日に横浜
地裁で第 1 回口頭弁論が行われる予定でしたが、国の移送申立てにより中止
回口頭弁論が行われる予定でしたが、
中止されたものです。
年金者組合や年金受給者の違憲訴訟の
違憲訴訟の動きを恐れた国は、裁判を高裁のある地裁で行うよう
、裁判を高裁のある地裁で行うよう当該
地裁に「移送」を申し立てました。高裁は全国に
ました。高裁は全国に 8 カ所(札幌、仙台、東京、名古屋、大坂、高松、
広島、福岡)しかないため、沖縄の人
広島、福岡)しかないため、沖縄の人なら那覇地裁ではなく福岡地裁まで通うこととなり、片道数
まで通うこととなり、片道数
万円にも及ぶ交通費は負担しきれません。まさに国民から裁判権を奪う不当な行為
にも及ぶ交通費は負担しきれません。まさに国民から裁判権を奪う不当な行為
にも及ぶ交通費は負担しきれません。まさに国民から裁判権を奪う不当な行為であり、裁判へ
の妨害に他なりません。すでに島根地裁は広島地裁への移送を決め、徳島地裁は高松地裁への移送
すでに島根地裁は広島地裁への移送を決め、徳島地裁は高松地裁への移送
を決めており、神奈川の場合は移送が決まれば
移送が決まれば東京地裁に通わなければならなくなります。
わなければならなくなります。国への
抗議とともに、横浜地裁に東京地裁
東京地裁への移送を行わないよう強く求めたものです。
求めたものです。
原告団の加藤郁子団長は横浜地裁に向けて
横浜地裁に向けて、
「年金給付の削減自体が生存権を脅かす憲法違反だ」
と国を断罪するとともに、小泉政権時代に
と国を断罪するとともに、小泉政権時代に政府は「100
年安心の年金」と言って保険料を 2017 年度
まで連続して引き上げる大改悪を行ったにも関わらず、さらなる給付削減は「国による詐欺だ」と
厳しく批判。「国は憲法を守れ!
!」、「勝ち抜くまで頑張ろう!」と力強く訴えました。
訴えました。25 条共闘
を組む神奈川労連、神生連、県社保協も連帯と激励の訴えを行いました。
午後 1 時 30 分から年金者組合県本部事務所
年金者組合県本部事務所で報告集会が行われ、土志田県本部委員長や加藤原
土志田県本部委員長や加藤原
告団長のあいさつに続き、支援体制を担当する杉沢事務局長が全国情勢や神奈川の現況について報
、支援体制を担当する杉沢事務局長が全国情勢や神奈川の現況について報
告しました。東京地裁で『憲法違反を問う
憲法違反を問う「行政訴訟」でなく「給付削減分を返せ」という「給付
削減分を返せ」という「給付
訴訟」なら、各県の地裁で裁判ができる』ことが明らかにされたことを受け、
各県の地裁で裁判ができる』ことが明らかにされたことを受け、
各県の地裁で裁判ができる』ことが明らかにされたことを受け、議論となりました。
幾つかの県では「給付訴訟」に切り替える動きがあり、「移送」への抗告も可能ですが、「抗告」
幾つかの県では「給付訴訟」に切り替える動きがあり、
の時間的ロスを避けるため奈良や和歌山のように最初から大坂地裁に提訴した事例もあります。
弁護団からは違憲訴訟に「給付訴訟」も加える案も出され、原告からも
からは違憲訴訟に「給付訴訟」も加える案も出され、原告からもさまざまな意見が出され
さまざまな意見が出され
ました。討論の結果、「高裁のない県の事情は理解
高裁のない県の事情は理解するが、神奈川は東京地裁に移送されたとして
が、神奈川は東京地裁に移送されたとして
も違憲訴訟として原則的に闘おう」と意思統一されました。
違憲訴訟として原則的に闘おう」と意思統一されました。
新年金署名のを推進
推進を!
県社保協では昨年 2 月に年金者組合以外の組
年金者組合以外の組
織に「若い人も高齢者も安心できる年金を求め
「若い人も高齢者も安心できる年金を求め
る請願署名」(新年金署名)を 23,000 枚配分し
ましたが、改めてこの署名を推進しています。
改めてこの署名を推進しています。
署名用紙はまだ 1,000 枚ほどストックがあり
ストックがあり
ますので、必要な方は県社保協までご連絡くだ
必要な方は県社保協までご連絡くだ
さい。お送りいたします。
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2/24 最低賃金裁判=司法の役割(行政の誤り是正、
基本的人権の保障)を放棄する横浜地裁の不当判決に抗議する!
全国初となる最低賃金裁判(行政処分義務付け請求事件)の判決が、2 月 24 日に横浜地裁で言い
渡されました。原告 20 名が出席し傍聴席から溢れる 200 名もの支援者が詰めかけるなか、主文は
『1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。
』というわずか 10 秒程度
のもの。「却下」とは、訴えそのものが司法で扱えない「不適法」なものとして「門前払い」する
最悪の判決です。
(第1民事部 石井浩裁判長、徳岡治裁判官、吉田真紀裁判官)
原告の訴えを却下し地域別最低賃金の決定過程における重大な問題(5 つの誤魔化し)の判断を
回避する判決ですが、理由として「最賃の労働で
足りなければ生活保護や年金、福祉施策等使えば
いいのであって、原告の生活に重大な損害を生ず
るおそれはない」と、国さえ主張しなかったこと
を述べているなど、断じて許されないものです。
裁判所・裁判官が行政の誤りを是正し、国民の基
本的人権を保障するという、自らの役割を放棄す
るに等しい極めて不当な判決です。
最低賃金裁判
判決にあたっての声明
2016 年 2 月 24 日 最低賃金裁判原告団
神奈川県労働組合総連合
(1)本日、横浜地裁第一民事部において、歴史上初めて闘われた最低賃金千円以上を求める裁
判の判決は原告の訴えを却下する不当なものが出された。これは、低賃金で苦しむ多数の労
働者が、憲法と最低賃金法に違反し生活保護を下回る最低賃金について、裁判所に訴えること
も許さないという極めて不当なものである。
(2)2011 年 6 月 30 日、時給 1000 円未満で働く当事者が日本の歴史上初めて声を上げた。第 1
次提訴 50 人、その後第 5 次まで総数 133 人もの大原告団となり、満杯の傍聴席の大法廷で原
告意見陳述を行い続けてきた。最低賃金ぎりぎりで働き生きることにより命や健康が破壊され
る深刻さ、自立も結婚もできない、将来の希望ももてない、友人との付き合いや趣味など社会
的文化的な生活ができない、これらの実態を裁判官に赤裸々に語り、その根本原因である国に
よる最低賃金の異常かつ憲法違反の低額放置を断罪し、最低賃金を抜本的にひきあげる歴史的
判決を強く求めてきた。裁判を支えるサポーターは、県内はもとより全国に広がって 1000 人
を超え、裁判傍聴支援、署名、カンパなど運動を広げ、新聞・テレビによる原告への取材・報
道も数多くされてきた。
(3)
「門前払い・裁判即時終結」を求める被告=国に対して弁護団は「訴えの適法性」の論陣を
張ってこれを乗り越え、最大の論点である「最低賃金と生活保護の比較計算の 5 つのごまか
し」、国の裁量権逸脱を徹底的かつ多角的に立証してきた。憲法、生存権、経済学、国連社会
権規約・ILO条約、運動的視点から有識者4人の意見書を提出し、原告 4 人の本人尋問を裁
判長に決断させて真剣な審理が行われた。被告=国は、最後まで「門前払い」を主張の大半に
割き、「国に広大な裁量権がある」
、「手続きは踏んでいる」
、「国の計算式では生活保護と最賃
の逆転は解消されている」と繰り返すばかりで、原告の主張にかみ合った反論は全くなされな
かった。
-3/4-
今回の判決は、国の主張を認めるばかりか、賃金が低ければ生活保護などの施策を使えば足
りる、原告に重大な損害が生じていないと切って捨てる極めて不当なものである。最低賃金が
生活保護を下回るという原告の主張には全く触れないものであった。
(4)神奈川の最低賃金は提訴した 2011 年から 87 円引きあがり 905 円となった。罰則付きで強
制適用される最賃法の意義と機能、賃金引き上げの直接的影響を受ける労働者は年々拡大し、
昨年 10 月の 18 円引上げで過去最高の 19.2%=約 76 万人の賃上げに貢献した。これは非正規
が全労働者の 4 割を超え、最低賃金ぎりぎりで働く労働者が激増している事実を示すものだ。
「最低賃金 1000 円以上!」というささやかな原告の訴えは、日本全国の低賃金労働者の最低
限、待ったなしの要求である。憲法 25 条生存権と同 27 条働く権利、13 条幸福追求権を蹂躙
し、格差と貧困を拡大させ続ける国の責任を放棄することは絶対に許されない。最賃時間額
1500 円めざし、直ちに 1000 円実現、憲法違反の是正を求めて国の責任を厳しく問い続ける。
そして、世界の常識である生計費原則の最賃額確保、新たな全国一律最低賃金法の立法化の運
動を、すべての労働者・国民との連帯と共同を広げて闘い続けることを宣言し、声明とする。
「社会保障は国の責任です」署名の推進を!
県社保協では各団体に
「社会保障は国の責任です」
署名を配分しました。
通常国会中の推進となり
ますので、5 月までの取り組
みです。戦争法署名と合わ
せてこの署名の推進をお願
い申し上げます。
新しい「マイナンバー署名」
ができました!
県大運動実行委員会では 2016 年 1 月から
マイナンバー制度の運用が開始されたこと
を受けて、旧署名を若干修正した新しい署名
を作成しました。
県社保協では各団体に 3 万枚を配分しま
すので、ご活用ください。
-4/4-